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発火点AIT防爆IEC 60079危険物安全

発火点(自然発火温度・AIT) 早見表|19物質のAITと防爆温度等級 T1〜T6 判定

19種類の主要可燃物の発火点(AIT)を早見表化し、IEC 60079/JIS C 60079シリーズに基づく防爆機器温度等級(T1〜T6)を自動判定。ガソリン・灯油・軽油・水素・メタン・二硫化炭素・食用油まで、石油化学プラント・塗装ブース・アルコール貯蔵所・厨房防火の現場で必要な熱源管理・火災リスク評価をワンストップで参照可能。消防法危険物、労働安全衛生法、電気事業法の実務に対応。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

発火点早見・防爆温度等級 判定ツール

計算式・温度等級の定義

発火点(AIT)の定義

AIT = 着火源なしで自然発火する最低温度(℃)

Auto-Ignition Temperature(AIT)は、可燃性物質を空気中で加熱していったときに、炎・火花などの外部着火源がなくても自発的に燃焼を開始する最低温度と定義されます。国際標準の測定法はIEC 60079-20-1(旧ASTM E659同等)で規定され、一定容積のガラスフラスコに試料を注入し、外部から均一加熱して発火の有無を観察する手順です。

防爆機器の温度等級

T1 ≤ 450℃ / T2 ≤ 300℃ / T3 ≤ 200℃ / T4 ≤ 135℃ / T5 ≤ 100℃ / T6 ≤ 85℃

可燃性ガス・蒸気雰囲気で使用する電気機器は、機器表面温度がその雰囲気ガスの発火点を超えないことが必須。IEC 60079-0(JIS C 60079-0)ではこの上限温度を段階的に区切ったのが温度等級T1〜T6です。ガソリン(AIT約300℃)雰囲気ではT3(200℃以下)機器、二硫化炭素(AIT 90℃)雰囲気ではT6(85℃以下)機器のみが使用可能となります。

安全マージンの取り方

実運用では発火点そのままではなく、環境要因のばらつきを考慮して「AITの80%以下」を推奨する安全設計指針もあります。例:AIT 300℃なら240℃を機器許容温度の目安とする、といった保守側の考え方です。

発火点と引火点・爆発限界の違い

可燃性物質の危険性は複数の指標で評価します。発火点(AIT)、引火点(Flash Point)、爆発限界(LEL/UEL)、最小着火エネルギー(MIE)はそれぞれ意味が異なる別概念で、混同すると安全設計を誤ります。

指標意味ガソリン例
発火点(AIT)着火源なしで自然発火する温度約300℃
引火点(Flash Point)着火源があれば燃焼が始まる最低液温約-40℃
爆発下限界(LEL)燃焼可能な最低ガス濃度約1.4vol%
爆発上限界(UEL)燃焼可能な最高ガス濃度約7.6vol%
最小着火エネルギー(MIE)着火に必要な最小放電エネルギー約0.24 mJ
燃焼熱単位質量あたり燃焼で放出する熱約44 MJ/kg

特にガソリンは引火点-40℃・発火点300℃と大きく離れているのが特徴。一方、水素は発火点500℃と高めですが、MIEが0.02 mJと極小のため、静電気の微弱放電でも爆発する危険があります。指標を1つに絞らず、複数を組み合わせた総合評価が必要です。

19物質の発火点(自然発火温度)早見表

各物質のAIT値と対応する防爆温度等級、代表的な取扱場面をまとめました。数値はIEC 60079-20-1準拠の測定文献値および総務省消防庁「危険物データベース」に基づく参考値です。

物質発火点 ℃防爆温度等級備考
二硫化炭素90T6第4類第1石油類特殊引火物。最も低いAIT
ジエチルエーテル160T4第4類特殊引火物。麻酔・溶剤用途
軽油225T3第4類第2石油類。ディーゼル燃料
灯油255T3第4類第2石油類。暖房・ジェット
ガソリン約300T3第4類第1石油類。車両燃料
アセチレン305T2圧縮ガス。溶接・切断用
エタノール363T2第4類アルコール類。消毒・燃料
食用油(サラダ油)360-390天ぷら火災の原因
重油380T2第4類第3石油類。ボイラー燃料
約450ラウダー現象・古紙貯蔵注意
木材400-490樹種・含水率で変動
メタノール464T1第4類アルコール類。化学原料
キシレン464T1塗料溶剤・印刷インキ
アセトン465T1塗料溶剤・接着剤
プロパン(LPG)470T1LPG主成分。家庭用ガス
トルエン480T1塗料・接着剤・合成原料
ベンゼン498T1発がん性・第4類危険物
水素500T1MIE極小・広い爆発範囲
メタン540T1都市ガス・LNG主成分

防爆機器 温度等級 T1〜T6 対応表

IEC 60079-0 / JIS C 60079-0 に規定される温度等級の一覧です。使用する雰囲気ガスのAITに応じて機器を選定します。

温度等級機器表面温度の上限適用可能なガス例
T1450℃以下メタン・水素・アンモニア・エチレン等 高AITガス
T2300℃以下エタノール・アセチレン・重油蒸気・ブタン
T3200℃以下ガソリン・灯油・軽油・ヘキサン等 中AIT溶剤
T4135℃以下ジエチルエーテル・アセトアルデヒド
T5100℃以下(該当ガス少数)
T685℃以下二硫化炭素・エチレンオキシド

危険場所の分類(Zone 0/1/2 または 20/21/22)と組み合わせて、防爆構造記号(Ex d, Ex e, Ex i等)とともに機器銘板に表示されます。例:Ex d IIB T3 Gb はガソリン雰囲気(グループIIB、T3)で使用可能な耐圧防爆機器を意味します。

AIT測定方法(IEC 60079-20-1・ASTM E659)

発火点の測定は試験条件が結果に大きく影響します。国際標準の測定手順をまとめました。

IEC 60079-20-1 標準法

500mLのガラス製丸底フラスコを電気炉で均一加熱し、微量試料を注入して5分以内の発火有無を観察。温度を段階的に上下させ、10回中で発火する下限温度を求める。国際的な防爆機器認証で用いられる公式法。

ASTM E659

米国材料試験協会が定める測定法。IEC法とほぼ同じ原理で、フラスコ容量・注入方法・観察時間の詳細が規定される。米国UL認証・NEC(米国電気工事規約)防爆分類の根拠。

ホットワイヤ法

電気加熱された金属線に試料を接触させ発火有無を観察する簡易法。粉じん爆発の評価(粉じん雲/粉じん層のMIT)で使われる。JIS Z 8817等に規定。

試験条件の影響

容器材質(ガラス⇔金属)、雰囲気(空気⇔酸素過剰)、粉じん有無、圧力条件でAIT値は±30〜50℃変動します。文献値をそのまま安全設計に使うのではなく、実運用条件下での安全マージンを取ることが原則。

業界・現場での応用

防爆機器選定(石油化学・製薬・塗装)

石油化学プラント、塗装ブース、アルコール貯蔵所、印刷インキ工場では、雰囲気ガス種のAITに応じてT1〜T6の温度等級を選定。ガソリン雰囲気ではT3以下、二硫化炭素ではT6と、機器選定基準が明確化されます。日本国内は労働安全衛生法・電気事業法・消防法の複合規制対象。

工場・プラントの熱源管理

排気管・ホット面・電気ヒータの表面温度を、周辺雰囲気ガスのAIT未満に保つ設計。ディーゼルエンジンの排気管温度は最大500℃に達し、灯油(AIT 255℃)を扱う船舶機関室では断熱・遮熱カバーが必須。JIS B 8501「鋼製ボイラー」等が関連。

食品厨房・フライヤー防火

天ぷら油の発火点(約375℃)を鍋温度で越えないよう管理。業務用フライヤーは200-220℃で運用し、サーモスタット過昇温防止装置(230-250℃で電源遮断)を義務化。消防法予防規程・厨房設備の技術基準の対象。

危険物貯蔵・輸送(消防法)

消防法別表第一の危険物は引火点で分類されますが、貯蔵・取扱では発火点も重要指標。ガソリン(第4類第1石油類)、灯油・軽油(第2石油類)、重油(第3石油類)、動植物油類の指定数量倍率と防火対策に発火点情報が反映されます。

電気・電子機器の耐熱設計

プリント基板、絶縁材料、ケーブル被覆の耐熱温度設計。UL 94(米国)、JIS C 6060等の難燃規格で、材料の発火点・自己消火性を評価。可燃性雰囲気の電気室では機器発熱管理が保安の要。

倉庫・古紙貯蔵の温度監視

紙・木材の発火点は450℃前後と一見高いが、微生物発酵・酸化発熱の蓄積で自然発火する事故が発生。大型古紙倉庫、堆肥製造施設、綿花サイロでは温度センサ+熱画像カメラで常時監視。ISO 6184-1が関連規格。

石油化学プラントの運転温度とHot Tap作業

大型プラントの熱交換器・蒸留塔・反応器はプロセス液のAITの80%以下で運転するのが安全設計の慣例です。ガソリン系の蒸留塔なら240℃以下、灯油系なら200℃以下が目安。通油運転中に配管を切り替えるHot Tap作業では、この温度を超える表面温度の工具・機器の持ち込みが現場ルールで厳禁とされています。

研究室・実験室の加熱機器管理

ホットプレート・オイルバス・マントルヒーターは設定温度が容易に300℃を超えます。ジエチルエーテル(AIT 160℃)や二硫化炭素(AIT 90℃)を同一室内で扱う場合、加熱機器の使用温度上限をあらかじめ掲示し、溶剤の保管棚と加熱エリアを物理的に分離するのが基本です。局所排気装置の稼働確認も併せて行います。

水素ステーション・LPG貯蔵所

水素(AIT 500℃)・プロパン(AIT 470℃)はAITが高い一方、爆発範囲が広く漏えいしやすいため、設備の温度管理と可燃性ガス検知器の設置が高圧ガス保安法で義務付けられています。年次の点検・記録も法定事項で、AITだけを見て「安全」と判断してはいけない典型例です。

自然発火性物質と常温付近で発火する危険物

早見表に載る一般的な可燃物とは別に、常温またはそれに近い温度で空気に触れただけで発火する物質が存在します。これらは消防法別表第一の第3類「自然発火性物質及び禁水性物質」に分類され、貯蔵・輸送が極めて厳しく規制されています。

物質発火点 ℃保管方法主な注意点
黄リン(白リン)34水中保管体温程度で発火。空気に触れさせない
カリウム65灯油中・不活性ガス中水と激しく反応し水素を発生
ナトリウム115灯油中・不活性ガス中水と反応し発火・爆発の危険

これらは水をかけると悪化する物質(禁水性)を含むため、消火方法も通常の可燃物とは異なります。カリウム・ナトリウムの火災に注水すると爆発的に反応するため、乾燥砂・金属火災用粉末消火剤(D級)を用意しておく必要があります。専門知識のない状態での取扱いは避け、取扱者は危険物取扱者(甲種または該当乙種)の資格保持者に限定してください。

油ミスト・飛沫で発火温度が下がる現象

早見表のAITは液体またはガスの状態で測定した値です。同じ物質でも霧状(ミスト)になると表面積が急増して酸化反応が進みやすく、発火温度は文献値より大幅に下がります。エンジンオイル(AIT約370℃)のミストは200〜300℃程度でも発火しうるとされ、AITだけを根拠に「この温度なら安全」と判断するのは誤りです。

現場で問題になりやすいのは次のケースです。

  • 切削油・潤滑油のミスト — 高速加工機の周囲に飛散したミストが機械の高温部やスパークで着火。工場内に堆積したオイルミストが延焼経路になる事故が毎年発生しています。
  • 油圧配管のピンホール噴霧 — 高圧の油圧ラインから針穴状に噴出した作動油は極細のミストとなり、近傍の高温面で容易に発火します。
  • 塗装ブース・印刷所の溶剤ミスト — 溶剤蒸気に加えて塗料ミストが排気ダクト内に堆積し、乾燥炉の熱で着火します。排気設備の温度管理とダクト清掃が対策の要です。

対策としては、局所排気とミストコレクタによる除去、高温部への遮熱カバー設置、ダクト内堆積物の定期清掃が基本になります。設計時にミスト状態を想定する場合は、文献のAIT値をそのまま使わず、実際の噴霧条件での実測データを用いてください。

よくある間違い・注意点

  • 引火点と発火点を混同 — 引火点(着火源必要)と発火点(自然発火)は全く別の概念。ガソリン引火点-40℃と発火点300℃、実に340℃もの開きがあります。防爆設計の文脈ではAIT(発火点)、危険物分類の文脈では引火点、と用途で使い分けます。
  • 「AIT高い=安全」と即断 — 水素のAITは500℃と高めですが、最小着火エネルギー(MIE)は0.02mJと極小。人体の静電気放電エネルギー(数mJ)で容易に爆発します。発火点だけで安全評価はできず、MIE、爆発範囲(LEL/UEL)、拡散性を総合判定してください。
  • AITは絶対値だと思う — IEC 60079-20-1測定条件下の参考値。容器材質、雰囲気(酸素過剰)、粉じん共存、圧力、湿度で±30-50℃の変動があります。実運用では「AITの80%以下」を機器設計の目安にする慣行があります。
  • 混合ガスをAITで単純評価 — 複数ガスが混在する雰囲気では、最も低いAITのガスに合わせて設計するのが基本原則。石油精製の脱硫プロセス等では硫化水素(AIT 260℃)が支配的になります。
  • 粉じん爆発をガス基準で考える — 粉じん爆発は雲状態(MIT-C)と層状態(MIT-L)で発火温度が異なり、いずれもガスとは別測定。小麦粉、アルミ粉、糖分粉、木粉のサイロで想定外の発火事故がしばしば発生します。
  • 天ぷら油火災に水消火 — 食用油の発火点は約375℃で、加熱鍋で容易に到達。水をかけると爆発的な水蒸気爆発で火勢が拡大。消火は電源遮断+濡らした布・鍋蓋で酸素遮断、または油火災用消火器(K類)を使用。
  • 断熱・保温材の可燃性を軽視 — 配管保温材(グラスウール等)に油が浸み込むと、単独よりAITが下がり保温層発火の恐れ。石油精製プラントで実際の火災事例多数。ASTM D 5340等で保温材の油浸透発火試験が規定。

関連する規格・法令

  • IEC 60079-20-1 ― Explosive atmospheres — Material characteristics for gas and vapour classification. 発火点・最小着火エネルギー・爆発範囲などガス物性測定の国際標準。
  • JIS C 60079-0 ― 爆発性雰囲気で使用する電気機器 一般要求事項。温度等級T1〜T6・グループIIA/IIB/IICを規定。
  • JIS C 60079-14 ― 電気設備の設計・選定・据付。防爆機器の選定と危険場所への設置基準。
  • ASTM E659 ― Standard Test Method for Autoignition Temperature of Chemicals. 米国標準の発火点測定法。
  • 消防法(危険物) ― 別表第一・危険物の規制に関する政令。引火性液体の分類、指定数量、貯蔵・取扱の基準。
  • 労働安全衛生法・危険物則 ― 事業場での可燃物管理基準、防爆機器の使用義務、ガス測定義務。
  • 電気事業法・電技解釈 ― 危険場所における電気工作物の技術基準。
  • 高圧ガス保安法 ― LPG・水素・アセチレン等の高圧ガス貯蔵・移送基準。
  • ISO 6184-1 ― Explosion protection systems for dust explosions. 粉じん爆発試験と対策。

参考文献・公的資料

発火点データ・防爆機器選定・危険物取扱の詳細は、以下の公的機関・国際機関の一次資料を参照してください。

※本ページの発火点データは概略値です。実際の防爆機器選定・火災リスク評価・法令適用は、上記公的機関の最新告示、機器メーカーの取扱説明書、および有資格者(電気主任技術者・危険物取扱者・防火管理者等)の判断に従ってください。特に危険場所での作業計画は、事業所内の防爆区域図と保安規程に基づいて実施してください。

よくある質問(FAQ)

引火点と発火点はどう違う?

引火点は着火源(炎・火花)を必要とする最低液温、発火点は着火源なしに加熱だけで自発着火する温度です。ガソリンは引火点-40℃、発火点約300℃と大きな差があり、両者は用途に応じて使い分けます。

温度等級T3の防爆機器の意味は?

機器表面温度が200℃以下に抑えられる設計。発火点200℃超のガス雰囲気(ガソリン・灯油・軽油等)で使用可能。IEC 60079-0 / JIS C 60079-0で規定されます。

二硫化炭素の発火点90℃は現実的にどう危険?

真夏の直射日光下の金属表面(60-80℃)は問題ないが、蒸気配管(100-120℃)に接触すると発火の恐れ。極めて厳格な温度管理・完全密閉が必要で、T6等級の防爆機器のみが使用可能。

水素の発火点500℃と高いのに危険なのは?

最小着火エネルギー(MIE)が0.02mJと極小で、人体の静電放電で容易に爆発します。また爆発範囲もLEL 4%〜UEL 75%と広く、拡散性も高いため、AITだけでは危険度を判定できません。

天ぷら油火災はなぜ怖い?

食用油のAITは約375℃で、加熱鍋で局所的に到達しやすい。水消火は水蒸気爆発で火勢を拡大するため厳禁。電源遮断+濡らした鍋蓋・毛布で酸素遮断、または油火災用消火器(K類)を使用してください。

防爆機器の温度等級はどう選ぶ?

使用場所の雰囲気ガス種を特定し、そのAITより低い上限温度の等級を選定します。例:ガソリン(AIT約300℃)ならT3(≤200℃)、二硫化炭素ならT6(≤85℃)。複数ガス混在なら最も低いAITに合わせます。

Ex記号「Ex d IIB T3 Gb」の意味は?

Ex=防爆規格適合、d=耐圧防爆構造、IIB=グループ(エチレン系ガス対応)、T3=表面温度200℃以下、Gb=保護レベル(Zone1対応)。IEC 60079-0の防爆機器銘板表示です。

粉じん爆発とガス爆発でAITは違う?

別の指標で、粉じんは雲状態(MIT-C)と層状態(MIT-L)を分けて測定します。小麦粉、アルミ粉、糖分粉、木粉のサイロで問題となり、ISO 6184-1やJIS Z 8817が関連規格です。

ディーゼル排気管の温度対策は?

排気管表面温度は500℃前後に達し、灯油(AIT 255℃)や軽油(AIT 225℃)を扱う船舶機関室・ガレージでは断熱カバー・遮熱板による接触防止が消防法・船舶安全法で義務化されています。

紙・木材の自然発火は起こる?

単独のAITは400-490℃と高いが、微生物発酵・酸化発熱の蓄積で低温発火(60-80℃)する事故があります。古紙倉庫、堆肥、綿花、油脂含浸ウエス等が特に危険で、温度モニタと堆積量管理が必要です。

SDSに書かれた発火点データは信頼できる?

SDS(安全データシート)の発火点値は、多くの場合IEC 60079-20-1またはASTM E659の測定値を根拠にしています。ただし製品組成で変動するため、詳細な設計にはメーカーの技術資料・NIST WebBook等の一次データを確認してください。

防爆機器の点検頻度は?

電気事業法の保安規程で年1回以上の外観点検・機能試験が求められます。石油化学プラント等の高危険場所では月次点検、防爆パッキン・耐圧構造の分解点検を3-5年周期で実施するのが一般的です。

黄リンが空気中で自然に燃え出すのはなぜ?

黄リン(白リン)のAITは34℃と体温程度しかなく、空気中の酸素と常温で酸化反応を始めてしまうためです。そのため水中保管が必須で、消防法別表第一の第3類「自然発火性物質及び禁水性物質」として特別に管理されます。カリウム(65℃)・ナトリウム(115℃)も同分類です。

エンジンオイルや切削油の発火点は?

液体状態では約370℃とされますが、ミスト状になると発火温度は200〜300℃程度まで下がります。切削油・潤滑油の飛沫火災は工場の火災事故の大きな要因で、AITの文献値だけを根拠に安全余裕を判断してはいけません。

灯油と軽油では発火点にどれくらい差がある?

本ページの早見表では灯油255℃・軽油225℃で、いずれも温度等級はT3です。一方の引火点は灯油約40℃・軽油約45℃と軽油のほうがやや高く、常温貯蔵時の引火リスクは軽油のほうが低くなります。発火点と引火点で順序が逆になる好例です。

保安温度の上限はどう計算する?

実務の慣例では発火点×0.8を保安温度上限とします。ガソリン(AIT約300℃)なら240℃、灯油(AIT 255℃)なら約204℃が目安で、この温度を超える熱源を雰囲気内に置かない設計にします。あくまで慣例値のため、法令上の要求がある場合はそちらが優先されます。