配管 流量・流速 計算ツール|内径×流速で流量を即時算出
配管の流量(L/min)・流速(m/s)・内径(mm)の3要素から、残り2つを自動計算。給水・排水・空調・ガス配管の設計やトラブル診断に必須の完全無料ツール。流体力学の基本原理「Q=A×v」(流量=断面積×流速)に基づき、公益社団法人空気調和・衛生工学会(SHASE)のSHASE-S 206「給排水衛生設備規準・同解説」および国土交通省「機械設備工事共通仕様書」で規定される標準流速に基づく設計判定を実装。給水配管の推奨流速0.9〜2.5m/s、排水の自浄作用最低0.6m/s、ウォーターハンマー・エロージョン発生の限界流速2.5m/sを網羅し、SI単位A(15A・20A・25A・32A・50A)とインチ呼び径(1/2・3/4・1・1-1/4・2)の対応表を提供。給水設計・空調設計・配管改修・トラブル診断まで対応します。
配管流量・流速 計算機
計算式と流体力学の基礎
流量 Q = 流速 v × 断面積 A(連続の式)
断面積 A = π × (内径/2)² = π × 内径² ÷ 4
流量 L/min = 流速 m/s × 断面積 m² × 60 × 1,000
流量 m³/h = 流量 L/min × 60 ÷ 1,000
流体力学の基本原理「連続の式(continuity equation)」に基づく計算式。配管内では非圧縮性流体(水など)の場合、流量Qは配管の断面積Aと平均流速vの積で表されます。実際の配管ではレイノルズ数(Re=ρvD/μ)が2,300以下で層流、4,000以上で乱流となり、乱流域では圧力損失が急増します。給排水配管では通常乱流域で運用されるため、ダルシー・ワイスバッハの式で圧力損失を計算し、ポンプ揚程・配管サイズを決定するのが標準的な設計手法です。
用途別の推奨流速
公益社団法人 空気調和・衛生工学会(SHASE)のSHASE-S 206「給排水衛生設備規準」および国土交通省「機械設備工事共通仕様書」に基づく推奨流速。
| 用途 | 推奨流速 | 最大許容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 給水配管(住宅) | 0.9〜1.2 m/s | 2.0 m/s | ウォーターハンマー予防 |
| 給水配管(建物) | 1.5〜2.5 m/s | 3.0 m/s | 圧力損失とバランス |
| 給湯配管(銅管) | 1.2〜1.8 m/s | 2.0 m/s | 侵食対策 |
| 排水配管(自然流下) | 0.6〜1.5 m/s | 2.4 m/s | 自浄作用と摩耗のバランス |
| 排水配管(横引き主管) | 0.6〜1.2 m/s | 1.5 m/s | 自浄式最低ライン |
| 空調冷温水(往還) | 1.5〜3.0 m/s | 3.5 m/s | 圧力損失との調整 |
| 空調冷却塔補給水 | 1.5〜2.5 m/s | 3.0 m/s | — |
| 蒸気配管(低圧・0.1MPa) | 15〜30 m/s | 40 m/s | 音速の1/10以下 |
| 蒸気配管(高圧・0.5MPa) | 30〜60 m/s | 80 m/s | — |
| ガス配管(都市ガス) | 0.5〜2.0 m/s | 3.0 m/s | ガス機器の要求圧力 |
| ガス配管(プロパン) | 0.5〜1.5 m/s | 2.0 m/s | — |
| スプリンクラー | 2.4〜4.5 m/s | 5.0 m/s | 消防法規定 |
配管サイズの規格対応表
日本の配管サイズはSI単位「A」(呼び径)とインチ表記の両方が使われます。両者の対応と実際の外径・内径。
| 呼び径(A) | インチ | 外径(mm) | SGP内径(mm) | SUS内径(mm) |
|---|---|---|---|---|
| 15A | 1/2 | 21.7 | 16.1 | 15.7 |
| 20A | 3/4 | 27.2 | 21.6 | 21.4 |
| 25A | 1 | 34.0 | 27.6 | 27.6 |
| 32A | 1-1/4 | 42.7 | 35.7 | 35.9 |
| 40A | 1-1/2 | 48.6 | 41.6 | 41.8 |
| 50A | 2 | 60.5 | 52.9 | 53.1 |
| 65A | 2-1/2 | 76.3 | 67.9 | 69.5 |
| 80A | 3 | 89.1 | 80.7 | 82.3 |
| 100A | 4 | 114.3 | 105.3 | 107.1 |
| 125A | 5 | 139.8 | 130.8 | 131.8 |
| 150A | 6 | 165.2 | 155.2 | 157.2 |
| 200A | 8 | 216.3 | 204.7 | 204.5 |
SGP=白ガス管(JIS G 3452)、SUS=ステンレス鋼管(JIS G 3448)
配管サイズ×流量の早見表(流速1.5m/s基準)
| 呼び径 | 内径 | 流量(L/min) | 流量(m³/h) | 用途目安 |
|---|---|---|---|---|
| 15A(1/2) | 16mm | 18 | 1.1 | 洗面台・手洗器 |
| 20A(3/4) | 22mm | 34 | 2.1 | キッチン・洗濯機 |
| 25A(1) | 28mm | 55 | 3.3 | 浴室・住宅主管 |
| 32A(1-1/4) | 36mm | 92 | 5.5 | 共同住宅主管 |
| 40A(1-1/2) | 42mm | 125 | 7.5 | 小規模建物主管 |
| 50A(2) | 53mm | 199 | 11.9 | 建物本管・ポンプ吸込 |
| 65A(2-1/2) | 68mm | 327 | 19.6 | 中規模建物本管 |
| 80A(3) | 81mm | 464 | 27.8 | 大規模建物本管 |
| 100A(4) | 105mm | 779 | 46.7 | 公共施設・工場本管 |
| 150A(6) | 155mm | 1,699 | 101.9 | 大型施設・水道本管 |
よくあるトラブルと診断
ウォーターハンマー(水撃)
流速が2.5m/s超で発生。急な弁閉鎖時に「ガーン」という衝撃音・振動。流速低下・水撃防止器設置・電磁弁のスロークローズ化で対策。
キャビテーション
ポンプ吸込配管で流速過大→圧力が飽和蒸気圧以下→気泡発生・破壊。吸込配管は太めに・NPSH(有効吸込ヘッド)を十分確保。
エロージョン・コロージョン
銅管で流速1.5m/s超、鋼管で3m/s超で内壁が侵食される。銅管の給湯配管は要注意。長期使用でピンホール発生・漏水。
圧力損失過大
細い配管に大流量を流すと圧損が二次関数的に増加。配管サイズをワンランク上げる・ループ化・分岐追加で対策。
排水詰まり
流速0.6m/s以下で自浄作用が失われ、油脂・毛髪・固形物が堆積。勾配1/50以上確保(横引き100mm以下)で流速維持。
騒音問題
流速2m/s以上で流水音が耳障りに。壁内配管では2m/s以下推奨、寝室近くの配管は1.5m/s以下に。防音材・防振ゴムで緩和。
シーン別の使い方
住宅の給水設計
使用箇所ごとに必要流量を集計→同時使用率を掛けて主管流量算出→配管サイズ決定。住宅主管は25A(内径28mm)前後が標準。
マンション給水設計
戸数×1戸あたり2〜3L/min×同時使用率50〜70%で計算。10戸マンションなら15〜20L/min=40A(1-1/2)が標準。
ポンプ選定
必要流量から吸込・吐出配管サイズ決定→圧力損失計算→揚程計算→ポンプ選定。吸込側は流速1.5m/s以下推奨(キャビテーション対策)。
空調水配管設計
冷房負荷から冷却水量算出→ヘッダ・分岐主管サイズ決定→末端配管サイズ調整。冷水は流速1.5〜3.0m/s推奨。
ガス配管サイズ選定
ガス機器総ガス消費量→同時使用率→必要ガス流量→サイズ選定。20号給湯器は約5m³/h必要、25A配管で対応可能。
既設配管の診断
使用量が増えて水圧低下、水量不足を感じたら流速チェック。3m/s超なら配管増径・ループ化検討。改修コストと便益の比較を。
よくある勘違い
1. 外径と内径を混同
配管サイズ「50A」の外径は60.5mmだが、内径は約53mm(SGP)・53.1mm(SUS)と種類で異なる。断面積計算は必ず内径で行うこと。外径で計算すると流量が2割過大に。
2. 流速を上げれば流量が増えると誤解
流速上限は2.5〜3.0m/sが実務基準。それ以上は圧損急増・エロージョン・ウォーターハンマーで実用不可。流量を増やすには配管を太くするのが正しい対策。
3. 呼び径がそのまま内径だと誤解
「50A」は呼び径であり、実内径は約53mm。「50Aは内径50mm」ではない。SI移行前の名残で正確な数値ではないため、計算時は必ずJIS表で内径確認。
4. 給水と排水を同じ配管サイズで設計
給水は圧力送り(流速1.5m/s目安)、排水は自然流下(流速0.6m/s以上必要)。排水は勾配・自浄作用も考慮し、給水配管より1〜2サイズ大きく取る。
5. 圧力損失を考慮しない
細い配管に大流量を流すと圧損が二次関数で増加。給水では末端で必要水圧(一般水栓30kPa)確保が必須。配管長40mでも圧損は無視できないため、揚程計算・ポンプ選定に必ず含める。
6. 空調水を給水と同じ流速で設計
空調水は循環系のため、流速1.5〜3.0m/sと給水(0.9〜2.5m/s)より高め設計可能。ただし流速3.5m/s超は騒音・エロージョンリスクあり、機械室内でも上限意識。
7. インチ表記とA表記の混同
「1インチ」=「25A」だが、「50mm」ではない。1インチ=約25.4mm・呼び径25A。海外機器と国内機器の接続時は必ずJIS-ANSIの規格対応表で確認。
参考リンク・公的資料
- 公益社団法人 空気調和・衛生工学会(SHASE) — 給排水衛生設備規準
- 国土交通省 機械設備工事共通仕様書 — 公共工事仕様
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS G 3452(SGP)/G 3448(SUS)
- 国交省 水道法・給水装置の構造材質基準 — 給水設備基準
- 日本ガス協会 — ガス配管設計基準
- 日本配管工事協会 — 配管工事の実務基準
- 日本機械学会 論文誌 — 流体力学・配管工学研究
- 日本水道協会(JWWA) — 水道規格・配管基準
- 空気調和衛生工学会論文集 — 設備工学研究
- 消防庁 — スプリンクラー・消火配管規定
本ツールは非圧縮性流体(水など)の一般的な連続の式に基づく概算計算です。実際の配管設計では、粘性の影響(レイノルズ数・層流/乱流)、配管素材・粗さ、継手・バルブによる局所損失、温度・圧力変化、パイプの膨張収縮、埋設・露出条件などを総合考慮する必要があります。特に給排水・ガス・消防・危険物配管は法規制(水道法・ガス事業法・消防法・建築基準法)が適用されるため、建築設備士・給水装置工事主任技術者・排水設備工事責任技術者・液化石油ガス設備士等の有資格者による設計・施工が必要です。実際の設計は必ず有資格者にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
流速が速すぎるとどうなる?
配管摩擦による圧力損失増加、ウォーターハンマー(水撃)、騒音、配管内面の侵食(エロージョン)が発生。給水で2.5m/s超は要注意、3m/s超は原則NG。銅管の給湯配管では1.5m/s超で腐食進行が早まる。
排水配管の最低流速は?
0.6m/s以上を確保(自浄作用で固形物が滞留しない)。それ以下だと汚水・髪の毛・油脂が堆積して詰まりの原因に。横引き排水は勾配1/50以上で自然流下時の流速確保。
SI単位とインチ呼び径の対応は?
15A(1/2インチ)=15mm、20A(3/4)=20mm、25A(1)=25mm、32A(1-1/4)=32mm、40A(1-1/2)=40mm、50A(2)=50mm。SI記号と従来Aは厳密には径が異なるので機器選定時は要注意(Aは呼び径、実内径は別)。
住宅の給水配管サイズは?
住宅の主管は25A(内径28mm)が標準。キッチン・浴室は20A、洗面台・トイレは15A。マンションの共用給水管は40〜50A、大規模施設は80〜150A。同時使用戸数で決定。
ポンプの選定方法
1. 必要流量算出、2. 配管サイズ決定、3. 圧力損失計算、4. 揚程算出、5. ポンプ選定。吸込側は流速1.5m/s以下推奨(キャビテーション予防)、NPSHもチェック。
ウォーターハンマー対策
1. 流速を下げる(配管増径)、2. 水撃防止器設置、3. 電磁弁のスロークローズ化、4. 空気溜め設置、5. 配管固定強化。全自動洗濯機の給水口によくつけられている。
空調水配管の設計流速
冷温水配管は1.5〜3.0m/s推奨。給水よりも流速許容範囲が広いが、機械室内は3.5m/s上限、居室近くは2m/s以下で騒音対策。冷却塔補給水は2〜2.5m/sが標準。
ガス配管のサイズ選定
ガス消費量→同時使用率→必要流量→サイズ選定。20号給湯器(約5m³/h)+コンロ(約1m³/h)で25A配管が標準。都市ガス用と液化石油ガス用で圧力条件が異なるため注意。
圧力損失の計算
ダルシー・ワイスバッハの式:h=f×(L/D)×(v²/2g)。摩擦係数f・配管長L・内径D・流速vで決まる。実務では圧損表・Moody線図・専用計算ソフトを使用。
SGP鋼管とSUS鋼管の違い
SGP=白ガス管(一般配管用炭素鋼管・JIS G 3452)、SUS=ステンレス鋼管(JIS G 3448)。SUSは腐食に強く給湯配管に最適、SGPは安価で一般給水・給排気に使用。内径が微妙に違うため設計時は要確認。
スプリンクラー配管の流速
消防法により2.4〜4.5m/sが推奨。5m/s上限。ヘッドから出る水量から逆算して配管サイズを決定。放水圧力0.1MPa以上確保で消火性能担保。
配管トラブル時の相談先
1. 水道局(給水関係)、2. ガス会社(ガス配管)、3. 建築設備士、4. 給水装置工事事業者、5. 排水設備工事責任技術者、6. 消防設備士(スプリンクラー)に相談。