電線許容電流 計算ツール|内線規程1340-1準拠・IV/CV/CVT電線の即参照早見
IV電線・CV電線・CVT電線の許容電流を、導体サイズと敷設方法別に即参照。電線管3本以下・4-6本・ケーブルラック・地中管路の電流減少係数を自動適用。内線規程1340-1・電技解釈146条・JIS C 3307/3605準拠。第二種/第一種電気工事士試験・電気主任技術者の実務判断に。
電線許容電流 計算機
許容電流の算定式
基本式
許容電流 Ia(A) = 基本許容電流 I0 × 電流減少係数 k1 × 温度補正係数 k2
電線の許容電流は、絶縁被覆の耐熱温度を超えない最大電流と定義されます。導体のジュール発熱と絶縁被覆の耐熱温度の平衡点で決まる物理量で、日本電気協会「内線規程1340-1表」および電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第146条が国内標準です。
絶縁材料と耐熱温度
基本許容電流の差は、絶縁被覆の耐熱温度に由来します。IV電線(ビニル絶縁)の最高許容温度は60℃、HIV電線(耐熱ビニル)は75℃、CV/CVT電線(架橋ポリエチレン)は90℃です。CVはIVより約1.2倍の電流を流せます。600V以下の低圧配線の中では、屋内用の主流はIV/HIV、幹線・引込・動力系統はCV/CVTが標準です。
電流減少係数の考え方
電線管への収納本数が増えると、放熱面積が減り温度が上昇するため許容電流を低減します。空気中単独=1.0、3本以下=0.70、4-6本=0.63、7-15本=0.56、16-40本=0.49が内線規程の値です。ケーブルラック敷設=0.80、地中管路=0.85は放熱条件がやや異なるため、別の係数が定められています。
IV電線 許容電流早見(空気中単独、周囲温度30℃)
屋内配線で最も頻用される600Vビニル絶縁電線(IV)の基本許容電流です。内線規程1340-1表に準拠しています。
| 導体サイズ | 基本許容電流 | 3本以下収納 | 4-6本収納 | 用途例 |
|---|---|---|---|---|
| 1.6mm(単線) | 27 A | 18.9 A | 17.0 A | 照明・小口回路20A |
| 2.0mm(単線) | 35 A | 24.5 A | 22.1 A | コンセント20A |
| 2.6mm(単線) | 48 A | 33.6 A | 30.2 A | コンセント30A |
| 2.0sq(より線) | 27 A | 18.9 A | 17.0 A | 1.6mm相当 |
| 3.5sq | 37 A | 25.9 A | 23.3 A | エアコン20A |
| 5.5sq | 49 A | 34.3 A | 30.9 A | エアコン30A・IH200V |
| 8sq | 61 A | 42.7 A | 38.4 A | 電気給湯40A |
| 14sq | 88 A | 61.6 A | 55.4 A | 厨房主幹75A |
| 22sq | 115 A | 80.5 A | 72.5 A | 幹線引込100A |
| 38sq | 162 A | 113.4 A | 102.1 A | 小規模幹線150A |
| 60sq | 217 A | 151.9 A | 136.7 A | 中規模幹線200A |
| 100sq | 298 A | 208.6 A | 187.7 A | 大規模幹線250A |
| 150sq | 395 A | 276.5 A | 248.9 A | 幹線350A |
| 200sq | 469 A | 328.3 A | 295.5 A | 大型幹線400A |
CV/CVT電線 許容電流早見(空気中単独、周囲温度30℃)
幹線・引込・動力系統で標準的に使用される600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV/CVT)の許容電流です。JCS 168F・JCAA C.C.-004準拠。
| 導体サイズ | CV単心 | CV3心 | CVT(トリプレックス) | 用途例 |
|---|---|---|---|---|
| 2.0sq | 30 A | 26 A | 28 A | 制御回路 |
| 3.5sq | 42 A | 37 A | 39 A | 照明・コンセント幹線 |
| 5.5sq | 55 A | 49 A | 52 A | 動力小容量 |
| 8sq | 70 A | 61 A | 65 A | 動力3.7kW |
| 14sq | 100 A | 88 A | 93 A | 動力5.5kW |
| 22sq | 130 A | 115 A | 122 A | 動力7.5kW・引込100A |
| 38sq | 185 A | 162 A | 170 A | 動力15kW・幹線150A |
| 60sq | 245 A | 217 A | 230 A | 動力22kW・幹線200A |
| 100sq | 340 A | 298 A | 320 A | 幹線300A |
| 150sq | 450 A | 395 A | 420 A | 幹線400A |
| 200sq | 535 A | 469 A | 500 A | 大型幹線500A |
| 250sq | 615 A | 540 A | 580 A | 大型幹線600A |
| 325sq | 720 A | 630 A | 680 A | 大型幹線700A |
CVはIVの1.15〜1.25倍の許容電流を持ちます。同じ電流を流す場合、CVを使えばIVよりワンサイズ小さい導体で済むケースが多く、材料費・電線管サイズ削減で経済的です。
電流減少係数(敷設方法別)
内線規程1340-1表2に規定される電流減少係数です。同一電線管・ダクト・ケーブルラック等に複数の電流ケーブルを収める場合、放熱条件が悪化するため許容電流を低減します。
| 敷設方法 | 収納本数 | 減少係数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 電線管・線ぴ | 3本以下 | 0.70 | 単相2線=2本、単相3線=3本まで |
| 4本 | 0.63 | 三相動力回路2系統程度 | |
| 5〜6本 | 0.56 | 屋内多回路配管 | |
| 7〜15本 | 0.49 | 盤内・スリーブ内密集 | |
| 16〜40本 | 0.43 | 制御盤・端子台密集 | |
| ケーブルラック | 単段配列 | 0.80 | ケーブル間隔>1D |
| ケーブルラック | 密着配列 | 0.72 | ケーブル間隔<1D |
| ケーブルラダー | — | 0.85 | ラダー式で放熱良好 |
| 地中管路 | 単管 | 0.85 | 1回線収納 |
| 地中直埋 | — | 0.90 | 土壌熱抵抗依存 |
周囲温度補正係数
基本許容電流は周囲温度30℃を前提としています。天井裏・屋外・機械室・工場など高温環境では、追加で温度補正係数を適用します。
| 周囲温度 | IV(60℃) | HIV(75℃) | CV(90℃) |
|---|---|---|---|
| 30℃(基準) | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
| 35℃ | 0.91 | 0.94 | 0.96 |
| 40℃ | 0.82 | 0.87 | 0.91 |
| 45℃ | 0.71 | 0.79 | 0.87 |
| 50℃ | 0.58 | 0.71 | 0.82 |
| 55℃ | 0.41 | 0.61 | 0.76 |
| 60℃ | — | 0.50 | 0.71 |
屋外配線・製鉄所・厨房・ボイラー室では50℃を超える環境も珍しくなく、IV配線では容量半減も起こり得ます。高温環境ではCV/HIVへの変更または導体サイズアップが必要です。
ブレーカ容量との対応
実務では「ブレーカ定格→必要電線サイズ」の逆算パターンが最頻出です。電技解釈149条に基づく、住宅・小規模建築で頻出のブレーカ・電線対応を示します。
| ブレーカ定格 | 回路用途 | 推奨IV電線(電線管3本以下) | 推奨CV電線 |
|---|---|---|---|
| 15A | 照明分岐 | 1.6mm(27×0.7=18.9A) | 2.0sq |
| 20A | コンセント一般 | 2.0mm(35×0.7=24.5A) | 2.0sq |
| 30A | エアコン・IH200V | 2.6mm or 5.5sq | 3.5sq |
| 40A | 電気給湯 | 8sq(61×0.7=42.7A) | 5.5sq |
| 50A | 大型EV充電 | 14sq | 8sq |
| 75A | 厨房主幹 | 22sq | 14sq |
| 100A | 戸建て幹線 | 38sq | 22sq |
| 150A | 店舗・小規模幹線 | 60sq | 38sq |
| 200A | 中規模幹線 | 100sq | 60sq |
業界・場面別の使い方
第二種電気工事士
住宅・店舗・500kW未満工場の屋内配線設計・施工。ブレーカ→電線サイズ→電線管サイズの逆算が日常業務。1.6mm・2.0mm・2.6mm単線とIV5.5sq/8sq/14sqが主戦場で、内線規程1340-1表を暗記レベルで使う筆記試験の頻出範囲でもあります。
第一種電気工事士・電気主任技術者
ビル・工場・特高受電の幹線設計・分電盤設計。太陽光発電システム・EV充電器・大型空調追加時の既設電線流用可否判定。CV/CVT38sq〜200sq級を扱い、電線管4本以上収納・ケーブルラック・地中管路の低減率適用が頻出です。
設計事務所・ゼネコン電気担当
新築図面段階での電線サイズ決定。将来負荷増を考慮して1〜2サイズアップで余裕設計するのが実務標準。CADの電気設計モジュールと連携し、単線結線図・幹線系統図の作成に許容電流表を参照します。
プラント・工場保守電気技師
製鉄所・化学プラント・食品工場の高温・多湿環境では温度補正係数の適用が必須。50℃を超える機械室ではIVを使わずHIV/CVを選定、屋外は耐候CV/EM-CE、腐食性環境ではEP絶縁を選ぶ判断が発生します。
太陽光発電・EV充電インフラ
PVアレイ・パワコン間の直流ケーブル、EV普通充電器(200V/30A)と急速充電器(三相200V/50〜100A)の幹線サイズ選定。EV充電器の増設で既設幹線が容量不足になる事例が急増しており、内線規程準拠の再設計が急務です。
再エネ・蓄電池システム
家庭用蓄電池(3〜10kWh)、産業用蓄電池(50〜1000kWh)のDC/AC配線設計。パワコン定格出力と力率から必要電流を求め、周囲温度を考慮したケーブルサイズを選定。EMSラック内密集配線では減少係数0.49を適用します。
よくある間違い・注意点
- 電線管収納本数を無視して基本値で設計 — 電線管に6本入れると許容電流は基本値の0.63倍。基本値のまま設計すると、ブレーカ動作前に電線発熱・被覆劣化・最悪火災の原因になります。「1回路=2本または3本」で数える必要があります。
- IV基準値をCV電線に適用 — CV電線はIVより約1.2倍の許容電流。同じサイズを両方IV扱いすると過小評価で不要な太物選定になり、逆にCV扱いで運用しない設計はまれです。JCS 168F・電線メーカーカタログで確認を。
- 周囲温度30℃前提のまま高温環境で使用 — 天井裏・屋外・機械室で50℃を超える環境ではIV電線の温度補正係数が0.58まで下がります。工場・厨房・ボイラー室ではHIVまたはCV選定が原則です。
- ブレーカ定格=許容電流と考える — ブレーカは電線保護の遮断装置。電線許容電流>ブレーカ定格が原則で、余裕率20〜30%を持たせるのが実務標準です。ブレーカ定格=許容電流一致の設計は電線発熱時に遮断が遅れます。
- 単線とより線(sq)の混同 — 1.6mmは単線の直径、2.0sqはより線の断面積。1.6mm≒2.0sq、2.0mm≒3.5sq、2.6mm≒5.5sqが相当関係です。混同すると許容電流表の参照値がズレます。
- 電圧降下を無視 — 幹線距離が長い場合、許容電流が足りていても電圧降下で機器が正常動作しない事例が発生。電技解釈149条の許容電圧降下(配電盤から機器まで2%以内)を並行チェックすべきです。
- 過去の内線規程で判断 — 内線規程は数年ごとに改定されており、2020年版と2016年版で係数が異なる項目があります。最新版(2020年版が現時点で最新の主要改訂)を参照してください。
関連する規格・法令
- 電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第146条 ― 低圧配線の許容電流に関する経産省告示。電線サイズと絶縁物の耐熱温度からの許容電流の考え方の法的基礎。
- 電気設備の技術基準の解釈 第149条 ― 低圧分岐回路の施設。分岐回路の電線太さ・ブレーカ定格の対応表。
- 内線規程 JEAC 8001-2022 ― 日本電気協会。低圧屋内配線の民間規格。1340-1表が許容電流の実務標準。
- JIS C 3307 ― 600Vビニル絶縁電線(IV)の構造・寸法・電気特性規格。
- JIS C 3342 ― 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)の構造・特性規格。
- JIS C 3605 ― 600Vポリエチレンケーブル(EE/PN)の規格。
- JCS 168F ― 日本電線工業会標準規格。600VCV/CVT電線の許容電流表。
- 電気事業法・電気工事士法・電気工事業法 ― 工事士資格・工事業登録・保安規程の法的枠組み。
- 労働安全衛生法・電気取扱者に関する特別教育 ― 感電災害防止の労働安全ルール。
参考文献・公的資料
電線許容電流の正確な値や最新の規格改定情報は、以下の公的機関・業界団体の一次資料を参照してください。
- 経済産業省 電気設備の技術基準 ― 電技本文と電技解釈の公式ページ。第146条・第149条の一次資料。
- 日本電気協会(JEAC) ― 内線規程JEAC 8001の頒布元。最新版の入手はここから。
- 電気工事技術講習センター ― 電気工事士・電気主任技術者向け技術資料。
- 電気技術者試験センター ― 電気工事士・電気主任技術者国家試験の実施機関。過去問公開。
- 日本電設工業協会 ― 電気設備工事の業界団体。設計・施工の実務資料。
- 日本電線工業会(JCMA) ― JCS規格・電線カタログ・許容電流計算資料。
- 日本産業標準調査会(JISC) ― JIS C 3307・C 3342・C 3605等、電線規格の閲覧。
- IEC(国際電気標準会議) ― IEC 60364シリーズが国際的な低圧配線の技術基準。
- NFPA 70 (National Electrical Code) ― 米国の電気工事規格。日本の内線規程の参考にもなっている。
- 電気安全推進協議会 ― 電気安全に関する啓発・情報提供。
よくある質問(FAQ)
IV電線1.6mmで20A流していい?
空気中単独なら基本許容電流27Aで問題ありません。ただし電線管3本以下収納では0.70×27=18.9Aとなり20Aブレーカ回路には不足。実務では1.6mm=15Aまで、2.0mm=20Aまでという運用が第二種電気工事士試験の標準判定です。将来の負荷増を見込むなら2.0mmが安全側です。
sqとmm(単線)の違いは?
sq=平方ミリメートル(mm²)で断面積の単位、mmは単線の直径。1.6mm単線≒2.0sq、2.0mm単線≒3.5sq、2.6mm単線≒5.5sqが概ねの相当関係。ただし単線とより線では若干構造が異なるため、許容電流表では別項目として扱われます。
CV電線がIVより許容電流大きい理由は?
絶縁被覆の耐熱温度差です。CV(架橋ポリエチレン)は最高許容温度90℃、IV(ビニル)は60℃。同じ導体サイズでも高温耐性が高い分、大電流を流せます。CVはIVの約1.15〜1.25倍の許容電流を持ち、同じ電流ならCVのほうがワンサイズ細い導体で済みます。
電線管の低減率はなぜかかる?
複数本収納で放熱面積が減り、温度上昇が加速するためです。IEC 60364と内線規程がそれぞれ本数別に係数を規定。3本以下=0.70、4-6本=0.63、7-15本=0.49と、収納本数増で急速に低減します。同一電線管に複数回路を通す設計では必ず適用が必要です。
周囲温度が高い場所では?
30℃基準の基本許容電流に温度補正係数を追加乗算します。IV電線で40℃なら0.82、50℃なら0.58まで低下。工場・厨房・ボイラー室・屋外配線では温度実測または想定最大温度で補正必須です。50℃を超える環境ではHIVまたはCV/CVTへの切替が原則。
2種電気工事士試験では何mmまで出る?
1.6mm・2.0mm単線とIVより線2.0sq/3.5sq/5.5sqが頻出。より高次の1種試験では14sq/22sq/38sqまで、電気主任技術者では200sq級まで対象です。技能試験では1.6mmと2.0mmを主に扱い、リングスリーブ小・中・大の使い分けと連動して出題されます。
CVTとCV3心の違いは?
CVT(トリプレックス)は3本の単心CVをより合わせた構造、CV3心は3本の絶縁体を共通のシースで覆った構造。CVTのほうが放熱に有利で、同じ導体サイズならCVTの許容電流が5〜10%大きくなります。動力回路の主流はCVTです。
アルミ電線の許容電流は?
アルミ電線は銅電線の約80%の許容電流(同じ導体サイズ換算)で、体積抵抗率が高いためワンサイズ太い導体が必要です。高圧受電盤・変圧器二次側・引込線でコスト削減のため使用されるケースがあり、内線規程1340-2表に別途規定されています。
EV充電器を増設したい、既設は流用できる?
EV普通充電器200V/30Aなら5.5sq以上、急速充電器なら14sq以上が目安。既設の分電盤〜駐車場までの電線サイズと現状負荷を確認し、余裕電流と電圧降下の両面で判定します。多くのケースで幹線サイズアップまたは専用分電盤新設が必要になります。
電線サイズと電線管サイズの関係は?
電線管には収容できる電線の総断面積が規定されています(内線規程 3350-6表)。VE管・PF管・CD管・金属管でそれぞれ異なり、収容率30%(占積率40%)程度が実務目安。太物ケーブルを無理に細管に通すと絶縁破壊・冷却不足の原因です。
電圧降下も一緒に確認すべき?
必須です。許容電流が足りていても、幹線が長距離・大電流だと電圧降下で機器が正常動作しません。電技解釈149条では配電盤〜機器までの許容電圧降下2%以内(幹線+分岐合計で3.5%以内)が原則。ΔV(V)=35.6×L×I/(1000×A)で概算します。
屋外・地中埋設で注意する点は?
屋外はUV耐性のあるEM-CE/EM-EEF/耐候CV、地中埋設はCVTまたはCV3心を管路収納するのが標準。地中管路収納では減少係数0.85を適用します。土壌熱抵抗率(K・m/W)で許容電流が変わるため、大型工事では土壌調査が必要です。