計算ツール
配管流体給排水

流速・流量 計算ツール|配管の内径と流量から流速を、流速から流量を求める

流速 v=Q÷A、流量 Q=v×A。配管25A(内径27.6mm)に100 L/minを流すと流速は2.79 m/s、50A(内径52.9mm)なら0.76 m/s、15A(内径16.1mm)では8.19 m/sになります。配管の流量(L/min)・流速(m/s)・内径(mm)の3要素のうち2つを入れると残り1つが出ます。下に呼び径×流速→流量/呼び径×流量→流速の両方向の早見表を置いてあるので、入力せずに読むだけでも確認できます。断面積は内径から π×内径²÷4 で求めます(呼び径や外径ではありません)。あわせて、給水0.9〜2.5m/s・排水の自浄作用0.6m/s以上といった用途別の推奨流速の目安、JIS G 3452の呼び径と内径の対応、L/min・m³/h・L/sの単位換算も載せています。

最終更新:2026年8月20日/監修:計算ツールズ編集部

配管流量・流速 計算機

計算式と流体力学の基礎

流量 Q = 流速 v × 断面積 A(連続の式)
断面積 A = π × (内径/2)² = π × 内径² ÷ 4
流量 L/min = 流速 m/s × 断面積 m² × 60 × 1,000
流量 m³/h = 流量 L/min × 60 ÷ 1,000

流体力学の基本原理「連続の式(continuity equation)」に基づく計算式。配管内では非圧縮性流体(水など)の場合、流量Qは配管の断面積Aと平均流速vの積で表されます。実際の配管ではレイノルズ数(Re=ρvD/μ)が2,300以下で層流、4,000以上で乱流となり、乱流域では圧力損失が急増します。給排水配管では通常乱流域で運用されるため、ダルシー・ワイスバッハの式で圧力損失を計算し、ポンプ揚程・配管サイズを決定するのが標準的な設計手法です。

配管サイズの規格対応表(JIS G 3452 のSGP鋼管)

日本の配管サイズは呼び径A(mm系)とインチ表記のB呼称が併用されます。断面積の計算に使うのは外径ではなく内径で、内径は「外径 − 厚さ×2」です。

呼び径A呼び径B外径(mm)厚さ(mm)内径(mm)断面積(mm²)
15A1/2B21.72.816.1204
20A3/4B27.22.821.6366
25A1B34.03.227.6598
32A1-1/4B42.73.535.71,001
40A1-1/2B48.63.541.61,359
50A2B60.53.852.92,198
65A2-1/2B76.34.267.93,621
80A3B89.14.280.75,115
100A4B114.34.5105.38,709
125A5B139.84.5130.813,437
150A6B165.25.0155.218,918
200A8B216.35.8204.732,910

出典:JIS G 3452:2019「配管用炭素鋼鋼管」表4。断面積は π×内径²÷4 で計算した値です。ステンレス管・塩ビ管VP/VU・銅管の寸法は配管呼び径の早見表にまとめています(同じ呼び径でも管種によって外径・内径が違うため、流量計算は必ず使う管種の内径で行ってください)。

配管サイズ×流速から流量を引く早見表

入力せずにそのまま読める表です。値は Q=v×A(流量=流速×断面積)を、上のJIS内径で計算したもの。単位はL/minです。

呼び径内径
(mm)
0.5 m/s1.0 m/s1.5 m/s2.0 m/s2.5 m/s3.0 m/s1.5m/s時
(m³/h)
用途目安
15A (1/2B)16.1612182431371.1洗面台・手洗器
20A (3/4B)21.61122334455662.0キッチン・洗濯機
25A (1B)27.618365472901083.2浴室・住宅主管
32A (1-1/4B)35.73060901201501805.4共同住宅主管
40A (1-1/2B)41.641821221632042457.3小規模建物主管
50A (2B)52.96613219826433039611.9建物本管・ポンプ吸込
65A (2-1/2B)67.910921732643554365219.6中規模建物本管
80A (3B)80.715330746061476792127.6大規模建物本管
100A (4B)105.32615237841,0451,3061,56847.0公共施設・工場本管
125A (5B)130.84038061,2091,6122,0162,41972.6大規模設備
150A (6B)155.25681,1351,7032,2702,8383,405102.2大型施設・水道本管
200A (8B)204.79871,9752,9623,9494,9365,924177.7本管

配管サイズ×流量から流速を引く早見表

逆向きの表です。「この配管にこの流量を流したら、流速は何m/sになるか」を1行で確認できます。赤字は3.0m/sを超える値で、実務上は配管を太くする判断になる領域です。

呼び径内径
(mm)
10
L/min
20
L/min
50
L/min
100
L/min
200
L/min
500
L/min
1,000
L/min
2,000
L/min
15A (1/2B)16.10.821.644.098.1916.3740.9381.87
20A (3/4B)21.60.450.912.274.559.1022.7445.4890.97
25A (1B)27.60.280.561.392.795.5713.9327.8655.71
32A (1-1/4B)35.70.170.330.831.673.338.3316.6533.30
40A (1-1/2B)41.60.120.250.611.232.456.1312.2624.52
50A (2B)52.90.080.150.380.761.523.797.5815.17
65A (2-1/2B)67.90.050.090.230.460.922.304.609.21
80A (3B)80.70.030.070.160.330.651.633.266.52
100A (4B)105.30.020.040.100.190.380.961.913.83
125A (5B)130.80.010.020.060.120.250.621.242.48
150A (6B)155.20.010.020.040.090.180.440.881.76
200A (8B)204.70.010.010.030.050.100.250.511.01

「—」は流速が100m/sを超え、その配管でその流量を流すことが現実的でない組み合わせです。

流量の単位換算

カタログはm³/h、現場はL/min、計算書はL/sと単位がばらつきます。1 L/min = 0.06 m³/h = 0.001 m³/min = 0.016667 L/s。水(密度1.0)ならm³/hの数値はそのままt/hになります。

L/minm³/hm³/minL/s
10.060.0010.0167
50.30.0050.0833
100.60.010.1667
201.20.020.3333
301.80.030.5
5030.050.8333
10060.11.6667
200120.23.3333
500300.58.3333
1,00060116.6667
2,000120233.3333

よくあるトラブルと診断

ウォーターハンマー(水撃)

流速が2.5m/s超で発生。急な弁閉鎖時に「ガーン」という衝撃音・振動。流速低下・水撃防止器設置・電磁弁のスロークローズ化で対策。

キャビテーション

ポンプ吸込配管で流速過大→圧力が飽和蒸気圧以下→気泡発生・破壊。吸込配管は太めに・NPSH(有効吸込ヘッド)を十分確保。

エロージョン・コロージョン

銅管で流速1.5m/s超、鋼管で3m/s超で内壁が侵食される。銅管の給湯配管は要注意。長期使用でピンホール発生・漏水。

圧力損失過大

細い配管に大流量を流すと圧損が二次関数的に増加。配管サイズをワンランク上げる・ループ化・分岐追加で対策。

排水詰まり

流速0.6m/s以下で自浄作用が失われ、油脂・毛髪・固形物が堆積。勾配1/50以上確保(横引き100mm以下)で流速維持。

騒音問題

流速2m/s以上で流水音が耳障りに。壁内配管では2m/s以下推奨、寝室近くの配管は1.5m/s以下に。防音材・防振ゴムで緩和。

シーン別の使い方

住宅の給水設計

使用箇所ごとに必要流量を集計→同時使用率を掛けて主管流量算出→配管サイズ決定。住宅主管は25A(内径28mm)前後が標準。

マンション給水設計

戸数×1戸あたり2〜3L/min×同時使用率50〜70%で計算。10戸マンションなら15〜20L/min=40A(1-1/2)が標準。

ポンプ選定

必要流量から吸込・吐出配管サイズ決定→圧力損失計算→揚程計算→ポンプ選定。吸込側は流速1.5m/s以下推奨(キャビテーション対策)。

空調水配管設計

冷房負荷から冷却水量算出→ヘッダ・分岐主管サイズ決定→末端配管サイズ調整。冷水は流速1.5〜3.0m/s推奨。

ガス配管サイズ選定

ガス機器総ガス消費量→同時使用率→必要ガス流量→サイズ選定。20号給湯器は約5m³/h必要、25A配管で対応可能。

既設配管の診断

使用量が増えて水圧低下、水量不足を感じたら流速チェック。3m/s超なら配管増径・ループ化検討。改修コストと便益の比較を。

よくある勘違い

1. 外径と内径を混同

配管サイズ「50A」の外径は60.5mmだが、内径は約53mm(SGP)・53.1mm(SUS)と種類で異なる。断面積計算は必ず内径で行うこと。外径で計算すると流量が2割過大に。

2. 流速を上げれば流量が増えると誤解

流速上限は2.5〜3.0m/sが実務基準。それ以上は圧損急増・エロージョン・ウォーターハンマーで実用不可。流量を増やすには配管を太くするのが正しい対策。

3. 呼び径がそのまま内径だと誤解

「50A」は呼び径であり、実内径は約53mm。「50Aは内径50mm」ではない。SI移行前の名残で正確な数値ではないため、計算時は必ずJIS表で内径確認。

4. 給水と排水を同じ配管サイズで設計

給水は圧力送り(流速1.5m/s目安)、排水は自然流下(流速0.6m/s以上必要)。排水は勾配・自浄作用も考慮し、給水配管より1〜2サイズ大きく取る。

5. 圧力損失を考慮しない

細い配管に大流量を流すと圧損が二次関数で増加。給水では末端で必要水圧(一般水栓30kPa)確保が必須。配管長40mでも圧損は無視できないため、揚程計算・ポンプ選定に必ず含める。

6. 空調水を給水と同じ流速で設計

空調水は循環系のため、流速1.5〜3.0m/sと給水(0.9〜2.5m/s)より高め設計可能。ただし流速3.5m/s超は騒音・エロージョンリスクあり、機械室内でも上限意識。

7. インチ表記とA表記の混同

「1インチ」=「25A」だが、「50mm」ではない。1インチ=約25.4mm・呼び径25A。海外機器と国内機器の接続時は必ずJIS-ANSIの規格対応表で確認。

参考リンク・公的資料

本ツールは非圧縮性流体(水など)の一般的な連続の式に基づく概算計算です。実際の配管設計では、粘性の影響(レイノルズ数・層流/乱流)、配管素材・粗さ、継手・バルブによる局所損失、温度・圧力変化、パイプの膨張収縮、埋設・露出条件などを総合考慮する必要があります。特に給排水・ガス・消防・危険物配管は法規制(水道法・ガス事業法・消防法・建築基準法)が適用されるため、建築設備士・給水装置工事主任技術者・排水設備工事責任技術者・液化石油ガス設備士等の有資格者による設計・施工が必要です。実際の設計は必ず有資格者にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

流速の計算式を教えてください

流速 v = 流量 Q ÷ 断面積 Aです。単位をそろえるところだけ注意してください。内径d(mm)と流量Q(L/min)から求めるなら v(m/s)= Q ÷ (π × d² ÷ 4 × 10⁻⁶ × 60,000)。 たとえば25A(内径27.6mm)に100 L/minなら、断面積は598mm²=0.000598m²、1分あたり0.1m³なので毎秒0.001667m³、 0.001667 ÷ 0.000598 = 2.79 m/sになります。断面積は外径でも呼び径でもなく内径から計算します。

流量から必要な配管サイズを決めるには?

目標流速を決めて、その流速で必要流量が流れる最小の呼び径を選びます。給水なら1.5m/s前後を目安にすると、 15Aで18 L/min、20Aで33 L/min、25Aで54 L/min、40Aで122 L/min、50Aで198 L/minが上限の目安になります。 呼び径×流速の早見表から必要流量を超える最初の行を選ぶのが手早い方法です。

L/minとm³/hはどう換算しますか?

1 L/min = 0.06 m³/h、逆に1 m³/h = 16.67 L/minです。L/sなら1 L/min=0.016667 L/s。 ポンプや熱源機のカタログはm³/h、現場の水量測定はL/minで表されることが多いため、比較の前に必ずそろえてください。

流速が速すぎるとどうなる?

配管摩擦による圧力損失増加、ウォーターハンマー(水撃)、騒音、配管内面の侵食(エロージョン)が発生。給水で2.5m/s超は要注意、3m/s超は原則NG。銅管の給湯配管では1.5m/s超で腐食進行が早まる。

排水配管の最低流速は?

0.6m/s以上を確保(自浄作用で固形物が滞留しない)。それ以下だと汚水・髪の毛・油脂が堆積して詰まりの原因に。横引き排水は勾配1/50以上で自然流下時の流速確保。

SI単位とインチ呼び径の対応は?

15A(1/2インチ)=15mm、20A(3/4)=20mm、25A(1)=25mm、32A(1-1/4)=32mm、40A(1-1/2)=40mm、50A(2)=50mm。SI記号と従来Aは厳密には径が異なるので機器選定時は要注意(Aは呼び径、実内径は別)。

住宅の給水配管サイズは?

住宅の主管は25A(内径28mm)が標準。キッチン・浴室は20A、洗面台・トイレは15A。マンションの共用給水管は40〜50A、大規模施設は80〜150A。同時使用戸数で決定。

ポンプの選定方法

1. 必要流量算出、2. 配管サイズ決定、3. 圧力損失計算、4. 揚程算出、5. ポンプ選定。吸込側は流速1.5m/s以下推奨(キャビテーション予防)、NPSHもチェック。

ウォーターハンマー対策

1. 流速を下げる(配管増径)、2. 水撃防止器設置、3. 電磁弁のスロークローズ化、4. 空気溜め設置、5. 配管固定強化。全自動洗濯機の給水口によくつけられている。

空調水配管の設計流速

冷温水配管は1.5〜3.0m/s推奨。給水よりも流速許容範囲が広いが、機械室内は3.5m/s上限、居室近くは2m/s以下で騒音対策。冷却塔補給水は2〜2.5m/sが標準。

ガス配管のサイズ選定

ガス消費量→同時使用率→必要流量→サイズ選定。20号給湯器(約5m³/h)+コンロ(約1m³/h)で25A配管が標準。都市ガス用と液化石油ガス用で圧力条件が異なるため注意。

圧力損失の計算

ダルシー・ワイスバッハの式:h=f×(L/D)×(v²/2g)。摩擦係数f・配管長L・内径D・流速vで決まる。実務では圧損表・Moody線図・専用計算ソフトを使用。

SGP鋼管とSUS鋼管の違い

SGP=白ガス管(一般配管用炭素鋼管・JIS G 3452)、SUS=ステンレス鋼管(JIS G 3448)。SUSは腐食に強く給湯配管に最適、SGPは安価で一般給水・給排気に使用。内径が微妙に違うため設計時は要確認。

スプリンクラー配管の流速

消防法により2.4〜4.5m/sが推奨。5m/s上限。ヘッドから出る水量から逆算して配管サイズを決定。放水圧力0.1MPa以上確保で消火性能担保。

配管トラブル時の相談先

1. 水道局(給水関係)、2. ガス会社(ガス配管)、3. 建築設備士、4. 給水装置工事事業者、5. 排水設備工事責任技術者、6. 消防設備士(スプリンクラー)に相談。