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心拍数運動処方脂肪燃焼VO2max

運動心拍ゾーン 計算ツール|Karvonen法・5ゾーン・脂肪燃焼/VO2max/最大心拍推定

運動時の最適心拍数を年齢・安静時心拍からKarvonen法(心拍予備能)で算出。ウォームアップ・脂肪燃焼・有酸素・無酸素・VO2maxの5ゾーンを表示。米ACSM・米AHA(心臓協会)・日本循環器学会の運動処方基準、Tanaka式・Fox式・Nes式など複数の最大心拍推定式、βブロッカー服用時の注意、心疾患リスク層のメディカルチェックまで、有資格指導者の実務基準に沿って解説します。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

心拍ゾーン 計算機

朝目覚めて起き上がる前の値・健康な成人60-80

計算式(Karvonen法)と単位系

Karvonen法(心拍予備能法)

最大心拍数 HRmax = 220 − 年齢 (Fox式・古典的推定)

心拍予備能 HRR = HRmax − 安静時心拍

目標心拍 = (HRR × 強度%) + 安静時心拍

フィンランドの生理学者Martti Karvonenが1957年に提唱した心拍予備能(HRR)法は、単純な%HRmax法よりも個人差を反映しやすく、米国スポーツ医学会(ACSM)・世界保健機関(WHO)の運動処方ガイドラインで標準的に採用されています。安静時心拍が低い(=心肺機能が高い)人ほど、同じ強度%でも実際の心拍数が低く出るのが特徴です。

%HRmax法との違い

%HRmax法:目標心拍 = HRmax × 強度%

%HRmax法(単純%法)は計算がラクですが、安静時心拍を考慮しないため、同じ「70%」でも人によって運動強度に大きな差が出ます。ACSMはKarvonen法(HRR%)推奨としており、%HRRの数値は概ね「相当%HRmaxより10ポイント低い」関係にあります(60%HRR ≒ 70%HRmax)。

単位系

心拍数はBPM(beats per minute・毎分拍数)で表現。医療現場・スポーツ現場・スマートウォッチすべてで統一単位。心拍変動性(HRV)はRR間隔のミリ秒(ms)、心拍出量は L/min、酸素摂取量は mL/kg/min など、それぞれ別単位で管理されます。

最大心拍数の推定式(Fox/Tanaka/Nes/Gellish)

最大心拍数の推定式には複数のバリエーションがあり、対象年齢・体力レベル・性別によって精度が異なります。実測(トレッドミル最大負荷試験・スポーツ心臓検診)が最も正確ですが、以下の推定式が広く使われます。

推定式公式特徴・対象
Fox式(1971)220 − 年齢古典的で最も普及。若年層で過大評価、高齢層で過小評価する傾向
Tanaka式(2001)208 − 0.7 × 年齢ACSM・AHA推奨。40歳以上でFox式より精度が高い
Nes式(2013)211 − 0.64 × 年齢ノルウェーの大規模健常成人研究(HUNT)ベース。北欧人向け
Gellish式(2007)207 − 0.7 × 年齢健康フィットネス層向け。Tanaka式と近似
Åstrand式226 − 年齢(女性)女性向け。Fox式より+6BPM高く出る

いずれも±10〜12 BPMの誤差幅があるため、正確性が要求される場面(競技アスリート・心疾患リスク層)ではメディカルチェックによる実測が必須です。

5心拍ゾーンの詳細

ACSM・USA Cycling・UCI・World Triathlon等が採用する5ゾーンシステムを、生理学的な役割とともに解説します。

Z1 回復ゾーン(50-60% HRR)

ウォームアップ・クールダウン・アクティブレスト。呼吸で会話可能、ATP-CP系+脂質代謝が主。長時間続けても疲労蓄積が少なく、心血管系のベース作り。ハードトレ翌日のリカバリーラン等で使用。

Z2 脂肪燃焼・持久ゾーン(60-70% HRR)

会話がやや弱くなるレベル。脂質酸化の絶対量が最大で、糖質より脂質が主エネルギー源。マラソンLSD・自転車のベーストレ・トライアスロン持久力向上に最適。この帯域を週数時間積むと有酸素系ミトコンドリアが増加。

Z3 有酸素ゾーン(70-80% HRR)

心肺機能・毛細血管密度が向上。単語程度の会話が限界。マラソンレースペース、ハーフマラソン、テンポラン、ロードバイクの中距離レースで使用される主戦帯域。乳酸産生 ≒ 除去のバランスが取れる。

Z4 無酸素・乳酸閾値(LT)ゾーン(80-90% HRR)

乳酸産生が除去を上回り始める帯域。息切れが強くなり、20-60分継続が限界。10km〜5000mレースペース、閾値インターバル(クルーズインターバル)、ロードレースの逃げ集団追走等。この閾値(LT)を引き上げることがマラソン速化の核心。

Z5 VO2max・最大ゾーン(90-100% HRR)

最大酸素摂取量を刺激する帯域。3-8分継続が限界で、インターバルトレーニング必須(タバタ・4×4等)。心臓の一回拍出量・毛細血管密度・ミトコンドリア量を最大化する刺激。中距離ランナー・トラック選手の主要練習帯域。

ゾーン別 目的・運動例

ゾーン%HRR%HRmax継続可能時間運動例
Z1 回復50-60%60-70%2時間以上散歩・リカバリーラン
Z2 脂肪燃焼60-70%70-80%1-3時間LSD・早歩き・スイム持久
Z3 有酸素70-80%80-87%60-90分ジョギング・マラソンレース
Z4 LT無酸素80-90%87-93%20-60分閾値走・10km/5000mレース
Z5 VO2max90-100%93-100%3-8分タバタ・4×4・全力ダッシュ

脂肪燃焼ゾーンの真実

「Z2脂肪燃焼ゾーン」の名前から誤解されがちなポイントを、生理学的に整理します。

  • 脂質燃焼の絶対量最大 = Z2、脂質割合最大 = Z1〜Z2。運動強度が高いほど糖質割合が増えるため、割合ベースの「脂肪燃焼ゾーン」はより低い強度に位置します。
  • 総カロリー消費は高強度のほうが多い。同じ30分でZ2消費300kcalに対し、Z4は500kcal超になることも。ダイエット目的なら「低強度長時間 + 高強度短時間」の組み合わせが最適解です。
  • EPOC(運動後過剰酸素消費)。高強度運動後は数時間〜24時間、代謝が上昇して脂質酸化が続きます(アフターバーン効果)。HIIT・タバタが減量に有効な理由。
  • ダイエット目的なら週2-3回の高強度+週3-4回のZ2が推奨。心臓の機能改善・毛細血管密度・ミトコンドリア量の両面から効果的です。
  • 食事コントロールが最優先。運動30分の消費カロリーはランで300kcal、歩いて150kcal程度。摂取カロリーの管理なしでは体脂肪は減りません。

安静時心拍数の評価

安静時心拍数(RHR)は心血管系の健康指標として、疫学研究で全死亡・心血管死亡と負の相関(RHRが低いほど長生き)が繰り返し報告されています。

安静時心拍(BPM)評価意味
40-50トップアスリート級マラソン日本代表・ツール・ド・フランス選手のレベル
50-60かなり健康・運動習慣あり週3-5回の有酸素運動を継続
60-70健康・標準一般成人の標準範囲
70-80やや高め運動不足・軽度の心血管リスク
80-90高め運動・食生活の見直し推奨
90超要注意循環器内科の受診を検討

ハーバード大の研究(2013)では、安静時心拍65超は死亡リスク上昇と関連。逆に定期的な有酸素運動で安静時心拍が10 BPM下がると、寿命が数年延びる可能性が示されています(観察研究のため因果関係は限定的)。

年齢別 最大心拍数早見表(Tanaka式)

ACSM推奨のTanaka式(208 − 0.7×年齢)による最大心拍数と、各ゾーンの目安BPMをまとめます(安静時心拍60の場合)。

年齢HRmaxZ2脂肪燃焼Z3有酸素Z4 LTZ5 VO2max
20歳194140-154154-167167-181181-194
30歳187136-149149-162162-174174-187
40歳180132-144144-156156-168168-180
50歳173128-139139-150150-162162-173
60歳166124-134134-145145-155155-166
70歳159119-129129-139139-149149-159

目的別 運動処方

減量・体脂肪減

Z2で30-60分×週3-4回 + HIIT(Z4-5) 20分×週2回。ACSMガイドラインでは中強度150分/週または高強度75分/週を推奨。食事制限との併用で1kg脂肪減=約7700kcal相当の赤字が必要。

持久力向上・マラソン準備

Z2のLSD(Long Slow Distance) 90-120分×週1-2回、Z4閾値走 20-40分×週1回、Z5インターバル×週1回。60-80%がZ2の低強度、20-40%が中〜高強度の「ポラライズド訓練」がノルウェー式で世界的トレンド。

心疾患予防・生活習慣病

Z1-Z2の中強度有酸素、週150分。日本循環器学会・厚労省「健康づくりのための身体活動基準」で推奨。安静時心拍を10BPM下げると心血管リスクが顕著に低下する疫学データあり。

高齢者・リハビリ

Z1-Z2下限で15-30分×週3回から開始。Karvonen法での40-60% HRRが安全域。医師・理学療法士の指導下でメディカルチェック(心電図・血圧)を受けてから開始。

アスリート・パフォーマンス

ポラライズド訓練(80% Z1-Z2、20% Z4-Z5)が中距離・長距離選手で最適。テンポ・閾値だけの「グレーゾーン訓練」より効果的とノルウェー研究(Seiler 2010)で証明。

ダイエット初心者

Z1のウォーキング30-45分×毎日から。心拍計付きスマートウォッチ(Apple Watch、Garmin、Fitbit等)で強度を可視化。習慣化後にZ2ジョギングへ移行、8-12週で心肺機能が明確に改善。

よくある間違い・注意点

  • Fox式(220-年齢)を絶対視 — Fox式は若年層で過大評価、高齢層で過小評価する傾向。40歳以上はTanaka式(208 − 0.7×年齢)のほうが精度が高い(ACSM推奨)。
  • %HRmax法をKarvonen法と混同 — 「70%」の意味が異なります。%HRmax 70% = %HRR 60%相当と、10ポイント差があります。ゾーン数値表を作成する際は必ずどちらの%か明記してください。
  • βブロッカー服用中の適用 — 循環器薬(βブロッカー)服用中は最大心拍が20〜40 BPM抑制されるため、通常式が使えません。医師・運動負荷試験による個別処方が必須。
  • 「脂肪燃焼ゾーンだけ」でダイエット — 低強度は割合として脂質燃焼が高いだけ。総消費カロリーは高強度のほうが多いため、Z2だけでは減量効率が悪くなります。HIITと組み合わせを。
  • 暑熱・脱水時の高心拍を無視 — 気温30℃超・湿度70%超では同じ強度でも心拍が10-20 BPM上昇(cardiac drift)。RPE(自覚的運動強度)と併用して調整を。
  • 心疾患・不整脈での自己判断 — 心房細動・WPW症候群・心筋梗塞既往などでは、心拍数だけで運動強度を管理してはいけません。必ず主治医・心臓リハビリテーション指導士の判断を仰ぐ。
  • スマートウォッチの光学式心拍計の誤差 — 手首装着型は運動中に±10 BPMの誤差が出ることが多い。特に高強度時・低温時に精度が落ちる。競技レベルでは胸ストラップ式(Polar・Garmin HRM)を推奨。

関連する規格・ガイドライン

  • ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription ― 米国スポーツ医学会の運動処方ガイドライン。世界的な標準教本で、Karvonen法・ゾーン分類・メディカルスクリーニングの基準を規定。
  • AHA(米国心臓協会) Physical Activity Recommendations ― 心血管疾患予防のための身体活動推奨(週150分中強度または75分高強度)。
  • 日本循環器学会 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン ― 心筋梗塞後・心不全患者の運動処方(嫌気性代謝閾値AT基準)。
  • 厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準2013 ― 日本の公式運動基準。18-64歳は3メッツ以上の身体活動を毎日60分、または3メッツ以上の運動を毎週60分。
  • WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour(2020) ― 世界保健機関の身体活動ガイドライン。成人週150-300分の中強度、または75-150分の高強度。
  • JIS T 4001 ― 心拍計の測定精度・表示要件。医療用心電計・スポーツ用心拍計の共通基準。

参考文献・公的資料

より正確な運動処方・メディカルチェック・心疾患予防の情報は、以下の公的機関・学会の一次資料を参照してください。

※本ページの計算結果は健常成人の一般的な運動処方の目安です。心疾患・高血圧・糖尿病・βブロッカー等の循環器薬服用中の方は、必ず主治医・心臓リハビリテーション指導士による個別処方を受けてください。運動前のメディカルチェック(問診・血圧・心電図)は、40歳以上・生活習慣病リスクのある方には特に推奨されます。急な胸痛・動悸・失神が出た場合は運動を中止し、循環器内科を受診してください。

よくある質問(FAQ)

Karvonen法と%HRmax法、どちらを使うべき?

ACSMはKarvonen法(心拍予備能法)推奨としています。安静時心拍を考慮するため個人差を反映しやすく、%HRmax法の同じ「70%」より正確です。両者の関係は概ね「%HRR = %HRmax − 10ポイント」で、60%HRR ≒ 70%HRmax。

最大心拍数の推定式、どれが最も正確?

40歳以上はTanaka式(208 − 0.7×年齢)が推奨(ACSM準拠)。若年層(20-30代)ではFox式(220 − 年齢)でも概ね実用範囲。ただしいずれも±10〜12BPMの誤差幅があり、正確性が必要なアスリートは実測(トレッドミル最大負荷試験)が最良。

脂肪燃焼ゾーンだけで痩せる?

Z2だけでは効率が悪いです。低強度は脂質「割合」が高いだけで、総カロリー消費は高強度のほうが多い。ダイエット目的なら週2-3回の高強度(HIIT/Z4-5) + 週3-4回のZ2低強度の組み合わせが最適で、EPOC(アフターバーン)も活かせます。

安静時心拍数の測り方は?

朝、目覚めてから起き上がる前の1分間を実測、または連続5日間の平均を取ります。スマートウォッチ(Apple Watch、Garmin、Fitbit)の自動測定でも十分な精度。体温・ストレス・アルコール・カフェインで変動するため、複数日の平均値で評価するのが確実。

βブロッカーを服用中の運動処方は?

βブロッカーは最大心拍を20-40 BPM抑制するため、通常のKarvonen式が使えません。RPE(Borg Scale・自覚的運動強度)基準や、医師の個別処方によるトレッドミル負荷試験に基づくゾーン設定が必要。心臓リハビリテーション指導士の指導が最良。

暑熱・脱水時に心拍が上がるのはなぜ?

暑熱ストレス下では、皮膚血流増加(放熱)・脱水による血液量減少で心拍が10-20 BPM上昇します(cardiac drift)。同じ運動強度でもZ3の目標心拍でも実際はZ4の負荷になっている可能性が。夏場はRPEと心拍を併用し、適宜給水・強度調整を。

光学式心拍計(手首式)は正確?

安静時・低強度では十分な精度ですが、高強度・低温時・手首の動きが多い運動(自転車のハンドル握り等)では±10 BPMの誤差が出やすい。競技レベルでは胸ストラップ式(Polar H10、Garmin HRM-Pro)を推奨。心電図に近い精度が得られます。

ポラライズド訓練とは?

ノルウェーの生理学者Stephen Seilerが提唱した「訓練時間の80%をZ1-Z2、20%をZ4-Z5にする」訓練法。中間帯(Z3グレーゾーン)を減らすことで、疲労回復と高強度刺激を両立。マラソン・自転車・スキー・水泳の世界トップ選手の主流訓練法。

心拍ゾーンとRPE(自覚的運動強度)の関係は?

Borg RPE 6-20スケールで、Z1=RPE 9-11、Z2=RPE 12-13、Z3=RPE 14-15、Z4=RPE 16-17、Z5=RPE 18-20。心拍計故障時・暑熱時・βブロッカー服用時など心拍を信頼できない場面ではRPE基準に切り替えるのが実践的。

安静時心拍が40台は問題ない?

健常でトレーニングされた人(マラソンランナー・自転車競技者)なら生理的スポーツ心臓で、むしろ健康の指標。ただし失神・めまい・胸痛を伴う場合は徐脈性不整脈の可能性があり、循環器内科の受診が必要。運動歴のない中高年での40台徐脈は病的の可能性も。

心拍変動性(HRV)とは?

心拍間隔(RR間隔)のばらつきをミリ秒単位で分析する指標。副交感神経活性が高いとHRVが大きく、疲労・ストレスが強いと小さくなります。Garmin・WHOOP等のスマートウォッチで測定可能で、翌日の練習強度判断(オーバートレーニング防止)に使えます。

VO2max(最大酸素摂取量)はどう推定する?

正確には呼気ガス分析装置での実測が必要ですが、簡易推定式ではVO2max = 15 × (HRmax ÷ 安静時心拍)(Uth-Sørensen式)や、Cooper 12分走テスト・シャトルラン等の間接推定法があります。健康成人男性で40-45、女性で35-40、マラソン日本代表級で70-85 mL/kg/min。