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建築構造安全現場実務

耐荷重 計算ツール|床・棚・段ボール・タイヤの許容荷重を即時算出・法令基準準拠

床・棚・段ボール・タイヤ・キャスターの許容荷重を、面積・分布荷重・安全率から即時算出。建築基準法施行令85条の標準活荷重(住宅1,800N/m²・事務室2,900N/m²・倉庫3,900N/m²等)を実装し、ピアノ・大型書架・サーバーラック・水槽・金庫・トレーニング機材の設置可否判定に対応。木造・RC・鉄骨の構造による違い、集中荷重の分散、JIS棚・段ボールの強度、経年建物での注意点まで、施工管理・現場代理人・引越し・オフィスレイアウトの実務目線で解説します。

最終更新:2026-07-26/監修:計算ツールズ編集部

耐荷重 計算機

計算式と単位(N・kgf・Pa)

耐荷重(kg) = 許容応力(kg/m²) × 面積(m²) ÷ 安全率

1 N ≒ 0.102 kgf(1 kgf ≒ 9.8 N)

1 kgf/m² ≒ 9.8 Pa(パスカル)

建築基準法・構造計算ではN/m²(ニュートン毎平方メートル)で表記されますが、現場感覚ではkg/m²が使われます。1,800N/m²は約183kg/m²、2,900N/m²は約296kg/m²です。国際単位系(SI)ではPa(=N/m²)が正式単位で、1,800N/m²=1.8kPaと表記されるケースもあります。安全率は一般家具1.5、業務用2.0、集中荷重2.5〜3.0が実務上の目安です。

建築基準法施行令85条の活荷重

建物の設計・確認申請では、用途別に定められた活荷重(人・家具・機器などの積載荷重)を前提に構造計算を行います。85条では床・梁柱基礎・地震力算定の3種類の荷重が用途別に規定されています。

  • 床の計算用:局所的な最大荷重を想定した最大値。家具・機器設置判定のベース。
  • 大梁・柱・基礎の計算用:面積が広くなるほど同時に最大荷重となる確率が低下するため、床用より小さめの平均荷重。
  • 地震力算定用:地震時の慣性力計算に用いる恒常荷重相当の値。さらに小さめ。

実際の設置可否は「床の計算用」の値を基準に、集中荷重を分散させたときの単位面積あたり荷重が下回るかで判定します。

用途別 標準活荷重早見表(建築基準法施行令85条)

用途床用大梁・柱・基礎用地震力算定用kg/m²換算(床)
住宅・寝室1,800 N/m²1,300 N/m²600 N/m²約183 kg/m²
事務室2,900 N/m²1,800 N/m²800 N/m²約296 kg/m²
教室2,300 N/m²2,100 N/m²1,100 N/m²約235 kg/m²
百貨店・店舗(売場)2,900 N/m²2,400 N/m²1,300 N/m²約296 kg/m²
百貨店・店舗(陳列棚)4,900 N/m²3,900 N/m²1,800 N/m²約500 kg/m²
劇場・映画館(固定席)2,900 N/m²2,600 N/m²1,600 N/m²約296 kg/m²
劇場・映画館(その他)3,500 N/m²3,200 N/m²2,100 N/m²約357 kg/m²
倉庫(一般)3,900 N/m²以上3,900 N/m²以上2,000 N/m²以上約398 kg/m²
自動車車庫5,400 N/m²3,900 N/m²2,000 N/m²約551 kg/m²
廊下・玄関・階段(住宅以外)3,500 N/m²3,200 N/m²2,100 N/m²約357 kg/m²
屋上広場・バルコニー床の用途に応じる床用の80%以上床用の40%以上

※実際の建築物には設計時の余裕率、経年劣化、コンクリート強度などが影響します。標準値ぎりぎりでの設計は避け、余裕を持った運用が推奨されます。

代表的な家具・機器の重量

物品重量設置面積単位面積荷重目安
アップライトピアノ200〜250 kg約0.6 m²約350〜400 kg/m²
グランドピアノ300〜500 kg約2 m²約150〜250 kg/m²
大型冷蔵庫90〜120 kg約0.5 m²約200 kg/m²
電子レンジ15〜25 kg約0.2 m²
ドラム式洗濯機80〜100 kg(給水時+15L)約0.4 m²約240 kg/m²
大型書架(6段・満載)300〜500 kg約0.4 m²約1,000 kg/m²
金庫(家庭用小型)50〜80 kg約0.1 m²約600 kg/m²
金庫(業務用中型)150〜300 kg約0.25 m²約900 kg/m²
サーバーラック(42U満載)500〜1,000 kg約0.6 m²約1,000〜1,700 kg/m²
60cm水槽(水+砂)約80 kg約0.2 m²約400 kg/m²
90cm水槽約200 kg約0.4 m²約500 kg/m²
120cm水槽約320 kg約0.6 m²約530 kg/m²
大型テレビ(65型+スタンド)30〜50 kg約0.4 m²
トレーニング用ベンチ+人+ダンベル150〜250 kg約1.5 m²約100〜170 kg/m²
フィットネスバイク・ランナー50〜100 kg約1 m²

棚・ラックの耐荷重規格

種類1棚あたり耐荷重用途
カラーボックス(家庭用)5〜10 kg本・小物
木製本棚(一般)15〜25 kg書籍・雑誌
スチールラック(軽量)50 kg家庭・小規模事務所
スチールラック(中量)150〜300 kg倉庫・工場
スチールラック(重量)500〜1,000 kg物流・製造現場
JIS書架(S型 A5判6段)1段40 kg程度図書館・書庫
移動書架(電動)設計仕様・床応力要検討大学図書館・公文書館
パレットラック1段500〜3,000 kg物流倉庫(フォーク荷役)

実務では棚の耐荷重より床の耐荷重が先にネックになるケースが多いです。特に書架・パレットラック・サーバーラックは満載時に1,000kg/m²を超えることがあり、住宅・事務室基準の床では構造補強が必須になります。

段ボール強度早見表

種類圧縮強度推奨用途
A段(厚み5mm)約30 kgみかん箱・家電外箱
B段(厚み3mm)約15 kgピザ箱・軽量商品
C段(厚み4mm)約25 kgネット通販・書籍
E段(厚み1.5mm)約8 kg化粧箱・小物
W段(両面ダブル)約60 kg引越し・冷凍食品
強化段ボール(トライウォール)200 kg以上機械梱包・輸出

引越し時の底抜けは詰めすぎ・湿気吸収・積み重ね数超過が主因。書籍は1箱15kg以下に留め、水濡れ環境では50%程度に減量が安全です。JIS Z 1516/Z 1506に段ボールの試験規格が定められています。

集中荷重と分散の考え方

床の耐荷重は分布荷重(kg/m²)で規定されますが、家具や機器は脚・キャスターなど点で床に接触します。この場合、接触面積での単位応力が床の許容応力を大きく超えることがあります。

1点あたり荷重(kg/m²) = 総重量 ÷ 接触面積合計

対策:荷重分散板

  • 合板(12mm以上):ピアノ・大型家具の下に敷き、面荷重に変換。
  • コンクリート板・鋼板:金庫・工場機械の下に敷設。
  • アジャスター増設:キャスター家具は静置時にアジャスターで4〜8点支持化。
  • 幅広ベース:サーバーラックはベースプレート付き製品を選択。

グランドピアノ(脚3点)は1点150kg集中でも合板敷きで面荷重150kg/m²に変換可能です。設置面積の実効値を意識するのが構造安全上の要諦です。

木造・RC・鉄骨による違い

木造在来工法

床合板12〜24mm+根太+大引の構造。標準活荷重は法定通りだが、施工品質・築年数で大きなばらつき。集中荷重には最も弱く、リフォームで根太補強がある区画とない区画で耐荷重が3倍以上変わることも。

木造2×4(枠組壁工法)

床合板15〜28mm+トラス構造。面剛性は在来より高い一方、リフォーム変更が困難。ピアノ・サーバー等の重量物設置は建築時の想定範囲内が原則。

RC造(鉄筋コンクリート)

床スラブ150〜200mm。マンション床は住宅法定値183kg/m²だが実耐力は500〜800kg/m²程度あるケースが多い(設計余裕)。長期荷重ならピアノ・水槽も概ね対応可能だが、管理組合規約で重量物設置制限がある物件も。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)

高層マンション・オフィスビルの主流。RC造より曲げ剛性が高く、重量物設置の許容度が広い。ただし梁の位置・スラブ厚は物件で異なり、平面図での確認が必須。

鉄骨造(S造)

デッキプレート+コンクリートで床構成。工場・倉庫用途では床活荷重が1,000kg/m²以上に設計されている場合が多く、重機・パレットラック運用が可能。オフィス転用時は既存図面での確認を。

ALC床・ボイドスラブ

軽量化のため中空部を持つ構造。局所集中荷重が苦手で、点荷重が集中する家具・機械は分散板が必須。図面確認と管理会社の合意が事故防止の要。

設置判定ケーススタディ

住宅にアップライトピアノ

200kg÷0.6m²=333kg/m²で住宅法定値183kg/m²の1.8倍。合板1.2m×1.2m(1.44m²)を敷けば約139kg/m²に低下し許容内。梁位置に沿った配置がさらに安全。

マンションに120cm水槽

320kg÷0.6m²=533kg/m²。RC造なら実耐力範囲内だが、長期荷重として床のたわみが徐々に進行するリスクあり。管理組合規約と保険約款を確認、大型合板+専用架台での分散配置が推奨。

オフィスにサーバーラック

42U満載800kg÷0.6m²=1,333kg/m²で事務室法定値296kg/m²の4.5倍。床補強・アジャスター増設・専用サーバールーム化のいずれかが必須。データセンター床(一般に700〜1,500kg/m²設計)への移設も検討。

マンションにホームジム

ベンチ+バーベル150kgをスクワットラック(1m²)に設置=150kg/m²で住宅基準内。ただし落下衝撃は静荷重の3〜5倍相当のため、10mm厚ジムマット+合板の二重敷きが騒音・床衝撃対策として実務標準。

倉庫にパレットラック

1段1,000kg×3段=3,000kgをフットプリント1.2m×0.8m(0.96m²)に集中=3,125kg/m²。倉庫用途床は3,900N/m²(約398kg/m²)が最低基準のため、ラック自体はベースプレート+アンカー固定、床は倉庫仕様確認が前提。

引越しでの段ボール積み重ね

W段(60kg強度)でも積み重ね3段以上は湿気で強度低下。書籍箱は1箱15kg・積み重ね2段まで。冷蔵庫・洗濯機の上に段ボールを積むのは重量物の重心移動リスクがあり避けるのが安全です。

よくある間違い・注意点

  • 単位混同(N⇔kg):1,800N/m²を1,800kg/m²と誤読すると許容荷重を10倍過大評価。1N=約0.102kgfを常に意識。
  • 集中荷重を分布荷重で判定:ピアノ・金庫・水槽は点荷重が支配的。分布荷重ベースで「OK」と判断しても実際は床を痛めます。
  • 安全率無視の限界設計:法定値ぎりぎりで設計すると経年劣化・地震・積み込み変動でオーバーロード。安全率1.5〜2.0を必ず確保。
  • 短期・長期荷重の混同:水槽・書架は24時間365日の長期荷重で床がクリープ変形。短時間の重量物と扱いが別物です。
  • 棚の耐荷重=床の耐荷重と誤認:ラック仕様で500kg耐荷重でも床が耐えなければ意味なし。両方確認が必須。
  • マンション規約無視:分譲・賃貸ともに管理規約で重量物・防音配慮の制限あり。事故時の保険適用にも影響します。
  • 階段・バルコニーの活荷重を床と同一視:階段・バルコニーは避難荷重を考慮した独自基準あり。物置代わりに使うのは危険。

関連する規格・法令

  • 建築基準法施行令 第85条 ― 積載荷重の規定。用途別の床・梁柱基礎・地震力算定用の標準値。
  • 建築基準法 第20条 ― 構造耐力の規定。設計時の構造計算の根拠。
  • JIS A 1414 ― 建築構成材の性能試験方法。床の載荷試験を含む。
  • JIS S 1039 ― オフィス用収納家具(キャビネット・書庫)の性能規格。
  • JIS Z 1516 ― 段ボール(両面段ボール)の規格。厚み・種類。
  • JIS Z 1506 ― 段ボール箱の性能規格。圧縮試験。
  • JIS B 8961 ― 業務用ラック(棚)の性能規格。
  • 労働安全衛生規則 第529条〜 ― 荷役作業・重量物取扱いの安全基準。
  • 消防法(防火対象物) ― 倉庫・書庫・サーバー室の指定可燃物・不燃区画等。
  • データセンター施設基準(JDCC) ― 情報通信設備の床耐力ガイドライン。

参考文献・公的資料

※本ページの計算結果は建築基準法の一般標準値に基づく概算です。実際の建物は構造・築年数・施工品質・経年劣化により耐力が変わります。ピアノ・金庫・大型水槽・サーバーラック・トレーニング機材など重量物の設置、床のリフォームや補強を検討する場合は、建築士・構造設計一級建築士・管理組合・施工元会社にご相談ください。マンション・賃貸物件では管理規約と使用細則もあわせてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

住宅床にピアノ(200kg)を置けますか?

住宅床の法定活荷重は183kg/m²。アップライトピアノ(設置面積約0.6m²)は333kg/m²で単純比較すると床基準の1.8倍。ただし合板1.2m×1.2m(1.44m²)を敷いて分散すれば約139kg/m²に落ち許容範囲内。梁上配置+防音マット+合板の三重対策が定石です。RC造マンションは実耐力に余裕があるケースが多いですが、管理組合規約もご確認を。

マンションにジムを置きたい場合は?

業務用ジム床の設計値は500kg/m²以上。住宅床(183kg/m²)ではフリーウェイト(バーベル200kg超)は要注意。10mm厚ジムマット+12mm合板で分散、落下衝撃の考慮、集合住宅では防音マット併用が必須。ベンチ+ダンベル100kg程度なら問題なし。管理組合と保険約款の確認も忘れずに。

段ボールの耐荷重は?

種類と面積で決まります。A段(みかん箱型)約30kg、W段(両面ダブル)約60kg、B段15kg、E段(薄型)8kg。詰めすぎ・湿気・積み重ね数超過が底抜けの3大原因。書籍箱は1箱15kgに留め、水濡れ環境では50%減量。長期保管では湿気で強度が20〜40%低下します。

N/m²とkg/m²はどう換算する?

1 N ≒ 0.102 kgf(1kgf = 9.8N)。1,800N/m² ≒ 183kg/m²、2,900N/m² ≒ 296kg/m²、3,900N/m² ≒ 398kg/m²。建築基準法・構造計算書はN/m²、家具・機器カタログはkg/m²表記が多いため、換算式を暗記しておくと便利です。

60cm水槽(80kg)は普通の家に置ける?

設置面積0.2m²で400kg/m²。住宅基準183kg/m²を超えます。専用架台(脚4点+アジャスター)+幅広ベース、可能なら合板を敷いて分散し、壁際・梁上に設置。90cm水槽以上は本格的な補強が必須で、120cm超は基本的にRC造マンション以外は難しいと考えるべきです。

集中荷重と分布荷重の違いは?

分布荷重は単位面積あたり均一の重さ(kg/m²)で、床の法定値はこれ。集中荷重は脚・キャスター等の点で床に接触する荷重で、実際の物品はほぼこの形式です。集中荷重を合板・鋼板で受けて分布荷重に変換するのが「荷重分散」の基本思想です。

棚のカタログ耐荷重=設置可能な重量?

棚の耐荷重はその棚の構造が支えられる重量で、床の耐荷重とは別物。図書館の書架満載時は1,000kg/m²を超えることが普通で、住宅床では床が先に負けます。両方の耐荷重を計算する必要があります。

短期荷重と長期荷重の違いは?

数秒〜数分の短期荷重(人が乗る・重量物一時置き)と、常時かかる長期荷重(水槽・書架)では床の反応が異なります。長期荷重はコンクリートのクリープ変形(時間経過での撓み進行)を招き、木造では乾燥収縮と組み合わさって沈下の原因に。設計時は短期<長期の順に厳しく評価します。

キャスター家具は床を傷めやすい?

4輪キャスターの接触面積は合計4cm²程度で、椅子60kg+人60kg=120kgが3万kg/m²の集中応力に。傷・凹みの原因になるためチェアマット・カーペット・アジャスター切替を推奨します。フローリング直置きは寿命を大幅に縮めます。

倉庫用パレットラックを事務所に置けますか?

物流倉庫床は3,900〜9,800N/m²設計に対し、事務室は2,900N/m²。1段500kg以上のラックは事務室床では過荷重で不可。図面確認+構造設計者への相談+床補強か、専用倉庫への移設が現実解です。

マンションのバルコニーに植木・水槽を置ける?

バルコニーは避難経路・防水層保護のため、重量物設置は管理規約で制限されることが多い区画。屋上広場・バルコニーの活荷重は床基準の80%以上とされ、常時荷重ではなく短期・移動可能な範囲での運用が原則です。

床のリフォームで耐荷重は上げられる?

木造は根太増設・大引補強・合板厚増しで実耐力を1.5〜2倍化可能。RC造はスラブ増打ちや鉄骨架構補強で対応。ただし建築確認申請・構造計算・管理組合協議が必要で、費用は数十万〜数百万円。重量物1点のためにリフォームより、設置場所の見直しが優先です。