労災補償額 完全計算|等級別・療養・休業・傷害・遺族・葬祭給付を一括算定する無料シミュレーター
給付基礎日額(平均賃金)・傷病等級(1〜14級)・休業日数を入力するだけで、療養補償給付・休業補償給付(給付基礎日額60%+特別支給金20%)・傷害補償年金/一時金・遺族補償年金・葬祭給付の総額と月次年金額を即座に算出。業務災害・通勤災害の両方に対応し、慰謝料との違いや損害賠償請求の可否まで丁寧に解説します。労災申請、示談交渉、後遺障害等級認定の準備に。
労災補償額 計算ツール
労災給付の内訳フロー
- 被災→労災指定病院で受診(療養補償給付、自己負担ゼロ)
- 4日目以降の休業→給付基礎日額の60%(休業補償給付)+20%(休業特別支給金)
- 治癒(症状固定)後、後遺障害があれば等級認定申請
- 1〜7級:傷害補償年金(年数回に分けて支給、終身)+特別年金+一時金
- 8〜14級:傷害補償一時金(一括支給)+特別支給金
- 死亡時:遺族補償年金(遺族数に応じた日数分)+遺族特別年金+葬祭給付
結果の見方
労災保険給付は「本体給付(給付基礎日額ベース)」と「特別支給金(労働福祉事業)」の二層構造になっています。両方を合算した実質補償率は、休業給付で日額の80%、傷害給付でも同水準です。給与総額と比較して不足する部分は、事業主に対する損害賠償請求(民事訴訟)で補うのが基本です。
- 療養補償給付:治療費・薬代・入院費・通院交通費まで実費支給。労災指定病院なら自己負担ゼロ、非指定でも後日還付。
- 休業補償給付:4日目以降の休業に対し、給付基礎日額の60%(本体)+20%(特別支給金)=実質80%を日額支給。
- 傷害補償年金/一時金:1〜7級は年金(1級=給付基礎日額の313日分/年、7級=131日分/年)、8〜14級は一時金(8級=503日分、14級=56日分)。
- 遺族補償年金:遺族数に応じ153〜245日分/年。前払一時金として1,000日分まで前受け可能。
- 葬祭給付:315,000円+給付基礎日額30日分、または給付基礎日額60日分のいずれか高い額。
給付ごとの計算式
給付基礎日額の算定
給付基礎日額 = 事故発生日直前3か月間の賃金総額 ÷ その期間の総日数
賞与は含まず、通勤手当・時間外手当を含みます。最低保障額(4,020円)・最高限度額(25,300円、2026年度)あり。
休業補償給付
休業補償給付 = 給付基礎日額 × 60% × 休業日数(4日目以降)
休業特別支給金 = 給付基礎日額 × 20% × 休業日数(同)
実質支給率 = 80% × 給付基礎日額 × 休業日数
傷害補償年金(1〜7級)
- 1級:給付基礎日額 × 313日分/年
- 2級:277日分/3級:245日分/4級:213日分
- 5級:184日分/6級:156日分/7級:131日分
傷害補償一時金(8〜14級)
- 8級:503日分/9級:391日分/10級:302日分
- 11級:223日分/12級:156日分/13級:101日分/14級:56日分
遺族補償年金
- 遺族1人:153日分/年(55歳以上の妻は175日分)
- 2人:201日分/3人:223日分/4人以上:245日分
等級別給付表
| 等級 | 労働能力喪失率 | 年金/一時金 | 日額10,000円時の年額または一時金 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 100% | 年金 313日分 | 313万円/年 |
| 2級 | 100% | 年金 277日分 | 277万円/年 |
| 3級 | 100% | 年金 245日分 | 245万円/年 |
| 4級 | 92% | 年金 213日分 | 213万円/年 |
| 5級 | 79% | 年金 184日分 | 184万円/年 |
| 6級 | 67% | 年金 156日分 | 156万円/年 |
| 7級 | 56% | 年金 131日分 | 131万円/年 |
| 8級 | 45% | 一時金 503日分 | 503万円 |
| 9級 | 35% | 一時金 391日分 | 391万円 |
| 10級 | 27% | 一時金 302日分 | 302万円 |
| 11級 | 20% | 一時金 223日分 | 223万円 |
| 12級 | 14% | 一時金 156日分 | 156万円 |
| 13級 | 9% | 一時金 101日分 | 101万円 |
| 14級 | 5% | 一時金 56日分 | 56万円 |
傷病等級×一時金/年金 比較
| 年金(1〜7級) | 一時金(8〜14級) | |
|---|---|---|
| 支給方式 | 年6回(偶数月)に分割終身 | 認定時に一括支給 |
| 裁定手続 | 年金申請書提出→定期支給 | 一時金申請書→1回振込 |
| 前払一時金 | 1〜7級とも200〜1,340日分まで前払可 | 該当なし |
| 物価スライド | スライド率適用あり | 該当なし |
| 特別支給金 | 年金+特別年金+特別一時金の三重構造 | 一時金+特別一時金 |
| 老齢年金との併給 | 調整あり(併給調整率) | 影響なし |
1〜7級の年金は終身給付であり、若年被災者ほど累計受給額が大きくなります。7級(日額10,000円)の場合、年131万円×平均余命40年で5,240万円の生涯受給額に達します。一方、一括で資金を活用したい場合は前払一時金制度(1,340日分まで前受け)を選択可能です。
ケーススタディ:給付総額のパターン
① 建設現場で骨折、休業3か月(90日)
日給1万円の現場作業員が転落事故で骨折、3か月休業したケース。—が休業補償の総額。療養は労災指定病院で自己負担ゼロ、後遺障害なしの場合はここまで。
② 機械挟まれ事故、後遺障害9級(労働能力35%喪失)
工場作業員が手指切断、9級認定を受けたケース。—が傷害補償一時金と特別支給金の合計。示談で会社に対する損害賠償請求(民事)と併せて総額700〜1,000万円規模。
③ 脊髄損傷、後遺障害3級(労働不能)年金
トラック運転手が交通事故で脊髄損傷、3級認定。—が年金月額(給付基礎日額1.2万円想定)。終身給付で累計は数千万円規模、介護給付も別途あり。
④ 死亡事故、遺族4人(配偶者・子3人)
工場火災で40代従業員が死亡、妻と子3人の遺族補償。—が遺族補償年金の年額。前払一時金1,000日分を選択すれば1,000万円を一括受給可能。
⑤ 通勤中の交通事故で骨折、休業60日
通勤途中の事故で通勤災害認定を受けたケース。—が休業給付総額。療養給付は一部負担金200円あり。相手方運転手への損害賠償請求と労災は選択適用または調整。
労災と慰謝料の違い
労災保険給付は「療養・休業・逸失利益」をカバーしますが、慰謝料(精神的苦痛への賠償)は含まれません。会社に安全配慮義務違反があった場合、労災給付に加えて会社に対する損害賠償請求(民事訴訟)が可能です。
| 項目 | 労災保険 | 会社への損害賠償 |
|---|---|---|
| 治療費 | 全額支給 | 労災でカバー済み |
| 休業損害 | 日額80% | 残り20%を補填可 |
| 逸失利益 | 年金/一時金 | 差額を請求可 |
| 慰謝料 | なし | 後遺障害9級で400〜700万円等 |
| 請求先 | 労働基準監督署 | 使用者(会社) |
| 手続 | 労災申請 | 示談または訴訟 |
労災給付で填補された部分は損害賠償請求から控除されますが、慰謝料は完全に上乗せ受給可能です。後遺障害等級認定後は、必ず弁護士に損害賠償請求の可否を相談してください。
よくある質問(FAQ)
アルバイト・パートでも労災は使えますか?
使えます。労災保険は労働者を1人でも使用する事業に強制適用され、雇用形態(正社員・パート・アルバイト・日雇い・外国人)を問わず全ての労働者が対象。事業主が労災に加入していなくても、労働者は労働基準監督署に労災申請でき、給付は国から支払われます(後から事業主に費用徴収)。
労災申請は会社が拒否したらできないのですか?
会社が申請書に協力しない場合でも、労働者本人が直接労働基準監督署に申請可能です。事業主証明欄が空欄でも「事業主の証明を得られなかった理由書」を添付すれば受理されます。会社が労災を隠そうとする「労災隠し」は労働安全衛生法違反で50万円以下の罰金対象。労働基準監督署に相談してください。
療養補償と健康保険はどちらを使うべきですか?
業務・通勤による負傷は必ず労災を使ってください。健康保険は「業務外の負傷・疾病」が対象で、業務起因のケガに使うと後日全額返還を求められます。労災指定病院なら現物給付で自己負担ゼロ、非指定病院なら立替後に労働基準監督署に還付請求してください。
休業補償はいつまでもらえますか?
治癒(症状固定)まで、または療養開始から1年6か月経過して傷病等級1〜3級に該当する場合は傷病補償年金に切り替わって以後も継続支給。原則として労働能力が回復するまで支給が続きます。ただし、退職しても給付は継続する点(労災は個人給付)は覚えておいてください。
過労死・過労自殺は労災認定されますか?
認定されます。過労死(脳・心臓疾患)の認定基準は直前1か月100時間超、または2〜6か月平均80時間超の時間外労働。過労自殺(精神障害)は「業務による強い心理的負荷」(パワハラ、長時間労働、業務内容の急変等)が認定要件。認定率は過労死40〜50%、精神障害30%前後で、専門家の支援を受けての申請が有効です。
後遺障害等級はどうやって決まるのですか?
治癒(症状固定)後、主治医の「後遺障害診断書」を添えて労働基準監督署に等級認定申請を行います。監督署は労災医員による審査を経て、労働者災害補償保険法施行規則別表の等級表に照らして等級を決定。不服がある場合は審査請求→再審査請求→行政訴訟の3段階で争えます。
通勤災害と業務災害は何が違いますか?
給付内容はほぼ同じですが、以下の3点で違います。①通勤災害は療養給付に一部負担金200円(休業給付から控除)。②業務災害の3日待期期間は事業主が平均賃金の60%を補償するが、通勤災害は事業主補償なし。③通勤経路の逸脱・中断(日用品購入等の例外あり)は認定されない。マイカー通勤・自転車通勤の事故も通勤経路上なら対象です。
労災を使うと会社に迷惑がかかりますか?
労災の使用実績はメリット制(労災保険料の割引・割増)に影響しますが、それは会社の話であって労働者が労災申請を控える理由にはなりません。労災隠しは違法であり、労働者の権利を優先すべきです。会社が「使うな」と言う場合、労働基準監督署または労働組合・労働問題に詳しい弁護士にすぐ相談してください。
労災と会社への損害賠償は両方請求できますか?
できます。労災は「無過失補償」で使用者責任を問わず給付されますが、安全配慮義務違反があれば会社への損害賠償請求(民事訴訟)が可能。労災給付で填補された分は損害賠償請求から控除される調整はありますが、慰謝料は労災に含まれないため完全に上乗せ受給可能。実務では労災申請と並行して弁護士相談を進めるのが定石です。
個人事業主・フリーランスも労災に入れますか?
特別加入制度により、一定の業種(建設業一人親方、タクシー運転手、フリーランス(2024年11月〜フリーランス法対応)等)は任意加入可能。給付基礎日額は3,500〜25,000円から選択、保険料は業種のリスク率で決まります。労働者性がない個人事業主は原則対象外ですが、業務委託でも実態が労働者と評価されれば労災適用の余地があります。
出典・参考資料
- 厚生労働省「労災保険給付の内容」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html
- 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)
- 厚生労働省「業務上疾病の労災補償状況」(令和6年度)
- 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」(令和3年改正)
- 労働政策研究・研修機構「労災保険給付基礎日額の最低・最高限度額」
※本記事の計算結果はあくまで概算です。実際の給付額・等級認定は労働基準監督署の審査により決定されます。申請前には社会保険労務士または弁護士に相談してください。