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熱中症WBGT暑さ指数水分補給塩分屋外活動労働安全

熱中症リスク・WBGT指数計算|気温・湿度・活動から暑さ指数と推奨水分塩分補給量を即算出

気温・湿度・日射・活動レベルからWBGT暑さ指数と熱中症リスク、推奨水分・塩分補給量、休憩間隔を瞬時に算出。屋外活動、スポーツ、建設・農作業、学校部活動、高齢者ケアで使えます。日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」、環境省「熱中症予防情報サイト」、労働安全衛生規則の2024年改正に対応した参考計算です。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

熱中症リスク・WBGT指数計算ツール

WBGT計算式と暑さ指数の定義

基本式

屋外(日射あり) WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内(日射なし) WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)は気温・湿度・輻射熱・気流の4要素を統合した暑さ指標で、1954年に米海兵隊が新兵訓練中の熱中症を減らすために開発したものです。日本ではJIS Z 8504で規定され、気象庁・環境省・日本スポーツ協会・厚生労働省が採用する公的指標です。

簡易推定式

WBGT ≒ 0.735×気温 + 0.0374×湿度 + 0.00292×気温×湿度 + 7.619×日射 − 4.557×日射² − 0.0572×風速 − 4.064

本ツールは気温・湿度・日射量からWBGTを推定する回帰式(小野・登内 2014「熱中症予防のための日常生活における暑さ指数(WBGT)の推定」)を使っています。日射量は直射日光0.8kW/㎡、曇り0.3kW/㎡、日陰・屋内0kW/㎡、風速は1.0m/sを既定値としています。実際の黒球温度計測がなくても、気象データから±1〜2℃程度の精度で暑さ指数の目安が得られます。厳密な労働安全衛生規則対応の判定には、JIS B 7922準拠のWBGT指数計による実測を推奨します。

推奨水分補給の考え方

推奨水分(ml/時) = 発汗量ベース値 × 体重補正(体重÷60kg) × 環境補正 × 年齢補正

許容脱水量(ml) = 体重(kg) × 20 ← 体重の2%

本ツールは体重60kgの人を基準にした活動別の発汗量目安(安静200、軽い活動400、中程度800、激しい1500ml/時)に、体重比の補正をかけています。発汗量は体格にほぼ比例して増えるため、体重80kgなら1.33倍、体重40kgなら0.67倍が目安です。さらにWBGT28℃以上で1.3倍、65歳以上で1.1倍の補正を加えます。塩分は経口補水の目安である0.1〜0.2%の中間、1.5g/L(0.15%)で算出しています。

許容脱水量は日本スポーツ協会の指針にある「体重の2%を超える脱水でパフォーマンス低下と熱中症リスクが高まる」という基準によるもので、体重1kgの減少を水分1,000mlとして換算しています。活動時間中の必要水分がこの量を超える場合は、開始前と活動中の分割補給が前提になります。

WBGTと気温・不快指数の違い

熱中症予防に使う指標は複数あり、それぞれ計測対象と用途が異なります。

指標計測対象単位主用途
気温(乾球温度)空気の温度のみ天気予報・一般
WBGT(暑さ指数)気温+湿度+輻射+気流熱中症予防(公式基準)
不快指数(THI)気温+湿度快適性の目安
体感温度(Wind Chill/Heat Index)気温+風速or湿度米NWSの参考値
UTCI気温+湿度+風速+輻射欧州の高精度指標

気温だけで熱中症リスクを判定するのは危険です。同じ気温28℃でも湿度50%と90%ではWBGTが3℃以上異なります。日本の高温多湿環境では、湿度を含むWBGTでの管理が救命に直結します。環境省「熱中症予防情報サイト」は全国841地点のWBGTを1時間ごとに公開しています。

WBGTと熱中症リスク早見表(日本スポーツ協会・環境省基準)

WBGT気温目安スポーツ指針労働安全日常生活
31℃以上35℃以上運動は原則中止作業中止・熱源撤去外出避け冷房
28-31℃31-35℃激しい運動は中止厳重警戒(こまめな休憩)外出時炎天下避け
25-28℃28-31℃積極的休憩警戒(定期的水分補給)運動・激しい作業は水分補給
21-25℃24-28℃積極的水分補給注意(死亡例あり)一般的な水分補給
21℃未満24℃未満ほぼ安全注意通常

WBGT31℃以上での運動継続は生命に関わります。2018年豊田市小1熱中症死亡事故(WBGT30.4℃)、2013年高校ラグビー熱中症死亡事故など、判例・行政指導ともにWBGT指標の遵守が事故責任判断の基準となっています。

活動別 発汗量と水分補給の目安

活動代謝量(W/m²)発汗量(ml/時)推奨補給量
安静・座位60-70100-200150-200ml/時
軽い作業(事務・立ち仕事)100-140200-400300-400ml/時
中程度運動(ジョギング・自転車)150-200500-1000600-800ml/時
激しい運動(サッカー・野球)200-2601000-1500800-1200ml/時
激しい肉体労働(建設・鉄工)260-3501500-25001200-1500ml/時(小分け)
マラソン競技レベル350-5002000-3500500-800ml/時(吸収限界)

1回で吸収可能な水分は200-250ml程度が上限で、多量に飲んでも胃で滞留するだけです。15-20分ごとに150-200mlを目安に小分けで補給するのが正解。運動時は塩分0.1-0.2g/100ml、糖分4-8g/100mlの経口補水液・スポーツドリンクが吸収速度で有利です。

年代・体格別 熱中症弱者の見分け方

属性リスク理由・対策
5歳以下の乳幼児特高体温調節未発達、地面近くの熱を受けやすい。ベビーカー内温度は路面+5℃。
65歳以上高齢者特高渇き感の低下、発汗機能低下、腎機能低下、屋内発症が多数(全体の約4割)
肥満(BMI25以上)基礎代謝と熱産生が多く、脂肪の断熱で放熱困難
持病(高血圧・糖尿病・心疾患)循環調節障害、利尿薬・降圧薬の脱水リスク
飲酒後・二日酔いアルコール利尿作用で脱水状態から活動開始
体調不良・寝不足自律神経の温度調節能力低下
暑熱馴化していない暑さに慣れる前(季節の変わり目・久しぶりの運動)の1-2週間はリスク

厚生労働省「人口動態統計」によれば、熱中症死亡者の約8割が65歳以上、うち約4割が屋内発症です。「エアコン我慢」「夜間の閉め切り」による高齢者の屋内熱中症死亡は毎年1,000人前後で推移しており、日中28℃/夜間26℃程度の冷房使用が推奨されています。

熱中症の重症度と応急処置

Ⅰ度(軽症):現場対応

めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、大量の発汗。涼しい場所で安静、水分・塩分補給。回復すれば病院搬送不要ですが、以後の活動は控えます。

Ⅱ度(中等症):医療機関受診

頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、集中力低下。自力で水分摂取できないなら救急搬送。点滴での補液が必要になるケースが多い。

Ⅲ度(重症):救急要請

意識障害、けいれん、高体温(40℃超)、肝腎障害、DIC(播種性血管内凝固)。119番通報、冷水浸漬など積極的冷却。10分以内に体温を40℃未満に下げないと死亡率上昇。

労作性熱中症(スポーツ・労働)

若年でも発症。運動継続で急激に重症化するのが特徴。日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2015」では、氷水浸漬(Cold Water Immersion)が最も効果的な冷却法。

業界での使い方

スポーツ指導者・部活動顧問

WBGT31℃以上での運動中止判断は事故予防のみならず、指導者の注意義務履行の根拠にもなる。試合・練習前のWBGT測定と記録は、日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」に沿った運用として法的にも重要。

学校・保育施設

登下校時、体育、部活動、遠足の判断に。文部科学省は2018年豊田市の死亡事故を受け「学校における熱中症対策ガイドライン」を策定。WBGT28℃以上でプールも中止判断の対象。

建設・農作業・製造現場

2024年改正労働安全衛生規則で、屋外・高温屋内作業では作業前のWBGT把握、休憩・水分補給の管理者記録、事業者の熱中症対策計画策定が義務化。違反時は労働基準監督署の是正勧告対象。

介護・訪問看護

訪問先の室温・湿度チェックが業務。エアコン未使用宅の高齢者は死亡リスク特高。ケアマネジャー・訪問看護師は地域包括支援センター経由で「涼しい避難場所(クールシェルター)」を案内。

屋外イベント・フェス運営

環境省の暑さ指数電話サービス(0570-058931)や気象庁の熱中症警戒アラートを主催者が受信し、開催可否・給水所増設・救護室配備を判断。中止判断の遅れは主催者責任。

配達・移動販売業

2024年から自転車・バイク配達員も熱中症労災の対象拡大。個人事業主でも労災特別加入で補償対象。フードデリバリー各社は配達員向けにWBGT警戒アラートを配信。

よくある間違い・注意点

  • 気温だけ見て判断 — 湿度80%超では気温28℃でもWBGT28℃を超え、激しい運動中止レベル。テレビ天気予報の気温だけでの判断は危険。環境省サイトのWBGT実測値を確認してください。
  • のどが渇いてから水分補給 — のどの渇きを感じた時点で体重の1-2%の水分が失われた「脱水初期」。事前・活動中の定期補給が必須で、渇きが指標にならないのが熱中症予防の原則です。
  • 水だけの大量摂取(水中毒) — 大量発汗時に真水ばかり飲むと血中ナトリウム濃度が低下し、けいれん・意識障害を起こす「低ナトリウム血症」に陥ります。塩分0.1-0.2%(スポーツドリンク・経口補水液)が必要。
  • エアコン我慢 — 高齢者の屋内熱中症死亡は全体の約4割。「電気代がもったいない」「冷えに弱い」でエアコン未使用は命に関わります。日中28℃/夜間26℃程度を推奨。
  • アルコールで水分補給 — ビールは利尿作用で摂取量以上に排尿。飲酒後の運動・炎天下作業は脱水加速。翌朝の二日酔い状態からの活動もリスク。
  • 暑熱馴化を無視 — 暑さに体が慣れる「暑熱馴化」には7-14日必要。梅雨明け直後、久しぶりの屋外運動、旅行先(南国)ではリスク倍増。徐々に負荷を上げる必要があります。
  • 症状のある人に自力給水を強要 — 意識朦朧・嘔吐がある人に無理に飲ませると誤嚥性肺炎の危険。Ⅱ度以上は救急搬送し、医療機関で点滴補液を優先。

関連する規格・法令

  • JIS Z 8504 ― 人間工学-WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレス評価-暑熱環境。日本国内におけるWBGTの公式定義。
  • JIS B 7922 ― 湿球黒球温度(WBGT)指数計。WBGT測定器の性能要件を規定。
  • ISO 7243 ― Ergonomics of the thermal environment - Assessment of heat stress using the WBGT index. 国際規格。
  • 労働安全衛生規則(2024年改正) ― 事業者の熱中症対策計画策定、WBGT測定、休憩と水分補給の管理者記録、教育訓練が義務化。
  • 厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」 ― 職場における熱中症予防対策マニュアル。事業者向け実務指針。
  • 環境省「熱中症警戒アラート」 ― 全国58地方ごとにWBGT33℃予想時に発表。市町村単位で緊急時避難場所「クーリングシェルター」の指定義務。
  • 日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」 ― WBGTに基づく5段階の運動可否判定。学校体育・部活動の実務基準。
  • 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン」 ― 医療機関での重症度判定と冷却治療の標準手順。
  • 気候変動適応法 ― 「気候変動適応計画」で熱中症予防が国と地方公共団体の責務。

参考文献・公的資料

熱中症対策の最新情報や地域別のWBGT実測値、詳細な予防・対応マニュアルは以下の公的機関資料で確認できます。

※本ツールの計算結果は環境省・日本スポーツ協会の公表指針に基づく参考値です。労働安全衛生規則対応の測定や、重症化した際の医療判断は、JIS B 7922準拠のWBGT指数計による実測値および医師・産業医の判断に従ってください。特に65歳以上の高齢者、5歳以下の乳幼児、心疾患・糖尿病・高血圧の既往がある方は、平常時から医療機関と相談の上、暑熱環境での活動可否を判断してください。

よくある質問(FAQ)

WBGT何度から運動中止すべき?

WBGT31℃以上で運動は原則中止(日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」)。28-31℃は激しい運動中止、25-28℃は積極的休憩が必要。学校部活動・スポーツ大会では試合・練習前のWBGT測定と記録が事故予防と管理責任履行の両面で重要です。

水分補給は何ml、何分ごと?

15-20分ごとに150-200ml(コップ1杯)を目安に小分けで摂取。1回に大量に飲んでも胃で滞留するだけで吸収が遅れます。中程度運動なら1時間で600-800ml、激しい運動・肉体労働では1000-1500ml/時が目安。塩分0.1-0.2g/100ml、糖分4-8g/100mlの経口補水液・スポーツドリンクが吸収速度で有利です。

経口補水液とスポーツドリンクの使い分けは?

症状ある時・重度の脱水は経口補水液(OS-1等、塩分約0.3%、糖分約2%)、予防・軽度発汗はスポーツドリンク(ポカリスエット、アクエリアス、塩分約0.1%、糖分約6%)。ダラダラ飲むと糖分過多で肥満・虫歯リスクなので、必要な時に必要な量を。

湿度が高いとなぜ危険?

体温調節の主要メカニズムは汗の蒸発による気化熱ですが、湿度80%超では汗が蒸発せず流れ落ちるだけで、体温が下がりません。気温28℃・湿度90%は気温35℃・湿度30%と同じくらいのWBGT値になります。梅雨明け直後の高温多湿は特に注意が必要です。

高齢者の熱中症、屋内でも起きる?

はい、熱中症死亡者の約4割が屋内発症で、うち大半が65歳以上。渇き感の低下、発汗機能低下、エアコン我慢、夜間の閉め切りが原因。日中28℃・夜間26℃程度の冷房設定、こまめな声かけ、家族・訪問介護による室温チェックが重要です。

子供の熱中症、なぜリスクが高い?

体温調節機能が未発達なうえ、地面近くの熱を受けやすいのが特徴。ベビーカー内温度は路面から+5℃、真夏の車内は10分で40℃超。学校の登下校時は帽子・水筒必携、車内放置は絶対禁止です。

熱中症警戒アラートが出たら何をすべき?

環境省・気象庁が翌日または当日にWBGT33℃を予想する時に発表。外出・運動を控え冷房使用、こまめな水分補給、高齢者・子供の見守り強化。市町村指定の「クーリングシェルター」(公共施設・図書館・冷房完備の商業施設)の利用も推奨されます。

暑熱馴化とは?

体が暑さに慣れる7-14日間のプロセス。汗の量が増え、汗に含まれる塩分が減り、少ない水分喪失で体を冷やせるようになります。梅雨明け直後、久しぶりの屋外運動、南国旅行前の1-2週間は徐々に暑さに触れる時間を増やすと予防効果大。

熱中症Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度の見分け方は?

Ⅰ度:めまい・立ちくらみ・こむら返り(現場対応可)。Ⅱ度:頭痛・吐き気・倦怠感(医療機関受診)。Ⅲ度:意識障害・けいれん・40℃超発熱(救急要請、即冷却)。自力で水分摂取できないならⅡ度以上と判定し搬送を。

Ⅲ度の応急処置はどうする?

救急車を呼びつつ、氷水浸漬(Cold Water Immersion)が最も効果的。バケツ・浴槽・大型クーラーボックスに氷水を張り首まで浸ける。無理なら首・脇の下・鼠径部を氷嚢で冷やし、扇風機で送風。10分以内に体温を40℃未満にできれば死亡率が大幅低下します。

建設現場・農作業での熱中症対策の義務は?

2024年の労働安全衛生規則改正で、事業者の熱中症対策計画策定、WBGT測定、休憩と水分補給の管理者記録、教育訓練が義務化。違反は労働基準監督署の是正勧告・使用停止命令の対象。個人事業主の配達員・農業従事者も労災特別加入で補償対象になりました。

ペットの熱中症予防は?

犬・猫は汗腺がほとんどなく、パンティング(舌を出した呼吸)で熱を逃がすため高温多湿に極端に弱い。散歩は早朝・夕方の涼しい時間帯、路面温度が体温より低い時に。真夏の車内放置は5分で危険水域。エアコン冷房、こまめな水分補給、床マット冷却が推奨です。