計算ツール
登録免許税登記不動産税制

登録免許税 計算ツール|所有権移転・保存・抵当権・相続登記の税率と軽減措置を試算

不動産登記の登録免許税を法務局公式の税率で計算。所有権移転(売買・相続・贈与)、所有権保存(新築)、抵当権設定、地上権設定、所有権登記名義人表示変更まで対応。住宅用家屋の軽減、認定長期優良住宅・低炭素住宅の特例、租税特別措置法の適用要件、司法書士報酬の目安、相続登記の義務化(2024年4月施行)まで、登録免許税法・不動産登記法の条文を踏まえ解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

登録免許税 計算機

登録免許税の計算式

登録免許税 = 課税標準額 × 税率

課税標準額 = 固定資産税評価額(市町村が決定) / 抵当権の場合は債権金額

登録免許税法(第2条)により、不動産登記を法務局に申請する際、原則として固定資産税評価額(市町村の固定資産課税台帳に登録された価格)に登記の種類ごとの税率を乗じた金額を国に納付します。100円未満は切り捨て、最低税額は1,000円(登録免許税法第19条)です。

納付方法

登記申請書に収入印紙を貼付するか、電子納付(オンライン申請)、金融機関での現金納付書利用が可能です。司法書士に依頼した場合は代理納付され、実費として請求書に記載されます。

納付先

登録免許税は国税で、国税庁の管轄。ただし窓口は法務省の各地方法務局(不動産登記管轄)となります。固定資産税評価額は市町村税(地方税)の資産評価担当課が管理しており、両者は連動しつつも別体系です。

登記種類別の税率一覧(本則)

登記の種類本則税率課税標準
所有権保存(新築)0.4%固定資産税評価額
所有権移転(売買)2.0%(土地)/2.0%(建物)固定資産税評価額
所有権移転(相続)0.4%固定資産税評価額
所有権移転(贈与・その他)2.0%固定資産税評価額
所有権移転(合併)0.4%固定資産税評価額
抵当権設定0.4%債権金額(借入額)
地上権・永小作権設定1.0%固定資産税評価額
賃借権設定1.0%固定資産税評価額
抵当権抹消1件1,000円—(定額)
所有権登記名義人表示変更(住所変更等)1件1,000円—(定額)

本則税率は登録免許税法(別表第一)で規定されており、租税特別措置法により時限的な軽減措置が適用される項目もあります。土地の売買については、令和8年3月31日まで1.5%への軽減が延長されています。

住宅用家屋の軽減措置(租税特別措置法)

個人が自己居住用の住宅を取得する場合、租税特別措置法(第72条・第73条・第74条)により、以下の軽減税率が適用されます(令和9年3月31日まで、以降は改正の可能性)。

登記の種類本則軽減後軽減額の例(3,000万円)
所有権保存(新築住宅)0.4%0.15%12万→4.5万(7.5万減)
所有権移転(中古住宅の売買)2.0%0.3%60万→9万(51万減)
抵当権設定(住宅ローン)0.4%0.1%12万→3万(9万減)

軽減の適用要件

  • 個人が自己居住用として取得(法人・投資用は不可)
  • 床面積50㎡以上(登記簿面積)
  • 取得後1年以内に登記
  • 市町村長発行の住宅用家屋証明書を法務局に提出
  • 中古住宅は昭和57年1月1日以降建築、または新耐震基準適合

住宅用家屋証明書

市区町村役所の税務課・資産税課で発行されます(証明手数料1,300円程度)。申請には登記事項証明書、売買契約書または請負契約書、住民票、耐震基準適合証明書(中古の場合)などが必要です。

認定長期優良住宅・低炭素住宅の特例

長期優良住宅の普及の促進に関する法律、都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく認定住宅について、さらに軽減された税率が適用されます(租税特別措置法第74条の2)。

登記一般住宅軽減認定長期優良住宅認定低炭素住宅
所有権保存(新築)0.15%0.1%0.1%
所有権移転(戸建て)0.3%0.2%0.1%
所有権移転(マンション)0.3%0.1%0.1%

認定申請は都道府県または特定行政庁に対して、住宅の設計段階または着工前に行います。認定を受けた場合、登録免許税だけでなく不動産取得税・固定資産税・住宅ローン控除の借入上限額でも優遇があります。

相続登記義務化(2024年4月施行)

民法・不動産登記法改正により、2024年(令和6年)4月1日以降、相続で不動産を取得した相続人は3年以内の相続登記が義務化されました。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象となります(不動産登記法第76条の2)。

過去の相続にも適用

施行日前に発生した相続についても、施行日から3年以内(2027年3月末まで)に登記が必要です。数世代前の未登記不動産も対象となり、司法書士事務所への相談件数が急増しています。

相続人申告登記(簡易手続)

遺産分割協議が難航している場合でも、法務局に相続人が申告することで義務履行と認められる相続人申告登記が新設。手続きは登録免許税がかからず、簡易書類のみで可能です。ただし相続人単独の氏名しか登記されず、正式な所有権登記ではないため、遺産分割確定後に本登記が必要です。

相続登記の免税措置

租税特別措置法第84条の2の3により、以下の場合は登録免許税が免税されます(令和7年3月31日まで)。

  • 不動産価額が100万円以下の土地の相続登記
  • 相続人が先に死亡し、数次相続で当該不動産の相続登記を行う場合

登記シーン別の実例

新築マンション購入(価格5,000万円・評価額2,000万円・ローン4,000万円)

所有権保存(軽減) 2,000万×0.15% = 30,000円
抵当権設定(軽減) 4,000万×0.1% = 40,000円
合計 70,000円 + 司法書士報酬10-15万円

中古戸建て購入(価格3,000万円・評価額1,500万円・ローン2,500万円)

所有権移転(軽減) 1,500万×0.3% = 45,000円
抵当権設定(軽減) 2,500万×0.1% = 25,000円
合計 70,000円 + 司法書士報酬10-15万円

相続登記(評価額2,000万円・戸建て)

所有権移転(相続) 2,000万×0.4% = 80,000円
司法書士報酬 8-12万円
合計 16-20万円。2024年義務化以降は放置で過料10万円のリスクあり。

投資用アパート購入(評価額5,000万円・ローン4,500万円)

所有権移転(通常) 5,000万×2.0% = 1,000,000円
抵当権設定(通常) 4,500万×0.4% = 180,000円
合計 118万円。自宅ではないため軽減不可。司法書士報酬10-20万円。

贈与登記(評価額1,000万円)

所有権移転(贈与) 1,000万×2.0% = 200,000円
加えて贈与税・不動産取得税が別途発生。生前贈与は相続時精算課税との比較検討が必要。

住宅ローン完済後の抵当権抹消

1件1,000円(定額)。土地・建物別なら2,000円。金融機関から抹消書類を受領後、法務局で自ら申請可能。司法書士依頼の場合は1-2万円の報酬。

司法書士報酬の目安

日本司法書士会連合会の統計(2018年)による、報酬の全国平均目安です(税抜)。

手続報酬相場
所有権保存登記2-3万円
所有権移転登記(売買)4-8万円
所有権移転登記(相続・遺産分割協議書作成込)7-15万円
抵当権設定登記3-5万円
抵当権抹消登記1-2万円
住宅ローン借り換えの一式(抹消+設定)5-8万円
会社設立登記5-10万円(別途印紙代)

物件数、権利関係の複雑さ、遠隔地物件、緊急対応などで加算されます。複数事務所から見積りを取り、実費(登録免許税・印紙代・謄本代)と報酬を分けて比較しましょう。

不動産取引諸費用の全体像

登録免許税は不動産取引諸費用の一部です。全体像を把握して資金計画を立てましょう。

費目目安金額(3,000万円物件)納付先
仲介手数料約100万円(3%+6万円+消費税)不動産仲介会社
登録免許税(所有権移転・軽減)約4.5-9万円国税(法務局)
登録免許税(抵当権設定・軽減)約3万円(2,500万融資)国税(法務局)
不動産取得税(軽減後)約0-15万円都道府県税
固定資産税日割精算約5-10万円売主(市町村税)
司法書士報酬約10-15万円司法書士事務所
印紙税(契約書)1万円(3千万円契約)国税(印紙)
火災保険料(10年)約15-30万円保険会社
ローン事務手数料約3-70万円金融機関
ローン保証料約60万円(2%型)保証会社
諸費用合計約200-320万円

諸費用は物件価格の7-10%が目安。頭金と別に諸費用分の現金準備が必要です。物件価格3,000万円なら諸費用200-300万円を現金または諸費用ローンで手当てします。

登記申請の実務フロー

1. 事前準備(申請前1-2週間)

登記事項証明書(現在事項全部)、固定資産評価証明書または名寄帳、住民票、印鑑証明書、売買契約書または遺産分割協議書、住宅用家屋証明書(軽減の場合)を揃えます。マイナンバーカードで一部書類はオンライン取得可能。

2. 登記申請書の作成

法務局公式書式、または司法書士事務所所定書式で作成。登記の目的、原因、権利者・義務者、不動産の表示、課税価格、登録免許税額、添付書類を記入。書式は法務局・法務省ホームページから無料ダウンロード可能。

3. 登録免許税の納付

収入印紙を申請書に貼付、または電子納付(オンライン申請時)、金融機関での現金納付書。100円未満切り捨て、最低1,000円。抵当権抹消は1,000円、住所変更も1件1,000円の定額です。

4. 法務局への提出

不動産所在地を管轄する法務局の登記受付窓口へ提出。郵送も可能ですが、追加書類が必要な場合の対応で数週間の遅延リスクあり。オンライン申請(登記・供託オンラインシステム)は司法書士が代理する場合に多用されます。

5. 完了までの期間

混雑状況によりますが、通常1-2週間、繁忙期(3月・4月)は3-4週間。完了後、法務局から登記完了証、登記識別情報通知書(旧・権利証)が発行されます。売買・抵当権設定の場合、司法書士が金融機関に登記完了を報告して融資実行という流れが一般的。

6. 登記完了後の確認

登記事項証明書を取得し、所有者・原因・日付が想定通りに記載されているか確認。誤記載があれば法務局に更正登記(1件1,000円)を申請します。長期的な保管書類(識別情報通知書・完了証)は金庫や貸金庫での厳重保管を推奨します。

よくある間違い・注意点

  • 「時価」で税額計算 — 登録免許税の課税標準は固定資産税評価額(公示価格の約7割)であり、市場での売買価格(時価)ではありません。3,000万円の物件でも評価額1,500万円なら課税基準は1,500万円です。
  • 軽減の適用漏れ — 住宅用家屋証明書の取得を忘れると、本則税率(2.0%)で計算され、数十万円の差が出ます。売買契約から登記まで1年以内・50㎡以上・自己居住要件を必ず確認。
  • 抵当権の課税基準を間違える — 抵当権設定登記の課税標準は債権金額(借入額)であり、物件評価額ではありません。フルローンなら物件価格に近くなりますが、頭金を入れた場合は借入額のみが対象です。
  • 相続登記の放置 — 2024年4月施行の相続登記義務化により、3年以内の登記が必要。過料10万円のほか、後日の売却・担保設定・遺産分割で相続人全員の押印が必要になり実務が困難化します。
  • 認定住宅特例の申請忘れ — 長期優良住宅・低炭素住宅の認定申請は着工前に行う必要があります。事後申請は不可。ハウスメーカーとの打合せで認定取得の意向を伝えましょう。
  • 登記識別情報の紛失 — 平成17年以降の登記識別情報(旧・権利証)は再発行不可。売却・担保設定時に必要となるため、金庫保管を推奨。紛失時は司法書士の本人確認情報作成で代替可能ですが、追加費用5-10万円がかかります。

関連する法令

  • 登録免許税法 ― 国税の一つとして登録免許税を規定。別表第一で登記事項別の税率、第2条で課税標準、第19条で最低税額1,000円を規定。
  • 租税特別措置法 ― 第72-74条で住宅用家屋の軽減、第84条の2の3で相続登記の免税措置を規定。時限立法として毎年度改正される。
  • 不動産登記法 ― 登記の種類、申請手続、義務、公示制度を規定。2021年改正で相続登記義務化・所有者不明土地対策を導入。
  • 民法 ― 所有権・抵当権等の物権、相続に関する基本ルール。2018年相続法改正で配偶者居住権が新設。
  • 司法書士法 ― 登記代理の独占業務を司法書士に付与。報酬の届出義務、懲戒制度、業務範囲を規定。
  • 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 ― 認定住宅の基準、認定手続、税制優遇の根拠法。
  • 都市の低炭素化の促進に関する法律 ― 認定低炭素住宅の基準、低炭素都市づくり計画の枠組み。

参考文献・公的資料

より正確な税率・軽減要件を確認したい場合は、以下の公的機関の資料を参照してください。

※本ページの計算結果は概算値です。実際の登記手続では、固定資産税評価額の年度、軽減適用要件、租税特別措置法の時限期限、認定住宅の要件確認が必要です。特に相続登記・大型物件・複雑な権利関係を扱う場合は、必ず司法書士(登記業務は司法書士の独占業務、司法書士法第3条)・税理士(税務判断)にご相談ください。租税特別措置法は毎年度の税制改正で条項番号・税率・期限が変更されるため、最新の法令・国税庁タックスアンサーを確認してください。

よくある質問(FAQ)

登録免許税と不動産取得税の違いは?

登録免許税は国税で登記時に納付、不動産取得税は都道府県税で取得後4-6ヶ月に納税通知が届きます。前者は登記事務手数料的性格、後者は資産取得に対する流通税。両方が課税されるため、住宅購入諸費用として合算計上します。

固定資産税評価額はどこで確認できる?

市区町村役場の資産税課で発行する固定資産評価証明書、または毎年4-5月に届く固定資産税納税通知書に記載。売買契約時は仲介業者経由で取得します。オンライン(マイナポータル連携)でも一部確認可能です。

「住宅用家屋証明書」はどこで取得する?

物件所在地の市区町村役場(税務課・資産税課)で発行。手数料1,300円程度、当日発行が一般的です。申請には登記事項証明書、契約書、住民票、耐震基準適合証明書(中古の場合)が必要。司法書士に依頼した場合は代行取得も可能。

司法書士に依頼せず自分で登記できる?

できます。特に住所変更、抵当権抹消は書式が定型的で本人申請が可能。売買や相続は書類・法的判断が複雑で、失敗すると再申請コストが発生するため専門家依頼が現実的。法務局の登記相談窓口(要予約)で書式指導も受けられます。

相続登記の期限を過ぎたら?

2024年4月施行の相続登記義務化により、正当な理由なく3年を超えると10万円以下の過料。ただし、遺産分割協議未了・行方不明相続人がいる等の正当理由があれば猶予。その場合でも相続人申告登記(登録免許税なし・簡易書式)で義務履行と認められます。

借り換え時の登録免許税は?

既存抵当権の抹消(1件1,000円)+新規抵当権の設定(軽減0.1%または本則0.4%)が必要。3,000万円の借り換えなら、軽減で3万円+1,000円+司法書士報酬5-8万円=約8-11万円が目安。住宅ローン軽減の要件を満たす場合は軽減を活用してください。

贈与登記と相続登記、どちらが安い?

登録免許税だけなら相続0.4% < 贈与2.0%で相続が安い。ただし贈与税・相続税・不動産取得税(相続は非課税、贈与は3%課税)の総合判断が必要です。生前贈与は相続時精算課税・暦年課税110万円非課税枠との比較検討を税理士と行いましょう。

マンション区分所有の登録免許税計算は?

専有部分(建物)+敷地権(土地の共有持分)の合計評価額×税率。土地分は敷地全体の評価額×敷地権割合(1万分のXX)で算出。管理組合から敷地権比率を確認するか、登記事項証明書に記載されています。

認定長期優良住宅の申請はいつまで?

着工前に所管行政庁への申請が必要で、事後認定は原則不可。設計段階でハウスメーカー・建築士と協議し、認定申請と建築確認を並行進行するのが実務。認定取得後、登記時に登録免許税の軽減特例が適用されます。

登記識別情報を紛失したら?

平成17年以降発行の登記識別情報は再発行不可。次回の売却・担保設定時には、司法書士が本人確認情報を作成(実費5-10万円)、または事前通知制度(法務局が本人宛書留郵便で意思確認)で代替可能。金庫保管を推奨します。

親子間売買の登録免許税は?

売買として通常の2.0%(住宅要件を満たせば軽減0.3%)。ただし、相場より著しく安い場合は「みなし贈与」として贈与税が課税されるリスクがあるため、税理士に相談を。相続対策としては「相続」「贈与」「売買」の3択で総合コスト比較が必要です。

会社所有の不動産の登録免許税は?

個人と同じ税率で計算されますが、住宅用家屋の軽減は個人の自己居住用のみのため、法人には適用されません。投資用・事業用は本則税率2.0%が基本。合併・分割・組織再編に伴う移転登記には別途特例があるため、税理士・司法書士に事前確認を。