譲渡所得 計算|不動産売却時の所得税・住民税を一発算出/3,000万円特別控除・軽減税率対応
不動産売却時の譲渡所得・所得税・住民税を瞬時に計算。マイホームの3,000万円特別控除、短期譲渡39.63%と長期譲渡20.315%の税率差、10年超所有の軽減税率(6,000万円以下14.21%)、相続不動産の取得費加算、居住用買換え特例、空き家3,000万円特別控除まで完全無料で試算。国税庁タックスアンサー・所得税法・租税特別措置法に基づき、確定申告書B・分離課税用第三表の提出前チェックにも活用できます。
譲渡所得 計算ツール
計算式と税率体系
譲渡所得 = 売却価格 − (取得費 − 減価償却累計) − 譲渡費用
課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除(マイホームなら最大3,000万円)
所得税 = 課税譲渡所得 × 所得税率 × 1.021(復興特別所得税加算後)
住民税 = 課税譲渡所得 × 住民税率
不動産の譲渡所得は他の所得と分離して課税される「分離課税」です。給与所得や事業所得と合算される総合課税(累進5〜45%)とは異なり、所有期間で税率が固定されます。長期(5年超)は20.315%、短期(5年以下)は39.63%と2倍以上の差があり、売却タイミングの判断に直結します。
復興特別所得税は2013年から2037年まで所得税額の2.1%が上乗せされ、実質的な所得税率は15.315%(長期)、30.63%(短期)と表記されます。住民税は5%(長期)、9%(短期)で、翌年6月〜翌々年5月に納付する仕組みです。
所有期間別の税率一覧
所有期間は売却した年の1月1日時点で判定します。2020年4月に購入した物件を2025年8月に売却しても、2025年1月1日時点では4年8ヶ月しか経過しておらず「短期譲渡」扱いになります。長期扱いにするには2026年1月1日以降の売却が必要です。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡 | 5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡 | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
| 10年超マイホーム(6,000万円以下部分) | 10年超 | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
| 10年超マイホーム(6,000万円超部分) | 10年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
| 優良住宅地の造成等(2,000万円以下部分) | 5年超 | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
| 優良住宅地の造成等(2,000万円超部分) | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
主要な特別控除・特例
| 特例名 | 控除額 | 主な要件 |
|---|---|---|
| マイホーム3,000万円特別控除 | 最大3,000万 | 自ら居住していた家屋・敷地、住まなくなった日から3年後の年末までに売却 |
| 10年超所有軽減税率の特例 | 税率軽減 | 売却年1月1日で所有期間10年超のマイホーム、6,000万円以下部分に14.21%適用 |
| 居住用財産の買換え特例 | 課税繰延 | 所有10年超・居住10年以上、売却1億円以下、買換え物件50㎡以上等 |
| 空き家の3,000万円特別控除 | 最大3,000万 | 被相続人居住用の空き家、昭和56年5月31日以前建築、耐震基準適合または解体 |
| 相続財産譲渡の取得費加算 | 相続税の一部加算 | 相続税申告期限の翌日から3年以内(相続開始から3年10ヶ月以内)の売却 |
| 収用等5,000万円特別控除 | 最大5,000万 | 公共事業等のための収用による譲渡 |
| 特定土地区画整理事業2,000万円控除 | 最大2,000万 | 土地区画整理事業・第一種市街地再開発事業等での譲渡 |
| 特定住宅地造成事業1,500万円控除 | 最大1,500万 | 地方公共団体等による住宅地造成事業のための譲渡 |
| 農地保有合理化800万円控除 | 最大800万 | 農業経営基盤強化促進法等に基づく農地譲渡 |
| 低未利用土地100万円控除 | 100万円 | 所有5年超、譲渡対価500万円以下、市区町村長の確認書必要 |
各特例は併用可否のルールがあります。3,000万円特別控除と買換え特例は選択適用(併用不可)、3,000万円特別控除と10年超軽減税率は併用可、住宅ローン控除との併用制限あり、など。売却前に必ず税理士または税務署で確認してください。
建物の減価償却の計算
建物部分は取得時点から売却時点まで減価償却されており、その分だけ取得費が目減りします。土地は減価償却の対象外です。
| 建物構造 | 非事業用(マイホーム)償却率 | 非事業用耐用年数 | 事業用耐用年数 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 0.031 | 33年 | 22年 |
| 木骨モルタル | 0.034 | 30年 | 20年 |
| 軽量鉄骨(3mm以下) | 0.036 | 28年 | 19年 |
| 軽量鉄骨(3〜4mm) | 0.025 | 40年 | 27年 |
| 重量鉄骨(4mm超) | 0.020 | 51年 | 34年 |
| 鉄筋コンクリート(RC) | 0.015 | 70年 | 47年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC) | 0.015 | 70年 | 47年 |
減価償却累計額 = 建物取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
例:木造建物3,000万円を20年所有した場合、3,000万 × 0.9 × 0.031 × 20 = 1,674万円が償却され、取得費は残り1,326万円で計算されます。
取得費・譲渡費用の範囲
取得費に含めるもの
- 購入代金(土地+建物)
- 購入時の仲介手数料
- 登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬
- 印紙税(売買契約書)
- 建築確認申請費用・設計料
- 整地・造成費(土地の取得付随費用)
- 取得後の設備追加・増改築費用
- ローン借入時の抵当権設定登記費用・保証料
譲渡費用に含めるもの
- 売却時の仲介手数料(通常価格の3%+6万円+税)
- 売買契約書の印紙税
- 建物取り壊し費用(売却のためのもの)
- 土地測量費用
- 借家人立退料
- 売却のための広告費・宣伝費
- 売買契約解除に伴う違約金(買主変更の場合)
取得費が不明の場合(概算取得費)
先代からの相続や、購入当時の契約書・領収書を紛失した場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算できます(租税特別措置法第31条の4)。ただし多くの場合、実額より不利になるため、可能な限り以下の資料で実額を証明してください:通帳の振込記録、住宅ローンの償還証明書、抵当権設定登記の記録、譲渡人の相続税申告書、購入時の新聞広告・パンフレット等。
売却額別 税額シミュレーション
取得費2,000万円、譲渡費用200万円、減価償却300万円、マイホーム3,000万円特別控除ありの前提でのシミュレーション例です。
| 売却価格 | 譲渡所得 | 控除後課税額 | 長期税額(20.315%) | 10年超軽減(14.21%) |
|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 1,100万 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,000万円 | 2,100万 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 5,000万円 | 3,100万 | 100万 | 約20万 | 約14万 |
| 6,000万円 | 4,100万 | 1,100万 | 約224万 | 約156万 |
| 8,000万円 | 6,100万 | 3,100万 | 約630万 | 約441万 |
| 1億円 | 8,100万 | 5,100万 | 約1,036万 | 約725万 |
| 1.5億円 | 1億3,100万 | 1億100万 | 約2,052万 | 6,000万まで14.21%+超過部分20.315% |
マイホームで所有10年超なら、6,000万円までの課税譲渡所得部分に軽減税率14.21%が適用され、大幅な節税効果があります。売却タイミングを1年遅らせるだけで数百万円の税差が生じるケースもあるため、購入日と売却日の関係は慎重に確認してください。
こんなケースで使う
マイホームの住み替え
10年以上住んだ自宅を売却して新居に移る場合、3,000万円特別控除+10年超軽減税率で税負担を最小化。売却益2,500万円なら税金ゼロ、5,000万円なら約71万円(通常なら約407万円の税負担が大幅減)。
相続した実家の売却
親から相続した実家を売却する場合、相続税の取得費加算特例(3年10ヶ月以内)や空き家3,000万円特別控除(昭和56年以前建築等)が使える可能性。相続税を払っていれば取得費加算で譲渡所得が大幅圧縮できます。
投資用不動産の出口戦略
賃貸マンション・アパートの売却は3,000万円特別控除の対象外。長期(5年超)保有で税率20.315%を確保し、大規模修繕前や築古前に売却するのが定石。青色申告特別控除・減価償却の累積も考慮。
離婚時の財産分与
財産分与として不動産を渡す場合、渡した側に譲渡所得税がかかります。時価で譲渡したものとして課税されるため、財産分与を金銭でするか不動産でするかは税額を比較して決定。
老朽アパートの売却判断
木造築22年超は法定耐用年数超過で銀行融資が付きにくい。減価償却も完了しており、売却時の取得費が最小化。売却益が大きく出やすい構造なので、税額シミュレーションが必須。
収用による強制売却
公共事業(道路拡幅・鉄道敷設等)による収用は5,000万円特別控除が使え、大幅節税可能。買換え資産取得の場合は課税繰延も選択可。書類要件が多いので市町村収用担当窓口の指示に従って進めます。
確定申告の実務手順
不動産の譲渡所得は、売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。給与所得者(会社員)で普段確定申告不要な人でも、譲渡所得がある年は申告義務が発生します。
- 申告書類:確定申告書B(第一表・第二表)+分離課税用第三表+譲渡所得の内訳書(3面)
- 添付書類:売買契約書(売却時・購入時)、仲介手数料領収書、登記事項証明書、住民票、戸籍附票(3,000万円控除申請時)、耐震基準適合証明書(空き家控除申請時)
- 納付時期:所得税は申告と同時(3月15日まで)、住民税は6月〜翌年5月に4分割納付
- e-Tax申告:マイナンバーカード+スマホ or ICカードリーダーで自宅から申告可能
- 3,000万円控除を使う年:住宅ローン控除との併用不可(前年・前々年・売却年・翌年・翌々年に住宅ローン控除を受けていないこと等の要件あり)
よくある間違い・注意点
- 所有期間の起算日を勘違い — 「5年超」は売却年の1月1日時点で判定します。2020年4月購入→2025年8月売却なら、5年経過していても2025年1月1日時点では4年8ヶ月で短期扱い。長期扱いにするには2026年以降の売却が必要です。
- 取得費に減価償却を反映しない — 建物部分は所有期間に応じて減価償却され、その分取得費が目減りします。木造で20年所有なら建物価値の約56%が減価償却済み。取得費を購入価格そのままで計算すると譲渡所得が過小になり修正申告になります。
- 取得費不明で5%概算を安易に使う — 概算取得費は不利になるケースが大半。通帳記録・ローン償還証明書・抵当権設定書類等で実額を証明できないか徹底確認してください。
- 3,000万円控除と住宅ローン控除を併用しようとする — 併用不可です。前年・前々年・売却年・翌年・翌々年に住宅ローン控除を受けている・受ける予定の場合、3,000万円控除は使えません(逆も同じ)。
- 相続不動産で取得費加算特例を忘れる — 相続税申告期限の翌日から3年以内(相続開始から3年10ヶ月以内)なら、支払った相続税の一部を取得費に加算できます。数百万円の節税効果になる場合があります。
- 空き家3,000万円控除の解体要件を見落とす — 被相続人居住用の空き家は原則解体してから売却するか、耐震基準適合証明書を取得する必要があります。そのまま売却では控除不適用。
- 確定申告を忘れる — 譲渡所得があった年は必ず申告義務あり(たとえ3,000万円控除で税額ゼロでも)。申告なしは特例不適用扱いになり、後から本則税率で追徴課税されます。
参考文献・公的資料
不動産譲渡所得税は改正が頻繁で、租税特別措置法の各種特例には毎年細かな要件変更があります。売却前に必ず一次資料を確認してください。
- 国税庁 タックスアンサー(譲渡所得) ― 不動産譲渡所得税の公式解説。特例別のQ&A、税率表、計算例を網羅。
- 国税庁 マイホームを売ったときの特例(No.3302) ― 3,000万円特別控除の要件・必要書類・計算例。
- 国税庁 マイホームを売ったときの軽減税率の特例(No.3305) ― 10年超所有マイホームの軽減税率14.21%の詳細。
- 国税庁 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(No.3306) ― 空き家3,000万円特別控除の要件。
- 財務省 土地・住宅税制 ― 譲渡所得税の税制改正情報・政策的位置づけ。
- 国土交通省 土地・不動産・建設業 ― 不動産取引・売買契約の実務ガイド。
- 法務省 不動産登記制度 ― 相続登記・所有権移転登記の手続き。
- 日本FP協会 ― 不動産売却に関するライフプラン相談窓口・FP検索。
- 日本税理士会連合会 税理士検索 ― 資産税に強い税理士を地域から検索。
- 全国宅地建物取引業協会連合会 消費者向け情報 ― 不動産売却時の重要事項説明・トラブル事例。
よくある質問(FAQ)
3,000万円特別控除の威力
居住用不動産売却で譲渡所得から3,000万円控除できる制度。譲渡益2,500万円の自宅売却なら税金ゼロ、譲渡益4,000万円でも課税対象は1,000万円まで圧縮。住んでいた住宅であれば適用され、賃貸不動産・別荘・投資物件には不適用です。
短期と長期の境目
所有期間は売却年の1月1日時点で5年超かで判定します。2020年4月購入→2025年8月売却なら、5年経過してても2025年1月1日では4年8ヶ月で短期扱い(税率39.63%)。2026年1月1日以降の売却で長期(20.315%)に切り替わり、税額が半分近くまで圧縮されます。
取得費が分からない時
領収書紛失等で不明なら売却価格の5%を概算取得費とする規定(租税特別措置法第31条の4)。3,000万売却なら150万円が取得費=譲渡所得2,850万円と不利になるケースが大半です。通帳の振込記録、ローン償還証明、抵当権設定登記等で実額を証明できないか徹底確認してください。
相続不動産売却の注意
相続後3年10ヶ月以内(相続税申告期限の翌日から3年以内)なら相続税の取得費加算特例が使えます。支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を大幅圧縮。空き家3,000万円特別控除(昭和56年以前建築等)との併用可否も個別確認してください。
居住用買換え特例
10年超所有・10年以上居住のマイホームを買い替え時、譲渡所得課税を将来に繰り延べできる制度。売却1億円以下、買換え物件50㎡以上等の要件あり。3,000万特別控除との選択適用(併用不可)なので、長期保有・住み続ける予定なら買換え特例、売却益少ないなら3,000万控除が有利。
10年超軽減税率はどれくらい節税?
所有10年超のマイホームは、課税譲渡所得6,000万円以下部分に14.21%(通常20.315%)が適用。3,000万円特別控除と併用可能なので、実質譲渡益9,000万円まで最軽課税で売却できる強力な節税策です。6,000万円を超えた部分は通常の20.315%。
建物の減価償却はどう計算する?
建物取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数。木造(償却率0.031)、軽量鉄骨(0.036)、重量鉄骨(0.020)、RC(0.015)。マイホーム(非事業用)は事業用の1.5倍の耐用年数で計算します。土地は減価償却対象外なので、建物と土地の按分が重要です。
譲渡費用に含められる支出は?
売却時の仲介手数料、印紙税、建物取り壊し費用(売却目的)、土地測量費、借家人立退料、売却広告費など、売却に直接要した費用のみ。抵当権抹消登記費用や住宅ローン一括返済手数料は譲渡費用に含められません(所得税基本通達33-7)。
共有名義の不動産を売却した場合は?
持分割合に応じて各共有者が譲渡所得を申告します。夫婦共有50%ずつなら、それぞれ譲渡所得の半分ずつを申告し、3,000万円特別控除もそれぞれが最大3,000万円まで利用可能(合計6,000万円まで無税枠)。分離課税は個人単位です。
売却損が出た場合の救済措置は?
マイホーム売却で譲渡損失が出た場合、買換え時の損益通算・繰越控除(措法41条の5)や、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除(措法41条の5の2)が使え、給与所得等と損益通算できます。3年間繰越可能。要件が細かいので税理士確認推奨。
ふるさと納税や医療費控除と併用できる?
できます。譲渡所得は分離課税ですが、住民税の課税所得に含まれるため、ふるさと納税の限度額計算に影響します。譲渡所得がある年はふるさと納税限度額が跳ね上がるので、寄付タイミングを工夫すると節税効果が大きくなります。
売却後いつまでに確定申告する?
売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告書B+分離課税用第三表を提出します。申告なしは特例不適用扱いで本則税率(短期39.63%、長期20.315%)で課税されるうえ、無申告加算税・延滞税も発生。e-Taxで自宅から申告可能です。