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電線サイズ選定電工負荷計算

電線サイズ選定 計算ツール|負荷電流→sq自動判定と内線規程解説

単相/三相・電圧・電力・力率・敷設方法から負荷電流を算出し、内線規程JEAC 8001の許容電流表に基づいて推奨電線サイズ(sq)・ブレーカ容量(A)を提案します。エアコン増設・IHクッキングヒーター・EV普通/急速充電器・厨房動力・工場動力配線の一次検討に。JIS C 3307(600Vビニル絶縁電線)・JIS C 3606(高圧CVケーブル)・電気設備の技術基準(電技解釈)第146条の許容電流ルールを踏襲した設計判断を、電気工事士・電気主任技術者・設備設計者向けに解説します。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

電線サイズ選定(負荷電流→sq)ツール

計算式と前提条件

負荷電流の基本式

単相: I = P / (V × cosφ)

三相: I = P / (√3 × V × cosφ)

負荷電力P[W]を電源電圧V[V]と力率cosφで除して負荷電流I[A]を算出します。三相三線式では線間電圧に√3(≒1.732)が掛かる関係上、同一電力なら三相の電流は単相の約58%(1/√3)で済みます。工場・厨房・大型空調で三相が選択される最大の理由は「同一電力を細い電線・小容量ブレーカで送電できる」ためです。

電線サイズ選定の3段階

①負荷電流I → ②電流減少係数k → ③許容余裕1.25倍

実務では負荷電流に対して、電線管本数による電流減少係数(k=0.63〜1.0)で割り戻し、さらにブレーカの過負荷耐量(定格の1.25倍で数分保持)に合わせて安全率1.25倍を掛けた電流を許容する電線サイズを選定します。すなわち必要許容電流 = I ÷ k × 1.25

力率の実務値

ヒーター等の純抵抗負荷はcosφ=1.0ですが、モータ負荷は0.7〜0.85、インバータ機器や進相コンデンサ内蔵機器は0.9〜0.95が実力値。定格銘板の力率を採用するのが原則で、力率0.7と1.0では電流が約43%違うため誤差が電線サイズの1〜2ランクずれに直結します。

単相200V/三相200V 電線サイズ早見表(電線管3本以下、cosφ=0.9)

電流減少係数0.70・安全率1.25倍を含んだ実務推奨値です。IV/HIV電線・電線管ころがし配線を想定。

負荷kW単相200V(電流A)推奨sq三相200V(電流A)推奨sq
1kW5.6A2sq3.2A2sq
2kW11.1A2sq6.4A2sq
3kW16.7A3.5sq9.6A2sq
5kW27.8A5.5sq16.0A3.5sq
7.5kW41.7A8sq24.1A5.5sq
10kW55.6A14sq32.1A5.5sq
15kW83.3A22sq48.1A8sq
20kW111.1A38sq64.2A14sq
30kW166.7A60sq96.2A22sq
50kW277.8A100sq160.4A38sq
75kW416.7A150sq240.6A60sq
100kW555.6A250sq×2並列320.8A100sq

参考: 内線規程JEAC 8001-2022 資料1-3-4の許容電流表を基準としています。実施工では周囲温度・並行敷設・熱抵抗も個別評価が必要です。

IV/HIV/CV 許容電流表(基本値・単導体)

絶縁電線・ケーブルの種類別・単導体空気中単独敷設時の許容電流(周囲温度30℃基準)。JIS C 3307(600Vビニル絶縁電線 IV)、JIS C 3317(600V二種ビニル絶縁電線 HIV)、JIS C 3606(高圧CV)による値です。

公称断面積IV(60℃)HIV(75℃)CV(90℃)主な用途
2sq27A35A38A照明分岐、100V単独負荷
3.5sq37A48A52Aエアコン200V、IH
5.5sq49A63A68AEV普通充電、大型エアコン
8sq61A78A84A厨房動力、小型モータ
14sq88A112A121A幹線、5〜10kW動力
22sq115A146A158A中規模幹線、15kW動力
38sq162A206A222A幹線、20kW超動力
60sq217A275A297A大型幹線
100sq298A378A407A受電幹線
150sq395A500A538A大電流幹線
200sq469A594A640A低圧主幹
250sq556A703A757A低圧主幹

電流減少係数(電線管本数・トレイ)

電線管・ケーブルラックに複数本を収容すると相互加熱で許容電流が下がります。内線規程JEAC 8001の低減係数を採用してください。

収容本数係数k備考
1本(単独)1.00空気中単独敷設
2本0.80単相2線または単純ペア
3本0.70単相3線または三相3線
4本0.63三相+接地など
5〜6本0.56複数回路収容
7〜15本0.49幹線ダクト
16〜40本0.43大型ケーブルラック

周囲温度が40℃・50℃と高い環境(工場屋根裏、厨房、太陽光下)では、さらに温度補正係数(0.82〜0.71)を掛ける必要があります。設計段階で経路の温度環境を必ず確認してください。

電圧降下と長距離配線

電線サイズは許容電流だけでなく電圧降下でも制約を受けます。内線規程で推奨される許容電圧降下は幹線2%以内・分岐幹線3%以内・分岐回路2%以内(合計8%以内が上限)。

単相: e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A)

三相: e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A)

ここでeは電圧降下[V]、Lはこう長[m]、Iは電流[A]、Aは断面積[mm²]。長距離配線では許容電流基準では2sqでOKでも、電圧降下基準で5.5sq以上に格上げが必要になるケースが多発します。EV急速充電器・遠隔ポンプ場・遠隔照明の設計で特に重要です。詳細は電圧降下計算ツールを活用してください。

導体材質・被覆材料の選定

電線の性能は導体材質と絶縁被覆で大きく変わります。用途・環境に応じた選択が必要です。

種類導体絶縁体耐熱用途
IV軟銅塩化ビニル60℃屋内一般配線・分電盤内
HIV軟銅耐熱塩化ビニル75℃電線管ころがし・高温部
KIV軟銅より線塩化ビニル60℃制御盤内配線・可動部
CV(単心)軟銅架橋ポリエチレン+ビニルシース90℃幹線・地中埋設
CVT(3心)軟銅架橋ポリエチレン+ビニルシース90℃三相配電幹線
EM-IE(エコ電線)軟銅ノンハロゲンポリエチレン75℃公共建築・低毒性要求
耐火電線 FP軟銅マイカ+架橋ポリエチレン840℃×30分消火・非常用電源
耐熱電線 HP軟銅ケイ酸ガラス380℃×15分火災報知器・誘導灯
MI(マイクロメタル)軟銅酸化マグネシウム250℃連続石油精製・化学プラント
アルミ電線アルミ各種各種大サイズ幹線・軽量化重視

業界・場面別使い方

新築住宅・エアコン増設

200V・4kWエアコン(冷房消費電力)なら電流20A程度で3.5sq+20Aブレーカで対応。100V機は10A×1.25で15Aブレーカ・2sq。オール電化住宅ではエコキュート・IH・EV充電・蓄電池を含む主幹容量の再計算が必須です。

EV普通/急速充電インフラ

普通充電6kW(単相200V/30A)なら5.5sq+30Aブレーカ、6kW×2口なら14sq+60A。急速充電50kW(三相400V/125A)は38sq+150Aブレーカ、150kWでは高圧受電と専用変圧器が必要。長距離引込みは電圧降下でサイズ格上げ。

工場動力・生産機械

7.5kWモータ(三相200V)は電流24A程度→3.5sq+30A、22kWモータは電流67A→14sq+75A。始動電流(定格の6〜7倍)対策としてブレーカは瞬時遮断特性D型を採用、ソフトスタータ・インバータで始動突入を抑制します。

厨房・給湯機器

200V IH 5kW(単相)→28A→5.5sq+30A。電気オーブン10kW(三相200V)→32A→5.5sq+40A。業務用食洗機・スチコン等の同時使用を想定した幹線設計を行い、需要率0.7〜0.8を掛けた実効負荷で主幹容量を決めます。

データセンター・サーバルーム

単相200V UPS 20kVA(電流100A)→38sq+125Aブレーカ、冗長化のため2系統独立配線が原則。高調波電流(3次・5次)による中性線電流増加で、TN-S系統の中性線を相導体と同サイズ以上にすることがIEC 60364で推奨されます。

ソーラー発電・蓄電池

PVパワコン5.9kW(単相200V)→30A→5.5sqの逆潮流専用配線。蓄電池ハイブリッド機は充放電双方向で電流方向が変わるため、DC側・AC側両方の電線サイズ選定が必要。系統連系保護継電器(RPR)の設定も伴います。

EV充電・太陽光配線 詳細シミュレーション

近年需要の高まるEV充電・PV発電の低圧配線設計の実務目安です。

設備定格相/電圧推奨sqブレーカ
普通充電コンセント3kW/15A単相200V2sq20A
普通充電スタンド6kW/30A単相200V5.5sq30A
普通充電×212kW/60A単相200V14sq60A
V2H(給電機能付)6kW双方向単相200V8sq50A
急速充電(小型)25kW/62.5A三相400V14sq75A
急速充電(標準)50kW/125A三相400V38sq150A
急速充電(大型)150kW/375A三相400V150sq×2並列500A
PVパワコン(住宅)5.9kW/30A単相200V5.5sq30A
PVパワコン(産業)50kW/85A三相400V22sq100A
蓄電池ハイブリッド10kWh/40A単相200V8sq50A

よくある間違い・注意点

  • 力率を1.0で計算 — モータ負荷の実力率0.7〜0.85を無視すると電流を過小評価し、電線・ブレーカが不足。定格銘板の力率を必ず確認し、進相コンデンサの有無も確認しましょう。
  • 1.25倍の安全率を忘れる — 内線規程では電線許容電流は「連続使用電流の1.25倍以上」と規定。ブレーカ定格1.25倍で数分持つ過負荷特性に合わせた設計哲学で、外すと電線が慢性発熱→絶縁劣化→短絡の遠因になります。
  • 電線管本数の減少係数無視 — 電線管に6本入れると許容0.56倍。空気中単独と同じサイズで施工すると発熱リスク。ダクト・ケーブルラック配線も同様に本数考慮が必要。
  • 周囲温度補正の見落とし — 工場屋根裏(50℃)や太陽光ケーブル(60℃)では許容電流が0.71倍以下に低下。基本値を鵜呑みにすると絶縁被覆が耐熱定格を超え劣化。
  • 電圧降下だけで判定 — 短距離で電圧降下OKでも許容電流不足でNGは頻発。逆に長距離で許容電流OKでも電圧降下NGも頻発。両者ANDで判定すること。
  • 始動電流を無視 — モータ始動電流は定格の6〜7倍。電線は熱時定数で耐えられても、ブレーカが瞬時遮断してしまうケースあり。D特性ブレーカ・ソフトスタータの検討が必要。
  • 接地線サイズを本線と同一にしない — 電技解釈第17条・内線規程で保護接地の最小サイズが規定。本線サイズによって規定値が異なり、共通の接地端子箱で複数回路を集約する場合は最大回路基準で選定。

関連する規格・法令

  • 電気設備の技術基準(電技) 第57条・電技解釈第146条 ― 低圧電線の許容電流の根拠。経済産業省が所管、5年ごとに改訂。
  • 内線規程JEAC 8001-2022 ― 日本電気協会が発行する低圧屋内配線の設計・施工基準。電線サイズ選定表・電流減少係数の実務標準。
  • 電気事業法 第39条・第43条 ― 自家用電気工作物の保安、電気主任技術者の選任義務。500kW未満の高圧受電で外部委託可。
  • 電気工事士法 ― 一般用電気工作物および自家用電気工作物600V以下の工事は第一種・第二種電気工事士が施工。
  • JIS C 3307 ― 600Vビニル絶縁電線(IV)の規格。導体断面積、絶縁厚、許容電流。
  • JIS C 3317 ― 600V二種ビニル絶縁電線(HIV)。耐熱75℃、電線管ころがしで高許容電流。
  • JIS C 3606 ― 高圧架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)。90℃導体温度対応、幹線に多用。
  • JIS C 3610 ― 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV/低圧)。
  • JEC-0102 ― 電気学会電気規格調査会標準規格。試験電圧・熱定格の詳細規定。
  • IEC 60364 ― 低圧電気設備の国際規格。データセンター・海外案件で参照。

参考文献・公的資料

設計・施工判断は最新の一次資料に基づく必要があります。以下は電気工事士・電気主任技術者・設備設計者が日常参照する公的機関・学会のリンクです。

※本ページの計算結果および推奨サイズは概算値です。実施工は最新版の電気設備の技術基準(電技解釈)・内線規程JEAC 8001・JIS規格に基づき、電気工事士・電気主任技術者・電気施工管理技士等の有資格者による設計・施工判断を優先してください。特殊環境(危険場所・高温・多湿・化学腐食・電磁ノイズ)、高調波・不平衡負荷を伴う場合は個別評価が必須です。

よくある質問(FAQ)

単相と三相で電線サイズが違うのはなぜ?

三相は√3倍(≒1.732倍)少ない電流で同じ電力を送れる関係上、電線が細く済みます。例えば10kW負荷なら単相200V/cosφ0.9で56A→14sq、三相200V/cosφ0.9で32A→5.5sqと2ランク以上細くなります。工場・厨房・大型空調で三相が主流な理由はこれです。

1.25倍の安全率の根拠は?

内線規程JEAC 8001で「連続使用電流の1.25倍以上の許容電流を持つ電線を選定」と規定。これは配線用遮断器が定格の1.25倍で数分持つ過負荷耐量特性に合わせた設計哲学で、電線が慢性発熱→絶縁劣化→短絡の遠因になるのを防ぐ実務ルールです。

力率が悪いと何が問題ですか?

無効電力分の余計な電流が流れて電線発熱・電力ロス・電気代増加を招きます。工場では進相コンデンサ(SC)を負荷側またはブスバー側に設置して力率を0.95以上に改善するのが一般的。電力会社の力率割引(85%基準で1%改善ごとに1%割引)対応にも直結します。

EV充電器の電線サイズはどう選ぶ?

普通充電6kW(単相200V/30A)は5.5sq+30Aブレーカ、6kW×2口(60A)は14sq+60A、急速充電50kW(三相400V/125A)は38sq+150Aブレーカ、超急速150kW以上は高圧受電と変圧器が必要。長距離引込み(20m超)は電圧降下計算でサイズ格上げになるケース多数。

三相200Vと400Vはどう使い分けますか?

同一電力なら400Vは200Vの半分の電流で済むため電線が細く済みます。20kW超の大型モータ、高層ビル幹線、EV急速充電器、太陽光メガソーラーで400V化が進行中。低圧400V(実効値480V以下)は電気事業法上「低圧」扱いですが、感電時のリスクは200Vより高いため保安対策強化が必要です。

電線の許容電流と電圧降下、どちらが優先?

両方ANDで満たす必要があります。短距離配線では許容電流で決まり、長距離配線では電圧降下で決まるケースが多い。内線規程では幹線2%・分岐3%・回路2%(合計8%以内)が推奨。EV急速充電器・遠隔ポンプ場・大型工場の主幹配線では、電圧降下計算が電線サイズを決めます。

IVとHIVとCV、どれを使えばいい?

IV(60℃)は屋内一般配線、HIV(75℃)は電線管ころがしや高温部で許容電流を稼ぎたい場合、CV(90℃)はケーブル単体敷設・幹線・地中埋設で使用。同じ断面積でも許容電流はIV

ブレーカ選定の考え方は?

ブレーカ定格 ≧ 負荷電流I×1.25 が原則。始動電流の大きいモータ負荷ではD特性(瞬時遮断10〜20倍)、一般負荷はC特性(5〜10倍)を選択。定格遮断容量(kA)は短絡電流に耐える能力で、変圧器容量と主幹距離から短絡電流を計算して選定します。

接地線のサイズは?

電技解釈第17条・内線規程で保護接地の最小サイズが規定。本線14sq以下なら接地2sq、22〜38sqなら8sq、60〜100sqなら14sqが目安。B種接地(変圧器中性点)は変圧器容量ごとに規定サイズがあり、電気主任技術者が計算・記録します。

周囲温度が高い環境では?

基準温度30℃に対して、40℃で0.82倍、50℃で0.71倍、60℃で0.58倍に許容電流を補正します。工場屋根裏・南向き外壁配線・厨房天井裏では40〜50℃が普通で、この補正を忘れると絶縁被覆が耐熱定格を超えて劣化します。太陽光パネル直下のケーブルは60〜80℃対応品(EM-CV等)を選択。

並列配線(パラレル)はいつ使う?

大電流回路(概ね250sq超)で単一電線が製造・施工上困難なとき、または経済的なとき、同一サイズ・同一長・同一敷設方法の電線を2〜4本並列にして許容電流を分割します。分流不均一による発熱・電磁力を防ぐため、同一相の電線は同一ダクトに束ねて相回転方向を揃える必要があります。

電線ダクト・ケーブルラックの本数制限は?

ケーブルラックは占積率40%以下、電線管は33%以下(絶縁電線)・48%以下(ケーブル)がJEAC 8001の目安。占積率超過は放熱不足で許容電流低減必須。ダクト内温度上昇を実測またはIEC 60287の計算で評価するのが理想です。