液体の比重・密度早見表|25種類の密度と、g/cm³⇔lb/gal⇔°APIの換算
水20℃=0.9982、ガソリン0.75、灯油0.80、軽油0.83、A重油0.86、食用油0.92、水銀13.546 g/cm³。液体41種類のプリセットを内蔵し、質量↔体積の相互換算、SI単位(kg/m³)表示、水中での浮沈判定までまとめて出します。g/cm³⇔lb/gal⇔°APIの換算表、油1L・一斗缶・ドラム缶の重さ、石油計量の15℃温度補正、バッテリー液の充電判定など、石油計量・自動車整備・薬液調製・食品加工・危険物取扱者試験の演習で使う値をそのまま載せています。
液体比重表・密度計算ツール
基本式
密度 ρ = 質量 m ÷ 体積 V (g/cm³)
比重 = 物質密度 ÷ 基準密度(4℃水 = 1.0000 g/cm³)
比重は無次元(単位なし)、密度は g/cm³ または kg/m³ の単位を持つ物性値です。工学分野では 20℃水基準(0.9982 g/cm³)を採用するケースも多く、報告書では基準温度を必ず明記します。API比重・ボーメ度・Brix度など業界固有の派生指標との換算はそれぞれの専用ページを参照してください。
SI単位系との換算
1 g/cm³ = 1000 kg/m³ = 1 g/mL = 1 kg/L
国際単位系(SI)の正式な密度単位は kg/m³ ですが、日本の実用計算では g/cm³ が圧倒的に多く使われます。海外の設計図書や輸入資料は kg/m³ 表記が標準のため、換算漏れによる1000倍の桁ずれが設計事故や購買金額のずれに直結します。数値を転記するときは単位まで含めて写してください。
温度補正の基本式
実温密度 ρt = ρ20 × [1 − β × (t − 20)] (β:体膨張係数 /℃)
液体は温度が上がると膨張し、密度が下がります。体膨張係数βは物質ごとに異なり、ガソリンで約0.0007/℃、水で約0.0002/℃です。取引計量では、この補正を行わない実測値をそのまま使うことはできません。
主要液体の密度早見(20℃基準)
| 液体 | 密度 g/cm³ | 用途・現場備考 |
|---|---|---|
| 水(4℃) | 1.0000 | 密度の基準点 |
| 水(20℃) | 0.9982 | 工学計算の標準 |
| 海水 | 1.025 | 塩分3.5%平均 |
| ガソリン | 0.75 | 1L=750g |
| 灯油 | 0.80 | 1L=800g |
| 軽油 | 0.83 | 1L=830g |
| A重油 | 0.86 | ボイラー燃料 |
| C重油 | 0.94 | 船舶・大型ボイラー |
| 硫酸98% | 1.84 | 比重計で濃度推定可 |
| 塩酸36% | 1.18 | 試薬・洗浄用 |
| NaOH 48% | 1.50 | 苛性ソーダ濃厚液 |
| バッテリー液(満) | 1.28 | 1.20以下で要充電 |
| 水銀 | 13.546 | 気圧計・血圧計 |
| はちみつ | 1.42 | 糖度80%相当 |
| グリセリン | 1.26 | 医薬品・保湿剤 |
| エタノール | 0.789 | 消毒・溶媒 |
| メタノール | 0.79 | 工業用溶媒 |
| アセトン | 0.79 | 脱脂・洗浄 |
| エンジンオイル | 0.87 | SAE 5W-30等 |
| 食用油(サラダ油) | 0.92 | 1L≒920g |
| オリーブオイル | 0.91 | 食品受入検査の目安 |
| クーラント50% | 1.07 | エチレングリコール系 |
| 牛乳 | 1.03 | 脂肪分で微変動 |
| 醤油 | 1.15 | 塩分・アミノ酸由来 |
| クロロホルム | 1.48 | 水より重い有機溶媒 |
燃料油の温度別密度変化
| 燃料 | 15℃ | 20℃ | 30℃ |
|---|---|---|---|
| ガソリン | 0.753 | 0.750 | 0.743 |
| 灯油 | 0.803 | 0.800 | 0.793 |
| 軽油 | 0.833 | 0.830 | 0.823 |
| A重油 | 0.863 | 0.860 | 0.853 |
水の温度別密度(1気圧)
水は4℃で最大密度になり、そこから温度が上がるほど軽くなります。100℃では20℃比で約4%軽くなるため、温水配管や加熱タンクの質量計算では冷水の値をそのまま使えません。
| 温度 | 密度 g/cm³ | 温度 | 密度 g/cm³ |
|---|---|---|---|
| 0℃ | 0.9998 | 40℃ | 0.9922 |
| 4℃ | 1.0000 | 50℃ | 0.9881 |
| 10℃ | 0.9997 | 60℃ | 0.9832 |
| 15℃ | 0.9991 | 70℃ | 0.9778 |
| 20℃ | 0.9982 | 80℃ | 0.9718 |
| 25℃ | 0.9970 | 90℃ | 0.9653 |
| 30℃ | 0.9957 | 100℃ | 0.9584 |
密度の単位換算表(g/cm³ ⇔ kg/m³ ⇔ lb/gal ⇔ lb/ft³ ⇔ °API)
海外の仕様書・SDS・掘削流体の資料は lb/gal(ppg) や lb/ft³、石油業界は °API で書かれています。入力せずにそのまま読めるよう、換算後の値を並べました。使っている換算係数は次の定義値だけで、丸めは表示のときにしか行っていません。
1 US液量ガロン = 231 立方インチ = 3.785411784 L(1インチ=2.54 cm ちょうど)
1 ポンド(常用)= 0.45359237 kg ちょうど
1 立方フィート = 28.316846592 L(1フィート=0.3048 m ちょうど)
したがって 1 g/cm³ = 8.3454 lb/gal(US) = 62.428 lb/ft³
g/cm³ から引く
| g/cm³ =kg/L | kg/m³ | lb/gal US液量 | lb/ft³ | °API | この密度の液体 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.60 | 600 | 5.007 | 37.46 | 104.3 | — |
| 0.65 | 650 | 5.425 | 40.58 | 86.2 | — |
| 0.70 | 700 | 5.842 | 43.70 | 70.6 | — |
| 0.75 | 750 | 6.259 | 46.82 | 57.2 | ガソリン |
| 0.80 | 800 | 6.676 | 49.94 | 45.4 | 灯油 |
| 0.85 | 850 | 7.094 | 53.06 | 35.0 | 軽油〜A重油 |
| 0.90 | 900 | 7.511 | 56.19 | 25.7 | — |
| 0.92 | 920 | 7.678 | 57.43 | 22.3 | 食用油 |
| 0.94 | 940 | 7.845 | 58.68 | 19.0 | C重油 |
| 0.9982 | 998.2 | 8.330 | 62.32 | 10.3 | 水 20℃ |
| 1.0000 | 1000 | 8.345 | 62.43 | 10.0 | 水 4℃(°APIの基準点) |
| 1.05 | 1050 | 8.763 | 65.55 | 3.3 | — |
| 1.10 | 1100 | 9.180 | 68.67 | −2.9 | — |
| 1.20 | 1200 | 10.014 | 74.91 | −13.6 | 飽和食塩水 |
| 1.30 | 1300 | 10.849 | 81.16 | −22.7 | — |
| 1.40 | 1400 | 11.684 | 87.40 | −30.4 | — |
| 1.50 | 1500 | 12.518 | 93.64 | −37.2 | NaOH 48% |
| 1.84 | 1840 | 15.356 | 114.87 | −54.6 | 硫酸98% |
lb/gal から引く
海外資料に「7.5〜7.7 lb/gal」のように書かれていた場合の読み替えです。
| lb/gal US液量 | g/cm³ | kg/m³ | lb/ft³ | °API |
|---|---|---|---|---|
| 6.5 | 0.7789 | 779 | 48.62 | 50.2 |
| 7.0 | 0.8388 | 839 | 52.36 | 37.2 |
| 7.5 | 0.8987 | 899 | 56.10 | 25.9 |
| 7.7 | 0.9227 | 923 | 57.60 | 21.9 |
| 8.0 | 0.9586 | 959 | 59.84 | 16.1 |
| 8.33 | 0.9982 | 998 | 62.31 | 10.3 |
| 8.5 | 1.0185 | 1019 | 63.58 | 7.4 |
| 9.0 | 1.0784 | 1078 | 67.32 | −0.3 |
| 10.0 | 1.1983 | 1198 | 74.81 | −13.4 |
| 12.0 | 1.4379 | 1438 | 89.77 | −33.1 |
換算係数の出典:NIST Special Publication 811 Appendix B.9(gallon (U.S. liquid) → m³ = 3.785 412 E−03、pound (avoirdupois) → kg = 4.535 924 E−01、cubic foot → m³ = 2.831 685 E−02、inch → m = 2.54 E−02 は厳密値)。
°API の読み方と、この表の注意点
°API = 141.5 ÷ 比重(60°F/60°F) − 131.5
米国エネルギー情報局(EIA)の用語集にも “Degrees API = (141.5 / sp.gr.60 deg.F/60 deg.F) - 131.5” と同じ式が載っています。比重1.000がちょうど10°APIで、これより軽い油ほど数値が大きくなります(ガソリン相当の0.75で57.2°API)。水より重い液体はマイナスになります。
この表の°API欄は、左の密度の数値をそのまま「60°F/60°Fの比重」とみなして式に入れた値です。実務で使う°APIは60°F(15.56℃)基準の比重から求めるものなので、20℃で測った密度をそのまま入れると数℃分ずれます。取引に使う値は、API MPMS Ch.11.1 の体積補正を経てから求めてください。より詳しい換算はAPI比重換算ツールにあります。
油の比重と1Lの重さ 早見表
「この油は1L何グラムか」「ドラム缶1本で何kgになるか」を引くための表です。密度は主要液体の密度早見(20℃基準)と同じ値を使っています。
| 油種 | 密度 g/cm³ | 1 L | 18 L 一斗缶 | 200 L ドラム缶 | lb/gal | °API |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ガソリン | 0.75 | 750 g | 13.5 kg | 150 kg | 6.26 | 57.2 |
| 灯油 | 0.80 | 800 g | 14.4 kg | 160 kg | 6.68 | 45.4 |
| 軽油 | 0.83 | 830 g | 14.9 kg | 166 kg | 6.93 | 39.0 |
| A重油 | 0.86 | 860 g | 15.5 kg | 172 kg | 7.18 | 33.0 |
| エンジンオイル | 0.87 | 870 g | 15.7 kg | 174 kg | 7.26 | 31.1 |
| オリーブオイル | 0.91 | 910 g | 16.4 kg | 182 kg | 7.59 | 24.0 |
| 食用油(サラダ油) | 0.92 | 920 g | 16.6 kg | 184 kg | 7.68 | 22.3 |
| C重油 | 0.94 | 940 g | 16.9 kg | 188 kg | 7.84 | 19.0 |
容器の重さは含みません。18 L・200 L は公称容量での計算値です。密度は製品・銘柄・製造ロットで幅があり、燃料油は温度でも動きます(燃料油の温度別密度変化を参照)。取引・請求に使う数値は必ず現物の試験成績表かSDSの値を使ってください。
油はすべて水より軽いのが要点です。表のいちばん重いC重油(0.94)でも20℃の水(0.9982)を下回るため、水と混ぜれば必ず上に浮きます。油水分離槽やデカンターはこの密度差だけで動いています。逆に言うと、密度差が0.06しかないC重油と水の分離は、ガソリン(差0.25)に比べてはるかに時間がかかります。
濃度から比重は決まらない(推定するときの考え方)
「〇%溶液の比重は?」は現場で最も多い質問ですが、濃度だけでは比重は決まりません。溶けているものが何かによって答えが変わるためです。実際に、固形分65%の水溶液の密度を「体積が単純に足し算される」と仮定して計算すると、固形分そのものの密度しだいで次のように動きます。
1 ÷ 混合密度 = (固形分の質量割合 ÷ 固形分の密度)+(水の質量割合 ÷ 水の密度)
| 固形分の質量割合 | 固形分 1.3 g/cm³ | 1.5 g/cm³ | 2.0 g/cm³ | 2.6 g/cm³ |
|---|---|---|---|---|
| 10% | 1.022 | 1.033 | 1.051 | 1.064 |
| 30% | 1.073 | 1.110 | 1.175 | 1.225 |
| 50% | 1.129 | 1.199 | 1.332 | 1.443 |
| 65% | 1.176 | 1.276 | 1.480 | 1.665 |
水は20℃の0.9982 g/cm³として計算。この表は「混ぜても体積が変わらない」と仮定した理論値で、本ツールが置いた前提値です。実際の水溶液は溶解にともなって体積が縮むため、この値より重く出るのが普通です。
固形分65%という同じ条件でも、答えは1.18から1.67まで4割以上ひらきます。濃度の数字だけを頼りに比重を決めることはできない、というのがこの表の言いたいことです。1 kgの液体の体積を知りたい場合も同じで、1 kg ÷ 密度で出す以上、密度が分からなければ体積も出ません(密度1.276なら784 mL、1.665なら601 mL)。
ではどうやって決めるか
- 製品のSDS・試験成績表を見る — 市販の薬液・洗浄剤・濃縮液は、SDSの物理的化学的性質の欄に密度または比重が温度つきで書かれています。これが最も確実な一次情報です。
- 浮ひょう(液体比重計)で実測する — 200 mL程度あれば±0.01の精度で読めます。液温を必ず同時に記録し、報告値には基準温度を併記します。精度が要るなら比重瓶(ピクノメーター)か振動式密度計を使います。
- 化学便覧などの濃度—密度表を引く — 硫酸・塩酸・水酸化ナトリウム・エタノールのように工業的に重要な水溶液は、濃度ごとの密度が実測値として整備されています。本ページのプリセットに入れてある硫酸98%(1.84)・硫酸50%(1.395)・塩酸36%(1.18)・NaOH 48%(1.50)・NaOH 10%(1.11)・アンモニア水28%(0.898)は、そうした代表点です。
- 推定値だと明記して使う — 上の理論式で概算する場合は、必ず「体積加算を仮定した推定値」と書き添えてください。配合設計や取引計量にそのまま使える精度ではありません。
液体比重表・密度計算の詳しい解説
液体の比重(Specific Gravity, SG)は、基準物質(通常は4℃の水、密度1.0000 g/cm³)に対する密度の比で、単位を持たない無次元量です。一方の密度(Density, ρ)は、単位体積あたりの質量(g/cm³ または kg/m³)で表される物性値そのもの。両者は「基準密度が1」の場合に数値が一致するため実務では混同されがちですが、報告書や検査記録では厳密に区別することが求められます。
工学現場では温度補正が重要な意味を持ちます。たとえば石油業界では、原油や燃料の売買量は15℃基準の体積で計量することが国際慣習となっており(API標準)、輸送温度から15℃への補正には API MPMS Chapter 11.1(旧ASTM D1250)の体積補正係数表(VCF)を適用します。日本国内の計量法でも軽油の取引は15℃基準です。同じ1kLでも夏場30℃と冬場5℃では実質量が0.5〜1%変わるため、大型ローリー1台分(15-20kL)で数万円の差が生じます。
バッテリー液(希硫酸)の比重は充電状態の直接指標として100年以上使われている実用値です。満充電で1.28前後、1.20を下回れば要充電、1.10以下は過放電で回復困難と判断します。フォークリフト、電動車、蓄電池点検の現場では光学式比重計(屈折計)で毎日測定し、記録が電気事業法の点検義務にも紐づきます。ハイブリッド車の補機バッテリーや非常用電源設備でも同様の管理が行われ、鉛蓄電池の寿命診断はほぼ比重測定に依存しています。
薬液調製の現場では、比重表を使って体積から質量、質量から体積への相互変換を行います。たとえば硫酸98%を100g秤量したいとき、直接秤に載せると腐食リスクがあるため、密度1.84 g/cm³から逆算した約54.3mLをメスシリンダーで量り取るのが安全です。逆に希釈系列を作る場合、目標濃度と原液比重から必要mLを計算して段階希釈します。分析化学・環境試験・水処理の現場で日常的に使う計算です。
危険物取扱者試験(乙4種)では液体の比重・引火点・発火点・沸点が頻出範囲で、ガソリン0.65-0.75・灯油0.80前後・軽油0.85前後・重油0.85-1.00等の数値記憶が必須になります。特に「水より軽い引火性液体は水の上に浮いて広がる」という消火の原則(泡消火剤を使用する理由)は、比重の概念で理解する消防学の基礎です。
食品加工・醸造分野では、糖度(Brix)・アルコール度数・塩分濃度と比重の相関を利用した工程管理が主流です。ビール醸造では発酵前(初期比重)と発酵後(最終比重)の差からアルコール度数を推定し(SG差×131 ≒ ABV%)、味噌・醤油では塩分比重管理で品質を安定化させます。日本酒の日本酒度(SMV)も比重を換算した指標で、+の値が辛口・-の値が甘口を示します。
業界・現場での使い方
石油計量・タンク運用
15℃基準の体積補正(VCF)で在庫と出荷を一致させる。ガソリン・灯油・軽油・重油ごとの標準密度と実測密度の差から温度補正係数を求め、伝票・請求金額に反映。ローリー配送、SS(サービスステーション)在庫管理、備蓄基地の月次締めで必須の作業です。
自動車整備・バッテリー診断
鉛蓄電池の電解液比重を月次点検で測定し、1.20以下で補充電、1.10以下でセル交換判断。ハイブリッド車補機バッテリー、フォークリフト、非常用電源設備の保安点検で法定義務化されている項目もあり、電気事業法の記録保持要件に該当します。
薬液調製・希釈作業
化学工場、農薬散布現場、水処理施設、めっき工場で原液の比重から希釈mL量を逆算。硫酸・水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムなど濃度違いの製品を混同しないための一次チェックにも使用。危険物取扱者試験(乙4種)の実技演習でも定番の計算です。
食品加工・醸造
糖度(Brix)・アルコール度数・塩分濃度と比重の相関から工程管理。ビール醸造では発酵前後の比重差からアルコール度数を推定し、味噌・醤油では塩分比重管理で品質を安定化。清酒業界では日本酒度(SMV)が比重換算指標として国税庁の分析法にも組み込まれています。
水産・海洋業
海水比重1.020-1.030の管理は養殖・活魚輸送・水族館運営の基礎。海水製造装置、活魚船舶の水質管理、船舶の喫水線設計(排水量計算)で使用。海水淡水化プラントでは逆浸透膜の圧力設計にも密度データが必要です。
消防・危険物保安
危険物取扱者試験の乙種4類(引火性液体)は比重・引火点・沸点の物性値が中心。ガソリン0.65-0.75、灯油0.80、軽油0.85と数値を理解することで、貯蔵タンクの分類・消火剤の選定・警戒区域設定の判断ができます。
ケーススタディ:現場での実務計算
ケース1:軽油ローリー配送の温度補正
- 実測:8月夏場、温度32℃、軽油密度0.820 g/cm³、体積20,000L
- 15℃換算体積:VCF≒0.9878 → 20,000L × 0.9878 = 19,756L
- 差244Lは 約2万円分(軽油リッター80円想定)
- 取引はすべて15℃基準体積で行うのが計量法上のルール
ケース2:フォークリフトのバッテリー点検
- 比重計で電解液を測定 → 満充電1.28、点検時1.19
- 判定:1.20を下回っており要補充電
- 放置すると硫酸鉛の結晶化(サルフェーション)で復活不能に
- 週次点検の記録は電気事業法・労働安全衛生法の保安管理項目
ケース3:硫酸50%溶液の調製
- 目標:硫酸50%溶液を1L作りたい
- 硫酸50%の密度1.395 g/cm³ → 目標質量1395g
- 純粋な硫酸(98%)を原液として使う場合:1395g × 0.5 = 697.5g(硫酸100%換算)
- 98%硫酸から換算:697.5 ÷ 0.98 = 711.7g → 密度1.84で387mL
- 残り水量:1L − 387mL = 613mLの水を先に用意し、そこへ硫酸を少しずつ注ぐ(発熱・突沸注意)
ケース4:ビール自家醸造の比重管理
- 仕込み後(発酵前):初期比重(OG) = 1.055
- 2週間後(発酵完了):最終比重(FG) = 1.010
- アルコール度数(ABV) = (1.055 − 1.010) × 131.25 = 約5.9%
- ホームブルー・地ビール醸造の標準管理法で、比重計は必携
ケース5:船舶の喫水線チェック
- 船舶重量5000t、真水域と海水域で喫水が異なる
- 真水(1.000)域の喫水: X m → 海水(1.025)域では X × (1.000/1.025) = 0.976X
- 約2.4%喫水が浅くなる → 大型タンカーで数十cmの差
- 載貨重量制限・港湾入港制限の計算に必須
よくある間違い・注意点
- 温度を無視して密度を比較 — 密度は温度で変わる。ガソリンは1℃上昇で約0.0007 g/cm³低下する。夏冬の値をそのまま比較すると1%以上の誤差が出て、大量取引では致命的。基準温度(4℃/15℃/20℃)を必ず併記する習慣が重要。
- 「比重=密度」と扱う — 基準物質が水4℃の場合は数値が一致するが、20℃水基準(0.9982)だと数値がズレる。学術・工業規格ごとに基準が異なるため、換算時は必ず基準を確認。
- メスシリンダーの精度過信 — 比重計算で使うメスシリンダーの読取り誤差は最大±1%程度。0.1%精度が要る計量は電子天秤と比重瓶(ピクノメーター)を併用するのが正解。
- SI単位換算ミス — g/cm³ から kg/m³ への換算は×1000。設計図面や海外資料ではkg/m³表記が標準のため、換算漏れは配管サイズや構造計算のミスに直結する。
- 混合液の密度を単純平均で計算 — 混合前後で体積変化(体積収縮)が起きる液体があるため、単純平均では誤差が出る。エタノールと水の混合では最大3%の体積収縮が発生し、酒類製造の税務計算では重要なポイント。
- 不純物・濃度違いを無視 — 硫酸50%と98%では密度が1.395と1.84で大きく違う。「硫酸」とだけラベルされたボトルを比重計算する際は、必ずMSDS(安全データシート)で濃度を確認。
関連する規格・法規
- JIS Z 8807「固体の密度及び比重の測定方法」— 固体の測定手順を規定。液体は JIS Z 8804「液体比重測定方法」に規定。
- API Manual of Petroleum Measurement Standards Ch.11.1— 石油製品の温度体積補正(VCF)テーブル。日本国内では旧ASTM D1250として運用。
- 計量法(第16条)— 取引・証明用の計量器は検定合格品を使用。石油ローリーは15℃補正が売買の基準。
- 電気事業法・保安規程— 蓄電池設備の比重測定・記録は電気事業法の保安規程に基づく点検項目。
- 消防法(危険物の規制)— 引火性液体の分類・貯蔵取扱基準。比重・引火点で第1類〜第4類等に分類。
- JIS K 2249「原油及び石油製品−密度の求め方」— 石油業界の密度測定の標準方法。
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。危険物の取扱いは危険物取扱者・消防法遵守が必須です。
密度・比重の測定機器
| 測定機器 | 精度 | 用途 | コスト |
|---|---|---|---|
| 浮ひょう(液体比重計) | ±0.01 | 現場即測 | 2千-1万円 |
| 光学式比重計(屈折計) | ±0.001 | 糖度・塩分 | 1-3万円 |
| ピクノメーター(比重瓶) | ±0.001 | ISO/JIS公式測定 | 1万-3万円 |
| デジタル密度計(振動式) | ±0.00001 | 研究・品質管理 | 50万-500万円 |
| 電子天秤+メスシリンダー | ±0.01 | 簡易測定 | 5万-30万円 |
測定時の温度補正係数
密度は温度依存性が強く、報告値には必ず基準温度を明記する必要があります。石油では15℃、工学一般では20℃が標準。
| 液体 | 温度係数(1℃あたり密度変化%) |
|---|---|
| 水 | 約-0.02% |
| ガソリン | 約-0.07% |
| 灯油・軽油 | 約-0.07% |
| エタノール | 約-0.09% |
| 硫酸(高濃度) | 約-0.03% |
よくある質問(FAQ)
比重と密度は何が違う?
密度は単位体積あたりの質量(g/cm³)で、単位を持つ物性値。比重は基準物質(通常4℃水=1.0000)との密度比で、単位を持たない無次元量。4℃水基準なら数値上は一致するが、工学規格や温度条件で基準が異なることがあるため、公式書類では明示することが重要。
石油の15℃基準体積補正はどう計算する?
実測温度t℃・実測密度ρtから、API MPMS Ch.11.1の体積補正係数(VCF)表または計算式で15℃体積V15を求める。V15 = Vt × VCF。国内取引はこの15℃体積で行うのが計量法上の基本。ガソリン・軽油・重油で係数テーブルが異なる。
バッテリー液の比重で充電状態がわかる仕組みは?
鉛蓄電池では放電時に硫酸が水に近い硫酸鉛に変化し、電解液の硫酸濃度が下がる=比重が下がる。満充電1.28→放電1.10へ推移するため、比重計1本で充放電状態が読める。ただし温度補正が必要(20℃基準)で、寒冷地では見かけの比重が高くなる。
液体密度に温度補正が必要なのはなぜ?
液体は温度上昇で膨張し、体積が増えて密度が下がる。ガソリンで1℃あたり約0.07%、水で0.02%程度。大量計量や精密調製では無視できない誤差になる。石油業界では温度体積補正、化学分析では基準温度20℃補正が慣習化されている。
海水の比重が1.025なのはなぜ?
海水は塩分平均3.5%、その他の溶存イオンを含み、真水(1.000)より重い。地域や水深で1.020〜1.030の幅がある。船舶の喫水線設計、養殖業、海水淡水化プラントで基準値として使用され、水産業では活魚輸送の水質管理指標でもある。
体積を重量の単位(kg)で計算するには?
比重が水(1 g/cm³)に近い液体なら「1L ≒ 1kg」で近似可能だが、ガソリン1L=約750g、軽油1L=約830g、C重油1L=約940gと差がある。輸送や搭載重量計算では必ず密度×体積で正確に算出する。航空機・船舶の燃料搭載量計算では0.1%誤差も重要。
比重瓶(ピクノメーター)と比重計、どちらが精度が高い?
ピクノメーターは0.001 g/cm³の精度で校正が可能で、ISO/JIS準拠の公式測定に使用。液体比重計(浮ひょう)は±0.01程度で現場即測向き。デジタル密度計(振動式)はさらに精度が高く、0.00001 g/cm³まで測れる高級機もある。用途と精度要求に応じて選ぶ。
食用油の比重が水より小さいのに揚げ物が沈むのは?
食用油の比重は約0.92で水より軽いが、食材(含水率50-70%の生鮮品)の比重は約1.0〜1.1で油より重いため沈む。加熱で水分が蒸発し、内部に空気を含むと比重が下がり浮き上がる。天ぷらの「揚げ加減」の目安として料理人が経験的に使ってきた原理。
ビール発酵の比重管理はどうする?
初期比重(OG)と最終比重(FG)の差からアルコール度数を推定。ABV% ≒ (OG - FG) × 131.25。OG 1.050・FG 1.010なら約5.3%となる。ホビー醸造・地ビール製造で比重計(浮ひょう)は必携ツール。
危険物取扱者試験で頻出の液体比重は?
ガソリン0.65-0.75、灯油0.80前後、軽油0.85前後、重油0.85-1.00、エーテル0.71、二硫化炭素1.26、アニリン1.02等。「水より軽いか重いか」が消火剤選定・貯蔵法・警戒区域設定の判断基準になるため、暗記が必須の項目。
7.5〜7.7 lb/gal は g/cm³ でいくつ?
7.5 lb/gal = 0.8987 g/cm³(899 kg/m³)、7.7 lb/gal = 0.9227 g/cm³(923 kg/m³)です。1 g/cm³ = 8.3454 lb/gal(US) なので、lb/gal の値を8.3454で割れば g/cm³ になります。水(20℃)はちょうど8.33 lb/gal あたり。lb/galから引く表に6.5〜12 lb/gal を並べています。
°API と比重はどう換算する?
°API = 141.5 ÷ 比重(60°F/60°F) − 131.5。比重1.000がちょうど10°APIで、軽い油ほど数値が大きくなります(0.75で約57°API、0.83で約39°API)。水より重い液体はマイナス値です。°APIは60°F(15.56℃)基準の比重で定義されているため、20℃で測った密度をそのまま入れると数℃分ずれます。
ドラム缶1本(200L)の油は何kg?
ガソリンで約150 kg、灯油約160 kg、軽油約166 kg、A重油約172 kg、C重油約188 kgです(容器の重さを除く)。一斗缶(18 L)ならそれぞれ13.5・14.4・14.9・15.5・16.9 kg。油の比重と1Lの重さ 早見表にまとめています。
濃度〇%の溶液の比重はいくつ?
濃度だけでは決まりません。溶けているものの密度で答えが変わるためで、固形分65%の水溶液でも固形分が1.3 g/cm³なら約1.18、2.6 g/cm³なら約1.67と4割以上ひらきます。製品のSDSに書かれた密度を見るか、浮ひょうで実測するのが確実です。濃度から比重は決まらないで考え方を説明しています。
油と水が分離するのはなぜ?
密度差と極性の違いによります。油(約0.92)は水(約1.00)より軽いため上層に分かれ、さらに油は非極性で水と水素結合を作れないため混ざり合いません。デカンター・油水分離槽・遠心分離機は、いずれもこの密度差を利用した設備です。
食用油1Lは何グラム?
サラダ油で約920gです。オリーブオイルは約910g、ごま油は約920gで、揚げ物用ブレンド油もおおむね915〜925gの範囲に収まります。水1L(約1,000g)より約8%軽い計算になるため、業務用一斗缶(18L)なら約16.5kgと見積もれます。
ガソリン1Lの重さは?
20℃のレギュラーガソリンで約750gです。ハイオクは0.75〜0.77とわずかに重くなります。夏場に液温が40℃まで上がると膨張して約735g/Lまで下がるため、給油量と搭載重量を厳密に管理する航空・モータースポーツの現場では液温の記録が欠かせません。
バッテリー液の比重はいつ測る?
車検・定期点検・始動不良の発生時が基本です。判定は20℃換算で1.28以上=満充電/1.20〜1.24=要充電/1.20未満=充電必須。液温が20℃から外れる場合は温度補正して読み取ります。補充電直後は液が撹拌されておらず数値が安定しないため、しばらく置いてから測定してください。
水に浮くか沈むかの境界は?
20℃の水なら密度0.9982 g/cm³が境界で、これを下回れば浮き、上回れば沈みます。海水(1.025)では境界が上がるため、真水で沈む物体でも海水では浮くことがあります。氷が水に浮くのは、氷の密度が0.917 g/cm³と液体の水より小さいという水の特異な性質によるものです。
複数の液体を混ぜたときの密度は?
単純な加重平均では合いません。混合時に体積が収縮する非加算性があるため、線形計算では±1〜2%の誤差が出ます。エタノールと水の混合では最大3%程度の体積収縮が起きます。精度が要る場合は実測するか、化学便覧などの混合密度表を参照してください。
用語集
- 密度(ρ)
- 単位体積あたりの質量。g/cm³ または kg/m³ の単位を持つ物性値。
- 比重(SG)
- 基準物質(通常4℃水)に対する密度の比。無次元量。
- API比重
- 石油業界固有の指標。API = (141.5/SG60/60°F) − 131.5 で定義。
- ボーメ度(Bé)
- フランス生まれの比重指標。重ボーメ・軽ボーメの2種類あり、比重計に目盛りが刻まれている。
- Brix度
- 糖度指標。1Brix = 1%糖含量とほぼ等価で、清涼飲料・果汁業界で使用。
- VCF(体積補正係数)
- 石油製品の温度体積補正係数。API MPMS Ch.11.1で標準化。
- 15℃基準体積
- 石油製品の国際的な取引基準体積。実測温度から補正して算出。
- ピクノメーター
- 比重瓶。ISO/JIS準拠の密度測定用ガラス器具。
- 浮ひょう
- 液体比重計。ガラス製の浮きに目盛り付きで、現場即測に使う。
- 屈折計
- 光学式比重計。液の屈折率から糖度・塩分・比重を測定。
- サルフェーション
- 鉛蓄電池の電極に硫酸鉛が結晶化する現象。長期放置で発生し復活困難。
- 危険物取扱者
- 消防法に基づく国家資格。乙4種は引火性液体の管理。
まとめ・実務ポイント
液体の比重・密度は工学・化学・石油・食品・危険物のあらゆる現場で使う基礎物性値です。温度補正・基準物質の明記・不純物濃度の確認の3つは、報告書・伝票・検査記録すべてで求められる基本です。
石油計量では15℃基準体積(VCF)、バッテリー診断では比重1.20の閾値、薬液調製では体積↔質量換算、食品加工ではBrix度・アルコール度数への変換と、業界ごとに応用パターンが異なります。本ツールで基本値を確認し、業界固有の計算(API比重・ボーメ度・Brix度)は専用ページと組み合わせて使うのが実務での定番ワークフローです。
参考文献・公的リソース
- 日本産業標準調査会「JIS Z 8804 液体比重測定方法」jisc.go.jp
- 日本産業標準調査会「JIS K 2249 原油及び石油製品-密度の求め方」jisc.go.jp
- 経済産業省「計量法・計量制度」meti.go.jp
- 総務省消防庁「危険物の規制に関する政令」fdma.go.jp
- 石油連盟「石油製品規格と物性データ」paj.gr.jp
- 国税庁「酒類分析法・日本酒度(SMV)」nta.go.jp
- 危険物保安技術協会「危険物取扱者試験過去問題」kohaneko.com