発火点早見・自然発火温度
19種類の主要物質の発火点を早見表化。防爆機器の温度等級(T1〜T6)判定、熱源管理、火災リスク評価まで一括参照可能な現場向けツール。
発火点早見・自然発火温度ツール
発火点(自然発火温度・AIT)
Auto-Ignition Temperature: 着火源(炎・火花)なしに、加熱だけで自然に燃え始める最低温度。IEC 60079-20-1 が国際標準の測定法を規定。
防爆機器の温度等級:T1(≤450℃) / T2(≤300℃) / T3(≤200℃) / T4(≤135℃) / T5(≤100℃) / T6(≤85℃)
可燃性ガス・蒸気の発火点に応じ、機器表面温度をその温度未満に抑える。二硫化炭素(発火点90℃)はT6等級の防爆機器でなければ使えない、といった選定基準になる。
主要物質の発火点(自然発火温度)
| 物質 | 発火点℃ | 防爆温度等級 |
|---|---|---|
| 二硫化炭素 | 90 | T6 |
| ジエチルエーテル | 160 | T4 |
| 軽油 | 225 | T3 |
| 灯油 | 255 | T3 |
| ガソリン | 約300 | T3 |
| アセチレン | 305 | T2 |
| エタノール | 363 | T2 |
| 重油 | 380 | T2 |
| メタノール | 464 | T1 |
| プロパン(LPG) | 470 | T1 |
| 水素 | 500 | T1 |
| メタン(都市ガス) | 540 | T1 |
発火点早見・自然発火温度の詳しい解説
発火点(自然発火温度、Auto-Ignition Temperature: AIT)は、可燃物が着火源(炎・火花)なしに、加熱のみで自然発火する最低温度です。引火点との違いは「着火源が要るか要らないか」で、同一物質でも大きな差があります。ガソリンは引火点-40℃・発火点約300℃、灯油は引火点50℃・発火点255℃といった具合です。
防爆機器の選定では発火点が決定的な役割を果たします。IEC 60079/JIS C 60079シリーズが規定する温度等級 T1〜T6は、機器表面温度の上限を段階的に区切ったもの。可燃性ガス・蒸気の発火点より機器温度が低ければ着火リスクを除去できるという設計思想です。ガソリン蒸気雰囲気ではT3(200℃以下)以下の機器を、二硫化炭素雰囲気ではT6(85℃以下)機器のみが使用可能となります。
発火点が意外に低い物質として二硫化炭素(90℃)、ジエチルエーテル(160℃)があり、蒸気配管や熱源近くでの取り扱いに特別な注意が必要です。逆にメタン・水素の発火点は500℃前後と高めですが、最小着火エネルギーが極めて低いため、静電気の微小放電でも爆発するリスクがあり、発火点だけで安全度を判定できない例でもあります。
業界・現場での使い方
防爆機器選定
ガス種の発火点からT1-T6の温度等級を選定。石油化学プラント・塗装ブース・アルコール貯蔵所での機器選定基準。
工場の熱源管理
排気管・ホット面の温度を発火点未満に保つ設計。ディーゼル排気管温度500℃vs灯油発火点255℃で断熱が必須。
食品・厨房防火
天ぷら油の発火点約375℃を鍋温度で越えないよう温度管理。業務用フライヤーの安全装置設定基準。
よくある間違い・注意点
- 引火点と発火点を混同 — 引火点(炎必要)と発火点(自然発火)は別概念。ガソリン引火点-40℃vs発火点300℃と全く違う値。
- 発火点が高い=安全と即断 — 水素の発火点500℃だが最小着火エネルギーが0.02mJと極小。静電気で容易に爆発。
- 発火点は絶対値だと思う — IEC 60079-20-1 の測定条件で得た参考値。容器材質・雰囲気・粉じん有無で±30-50℃変わる。
関連する規格・法規
- Explosive atmospheres — 発火点・最小着火エネルギー等の物性測定法。
- 防爆電気設備 — 選定・設置基準(温度等級T1〜T6を規定)。
- 事業場での可燃物管理基準。
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
引火点と発火点はどう違う?
引火点は着火源が必要な最低温度、発火点は自然発火する温度。ガソリン引火点-40℃・発火点300℃と大きな差。
温度等級T3の防爆機器の意味は?
機器表面温度が200℃以下に抑えられる設計。発火点200℃以上のガス雰囲気で使用可能。
二硫化炭素の発火点90℃は現実的にどう危険?
真夏の直射日光下の金属表面(60-80℃)は問題ないが、水蒸気配管(100-120℃)は接触で発火可能。極めて厳格な温度管理が必要。
水素の発火点500℃と大きいのに危険なのは?
最小着火エネルギー0.02mJと極小で、静電気ボルト静電放電で容易に爆発。発火点だけで安全評価はできない。
天ぷら油火災はなぜ怖い?
発火点約375℃で高い温度だが、鍋の局所加熱で到達しやすく、水消火は爆発的な水蒸気爆発で火勢を拡大。消火は消火器か濡らした布で覆う。