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スポーツ自転車パワーCoggan

自転車FTP・パワーゾーン計算|20分テストからFTP・PWR・Z1-Z7を即算出、Coggan/British Cyclingゾーンとトレーニング実務

自転車のFTP(Functional Threshold Power、機能的作業閾値パワー)を、20分オールアウトテストの平均パワー×0.95で算出する実務ツール。Andrew Coggan博士のパワーゾーン理論に基づくZ1(リカバリー)〜Z7(無酸素)の7ゾーン、PWR(Power to Weight Ratio、W/kg)によるライダー分類(3.0=趣味・4.0=ホビーレーサー・5.0=エリート・6.0+=プロ)、Zwift・TrainerRoad・Garmin Connect・Wahoo SYSTMのトレーニングメニュー基準、Ramp Test・8分×2セット・20分テストの選び方まで解説します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

自転車 FTP・パワーゾーン計算機

計算式とロジック

FTP(20分テスト法)

FTP = 20分平均パワー × 0.95

FTPは1時間維持できる最大の平均パワーで、乳酸性作業閾値(LT2)と近い意味を持ちます。1時間全力走の実測が最も正確ですが精神的負荷が高いため、Hunter Allen/Andrew Coggan博士の推奨する20分全力テスト×0.95で近似するのが実務標準です。

PWR(パワーウェイトレシオ)

PWR = FTP ÷ 体重(kg)

単位はW/kg。登坂性能・軽量ライダーの優位性の指標です。プロレーサーは6.0-7.0 W/kg、ホビーレーサー上位は4.0-5.0 W/kg、一般愛好家は2.5-3.5 W/kgが目安です。

Cogganパワーゾーンの計算

Z1 = FTP × 0-55%(リカバリー)
Z2 = FTP × 56-75%(有酸素持久)
Z3 = FTP × 76-90%(テンポ)
Z4 = FTP × 91-105%(LT・閾値)
Z5 = FTP × 106-120%(VO2max)
Z6 = FTP × 121-150%(無酸素キャパ)
Z7 = FTP × 150%以上(神経筋パワー)

Cogganパワーゾーンの詳細

Coggan博士のTraining and Racing with a Power Meter(2019第3版)に定義される7ゾーンです。

ゾーン%FTP持続時間主な効果
Z1(Active Recovery)0-55%90分〜疲労回復・血流促進
Z2(Endurance)56-75%2.5-6時間脂肪燃焼・毛細血管新生・ミトコンドリア増加
Z3(Tempo)76-90%1-3時間糖質利用効率・持久力ベース
Z4(Threshold / LT)91-105%10-60分乳酸性作業閾値の引き上げ
Z5(VO2max)106-120%3-8分最大酸素摂取量・心肺能力
Z6(Anaerobic Capacity)121-150%30秒-3分無酸素性代謝能力・乳酸耐性
Z7(Neuromuscular Power)>150%5-30秒スプリント・最大神経筋出力

PWR(W/kg)によるライダー分類

Andrew CogganのPower Profile Chartに基づく、成人男性の分類目安です。女性は概ね0.5-0.7 W/kg低い値で同カテゴリになります。

カテゴリFTP W/kg特徴
初心者・非トレーニング1.5-2.5週1-2回・50km未満
ロード愛好家2.5-3.5週3-4回・センチュリー走行可
ホビーレーサー(Cat 4/5)3.5-4.0エンデューロ・実業団Eレベル
ミドル層(Cat 3)4.0-4.5実業団3-4級・ヒルクライム40分/1000mUP
上級ホビー(Cat 2)4.5-5.0実業団1-2級・全日本アマ入賞圏
エリート・アマトップ5.0-5.5全日本選手権完走圏
プロコンチネンタル5.5-6.0UCIコンチネンタルチーム所属
ワールドツアー6.0-6.5グランツール完走圏
ワールドツアー・トップ6.5-7.5ツール・ド・フランス優勝圏

PWRは体重の影響が大きく、体重60kgで360W(=6.0W/kg)と体重80kgで360W(=4.5W/kg)では全く異なる意味を持ちます。平地は絶対Wが重要、登りはPWRが重要という関係です。

FTPテストの種類

20分テスト(Coggan流)

20分全力走の平均パワー×0.95。準備20分(Z2)+ 5分×2の閾値ワーム+ 5分レスト+ 20分オールアウト+ クールダウン、と流れが確立。心理的にきついが最も普及した手法です。

Ramp Test(Zwift/TrainerRoad標準)

1分ごとに20-25W上げていき力尽きるまで。最終1分の平均×0.75=FTP。10-15分で終わる短時間性が魅力で、Zwift・TrainerRoadで標準採用。心理的負荷が低くVO2max型ライダーには過大評価傾向。

8分×2セット

Hunter Allen推奨。8分全力×2セット(10分レスト)で、良い方の平均×0.9=FTP。20分より時間短縮できる一方、無酸素能力が高いライダーで過大評価。

1時間全力(真のFTP)

定義通り1時間維持可能な平均パワーを実測。理論上最も正確だが、屋外なら平坦一定路が必要・室内なら極度の心理負荷で毎月測るのは非現実的。年1-2回の実測が実務推奨。

Critical Power / mFTP

WKO5・INSCYD等の解析ソフトで、複数の最大出力データ(3分・5分・20分)から数学モデルで算出。日々の走行データから自動更新され、テスト不要でFTP推定が可能な最新手法。

実走レース・KOMアタック

Strava・ヒルクライムレースの20分登坂パワーもFTP推定に活用可能。実走の方が屋内より5-10%高いFTPが出やすい(暑熱・冷却・モチベーション差)ため、屋外/屋内で分けて管理する選手も。

パワーメーター・スマートトレーナーの選択

タイプ価格帯主要製品精度
ペダル型(両側)10-20万円Garmin Rally・Favero Assioma Duo±1-1.5%
ペダル型(片側)7-10万円Favero Assioma Uno±1.5%(左脚基準)
クランク型10-25万円Quarq・SRAM・Rotor 2INpower±1-2%
クランクアーム型5-15万円4iiii Precision・Stages±1-2%(片側または両側)
スパイダー型10-20万円Power2Max・Quarq DZero±1.5%
ハブ型7-15万円PowerTap G3±1.5%
スマトレ(Direct Drive)8-25万円Wahoo KICKR・Tacx NEO 2T・Elite Suito±1-2.5%
スマトレ(廉価)3-8万円Elite Zumo・Wahoo KICKR CORE±2.5-3%

よくある間違い・注意点

  • 20分テスト×0.95を鵜呑み — VO2max型ライダー(TT不得意)では0.90-0.92、有酸素持久型では0.95-0.97が実態です。個人の得意分布で係数調整が必要。
  • Ramp Testの過大評価 — 無酸素能力が高いライダーはRamp Testで過大値が出やすく、実際のFTP強度セッションが達成できないケースが頻発。20分テストと相互チェックしてください。
  • 屋内と屋外のFTP差 — 屋内は熱・湿度・モチベーションで屋外より5-10%低いFTPが出ることが一般的。Zwift大会の絶対値と実走の絶対値は分けて管理する必要があります。
  • パワーメーター機種間の誤差 — 機種間で3-5%の誤差は普通。機種変更時はFTPを再測定してください。左右差の大きいライダーは片側計測に注意。
  • PWRだけで評価 — 平地レース・タイムトライアルでは絶対Wが支配的で、PWRは重要度が下がります。登り主体のホビーライダーがPWRに拘泥しがちですが、種目適性で見るべきです。
  • FTPを月1で更新しない — 継続トレーニングで4-6週で3-5%変動します。3ヶ月放置すると閾値ゾーンが実勢と乖離し、SSTがZ3になったり閾値ワークが物足りなくなります。
  • 疲労蓄積下でのFTPテスト — TSB(Training Stress Balance)がマイナスの状態でテストすると10%以上過小評価。テスト前3日はテーパー(強度を落とす)が推奨。

関連指標・国際基準

  • FTP(Functional Threshold Power) ― 1時間維持可能な最大平均パワー。Coggan博士の提唱。
  • LT2(Lactate Threshold 2) ― 血中乳酸4 mmol/L相当の運動強度。FTPと同義的に使われる。
  • VO2max ― 最大酸素摂取量。ml/kg/minで表現。プロ70-85、一般30-50。
  • TSS(Training Stress Score) ― トレーニング量指標。FTP×時間×強度からPeaksware計算式で算出。
  • NP(Normalized Power) ― 変動を考慮した実効パワー指標。
  • CTL/ATL/TSB ― Chronic/Acute Training Load、Training Stress Balance。疲労管理指標。
  • IF(Intensity Factor) ― NP÷FTP。1回のライドの強度指標。

参考文献・公的資料

パワーベーストレーニングの一次資料・公式ガイドは以下を参照してください。

※本ページのFTP・パワーゾーンは概算値です。個人の生理特性・体調・環境条件で最適値は変動します。トレーニング処方・レース戦略・健康管理の判断は、認定コーチ(USAC、BC、JCF、TrainingPeaks Level 1-3等)およびスポーツ内科医の指導のもとで行ってください。心疾患・呼吸器疾患・整形外科疾患のある方は、医師の診断後に高強度トレーニングを開始してください。

よくある質問(FAQ)

FTPとは?

1時間維持できる最大パワーで、自転車パフォーマンスの基準指標です。乳酸性作業閾値(LT2)に近い値で、Cogganモデルの7ゾーン基準になります。20分テストの95%で近似算出が標準的手法です。

PWRの目安は?

3.0=趣味・4.0=ホビーレーサー(Cat 4/5)・4.5=Cat 3・5.0=エリート・5.5=プロコンチ・6.0=ワールドツアー・6.5+=グランツール優勝圏。女性は同カテゴリで0.5-0.7 W/kg低い値。登坂性能とほぼ比例します。

Z1-Z7とは?

Andrew Coggan博士のパワーゾーン7区分。Z1=リカバリー、Z2=有酸素、Z3=テンポ、Z4=閾値、Z5=VO2max、Z6=無酸素キャパ、Z7=神経筋パワー。トレーニングメニュー設計の基本フレームです。

パワーメーターは何を買うべき?

Favero Assioma Duo(7-8万円)・Garmin Rally(10-20万円)・4iiii(5-8万円片側)が初心者の定番。ペダル型はバイク間の付替が容易でおすすめ。バイクを移動しないならクランク型・クランクアーム型も選択肢です。

Ramp Testと20分テストどちらが正確?

持久力型ライダーには20分テスト、無酸素型ライダーにはRamp Testが過大評価されがち。両方を実施して低い方をFTPとするのが安全な運用です。TrainerRoadのAdaptive TrainingではRamp Testが標準化されています。

FTP測定はどのくらいの頻度で?

6-8週に1回が標準的な更新頻度。継続的なトレーニング下では4-6週で3-8%変動します。テスト疲労の負荷が大きいため、レース期は控えめに、オフシーズンは月1回のペースが実務的です。

屋内と屋外のFTP差は?

屋内は屋外より5-10%低く出るのが一般的で、暑熱・湿度・モチベーション・冷却の差が原因です。Zwiftの絶対値と屋外レース基準は別管理し、屋内FTP+5-8%を屋外FTPとして運用する選手が多い実務です。

SSTとは?

Sweet Spot Training(88-94%FTP)で、閾値強化と有酸素持久の両方に効率的なトレーニング領域です。20-40分×2-3セットが標準メニューで、TrainerRoad系の中心ワーク。週2回まで安全に実施可能。

VO2max向上のトレーニングは?

Z5(110-120%FTP)で3-5分×3-5本、または30秒On/30秒Offの30/30インターバル。VO2maxは4-8週で5-10%向上可能で、若年者ほど改善幅が大きい傾向です。週1-2回で十分。

プロ選手のFTPは?

ツール・ド・フランス完走圏で6.0-6.5W/kg、優勝圏で6.5-7.5W/kg。ポガチャル・ヴィンゲゴーは6分パワーで7W/kg超、20分パワーで6.7-7.0W/kgと推定されています。体重60-65kgで400W前後のFTP。

NP(ノーマライズドパワー)とは?

変動する出力を実効パワーに補正した値で、Andrew Cogganが定義。1回のライドの生理負荷評価に有用。同じ平均220Wでも、変動が激しいライドの方が身体的疲労は大きく、NPはその指標です。

TSSとは?

Training Stress Score:ライド強度・時間の総合負荷指標。FTPで1時間走ると100 TSS。週300-500 TSSでミドル層、週600-1000でCat 2以上、週1200-1800でプロレベルの練習量が実勢です。

ヒルクライムでタイム短縮するには?

体重減量(PWR向上)とFTP向上の両輪が定石。体重3kg減で1kmUPあたり1-2分短縮可能、FTP 10W向上で同等の効果。減量と筋力低下のバランスが難しく、除脂肪維持しつつ体脂肪率を15%→10%に下げるのが実務戦略。

Zwiftレーシングの実力比較は?

Zwift独自のCategory Enforcement(zCE)は4週間の最大パワーからPWR推定でカテゴリ振分。A: 4.0-5.0 W/kg、B: 3.2-4.0、C: 2.5-3.2、D: 2.5未満。屋外実力との相関は概ね取れますが、屋外の方が5-10%高いFTPが出やすい傾向です。

初心者はFTPをいつ測るべき?

継続的なライドを1-2ヶ月続けた後が現実的。いきなりFTPテストは経験不足で全力を出しきれず、過小評価しがち。まずは60分のZone 2ライドを継続できる基礎体力を作ってから、Ramp Testで初期値を測るのが安全なアプローチです。

週何時間の練習が理想?

愛好家は週5-8時間、ホビーレーサーは10-15時間、Cat 2以上は15-25時間、プロは20-35時間が目安。時間量よりも、Zone 2の総量とZone 4-5の質の高いインターバルの割合で成果が決まります。80/20ルール(低強度80%/高強度20%)が実務のベストプラクティス。

ヒルクライム・レース分析

PWRとFTPからヒルクライムタイムを推定できます(概算・条件依存)。

PWR1kmUP登坂タイム目安実力層
2.5 W/kg50-55分初心者
3.0 W/kg42-47分ロード愛好家
3.5 W/kg36-40分中級ホビー
4.0 W/kg32-35分ホビーレーサー
4.5 W/kg28-31分実業団3-4級
5.0 W/kg25-27分実業団1-2級
5.5 W/kg23-25分エリート・アマトップ
6.0 W/kg21-23分プロコンチ
6.5 W/kg+19-21分ワールドツアー

富士ヒルクライム(Mt.富士24km・1270mUP)でシルバー1時間5分=約4.0W/kg、ゴールド65分切り=約4.5-4.7W/kg、ツール・ド・おきなわ市民210kmで6-8時間が現実的な目安です。

年間ピリオダイゼーション(トレーニング計画)

Joe Friel『Training Bible』方式のプロトタイプ計画例(4-6月をレース期と仮定)です。

期間時期主眼週間TSS目安
Base Period 111月-12月Zone 2ベース・技術・筋力300-500
Base Period 21月-2月SST・Tempo・持久力400-600
Build Period3月閾値・VO2max導入500-700
Peak / Race4-6月レース強度・テーパー400-600
Transition7-10月回復・オフシーズン200-400

プロは年間3-4回のピークを設けますが、アマチュアは年1-2回のピークが現実的です。オフシーズンをしっかり取ることで翌シーズンの伸び幅が確保できます。

パワートレーニング中の栄養・補給

トレーニング中の炭水化物

60-90g/hの糖質補給が90分以上のセッションで推奨。マルトデキストリン・フルクトースの複合摂取で吸収率アップ。1-1.5時間未満は水分のみで問題なし。

タンパク質摂取

体重1kgあたり1.5-2.0g/日。ハードトレーニング期は上限側で。プロテインシェイクをトレーニング直後30分以内に20-30g摂取が回復の定石。

電解質・水分

1時間あたり500-1000mlの水+電解質。ナトリウム500-1000mg/L相当の粉末(Precision Fuel・LMNT・SIS Hydro等)で汗のミネラル損失を補います。

Zone 2の空腹実施

脂肪利用能力(代謝柔軟性)向上のため、朝食前Zone 2ライドは有効。ただし90分以上・強度高めでは糖質切れで低血糖リスク。