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単位光学物理JIS

屈折率 計算ツール|光学素材60種類・スネルの法則・臨界角・アッベ数を一発算出

屈折率nは光の物質中での速度比を表す物性値で、真空基準で1.0000を出発点に、空気1.00028・水1.333・光学ガラスBK7=1.517・ダイヤモンド2.417まで幅広い値を示します。当ツールは60種類の光学素材の屈折率スネルの法則(入射角→屈折角)全反射の臨界角アッベ数νd(色分散指標)を即時計算。眼鏡レンズ設計・カメラレンズ・光ファイバー・宝石鑑定・液晶ディスプレイの実務判断を、JIS B 7071・ISO 12123・NIST・SCHOTT・HOYAの公式データに基づき支援します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

屈折率・スネルの法則 計算機

計算式(スネル・臨界角・フレネル)

屈折率の定義

n = c₀ / c_媒質 = 真空中の光速 / 媒質中の光速

屈折率は媒質中の光速c_媒質と真空中の光速c₀ = 2.998×10⁸ m/sの比。無次元量です。

スネルの法則(入射角→屈折角)

n₁ × sin(θ₁) = n₂ × sin(θ₂)

入射側の屈折率n₁と入射角θ₁、屈折側の屈折率n₂と屈折角θ₂の関係。1621年オランダの天文学者Willebrord Snelliusが発見。空気(n₁=1)から水(n₂=1.333)への入射角30°なら、屈折角θ₂ = arcsin(sin30°/1.333) = 22.08°となります。

全反射の臨界角

sin(θc) = n₂ / n₁ (n₁ > n₂ の場合)
θc = arcsin(n₂/n₁)

屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ光が入射する時、入射角がθc(臨界角)を超えると全反射します。水→空気なら θc = arcsin(1/1.333) = 48.6°、光ファイバーではこの現象を利用してコアに光を閉じ込めます。

フレネルの反射率(垂直入射)

R = ((n₁ - n₂) / (n₁ + n₂))²

光が屈折率境界面に垂直入射する場合の反射率。空気→ガラス(n=1.5)なら R = ((1-1.5)/(1+1.5))² = 4%、両面で約8%が反射。反射防止(AR)コーティングでこれを0.5%以下に抑えます。

屈折率の定義と単位

屈折率nは媒質中を光が伝わる速度が真空中の何分の1になるかを示す無次元物性値。波長依存性(分散)があり、通常はヘリウムd線(587.56 nm 黄色)で測定した値ndを代表値として使用します。

波長別の屈折率

  • nF ― 水素F線(486.13 nm 青)。青色光の屈折率。
  • nd ― ヘリウムd線(587.56 nm 黄)。代表値・カタログ表示の標準。
  • nD ― ナトリウムD線(589.29 nm 黄)。歴史的な標準値。
  • nC ― 水素C線(656.27 nm 赤)。赤色光の屈折率。
  • ne ― 水銀e線(546.07 nm 緑)。緑色光の屈折率(欧州標準)。

ガラスの色収差は「nF - nC」で表され、この差が小さい素材ほど色にじみが少なく、高性能なレンズに用いられます。

光学素材60種類の屈折率早見表

実務で使用される光学素材の屈折率(nd値)とアッベ数νdをまとめました。SCHOTT・HOYA・OHARA各社のカタログとNIST公式データベースの値を参考にしています。

気体・液体の屈折率(20℃基準)

物質屈折率 nd備考
真空1.0000定義値
空気(乾燥・15℃・101.325 kPa)1.000293気圧・湿度で微変動
ヘリウム1.000036希ガス
二酸化炭素1.000450
水(20℃)1.333屈折率計の校正基準
海水1.339塩分3.5%
エタノール1.362
メタノール1.329
アセトン1.359
グリセリン1.474屈折計テストに使用
ヒマシ油1.477
キシレン1.505
ベンゼン1.501
二硫化炭素1.628高屈折液体
ヨウ化メチレン(CH₂I₂)1.742宝石鑑定用液

ガラス・樹脂の屈折率

素材屈折率 ndアッベ数νd主用途
溶融石英(SiO₂)1.45867.6UV光学・半導体マスク
ホウケイ酸ガラス(Pyrex)1.47465.0耐熱ガラス・実験器具
アクリル(PMMA)1.49157.4安価な光学部品・水槽
クラウンガラス K71.51160.4
BK7(SCHOTT)1.516864.17最も汎用な光学ガラス
クラウンガラス K101.50156.4
MgF₂(フッ化マグネシウム)1.378反射防止コート
ソーダガラス(窓ガラス)1.52059.0建材・鏡
ポリカーボネート(PC)1.58629.9耐衝撃・眼鏡
中屈折 MR-8(三井化学)1.6041眼鏡レンズ
フリントガラス F21.61536.4色補正レンズ
高屈折 MR-7(三井化学)1.6732眼鏡薄型化
超高屈折 MR-1741.7433強度近視用眼鏡
SF11(SCHOTT)1.78525.7プリズム・望遠鏡
SF57(SCHOTT)1.84723.8
LASF35(SCHOTT)2.02229.1高性能顕微鏡

結晶・宝石の屈折率

素材屈折率 nd特性
フッ化カルシウム(CaF₂)1.434UV・IR透過性高い
塩化ナトリウム(NaCl)1.544
水晶(石英)1.544-1.553複屈折
方解石(CaCO₃)1.486-1.658強い複屈折
ヒスイ1.66-1.68
ジルコン(ZrSiO₄)1.925-1.984
合成ジルコニア(CZ)2.15-2.18ダイヤ模造石
サファイア(Al₂O₃)1.762-1.770ルビー・サファイア原石
エメラルド1.577-1.583
ルビー1.762-1.770
トパーズ1.619-1.627
ガーネット1.72-1.87種類により差
ダイヤモンド(C)2.417宝石中の最高値
モアッサナイト(SiC)2.65-2.69ダイヤ代替宝石
ルチル(TiO₂)2.616-2.903
シリコン(Si)4.010 (IR領域)半導体・IRレンズ
ゲルマニウム(Ge)4.005 (IR領域)IRカメラレンズ

アッベ数と色分散

アッベ数νdは光学素材の色分散(波長による屈折率差)を表す指標。ドイツの物理学者Ernst Abbeが定義した値で、以下の式で算出されます。

νd = (nd - 1) / (nF - nC)

νd が大きいほど分散が少ない(色にじみが少ない)素材。一般ガラスは40-60、高分散フリントガラスは20-30。眼鏡レンズでは高屈折(1.74)ほどアッベ数が下がり(33前後)、色収差が目立ちやすくなります。

色分散による分類

  • クラウン(K)系:νd > 55 ― 低分散。BK7・SK16など。
  • フリント(F)系:νd < 50 ― 高分散。SF11・SF57など。色補正の凹レンズに使用。
  • 超低分散(ED/SD):νd > 80 ― 蛍石(CaF₂)・特殊ガラス。プロ用望遠レンズ。

色収差の少ないアポクロマート(Apo)レンズはED/SDガラスを組み合わせて実現しており、天体望遠鏡・カメラ望遠レンズで70万円超の価格帯になります。

全反射と光ファイバー

全反射(Total Internal Reflection: TIR)は屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ光が入射する時、臨界角θc = arcsin(n₂/n₁) を超えると屈折光がなくなり、100%反射する現象。

各媒質からの臨界角

入射側屈折率空気への臨界角
1.33348.6°
アクリル1.4942.2°
光学ガラス1.5241.1°
サファイア1.7734.4°
ダイヤモンド2.4224.4°

光ファイバーはコア(n=1.48前後)とクラッド(n=1.46前後)の屈折率差で全反射を起こし、光をコアに閉じ込めて伝送。数kmを損失0.2 dB/km未満で伝送する現代通信の基盤技術です。

ダイヤモンドの輝きは臨界角24.4°という極端に浅い角度で全反射することによる。カッティングでファセット(切り面)が58面(ブリリアントカット)配置され、光を内部で複数回反射させて虹色に分光します。

用途別の代表素材

用途代表素材屈折率選択理由
眼鏡レンズ(標準)CR-39樹脂1.499軽量・耐傷
眼鏡レンズ(薄型)MR-7・MR-81.60-1.67近視-4D以上の薄型化
眼鏡レンズ(超薄)MR-1741.74強度近視-8D以上
カメラレンズ標準BK7・S-BSL71.517安価な万能ガラス
望遠レンズEDガラスFCD1・S-FPL511.497低分散・色収差抑制
プロ用アポ望遠蛍石CaF₂1.434究極の低分散(νd=95)
スマホカメラポリカ・アクリル1.49-1.59軽量・成形性
光ファイバーSiO₂ + GeO₂1.46-1.48低損失伝送
プロジェクターSF11・SF571.78-1.85DMDプリズム
顕微鏡油浸レンズSF系ガラス1.5-1.7油浸(n=1.51)と一致
液晶ディスプレイTAC・偏光板1.48-1.62光学的等方性
宝石・ジュエリーダイヤ・サファイア1.76-2.42高屈折による輝き
UV光学溶融石英・CaF₂1.43-1.46UV透過率高
赤外光学Ge・Si・ZnSe2.4-4.0IR領域透明

こんな場面で使う

眼鏡レンズの薄さ・重さ比較

近視度数と屈折率の組み合わせで、レンズ厚みが大きく変わります。-6.00D強度近視なら1.60より1.74の方が約30%薄型に。ただしアッベ数が下がり色にじみが出るトレードオフを理解して選定。

カメラ・望遠レンズの光学設計

クラウン・フリント・EDガラスを組み合わせて色収差を補正する光学設計。屈折率とアッベ数のマッチングを、Zemax等の光学CADで行う際の基礎データ。

宝石鑑定・鑑別

ダイヤモンド(2.417)とキュービックジルコニア(2.15-2.18)、モアッサナイト(2.65-2.69)は屈折率が微妙に異なり、宝石鑑定士は屈折計で鑑別。ルビーとサファイアは同一組成(コランダム)なので屈折率で区別できません。

光ファイバー通信の設計

シングルモードファイバーのコア(n=1.48)・クラッド(n=1.46)の屈折率差から開口数(NA)を算出し、光の閉じ込め効率・接続損失を設計。海底ケーブル・データセンター実務。

液晶ディスプレイ・偏光フィルム

TACフィルム・偏光板・カラーフィルターの屈折率整合(index matching)で反射・視野角特性を最適化。スマホ・PCモニターの視認性設計。

反射防止(AR)コーティング設計

屈折率√(n₁×n₂)の膜を厚さλ/4で蒸着し、反射率を4% → 0.5%以下に低減。カメラ・眼鏡・スマホカバーガラスに広く採用。

よくある間違い・注意点

  • 屈折率を波長無視で一律扱う — nd(587.56nm)が代表値だが、青色光では約1%高く、赤色光では約1%低い。プロジェクター・望遠鏡で色滲みの原因。
  • アッベ数を無視して眼鏡レンズを選ぶ — 1.74の超高屈折レンズはアッベ数33で、-8D以上では白い光が虹色ににじむ。強度近視でも1.67が総合バランス最良。
  • ダイヤの輝き=硬さと勘違い — ダイヤの輝きは屈折率2.42と分散0.044による光学現象。硬度10(モース)は別の物性で、輝きとは無関係。
  • 光ファイバーの全反射を偏光と混同 — 光ファイバーはNAで規定される全反射で光を閉じ込める。偏光は別現象で液晶・写真撮影で扱う概念。
  • 温度・波長依存を無視した屈折率利用 — ガラスの屈折率は温度で0.01-0.02×10⁻⁶/K変動。高精度レンズや干渉計では温度制御必須。
  • アクリルとポリカを同一視 — アクリル(1.49)・ポリカ(1.586)は屈折率0.1差でレンズ設計が全く別。ポリカは耐衝撃で眼鏡・シールドに、アクリルは低屈折で水槽・光ガイドに。
  • 「反射率0%」を目指す誤解 — フレネルの反射率式で導かれる最小値は0.5-1%(可視全波長・全入射角平均)。完全ゼロは実現不可能。

関連規格・法令

  • JIS B 7071 ― 光学ガラスの屈折率およびアッベ数の測定方法。日本産業規格。
  • JIS T 7330 ― 眼鏡レンズの屈折率・アッベ数の表示規格。
  • JIS Z 8722 ― 色の測定方法-反射及び透過物体色。
  • ISO 12123 ― Optics and photonics — Specification of raw optical glass. 生光学ガラスの屈折率・分散の国際規格。
  • ISO 15368 ― Optical materials — Determination of reflectance and transmittance.
  • SCHOTT Optical Glass Catalog ― SCHOTT AG(ドイツ)の光学ガラス総合カタログ。屈折率・アッベ数・透過率・応力特性の一次資料。
  • Hoya Optical Glass Data ― HOYA(日本)の光学ガラス物性データ。
  • Ohara Optical Glass ― OHARA(日本)の光学ガラスカタログ。カメラ・顕微鏡・半導体露光装置向け特殊ガラス。

参考文献・公的資料

より正確な光学素材データ・測定方法は、以下の公的機関・メーカーの資料を参照してください。

※本ページの屈折率および計算結果は代表値です。実際の光学素材の屈折率は、波長・温度・製造ロット・不純物・機械的応力で微妙に変動します。精密光学設計・宝石鑑定・法的鑑定(貴金属・宝石の詐欺鑑定等)には、認証標準物質による校正済み屈折計(アッベ屈折計・分光光度計)による実測値と、有資格者(光学技術者・宝石鑑定士・GIA/CGL認定鑑定士等)の判断を仰いでください。

よくある質問(FAQ)

屈折率が高いとどうなる?

光を強く曲げる(屈折角が大きい)、境界面での反射率が高い、光の速度が大きく低下する(1/n倍)、臨界角が小さく全反射が起きやすい。ダイヤモンド(2.42)は空気に対する臨界角がわずか24.4°で、内部で多数回全反射が起きるため独特の輝きを持ちます。

臨界角とは?

屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ光が入射する際、屈折光が完全に消失し全反射が起きる入射角の閾値θc = arcsin(n₂/n₁)で計算されます。水→空気なら48.6°、光学ガラス→空気なら41°程度。光ファイバー・プリズムの原理です。

スネルの法則って何?

1621年にオランダのWillebrord Snelliusが発見した屈折の基本法則で、n₁ × sin(θ₁) = n₂ × sin(θ₂)と表されます。入射角と屈折角の関係を屈折率で結ぶ式で、レンズ・プリズム・ファイバー等すべての光学設計の基礎です。

眼鏡レンズの1.60・1.67・1.74はどう違う?

数値は屈折率n。高いほどレンズが薄くなるため強度近視でも軽量化可能。ただしアッベ数が下がり(1.60:41、1.67:32、1.74:33)、色にじみが出やすくなります。-4D程度なら1.60、-6D以上は1.67、-8D以上のみ1.74が推奨。

アッベ数って何?

色分散(波長による屈折率差)を表す無次元指標。νd = (nd-1)/(nF-nC)で計算され、数値が大きいほど色にじみが少ない。一般ガラスは40-60、高分散フリントは20-30、超低分散ED/SDガラスは80以上。プロ用望遠レンズは高νd素材で色収差を極限まで低減しています。

ダイヤモンドはなぜ輝く?

屈折率2.417という宝石中最高値と分散0.044(青と赤の屈折率差)の組み合わせ。ブリリアントカット58面の内部で光が全反射を繰り返し、虹色に分光しながら放出されるため独特のfire(虹色の閃光)とbrilliance(全体的な輝き)を生みます。

水の屈折率が1.33なのはなぜ?

水分子(H₂O)の電子雲が光の電磁場と相互作用し、光の速度を真空の1/1.333 = 75%に減速するため。温度上昇で密度が下がり屈折率も微減(4℃で1.3339 → 30℃で1.3319)。屈折計の校正基準として使われます。

光ファイバーはなぜ光が漏れない?

コア(n=1.48)とクラッド(n=1.46)の屈折率差により全反射条件を作り、光をコア内に閉じ込めています。臨界角より浅い角度で入射した光はすべて内部反射され、数kmで0.2 dB/km未満の低損失伝送を実現。

反射防止(AR)コーティングの原理は?

屈折率√(n₁×n₂)の中間層(通常MgF₂ n=1.38)を厚さλ/4で蒸着し、上下面での反射光が干渉して打ち消し合う原理。単層で反射率4%→1.5%、多層で0.3%以下まで低減。カメラ・眼鏡・スマホカバーで標準採用。

キュービックジルコニアとダイヤの違いは?

屈折率がダイヤ2.417・CZ 2.15-2.18と近く、見た目の輝きは類似。ただし分散はCZの方が大きく(0.058対0.044)、虹色の閃光が強くて逆に「安っぽく」見えることも。鑑定は熱伝導率(ダイヤは異常に高い)や紫外線蛍光(CZ特有)で行います。

プラスチックとガラスの屈折率差は?

樹脂は1.49(アクリル)-1.74(眼鏡MR)、光学ガラスは1.44(蛍石)-1.85(SF57)の範囲。ガラスの方が屈折率レンジが広く、色収差補正の自由度が高いため高性能光学系はガラス主体。樹脂は軽量・成形性・耐衝撃で眼鏡・スマホカメラに採用されています。

屈折率の測定方法は?

アッベ屈折計(液体・固体表面用、精度±0.0001)、分光屈折計(波長別測定)、Vブロック法(バルクガラス用、精度±0.00001)、プリズムカプラ法(薄膜用)、エリプソメトリ(半導体・薄膜)などがあり、素材の状態と要求精度で使い分けます。