逸失利益 計算ツール|後遺障害・死亡事故の将来収入損害をライプニッツ係数(法定利率3%)で即時算出
交通事故・労災などで後遺障害が残った場合または被害者が死亡した場合に、加害者・保険会社に請求できる逸失利益(将来の得べかりし収入)を、年収×労働能力喪失率×就労可能年数のライプニッツ係数(2020年改正民法404条の法定利率3%)で即時算出する完全無料ツール。むち打ち14級(労働能力喪失期間5年)・12級(10年)・年少者(18歳起算)・主婦(賃金センサス女性全年齢平均)・高齢者(就労可能年数と平均余命1/2の長い方)まで実務ルールを反映。日本弁護士連合会・日弁連交通事故相談センター発行の『損害賠償額算定基準(赤い本)』に基づく最新の実務基準で計算し、示談前に自賠責基準との差額を可視化。逸失利益は慰謝料と並ぶ賠償の柱で、後遺障害1級では数千万円〜1億円規模になるため、被害者ご自身または弁護士による厳密な算定が必要です。
逸失利益 計算機
計算式と法定利率3%
後遺障害の逸失利益
逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数のライプニッツ係数
死亡の逸失利益
逸失利益 = 基礎収入 ×(1 − 生活費控除率)× 就労可能年数のライプニッツ係数
ライプニッツ係数の意味
将来にわたって毎年受け取れるはずだった収入を、事故時点で一括賠償するため、中間利息(将来まで元本を運用したときの利息)を控除する必要があります。この控除係数が「ライプニッツ係数」で、割引率には民法404条の法定利率を使用します。2020年4月1日施行の改正民法により、法定利率は年5%から年3%へ引下げられ、3年ごとに見直しされます(現行3%)。利率が下がると係数が大きくなり逸失利益は増額されるため、事故発生日が2020年4月1日以降かで大きく金額が変わります。
就労可能年数の原則
労働能力喪失期間は症状固定日から67歳まで(年少者は18歳から67歳まで49年、就学者は大学卒業22歳から45年)が原則。67歳を超えた高齢者は厚労省簡易生命表の平均余命の1/2を用います。
後遺障害と死亡の逸失利益の違い
| 項目 | 後遺障害逸失利益 | 死亡逸失利益 |
|---|---|---|
| 基本式 | 年収×喪失率×係数 | 年収×(1−生活費控除率)×係数 |
| 控除項目 | 労働能力の喪失分のみ | 本人の生活費を控除 |
| 喪失率 | 等級別5%〜100% | 常に100%(労働不能) |
| 就労可能年数 | 症状固定〜67歳 | 死亡時〜67歳 |
| むち打ち特例 | 14級=5年、12級=10年 | 該当なし |
| 係数 | ライプニッツ(3%) | ライプニッツ(3%) |
| 年金逸失利益 | 原則なし | 老齢厚生年金等は対象 |
死亡事故では被害者が生きていれば自分で消費したはずの生活費を控除しますが、後遺障害では被害者が生き続けるため生活費控除はしません。一方、後遺障害では等級ごとの喪失率で割り引きます。
労働能力喪失率表(後遺障害等級別)
労働省労働基準局長通牒(昭和32年基発第551号)別表に基づく等級別の労働能力喪失率。自賠責保険・裁判実務ともに広く採用されている基準です。
| 等級 | 喪失率 | 典型的な後遺障害 |
|---|---|---|
| 1級 | 100% | 両眼失明・両上下肢の用廃・遷延性意識障害 |
| 2級 | 100% | 両眼視力0.02以下・両上肢2/3以上喪失 |
| 3級 | 100% | 1眼失明+他眼視力0.06以下・両手指全喪失 |
| 4級 | 92% | 両耳全ろう・1上下肢の用廃 |
| 5級 | 79% | 1眼失明+他眼視力0.1以下・1上下肢2/3喪失 |
| 6級 | 67% | 両眼視力0.1以下・脊柱変形高度 |
| 7級 | 56% | 1手5指喪失・PTSD重度・生殖器喪失 |
| 8級 | 45% | 1眼失明・脊柱変形中等度・1下肢短縮5cm |
| 9級 | 35% | 両眼視力0.6以下・味覚嗅覚喪失 |
| 10級 | 27% | 1眼視力0.1以下・14歯以上補綴 |
| 11級 | 20% | 両耳聴力障害・胸腹部臓器機能障害 |
| 12級 | 14% | 局部に頑固な神経症状(画像所見あり)・骨折変形 |
| 13級 | 9% | 1眼視力0.6以下・5歯以上補綴 |
| 14級 | 5% | 局部に神経症状(むち打ち・自覚症状主体) |
ライプニッツ係数早見表(法定利率3%)
2020年4月1日以降に発生した事故に適用される、法定利率3%のライプニッツ係数です。事故発生日が2020年3月31日以前の場合は旧法定利率5%の係数を使用します。
| 就労可能年数 | 係数(3%) | 係数(旧5%) | 就労可能年数 | 係数(3%) | 係数(旧5%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年 | 0.9709 | 0.9524 | 25年 | 17.4131 | 14.0939 |
| 2年 | 1.9135 | 1.8594 | 30年 | 19.6004 | 15.3725 |
| 3年 | 2.8286 | 2.7232 | 32年 | 20.3888 | 15.8027 |
| 5年 | 4.5797 | 4.3295 | 35年 | 21.4872 | 16.3742 |
| 7年 | 6.2303 | 5.7864 | 37年 | 22.1672 | 16.7113 |
| 10年 | 8.5302 | 7.7217 | 40年 | 23.1148 | 17.1591 |
| 12年 | 9.9540 | 8.8633 | 42年 | 23.7014 | 17.4232 |
| 15年 | 11.9379 | 10.3797 | 45年 | 24.5187 | 17.7741 |
| 17年 | 13.1661 | 11.2741 | 47年 | 25.0247 | 17.9810 |
| 20年 | 14.8775 | 12.4622 | 49年 | 25.5017 | 18.1687 |
就労可能年数は67歳 − 症状固定時年齢で計算。年少者は18歳から67歳までの49年を上限とし、事故時から18歳到達までの期間は稼働しないため二重の係数調整(複合係数)を使用します。
年少者・主婦・高齢者の基礎収入
年少者・学生(無職)
事故時無職でも、将来労働することを前提に賃金センサス(政府統計)全年齢平均を基礎収入とします。男子は約550万円、女子は約400万円(令和5年賃金構造基本統計調査)。ただし女子年少者では男女計平均(約500万円)を採用する裁判例も増えており、性別による格差是正が進んでいます。
主婦・主夫(家事従事者)
専業主婦・主夫は家事労働を経済的価値と評価し、賃金センサス女性全年齢平均(約400万円)を基礎収入とします(最判昭49.7.19 交民集7巻4号1067頁確立)。共働きで家事も担う場合は「給与所得+家事分(合算調整)」で算定するのが実務。パート主婦は現実収入と賃金センサスを比較し高い方を使用します。
高齢者(67歳以上)
就労終期は原則67歳ですが、67歳超の高齢者は厚労省簡易生命表の平均余命の1/2を就労可能年数とします。例:70歳男性の平均余命は約15.7年なので、就労可能年数は約8年。年金収入(老齢厚生年金)についても、逸失利益として計算することが判例で認められています(最判平5.9.21)。
会社役員
役員報酬のうち労務対価部分のみが基礎収入となり、利益配当部分は除外。中小企業のオーナー社長では実質労務対価が全額の70〜90%とされる例が多く、税務申告書・従業員給与との比較で判断されます。
死亡逸失利益と生活費控除率
死亡した被害者本人が生きていれば自分の生活費に使ったであろう金額を控除します。赤い本の基準は以下の通り。
| 被害者の属性 | 生活費控除率 | 備考 |
|---|---|---|
| 一家の支柱・被扶養者1人 | 40% | 妻子を扶養する会社員男性等 |
| 一家の支柱・被扶養者2人以上 | 30% | 妻+子2人以上を扶養 |
| 女性(主婦・独身・幼児含む) | 30〜40% | 女性年少者は45%とする例も |
| 男性独身・幼児・高齢者 | 50% | 本人一人分の生活費が大きい |
| 年金収入のみの高齢者 | 50〜60% | 年金の性質から控除率高め |
生活費控除率が低いほど(家族を扶養しているほど)逸失利益は増額されます。年金逸失利益では「年金は本人が生きていれば全額生活費に充当された」との考えから控除率を高めに設定します。
むち打ち14級・12級の実務ルール
むち打ち症(頸椎捻挫)は交通事故で最も発生頻度が高い後遺障害で、労働能力喪失期間について特別ルールがあります。
14級9号(局部に神経症状を残すもの)
MRI等の他覚所見なく自覚症状のみの場合。労働能力喪失率5%・喪失期間3〜5年が実務標準(東京地裁実務)。5年で計算した場合、35歳・年収500万円なら 500万×5%×4.5797(5年係数) = 約114.5万円が逸失利益となります。慰謝料(弁護士基準110万円)と合算し約225万円が典型的な認定額です。
12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
MRI・CTで神経圧迫等の他覚所見あり。喪失率14%・喪失期間10年が標準。35歳・年収500万円なら 500万×14%×8.5302(10年係数) = 約597万円。慰謝料290万円と合算し約887万円が認定相場。
その他等級への影響
骨折変形治癒(12級5号・8号)、可動域制限(12級6号・7号)など機能障害系は本則通り67歳までフルに計算しますが、神経症状(12級13号・14級9号)のみ喪失期間が制限される点に注意してください。
むち打ちで14級認定を勝ち取る条件
14級9号(局部に神経症状を残すもの)の認定には、①事故態様の相当性(車両損傷・衝突速度)、②症状の一貫性・連続性、③6ヶ月以上の継続通院、④症状固定時に頸部・腰部の疼痛や痺れが残存、⑤治療実績の可視化(週2〜3回のリハビリ通院履歴)が必要です。認定率は10〜20%程度と低く、通院実績の記録が最重要となります。
複合ライプニッツ係数(年少者用)の考え方
事故時7歳の男児が死亡した場合、逸失利益の算定期間は「18歳から67歳までの49年間」となりますが、事故時から18歳までの11年間は稼働しないため、この期間の中間利息を差し引く必要があります。
複合係数 = 67歳までの係数 − 事故時から18歳までの係数
例:事故時7歳男児 → 67歳到達までの係数(60年) − 事故時から18歳到達までの係数(11年)を計算。60年係数25.7297 − 11年係数9.2526 = 16.4771が実効ライプニッツ係数となります。この計算式により、稼働開始前の中間利息が二重に控除されるのを防ぎます。
年少者用複合ライプニッツ係数(法定利率3%)
| 事故時年齢 | 67歳までの係数 | 18歳までの係数 | 複合係数 |
|---|---|---|---|
| 0歳 | 26.7744(67年) | 13.7535(18年) | 13.0209 |
| 5歳 | 26.1662(62年) | 11.2961(13年) | 14.8701 |
| 10歳 | 25.4269(57年) | 7.7861(8年) | 17.6408 |
| 15歳 | 24.5187(52年) | 2.8286(3年) | 21.6901 |
| 18歳 | 23.9819(49年) | 0 | 23.9819 |
具体的な計算例(後遺障害・死亡パターン別)
逸失利益がどれくらいの金額になるか、典型的なケースで試算した結果を示します。
ケース1:会社員35歳男性・むち打ち14級・年収500万円
500万円 × 5%(14級喪失率)× 4.5797(5年係数)= 約114.5万円
むち打ち14級は労働能力喪失期間5年で打ち切り。慰謝料110万円と合わせ弁護士基準で約225万円が認定相場です。自賠責基準では慰謝料32万円のみで、弁護士介入により約7倍の増額が見込まれます。
ケース2:会社員45歳男性・脊柱変形8級・年収600万円
600万円 × 45%(8級喪失率)× 15.4150(22年係数)= 約4,163万円
67歳までの22年間フル計算。慰謝料830万円と合わせ約5,000万円規模の賠償額。労働能力喪失が長期にわたるため後遺障害逸失利益が賠償額の大部分を占めます。
ケース3:主婦40歳女性死亡・被扶養者2人
400万円 ×(1 − 30%)× 17.8768(27年係数)= 約5,005万円
賃金センサス女性平均400万円を基礎、一家の支柱で被扶養者2人以上のため生活費控除率30%を適用。死亡慰謝料2,400万円(一家の支柱)と合わせ約7,400万円が認定相場です。
ケース4:小学生男児10歳死亡
550万円 ×(1 − 50%)×(24.5187[45年係数] − 6.2303[8年係数])= 約5,032万円
18歳就労開始・67歳終期のため複合係数で調整(67歳までの係数 − 18歳到達までの係数)。慰謝料2,000〜2,500万円と合わせ約7,500万円規模になります。
ケース5:個人事業主60歳女性・骨折変形12級・確定申告所得300万円
300万円 × 14%(12級喪失率)× 5.4172(6年係数、67歳限定)= 約227.5万円
骨折変形12級は67歳まで本則通り計算。ただしむち打ち系12級13号(神経症状)なら10年制限が適用されます。
シーン別の使い方
示談交渉前のセルフチェック
保険会社提示の示談金額を受諾する前に、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つを比較。逸失利益部分が特に減額されがちで、弁護士基準では2〜3倍の差が生じることも珍しくありません。
弁護士相談時の予備計算
初回相談前に本ツールで概算を把握しておくと、弁護士との議論が効率化。「基礎収入をいくらで見るか」「喪失期間は何年か」「生活費控除率は何%か」の3つが争点になります。
労災の障害給付との比較
労災保険の障害給付(一時金・年金)は逸失利益と一部相殺されます(労災先行支給の場合)。労災給付額を把握しつつ、民事賠償として追加請求できる差額を算定する目安に使えます。
加害者側(保険会社側)の妥当性検証
加害者側代理人・示談担当者が、被害者請求額の合理性をチェックする用途にも。基礎収入・喪失期間・係数のいずれかが実務水準を超えていないかを確認できます。
生命保険・所得補償保険の設計
自身の万一時に家族が失う将来収入額を把握し、生命保険の必要保障額を設計。逸失利益から遺族年金・企業補償を引いた差額を保険で埋めるのが効率的です。
訴訟提起時の請求金額算定
訴訟では請求金額に応じて印紙代(訴訟費用)が変動するため、逸失利益・慰謝料・治療費等を合算した総額を事前に見積もる必要があります。
逸失利益を左右する重要要素
基礎収入の認定
被害者の職業・雇用形態により基礎収入の認定方法が大きく異なります。会社員は源泉徴収票の総支給額、個人事業主は確定申告の所得金額、無職者は賃金センサス、内定学生は入社予定先の初任給×昇給予測(大企業データ)と、それぞれ立証資料が必要です。年収の年変動が大きい成果報酬型営業職・フリーランスでは、直近3〜5年平均を採用することで争点になります。
労働能力喪失期間の争点
後遺障害の症状固定日から67歳までが原則ですが、加害者側からは「症状は時間経過で改善するはず」との反論で喪失期間短縮を主張されるケースが多発。特に神経症状(14級9号・12級13号)は5年・10年制限が実務標準となっており、これを超えて請求するには医学的立証(画像所見・改善見込みの否定)が不可欠です。
就労可能年数と平均余命
67歳超の高齢者は厚労省簡易生命表の平均余命の1/2を就労可能年数とします。例:65歳男性の平均余命は約19.9年、この1/2 ≒ 10年を就労可能年数とします。67歳より若い時点で症状固定した高齢者では、67歳までの年数と平均余命1/2の長い方を採用するのが実務。
よくある間違い・注意点
- 旧法定利率5%のライプニッツ係数を使用 — 2020年4月1日以降の事故は必ず年3%の係数を使います。旧5%の係数で計算すると就労年数20年で約16%も逸失利益が過少評価されます。事故発生日を必ず確認してください。
- むち打ち14級を67歳まで計算 — 局部の神経症状(14級9号・12級13号)は労働能力喪失期間が5年・10年に制限されるのが実務標準。67歳まで計算すると請求額は認められません。
- 主婦の逸失利益をゼロと扱う — 家事労働は経済的価値ありと最高裁で確立。賃金センサス女性全年齢平均(約400万円)を基礎に必ず請求すべきです。
- 年少者を「無職ゼロ収入」で計算 — 学生・幼児も18歳から67歳までの49年間、賃金センサス全年齢平均で逸失利益を計算します。ただし18歳前の稼働しない期間分は複合ライプニッツ係数で調整します。
- 会社役員報酬を全額基礎収入とする — 役員報酬のうち利益配当的部分は除外し、労務対価部分のみを基礎とするのが実務。同規模会社の従業員給与や労働時間で按分します。
- 生活費控除率を一律50%で計算 — 家族構成・性別・被扶養者数で30〜60%まで幅があります。一家の支柱で扶養家族2人以上なら30%まで下がり、逸失利益が2割以上増える可能性があります。
- 年金逸失利益を計上しない — 高齢者死亡事故では老齢厚生年金・退職共済年金も逸失利益となります(最判平5.9.21)。ただし遺族年金部分は既に遺族に支給されるため控除する必要があります。
関連する法令・実務基準
- 民法 第709条(不法行為による損害賠償) ― 故意・過失により他人の権利・法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。逸失利益請求の根拠条文。
- 民法 第404条(法定利率) ― 2020年4月1日改正により年5%→3%に引下げ。3年ごとに市中金利で見直し。ライプニッツ係数の割引率の根拠。
- 自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条 ― 運行供用者責任。加害者側の運行供用者に無過失責任に近い責任を課す。
- 自賠責保険支払基準(金融庁告示) ― 自賠責の後遺障害等級別支払基準。1級3,000万円〜14級75万円(傷害含む)。
- 労働基準局長通牒(昭和32年基発第551号)別表 ― 労働能力喪失率表。1級100%〜14級5%を規定。裁判実務でも広く採用。
- 労働者災害補償保険法 第12条の4 ― 労災給付と民事賠償の相互控除。二重取り防止。
- 『損害賠償額算定基準(赤い本)』(日弁連交通事故相談センター発行) ― 東京地裁実務の弁護士基準を集約。年1回改訂。
- 『交通事故損害額算定基準(青本)』(同) ― 全国的な裁判所実務を集約。赤い本と併用される標準文献。
- 最判昭49.7.19(交民集7巻4号1067頁) ― 主婦の家事労働の経済的価値を認めた判例。賃金センサス女性平均を基礎収入とする根拠。
- 最判平5.9.21 ― 老齢厚生年金の逸失利益性を肯定した判例。高齢者死亡時の年金逸失利益算定の根拠。
参考リンク・公的資料
逸失利益は法定利率・判例・実務基準が複雑に絡む領域です。より正確な情報は以下の一次資料を参照してください。
- 日本弁護士連合会(日弁連) ― 弁護士基準・赤い本の発行元。弁護士検索や無料相談窓口案内あり。
- 日弁連交通事故相談センター ― 『損害賠償額算定基準(赤い本)』『交通事故損害額算定基準(青本)』の発行団体。全国で無料相談を実施。
- 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(賃金センサス) ― 年齢別・性別・学歴別の平均年収データ。基礎収入算定の根拠。
- e-Gov 民法(第404条 法定利率) ― 2020年改正で年5%→3%へ、3年ごとに変動する法定利率の根拠条文。
- 裁判所(最高裁判所) ― 判例検索システムで逸失利益に関する最高裁・下級審判例を確認可能。
- 法務省 民法改正(債権関係) ― 2020年施行の法定利率変動制についての公式解説。
- 厚生労働省 簡易生命表 ― 高齢者の平均余命データ。67歳超の就労可能年数算定に使用。
- 厚生労働省 労災保険 ― 労災による障害給付・遺族給付の制度案内。民事賠償との調整に必要。
- 日本労働弁護団 ― 労災事案の逸失利益・慰謝料算定に強い弁護士団体。無料電話相談あり。
- 法テラス(日本司法支援センター) ― 経済的困窮者への弁護士費用立替制度(民事法律扶助)。交通事故被害者も対象。
よくある質問(FAQ)
むち打ち14級の逸失利益相場は?
年収500万円・事故時35歳の場合、5%×ライプニッツ係数(5年限定)4.5797 = 約114.5万円。むち打ちの労働能力喪失期間は3〜5年が標準(東京地裁実務)。慰謝料110万円(弁護士基準)と合わせて約225万円が認定相場です。自賠責基準では慰謝料32万円のみで大幅に少なくなるため、弁護士介入で3倍以上の差が生じます。
主婦・主夫も逸失利益はもらえる?
もらえます。賃金センサス女性全年齢平均(約400万円)を基礎に算定するのが確立した判例(最判昭49.7.19)。共働きで家事も担当している場合は給与所得と家事対価分の合算調整で計算します。パート主婦は現実収入と賃金センサスを比較し高い方を採用。年齢や地域による割引は原則行いません。
子供(無職・学生)の逸失利益は?
事故時に無職でも、将来の労働を前提に賃金センサス全年齢平均(男子約550万円・女子約400万円)で算定。死亡なら18歳から67歳までの49年分が対象。ただし事故時から18歳到達までの期間は稼働しないため、複合ライプニッツ係数(67歳までの係数 − 18歳までの係数)で調整します。女子年少者は男女計平均(約500万円)を採用する裁判例も増加しています。
定年後の収入はどう計算?
67歳以降は年金収入(老齢厚生年金・共済年金)を基礎にして計算するのが主流。年金から生活費控除(50〜60%)を引いて算定します。ただし遺族年金部分は既に遺族に支給されるため、二重計上を避けるため控除が必要です。本ツールは67歳までで打ち切っているため、67歳超の年金逸失利益は別途弁護士にご相談ください。
ライプニッツ係数はなぜ3%?昔は5%だったのでは?
2020年4月1日施行の改正民法404条により、法定利率が年5%から年3%へ引き下げられました。以降3年ごとに市中金利に応じて見直され、現行も3%が継続。事故発生日が2020年3月31日以前なら旧5%係数、2020年4月1日以降なら新3%係数を使用します。3%係数の方が数値が大きいため、逸失利益は増額される傾向にあります。
後遺障害等級はどう認定される?
自賠責損害調査事務所(損害保険料率算出機構)が医師の診断書・後遺障害診断書に基づき等級認定します。認定に不服がある場合は異議申立て(同機構へ再審査依頼)または紛争処理機構への申立てが可能。むち打ちで14級9号が認定されない場合は、通院実績・症状の一貫性・画像所見の再提出が有効です。
会社役員の基礎収入はどう算定?
役員報酬のうち労務対価部分のみが基礎収入で、利益配当部分は除外。中小企業オーナー社長では労務対価が全額の70〜90%と認定される例が多く、同規模同業他社の従業員給与・被害者本人の労働時間・企業規模との比較で判断します。税務申告書(役員報酬明細・法人税申告書)の提出が必要です。
個人事業主・フリーランスの年収は何を使う?
原則として事故前年の確定申告書の所得金額を基礎収入とします。青色申告控除前の所得を使うのが実務。ただし事業経費のうち固定費(家賃・リース料)は事業継続に必要な費用として全額または一部を経費控除しない扱いも認められます。売上の年変動が大きい場合は3〜5年平均を使う裁判例もあります。
労災の障害給付と逸失利益は両方もらえる?
両方請求可能ですが、労災保険給付を先に受給した場合は、その金額分を民事賠償から控除します(労災保険法12条の4)。労災年金は将来の給付予定分についてもライプニッツ係数で現価還元して控除。一方、特別支給金は控除対象外なので二重取り可能です。詳細は労災に強い弁護士へご相談ください。
示談後に症状が悪化した場合、追加請求できる?
原則として示談は最終解決なので追加請求は困難ですが、示談時に予測不可能な後遺症が新たに発生した場合は追加請求が認められる余地があります(最判昭43.3.15)。ただし立証責任は被害者側にあり、事故との因果関係を医学的に証明する必要があります。示談前に必ず症状固定を確認し、後遺障害等級認定を経てから示談することが重要です。
弁護士費用特約は誰でも使える?
自動車保険(任意保険)の付帯特約で、加入者本人・家族が交通事故被害者になった際、弁護士費用(相談料・着手金・成功報酬)を保険会社が上限300万円まで負担する仕組み。使っても等級ダウンなし。相手方の過失100%でも使えるため、被害者側から積極的に活用すべき制度。加入の有無を必ず確認しましょう。
逸失利益に税金はかかる?
交通事故の損害賠償金として受領した逸失利益は非課税(所得税法9条1項18号、施行令30条)。慰謝料・治療費・休業損害と合わせて全額非課税で、確定申告不要です。ただし相続財産として遺族が受領した場合は相続税の課税対象になる可能性があるため、税理士に確認してください。