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ブレーカ容量選定(負荷合計→ブレーカ)|主幹容量と主幹電線サイズを即算出

エアコン・IH・電気給湯・EV充電器・その他機器の消費電力を合算し、需要率と1.25倍安全率を掛けて主幹ブレーカ容量と主幹電線サイズ(sq)を提案します。単相100V/単相200V/三相200V対応。住宅・店舗・小規模事業所の分電盤設計、オール電化改修、EV充電器導入時の容量アップ判定に。JIS C 8201・内線規程JEAC 8001の考え方に沿った実務ロジックです。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

ブレーカ容量選定(負荷合計→ブレーカ)ツール

計算式と選定手順

基本式

実効負荷kW = 合計負荷kW × 需要率

主幹電流I = 実効負荷kW × 1000 ÷ (電圧V × 力率cosφ) 【単相】

主幹電流I = 実効負荷kW × 1000 ÷ (√3 × 電圧V × 力率cosφ) 【三相】

ブレーカ容量 ≥ 主幹電流I × 1.25

需要率(Demand Factor)の考え方

複数機器が同時に全て使われることは稀なため、実際に同時使用される確率を需要率(Demand Factor)として掛けて実効負荷を算出します。住宅0.6〜0.8、店舗0.5〜0.7、工場0.4〜0.6が目安。データセンター等の常時全負荷施設では0.9〜0.95。需要率を100%で計算すると過大契約となり、基本料金が無駄になります。

安全率1.25の理由

ブレーカは定格電流の1.25倍で数分間動作特性を持つため、定格ぎりぎりで運転するとサージ電流や起動電流で頻繁にトリップします。実務では負荷電流×1.25を最低ライン、標準シリーズから一段上を選定するのが慣行。JIS C 8201「低電圧開閉装置及び制御装置」で規定されるブレーカ動作特性に基づく設計判断です。

力率cosφの適用

抵抗負荷(白熱電球・電気ストーブ)はcosφ=1、モーター負荷(エアコン・冷蔵庫)は0.85〜0.95、蛍光灯は0.9(電子式安定器)。三相200V誘導電動機は0.85〜0.9が一般的。本ツールは単相cosφ=0.95・三相cosφ=0.9で計算しますが、力率改善コンデンサ設置時は0.95以上まで改善可能です。

電源方式と電圧選択

電源電圧主な用途ブレーカ最大
単相2線100V100V小規模店舗・古い住宅30A
単相3線100/200V100/200V現代の住宅・小規模施設60〜75A(戸建て)
三相3線200V(動力)200V業務用エアコン・厨房・工場設備150〜250A
三相4線400V400V(230V)大型設備・データセンター受電200A以上

住宅・小規模事業所の一般契約は単相3線100/200Vが標準。エアコン200V化・IH・EV充電器・エコキュートで200V回路を効率的に使えるのがメリット。三相200Vは業務用エアコン・厨房動力・生産機械が主な対象で、電力会社の「低圧電力」契約(0.5kW以上50kW未満)が該当します。

用途別 需要率の目安

内線規程JEAC 8001および実務経験値に基づく需要率です。個別施設の実測データがあればそれを優先してください。

建物用途需要率備考
戸建住宅60-80%オール電化+EV充電は上限
共同住宅(戸別)50-70%間接的な同時使用少
オフィス60-80%OA機器・空調の同時稼働
店舗・商業50-70%ピーク時集中
飲食店(厨房動力)60-80%営業時間集中使用
ホテル・旅館50-60%チェックイン後のみ
学校50-70%時間割による偏り
病院60-80%医療機器・空調常時稼働
工場(組立・軽作業)50-70%業種・シフトで変動
工場(連続稼働)70-90%24時間フル運転
データセンター90-95%常時ほぼ全負荷
倉庫(照明のみ)30-50%稼働時のみ

JIS標準ブレーカ容量シリーズ

JIS C 8201-2「低電圧開閉装置及び制御装置(遮断器)」に基づく標準シリーズです。中間容量を選ばず、必ずシリーズから一段上を選定します。

フレーム定格容量主な用途
50AF20,30,40,50A住宅分電盤・小規模分岐
100AF60,75,100A戸建住宅主幹・小規模店舗
225AF125,150,175,200,225A中規模事業所・小工場主幹
400AF250,300,350,400A中規模ビル・大型工場
600AF以上500,600,800A〜大型ビル・受変電所

住宅で従来主流だった30A・40A契約は、オール電化・EV充電の普及で60A・75A・100Aへの容量アップが急増中。「アンペアブレーカ」(電力量計側)と「主幹漏電ブレーカ」(分電盤側)は連動していないため、契約変更時は両方の交換確認が必要です。

主幹電線サイズ選定表

ブレーカ容量に対応する主幹電線サイズです。600V CV(架橋ポリエチレン絶縁ビニル外装)・CVT(CVトリプレックス)ケーブルを想定し、内線規程JEAC 8001の許容電流に基づきます。周囲温度30℃・気中布設。

ブレーカ推奨主幹電線許容電流備考
20A3.5sq(1.6mm相当)37A単相2線100V
30A5.5sq(2.0mm相当)49A従来の一般住宅
40A8sq61A
50A14sq88A
60A14sq88Aオール電化住宅の主流
75A22sq115AEV充電器付き住宅
100A38sq162A大型戸建・小規模店舗
125-150A60sq217A
200A100sq298A
250A150sq395A

集合布設(4本以上・管内配線)は許容電流に0.7〜0.85の低減係数が掛かるため、実際の電線選定はさらに大きなサイズが必要になる場合があります。

主要家電・設備の消費電力早見

機器消費電力電源
エアコン(6畳用)500〜700W100V
エアコン(14畳用)1200〜1800W200V推奨
エアコン(業務用)2.5〜10kW三相200V
IH調理器(3口)5.8kW(200V/30A)200V専用
電気給湯器(エコキュート)1.2kW(貯湯)200V専用
電気給湯器(電気温水器)4〜5.5kW200V専用
EV普通充電器3kW(200V/15A)200V専用
EV普通充電器(6kW)6kW(200V/30A)200V専用
電子レンジ(1.5kW)1500W100V/15A
電気ケトル1200W100V
ドライヤー1200W100V
冷蔵庫(500L)150〜250W100V(常時稼働)
洗濯乾燥機1000〜1300W100V
食洗機1200W100V
照明(LED全戸)200〜500W100V

業界・現場での使い方

🏠 住宅・オール電化改修

IH・エコキュート・EV充電器導入時の分電盤更新判断。既設30Aから60〜75Aへの契約変更手続きも連動。電力会社への「契約容量変更申込」+主幹ブレーカ交換+引込線サイズ確認で、工事費は5〜15万円が目安。

🏪 店舗・オフィス新規開業

厨房動力・空調・照明・OA機器の合計負荷から主幹ブレーカ選定。低圧電力(三相200V)契約の要否判定、電気工事業者との事前協議、電力会社への申請書類作成の初期資料に。開業前の初期投資見積り(電気設備は総工費の5〜10%相当)に反映。

🏭 工場・生産設備

複数機械の同時稼働率から需要率を精査。過大契約による基本料金過払いの見直し、増設時のブレーカ容量アップ判断、電力会社の高圧需要家向けデマンド管理と連動。

⚡ EV充電器導入判定

普通充電器(3kW)なら既設30A住宅でも設置可能、6kW充電器・急速充電器なら60〜75A契約が必須。設置前に既設ブレーカ容量と負荷余裕を必ず確認。マンション設置時は共用電源からの分岐可否を管理組合と協議。

🔌 電気工事士の材料拾い

主幹ブレーカ・分岐ブレーカ・幹線(CVT)・分岐配線(VVF)の一括見積り。材料費の中で主幹ブレーカ・幹線の比率が高いため、正確な容量選定が原価管理に直結。

📊 電気主任技術者の年次点検

既設設備の負荷実測値と主幹ブレーカ容量の比較、増設余裕率の把握、デマンド超過リスクの評価。電気事業法に基づく高圧需要家の保安管理業務の一環。

よくある間違い・注意点

  • 需要率を100%で計算 — 住宅で実際には60〜80%程度。100%で計算すると過大契約になり、基本料金が無駄。逆に40%以下だと同時使用で頻繁にトリップ。
  • 1.25倍の安全率を忘れる — 定格ぎりぎりだと起動電流やサージで頻繁にトリップ。1.25倍の余裕は必須。JIS C 8201のブレーカ動作特性に基づく設計原則です。
  • 主幹と分岐の合計を一致させる — 分岐合計は主幹の1.5〜2倍でもOK(同時使用しない前提)。分岐は機器保護、主幹は電線保護。同時ON前提で設計すると過大投資になります。
  • 三相負荷を単相式で計算 — 三相の電流は√3(≒1.732)倍の分母。単相式で計算すると1.7倍の過大評価となり、必要以上に大きなブレーカを選定してしまう。
  • 力率を無視した計算 — 誘導電動機・エアコンなどは力率0.85〜0.95。cosφ=1で計算すると10%程度電流を過小評価し、実運転でブレーカがトリップするリスク。
  • 幹線ケーブルの許容電流を忘れる — ブレーカを大きくしても、幹線ケーブルの許容電流が下回っていると絶縁破壊・火災の原因。ブレーカと幹線は必ずセットで確認。
  • ブレーカと漏電遮断器の混同 — 主幹漏電ブレーカは過電流+漏電の両方を検出。感電・火災防止で法定設置(電気設備技術基準)。単なる過電流ブレーカとの機能差を認識。
  • EV充電器の常時最大電流を忘れる — EV充電は6〜8時間連続で定格電流を流し続けます。他の断続負荷と違い、需要率を下げにくいため、EV充電回路は専用配線+専用ブレーカが原則。

関連する規格・法規

  • 電気設備技術基準・解釈(電技解釈) ― 経済産業省令。分岐回路・過電流遮断器・漏電遮断器の施設方法を規定。
  • 内線規程 JEAC 8001 ― 一般社団法人日本電気協会の技術基準。分電盤設計・幹線サイズ・分岐回路構成の実務基準。
  • JIS C 8201-2-1 ― 低電圧開閉装置及び制御装置 第2-1部:遮断器(配線用遮断器/MCCB)。遮断特性・動作時間の規格。
  • JIS C 8201-2-2 ― 低電圧開閉装置及び制御装置 第2-2部:漏電遮断器(ELCB/RCD)。感度電流・動作時間の規格。
  • JIS C 3605 ― 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)。幹線ケーブルの主要規格。
  • JIS C 3342 ― 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVF/VVR)。屋内配線ケーブルの主要規格。
  • 電気事業法 ― 電気の適正な供給に関する法律。契約種別・保安管理の根拠。
  • 電気工事士法 ― 電気工事の作業資格。500V以下の需要設備の工事は第二種電気工事士以上が必須。
  • 電気工事業法 ― 電気工事業の営業登録。分電盤新設・改修時の業者選定基準。

参考文献・公的資料

ブレーカ選定・電気設備工事の最新基準は必ず以下の一次資料でご確認ください。

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の分電盤設計・ブレーカ選定・電線サイズ選定は、内線規程JEAC 8001の最新版、電気設備技術基準の解釈、および各電力会社の供給約款に従ってください。電気工事は電気工事士法により有資格者(第二種以上の電気工事士)による施工が必須です。無資格工事は感電・火災事故のリスクに加え、罰則の対象になります。契約容量変更は電力会社への申請と連動しますので、必ず電気工事業者を通じて手続きしてください。

よくある質問(FAQ)

需要率の目安は?

住宅60〜80%、オフィス60〜80%、店舗50〜70%、工場40〜70%、データセンター90〜95%。用途で大きく違うので、内線規程JEAC 8001の推奨値か類似物件の実測値を参考にしてください。実測データがあれば最優先。

主幹より分岐合計が大きくてもOK?

OK。全分岐が同時ON前提ではないため、分岐合計が主幹の1.5〜2倍でも問題ありません。分岐は機器保護、主幹は電線保護と役割が異なります。むしろ分岐を過小に設定すると個別家電が使えなくなります。

30Aから60Aへの契約変更手続きは?

電力会社への「契約容量変更申込」+ 主幹ブレーカ交換 + 引込線サイズ確認。工事費5〜15万円が目安、工期は申込から2〜4週間。電気工事業者を通じて申込するのが実務上スムーズです。基本料金は増額(30A→60Aで月+800〜1200円程度)。

EV充電器200V/32Aだけで6.4kW増える?

そう。既設60A契約でも余裕2〜3kW程度の家庭ならEV充電中に他家電使用でトリップ懸念があります。EV充電回路は専用ブレーカ+専用配線が原則。EV充電時間帯(深夜)に他家電をあまり使わない前提で運用設計するか、75A契約へアップグレードします。

サブブレーカと漏電ブレーカの違いは?

過電流遮断は同じ機能ですが、漏電ブレーカは電源側からの漏電も検出して遮断します。感電・火災防止で法定設置(電気設備技術基準)。住宅の主幹は「主幹漏電ブレーカ」、分岐は「サブブレーカ(配線用遮断器)」が標準構成です。

三相200V(動力)契約はいつ必要?

業務用エアコン・厨房動力・生産機械などの三相200V誘導電動機を使うとき。低圧電力契約(0.5kW以上50kW未満)は電力会社と個別契約。一般契約(従量電灯B/C)とは別料金体系で、基本料金は動力の合計kW×1050円/kW前後(電力会社により異なる)。

アンペアブレーカと主幹ブレーカは同じ?

違います。アンペアブレーカは電力量計側の契約容量表示ブレーカ(電力会社所有)、主幹ブレーカは分電盤側の遮断器(需要家所有)。契約容量変更時は電力会社がアンペアブレーカを、電気工事業者が主幹ブレーカを交換します。

スマートメーターだとアンペアブレーカ不要?

不要です。スマートメーター側で契約容量を電子的に管理するため、物理的なアンペアブレーカは撤去されます。ただし主幹漏電ブレーカは引き続き設置必須。契約容量変更は電力会社への申請のみで、工事なしで可能(短時間停電あり)なケースが増えています。

ブレーカが頻繁にトリップします。原因は?

原因は主に4つ:①合計負荷が契約容量超過(容量アップ検討)、②漏電(絶縁不良/機器故障/水濡れ)、③配線劣化(古い住宅で発生)、④ブレーカ自体の劣化(20年以上使用時)。まず配電盤の内訳を確認し、電気工事店の点検を依頼してください。

力率の計算はどうする?

実測が最も正確ですが、目安として:抵抗負荷(電気ストーブ・白熱電球) cosφ=1、蛍光灯・LED cosφ=0.9、エアコン・冷蔵庫 cosφ=0.85〜0.95、三相誘導電動機 cosφ=0.85〜0.9、力率改善コンデンサ設置時 cosφ=0.95以上。本ツールは単相0.95・三相0.9で計算しています。

分電盤は自分で交換できる?

できません。電気工事士法により、分電盤の設置・交換は第二種以上の電気工事士による施工が必須です。無資格工事は感電・火災事故のリスクに加え、電気工事士法違反で罰則(3か月以下の懲役または3万円以下の罰金)の対象となります。

幹線ケーブルのCV/CVT/VVFの違いは?

CV=架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース(単芯)、CVT=CVを3本撚り合わせたトリプレックス、VVF=平型ビニル絶縁ビニルシース。幹線(主幹)はCV/CVT、屋内分岐配線はVVFが標準。耐熱性・許容電流はCV/CVT>VVFで、幹線には必ずCV/CVTを使用します。