平均賃金の計算方法・算定式|労基法第12条の原則と最低保障を入れて即時算出
平均賃金 = 算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金総額 ÷ その期間の総日数(暦日数)。賃金が労働した日や時間、出来高払制で決まる場合は、これが「賃金総額 ÷ その期間中に労働した日数 × 60%」を下回ってはならず、高いほうを採ります(労働基準法第12条第1項)。暦日数なので土日祝も分母に入れます。3か月の期間は、賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日から起算します(同条第2項)。この算定式のまま計算し、解雇予告手当(労基法20条)・休業手当(26条)・年次有給休暇の賃金(39条)・労災休業補償(労災保険法14条)・減給制裁の上限(91条)の5つを一括表示。日給/時給/出来高払制の最低保障(時給換算×60%)・産前産後/育児介護休業/労災/試用期間の除外処理・労災給付基礎日額の年齢階層別最低最高補償にも対応した2026年最新の完全無料ツールです。
平均賃金 計算機(用途別5計算を一括表示)
用途別 自動計算結果(労基法・労災保険法)
※本ツールは労働基準法12条・20条・26条・39条・91条および労働者災害補償保険法14条に基づく参考計算。労災の年齢階層別最低・最高補償額は毎年8月改定で本ツールは2026年8月改定値を反映。個別の除外期間処理は複雑なため、正確な算定は管轄の労働基準監督署・社会保険労務士に相談してください。
労基法12条の計算式(原則と最低保障)
原則計算(すべての労働者共通)
平均賃金 = 算定事由発生日以前3か月間の賃金総額 ÷ 同期間の暦日数
「算定事由発生日以前3か月」とは、賃金締切日がある場合は「直前の賃金締切日」から遡る3締切期間を指します(労基法12条2項)。締切日と算定事由発生日の間の期間は含めません。暦日数には土日祝も含みます(=日曜日は分子から除かず、分母にも入る)。
最低保障(日給制・時給制・出来高払制のみ)
最低保障 = (賃金総額 ÷ 実労働日数) × 60%
原則計算と比較して高い方を採用します(労基法12条1項但書)。月給制は原則計算のみ。この規定は、時給・日給の労働者が休日を含む暦日数で割ることによる過小算出を防ぐためのセーフティネット。
3か月未満の勤続者(雇入後間もない場合)
平均賃金 = 雇入後の賃金総額 ÷ 雇入後の暦日数
雇入後3か月未満の労働者は、実際の勤続期間の総額と総日数で計算(労基法12条6項)。試用期間は原則除外可能。
算定不可能時の都道府県労働局長認可
労基法12条1項〜6項で算定できない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによるとされています(労基法12条8項)。そのうえで労働基準法施行規則第4条が、12条3項1号〜4号の期間(労災休業・産前産後・使用者都合の休業・育児介護休業)が事由発生日以前3か月以上にわたる場合、または雇入れの日に算定事由が発生した場合の平均賃金は都道府県労働局長の定めるところによると定めています。該当しそうなときは所轄の労働基準監督署に相談してください。
平均賃金が使われる場面(一覧表)
| 用途 | 計算式 | 根拠法 | 実務ポイント |
|---|---|---|---|
| 解雇予告手当 | 平均賃金×(30日−予告日数) | 労基法20条 | 即時解雇=30日分。予告と手当の併用可 |
| 休業手当 | 平均賃金×60%以上×休業日数 | 労基法26条 | 会社都合の休業のみ。天災地変は対象外 |
| 年次有給休暇の賃金 | 平均賃金×取得日数(3選択肢の1つ) | 労基法39条9項 | 就業規則で選択肢を統一必須 |
| 労災休業補償 | 給付基礎日額×60%+特別支給金20%=80% | 労災保険法14条 | 4日目以降。年齢階層別最低最高補償あり |
| 労災傷病補償年金 | 給付基礎日額×313日〜245日 | 労災保険法18条 | 傷病等級1〜3級 |
| 労災障害補償 | 給付基礎日額×313日〜56日 | 労災保険法15条 | 1〜7級年金/8〜14級一時金 |
| 労災遺族補償 | 給付基礎日額×153日〜245日 | 労災保険法16条 | 遺族数により支給日数変動 |
| 減給制裁の上限 | 1回=平均賃金1日分の1/2、月額=月給の1/10 | 労基法91条 | 就業規則の減給規定審査基準 |
| 災害補償(療養補償等) | 平均賃金の一定倍数 | 労基法76-82条 | 労災未加入時の使用者直接補償 |
計算期間から除外する期間
労基法第12条3項により、以下の期間は「賃金総額」からも「総日数」からも両方除外します(分子・分母から同時に控除)。除外した結果、算定期間が3か月未満になる場合、それ以前の期間を含めるのではなく、実残期間で算定するのが原則です。
1. 業務上の傷病による療養休業
労災による休業期間は計算対象外(12条3項1号)。3か月中1ヶ月労災休業なら、残り2ヶ月の賃金÷残暦日数で算出。
2. 産前産後の休業
産前6週間・産後8週間の休業(多胎は産前14週)は除外(12条3項2号)。時期により計算期間を遡って調整。
3. 使用者の責めに帰すべき事由による休業
会社都合の休業(設備トラブル・注文減少・親会社の資金難)は除外(12条3項3号)。ただし天災地変等の不可抗力は含める。
4. 育児休業・介護休業
育児介護休業法に基づく休業期間は除外(12条3項4号)。3か月間全部育児休業だった場合は、それ以前の期間で計算。
5. 試用期間
雇入後3か月未満で試用期間中に算定事由が発生した場合、試用期間の賃金を控除して計算(12条6項の類推)。
6. 雇入後3ヶ月未満の労働者
入社から算定事由発生までの期間で計算(12条6項)。新入社員は「実際の勤続期間の賃金÷実勤続日数」。
賃金総額に含める/含めない
| 含める(毎月払いの賃金) | 含めない(臨時・賞与) |
|---|---|
| 基本給 | 3か月超ごとの賞与(ボーナス等) |
| 役職手当・扶養手当・住宅手当 | 臨時支払の慶弔見舞金 |
| 通勤手当(所得税非課税でも含める) | 結婚祝金・弔慰金 |
| 時間外手当・深夜手当・休日手当 | 災害見舞金 |
| 皆勤手当・精勤手当 | 退職手当 |
| 資格手当・特殊作業手当 | 私傷病手当金(健保給付) |
| 営業手当・歩合給・出来高払 | 労災休業補償給付 |
| 調整手当・地域手当 | 現物給与で評価額が定まらないもの |
| 通勤定期券(厚労大臣告示の評価額で) | 雇用保険給付・傷病手当金・出産手当金 |
判定の基本原則は「毎月支払われる賃金は全て含める・3か月を超える周期または臨時支払は除外」(労基法12条4項)。判断に迷う項目は厚生労働省の平均賃金算定方法解説または管轄の労働基準監督署で確認を。
具体例・シナリオ別計算
【月給30万円の会社員】解雇予告手当
3か月総額90万÷暦日数90日=日額10,000円。予告なしの即時解雇で 10,000×30日=30万円の即時支給義務。10日前予告なら20日分=20万円。
【時給1,500円パート】休業手当
時給1,500円×8h×週5日×月4週=月24万円、3か月72万÷暦日90日=日額8,000円。最低保障は72万÷労働日60×60%=7,200円で原則採用。休業手当は日額×60%×日数。10日休業なら 8,000×0.6×10=48,000円。
【営業歩合給30-100万変動】
歩合給は月変動大でも3か月平均化で緩和。3か月合計210万÷90=日額23,333円。低月給月に解雇された場合でも、直前3か月平均で保護される仕組み。
【時給制の最低保障が高いケース】
時給1,000円×週20h×月4週=月8万、3か月24万÷90=2,667円が原則。最低保障=24万÷60労働日×60%=2,400円。この場合は原則の方が高いので原則採用。
【入社1ヶ月の新入社員が労災】
入社1ヶ月分の賃金÷30日で計算(12条6項)。試用期間中は就業規則を要確認。労災の給付基礎日額は年齢階層別最低補償が適用され、35歳未満なら1日6,000円前後が最低ライン(2026年8月改定値)。
【産休直後に解雇された場合】
産前産後の8-14週間は除外。3か月中2ヶ月産休なら、残り1ヶ月の賃金÷残暦日数で算出。産休直後の解雇は妊娠出産を理由とする不利益取扱いの疑いあり(均等法9条3項)で、別途解雇無効を主張できる可能性。
労災給付基礎日額と平均賃金の違い(最低最高補償)
労災保険法の「給付基礎日額」は、労基法12条の平均賃金と同額が原則ですが、労働者保護のため年齢階層別に最低補償額・最高補償額が設定されます(労災保険法8条の2)。若年で高収入の場合は最高補償額でキャップされ、高齢で低収入の場合は最低補償額に引き上げられます。
| 年齢階層 | 最低補償額(円/日) | 最高補償額(円/日) |
|---|---|---|
| 20歳未満 | 5,213 | 13,314 |
| 20歳以上25歳未満 | 5,816 | 13,314 |
| 25歳以上30歳未満 | 6,319 | 14,346 |
| 30歳以上35歳未満 | 6,648 | 17,043 |
| 35歳以上40歳未満 | 6,762 | 20,304 |
| 40歳以上45歳未満 | 6,997 | 21,972 |
| 45歳以上50歳未満 | 7,138 | 23,059 |
| 50歳以上55歳未満 | 7,141 | 23,632 |
| 55歳以上60歳未満 | 7,013 | 22,839 |
| 60歳以上65歳未満 | 6,036 | 20,269 |
| 65歳以上70歳未満 | 4,916 | 15,922 |
| 70歳以上 | 4,272 | 13,314 |
※上記は2026年8月改定の目安値。最新は厚生労働省労災保険給付関係告示で確認してください。
労災の休業補償給付は 給付基礎日額×60%(休業補償)+給付基礎日額×20%(休業特別支給金)=80%を支給。休業初日〜3日目は労災給付なしで、その間は使用者が労基法76条により平均賃金×60%を直接補償します。
解雇予告手当の実務ポイント
労基法20条により、使用者は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。予告期間と手当は日数単位で交換可能で、以下のパターンが実務で使われます。
- 予告のみ 30日前:手当支払不要
- 予告 10日前 + 20日分手当:合計30日相当
- 予告なし + 30日分手当:即時解雇
- 予告 7日前 + 23日分手当:計30日相当
解雇予告除外事由:天災等で事業継続不可能な場合や、労働者の責めに帰すべき事由(重大な業務上横領・機密漏洩・出勤せず等)による解雇は、労働基準監督署長の認定を受ければ予告不要(労基法20条1項但書)。ただし監督署の認定基準は厳格で、就業規則違反程度では認められません。
試用期間中の解雇:入社14日以内であれば予告不要(労基法21条4号)。15日以降は通常の30日前予告義務が発生します。
休業手当の実務ポイント(会社都合の範囲)
労基法26条は「使用者の責めに帰すべき事由」による休業の場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務を規定。「使用者の責めに帰すべき事由」の範囲は判例で以下が確立しています。
- 該当する例:注文減少・原材料調達不能・設備故障・親会社の経営難・工場移転・在庫過剰・経営判断による一時休業
- 該当しない例:天災地変(地震・台風・大雪)・法定電力使用制限・不可抗力の事故
コロナ禍で議論された「感染症拡大による休業」は、行政指導・営業自粛要請が理由の場合は「使用者の判断」として休業手当対象とする厚労省見解が示されました(令和2年4月10日事務連絡)。
休業手当は「平均賃金の60%以上」が最低ラインで、就業規則や労働協約でより高い割合(例:80%・100%)を定めることは可能。雇用調整助成金の受給要件(賃金補償割合)とも関連します。
年次有給休暇の3つの選択肢
労基法39条9項により、有給休暇取得時の賃金支払方法は以下3つから就業規則で1つを選択し、労働者に統一適用します(途中変更は原則不可)。
| 方式 | 計算式 | 特徴・選択理由 |
|---|---|---|
| ①通常賃金 | その日出勤していれば支払われる賃金 | 最も一般的。月給制は差引控除なしで実質同額 |
| ②平均賃金 | 労基法12条の平均賃金×取得日数 | 時給・日給制で通常賃金より安定 |
| ③標準報酬日額 | 健康保険法の標準報酬日額×取得日数 | 労使協定必要。事務簡略化目的 |
実務では①通常賃金が最多。ただし歩合給や時給制の場合、②平均賃金の方が有利になることがあります。就業規則の記載を確認してください。
シーン別の使い方
会社側:解雇時の手当算定
解雇予告手当の正確な算出。監督署の是正指導を受ける前に自主計算し、労使トラブルを予防。就業規則の減給規定の適法性チェックにも使用可。
労働者:解雇時の受給額確認
会社が提示した金額が労基法通りか確認。不足があれば労基署・弁護士に相談する材料に。時効は2年(賃金請求権)〜3年(改正民法後の新規発生分)。
労災事故時の給付基礎日額算定
労災による休業4日目以降、給付基礎日額の60%(休業補償給付)+20%(休業特別支給金)=80%が給付。1〜3日目は使用者が労基法76条で60%補償。
会社都合休業時の休業手当
設備故障・注文減少等で、労基法26条により平均賃金の60%以上の休業手当。雇用調整助成金と連動する場合は補助率の把握が必要。
年次有給休暇の賃金確認
就業規則の選択方式に沿って算定。時給・歩合の労働者は「平均賃金選択」が有利な場合あり。
減給制裁の上限確認
就業規則の減給規定が労基法91条違反でないか監査。1回=平均賃金1日分の1/2、月額=月給の1/10が上限。
社労士:就業規則整備支援
クライアント企業の就業規則における賞与・手当・休業補償の規定を、労基法12条と整合的に整理。監督署調査対応の事前準備に。
弁護士:不当解雇訴訟
解雇予告手当未払・休業手当未払を含む未払賃金請求。付加金(労基法114条)で同額を上乗せ請求可能。
よくある勘違い・監督署の是正事例
1. 「3か月の労働日数」で割ってしまう
原則は暦日数(休日含む)で割る。労働日数(60日)ではなく暦日数(90日)で割るため平均賃金は低めに出る。これは賃金水準の安定した算出のため。監督署の是正指導頻出パターン。
2. 賞与を含めて計算
3か月超ごとに支給される賞与(ボーナス)は含めない(労基法12条4項)。臨時給・慶弔見舞金・退職手当も除外。含めてしまうと平均賃金が過大になり、労働者不利益。
3. 通勤手当を除外してしまう
毎月支払われる通勤手当は含める。所得税では非課税でも、平均賃金の計算には含まれる。通勤定期券などの現物給与も評価額で含める。
4. 産休育休期間を含めて計算
産休・育休・介護休業期間は除外して計算(12条3項)。3か月中2ヶ月育休なら残り1ヶ月の賃金÷残暦日数で算出。除外を忘れると平均賃金が過小になり、有給や解雇予告手当が不利益に。
5. 最低保障の適用対象を誤解
最低保障は日給制・時給制・出来高払制が対象で、月給制は原則対象外(労基法12条1項但書)。月給制でも欠勤控除等で減額されるケースでは最低保障の適用検討あり。
6. 解雇予告手当を平均賃金の30倍と誤解
解雇予告手当は平均賃金の30日分で、「30倍」ではない。日額1万円なら30日分=30万円。30倍だと300万円になってしまうため、単位に注意。
7. 休業手当は日給の60%と誤解
休業手当は平均賃金の60%以上(労基法26条)。日給と平均賃金は異なるため、日給1万円でも平均賃金9,000円ならその60%=5,400円が最低ライン。
8. 労災の1〜3日目を無視
労災休業の1〜3日目は労災給付なし。使用者が労基法76条により平均賃金の60%を直接補償する義務あり。この期間を無給扱いにすると監督署是正の対象。
9. 就業規則の減給規定が91条違反
「1回の懲戒で減給1万円」等の規定は、平均賃金1日分の1/2を超えるため無効。就業規則整備時に必ずチェック。
10. 賃金締切日ではなく算定事由発生日を起算
労基法12条2項は「算定事由発生日以前の賃金締切日から遡って3か月」と規定。算定事由発生日そのものから遡ると計算がずれる。
関連する法令・通達・判例
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)12条・20条・26条・39条・76条・91条
- 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)8条の2・14条・15条・16条・18条
- 労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)— 平均賃金算定の細則
- 昭和22.9.13発基17号通達— 平均賃金の意義・算定の基本原則
- 昭和35.7.15基発545号通達— 通勤手当の平均賃金への算入
- 令和2.4.10事務連絡— 感染症の影響による休業手当の取扱い
- 最判昭62.7.10 弘前電報電話局事件— 有給休暇の賃金選択
- 最判平成5.6.25 沼津交通事件— 皆勤手当の平均賃金算入
- ノース・ウエスト航空事件(最判昭62.7.17)— 労基法26条「使用者の責めに帰すべき事由」の範囲
参考文献・公的資料
- 労働基準法(e-Gov法令検索) — 平均賃金12条・解雇20条・休業26条・有給39条・減給91条
- 労働者災害補償保険法(e-Gov) — 給付基礎日額・休業補償・障害補償・遺族補償
- 厚生労働省 労働基準行政 — 制度全般
- 厚生労働省 平均賃金の算定方法 — 詳細ガイド
- 厚生労働省 労災補償 — 給付基礎日額の年齢階層別最低最高補償
- 労災保険情報センター — 労災給付制度の解説
- 労働条件相談ほっとライン(0120-811-610) — 無料電話相談
- 厚労省 都道府県労働局・労働基準監督署一覧
- 全国社会保険労務士会連合会 — 社労士の相談
- 法テラス(日本司法支援センター) — 無料法律相談
- 日本労働弁護団 — 労働問題の弁護士相談
- 労働政策研究・研修機構(JILPT) — 労働法研究資料
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃金総額に含まれない賃金は?
3か月超ごとに支払われる賞与・臨時に支払われる慶弔見舞金・現物支給で評価額が定まっていないものは除外。基本給と毎月支払われる諸手当(通勤手当・時間外手当・住宅手当等)はすべて含めます(労基法12条4項)。
Q2. 育休・産休中の期間はどう処理する?
労基法12条3項により、産前産後・育児休業期間とその賃金は計算から除外。3か月のうち2か月育休なら、1か月の賃金÷該当暦日数で計算。除外を忘れると平均賃金が過小算出になり、労働者に不利益。
Q3. 新入社員(3か月未満)の場合?
雇入後の期間で「賃金総額÷総日数」で計算します(労基法12条6項)。なお「試みの使用期間」は労基法12条3項5号で控除対象ですが、試用期間中に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合は、労働基準法施行規則第3条により、その期間の日数と賃金を算入します(12条3項にかかわらず、という書き方になっています)。試用期間だから一律に除外、ではない点に注意してください。
Q4. 平均賃金と時給の違いは?
平均賃金は暦日数で割った日額(休日含む)、時給は労働時間で割った時給。同じ月30万円でも、平均賃金1万円/日・時給1,875円/時と単位が異なるため用途で使い分け。
Q5. 最低保障とは?
日給制・時給制・出来高払制の場合、原則計算(賃金÷暦日数)が低くなりすぎるのを防ぐため、時給換算×60%を保障(労基法12条1項但書)。原則と比較して高い方を採用する仕組み。月給制は原則対象外。
Q6. 解雇予告手当の計算方法は?
平均賃金1日分×(30日−予告日数)。予告なしの即時解雇なら30日分、10日前予告なら20日分。「7日予告+23日分手当」の組み合わせも可能(労基法20条)。試用期間中は入社14日以内なら予告不要(21条4号)。
Q7. 休業手当の下限は?
労基法26条により平均賃金の60%以上。会社都合の休業(設備故障・注文減少等)に適用。天災地変等の不可抗力は対象外。就業規則で60%を超える割合を定めることは可能(例:80%・100%)。
Q8. 労災休業補償と平均賃金の関係は?
労災の給付基礎日額は原則として平均賃金と同額ですが、年齢階層別に最低・最高補償額が設定されます(労災保険法8条の2)。休業補償給付は給付基礎日額×60%+休業特別支給金20%=合計80%を支給。4日目から労災給付、1〜3日目は使用者が労基法76条で60%直接補償。
Q9. 賞与を含める間違いを防ぐには?
労基法12条4項に「3か月超毎に支払われる賃金」は除外と明記。年2回のボーナス・年1回の決算賞与は必ず除外。給与明細で「賞与」「一時金」項目は計算から取り除く。
Q10. 算定期間の起算日は?
労基法12条2項により、算定事由発生日以前の「直近の賃金締切日」から遡って3か月を起算とする。算定事由発生日そのものから遡るとずれる。当月分の給与が確定していない場合は前月分から計算。
Q11. 減給制裁の上限は?
労基法91条により、1回の減給は平均賃金1日分の1/2まで、月給に対する減給総額は月給の1/10まで。就業規則がこれを超える場合は無効。就業規則整備の段階でチェック必須。
Q12. 争いになった場合の相談先は?
①労働基準監督署(労基法違反の是正指導・無料)、②労働条件相談ほっとライン(0120-811-610・無料)、③法テラス(無料法律相談)、④労働組合、⑤弁護士・社会保険労務士。時効は賃金請求権2年〜3年(改正民法)。
Q13. 有給休暇の3選択肢はどう決める?
①通常賃金(最も一般的)、②平均賃金(時給・歩合で有利な場合あり)、③健保標準報酬日額(労使協定必要)の3つから就業規則で選択し、労働者に統一適用(労基法39条9項)。途中変更は原則不可なので慎重に決定を。
Q14. 天災地変による休業でも休業手当は必要?
不要です。労基法26条は「使用者の責めに帰すべき事由」に限定。地震・台風・大雪・不可抗力の停電等は対象外。ただし操業判断が使用者の裁量である場合(安全確認済でも自主休業)は対象になる可能性あり。判断に迷う場合は労基署に相談。
Q15. コロナや感染症拡大による休業は?
令和2年4月10日厚労省事務連絡により、営業自粛要請や感染防止のための使用者判断による休業は労基法26条の対象とされました。ただし、法令に基づく直接の営業禁止(緊急事態宣言下の食品衛生法命令等)は不可抗力として対象外。実務は個別判断が必要。雇用調整助成金の活用と併せて検討を。