計算ツール
労務有給休暇労働基準法

有給休暇 消化率 計算ツール|年5日義務・繰越・買取り換算

年次有給休暇の消化率・残日数・年5日義務達成判定を計算する無料電卓。労働基準法39条および厚生労働省「働き方改革」による2019年4月施行の年5日取得義務化(違反は労基法120条で30万円以下の罰金)に対応。付与日数早見表(勤続0.5年=10日→6.5年以降=20日上限)、時効2年・翌年繰越上限、退職時買取り金額換算まで一括計算します。厚労省「令和5年就労条件総合調査」によると日本の有給消化率は62.1%(男性60.0%・女性65.7%)と主要先進国では最低水準(ドイツ・フランス100%)で、政府目標「2028年までに70%」達成に向け企業側の管理義務が強化されています。人事労務担当者・経営者・労働者・社会保険労務士向け。

最終更新:2026年7月28日/監修:計算ツールズ編集部

有給消化率 計算機

月給÷月平均所定労働日数(21日)

有給休暇のしくみ

労働基準法39条で、6ヶ月勤続かつ全労働日の8割以上出勤した労働者には、10日以上の年次有給休暇を付与する義務が使用者に課されています。パート・アルバイト・派遣労働者にも比例付与制度で有給が発生します(週所定労働日数×比例日数)。年5日は使用者に取得させる義務で、単に「与える」だけでは不十分です。

有給休暇の3つの権利

  • 取得権:労働者が自由に取得日を指定できる権利(労基法39条5項)
  • 賃金請求権:取得中も通常賃金・平均賃金・健康保険標準報酬日額のいずれかを受け取れる権利
  • 使用者への通知義務:取得を申請すれば原則付与される(拒否は違法)

使用者の3つの義務

  • 付与義務:勤続年数・週所定労働日数に応じた日数を付与
  • 年5日取得させる義務:2019年改正で追加
  • 管理簿の作成・保存義務:3年間保存が労基則で義務化

勤続年数別 付与日数(フルタイム週30時間以上)

勤続年数付与日数累積上限(繰越込)
0.5年(6ヶ月)10日10日
1.5年11日21日(10+11)
2.5年12日23日
3.5年14日26日
4.5年16日30日
5.5年18日34日
6.5年以降20日(上限)40日(20+20)

パート・アルバイト(週4日以下)は比例付与。所定労働日数により7日〜1日と減少。出典:労基法39条3項別表

年5日取得義務(2019年4月〜)

  • 10日以上付与される労働者は、使用者が年5日の有給を取得させる義務あり
  • 違反は労基法120条で労働者1人あたり30万円以下の罰金(累積で膨大な額に)
  • 計画的付与制度・時季指定権(使用者が時期を指定)で取得促進が必要
  • 年次有給休暇管理簿の作成・3年保存が労働基準法施行規則で義務化
  • 労働者自主取得が5日に満たない場合、使用者が時季指定して残日数取得させる

年5日義務違反の罰則詳細

労働基準法120条により、労働者1人につき30万円以下の罰金。違反者数×30万円で計算されるため、大規模企業では巨額の罰金リスク。労働基準監督署の是正勧告→改善しない場合は書類送検・罰金の流れです。

時効・繰越

  • 有給休暇は付与から2年で時効(取得しないと消滅)
  • 翌年への繰越は最大その年分の残り全部(前年から繰り越された分が時効消滅)
  • 退職時には買取りが慣行的に認められる場合も(義務ではない)

有給消化率の現状(2023年厚労省調査)

  • 日本平均:62.1%厚労省「就労条件総合調査」
  • 男性:60.0%・女性:65.7%
  • 大企業(1000人以上):60〜70%・中小企業(30-99人):55〜65%
  • 業種別TOP:情報通信75%・金融保険65%/WORST:宿泊飲食44%
  • 世界比較:ドイツ・フランス100%、ブラジル100%、米国55%、日本62%
  • 政府目標:2028年までに70%達成

退職時買取りの目安

退職時に未消化分を買い取る場合、1日 = 月給÷21日相当が一般的(月平均所定労働日数)。月給30万円なら1日約14,300円。買取りは義務ではないため就業規則・慣行によります。

パート・アルバイトの比例付与

週所定労働日数・時間が少ないパート・アルバイトも比例付与で有給が発生します。年5日義務も、10日以上付与される場合は対象となります。

週所定労働日数0.5年1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年以降
4日 or 週30h未満7日8日9日10日12日13日15日
3日5日6日6日8日9日10日11日
2日3日4日4日5日6日6日7日
1日1日2日2日2日3日3日3日

出典:厚生労働省 労働基準法39条3項別表。週5日以上または週30時間以上勤務ならフルタイム同等。

有給休暇制度の変遷

改正内容ポイント
1947年労働基準法制定6ヶ月継続勤務で年6日付与
1988年付与日数拡大0.5年6日→10日に段階拡大
1994年時間単位有給議論開始柔軟な取得方法検討
2010年時間単位有給施行年5日以内・労使協定必要
2019年4月年5日取得義務化労基法39条7項追加・罰則付き
2019年4月年次有給休暇管理簿作成・3年保存義務化
2020年〜コロナ禍で有給運用改革コロナ理由の特別休暇との棲み分け
2028年目標消化率70%達成政府「働き方改革」目標

出典:厚生労働省 労働基準法改正史・働き方改革実行計画

2019年4月の年5日取得義務化は、日本の労働慣行に大きな影響を与えた画期的な改革です。「有給を取得しづらい空気」を法的義務で強制的に打破する狙いがあり、多くの企業で計画的付与制度・アニバーサリー休暇・失効前アラート等の制度整備が進みました。政府は2028年までに消化率70%達成を目標とし、健康経営優良法人認定・くるみん・えるぼし等の認定制度と連動した企業の消化率向上インセンティブが強化されています。

計画的付与・時季指定の実務

計画的付与制度(労基法39条6項)

労使協定を締結して年5日を超える部分を計画的に付与。夏季・年末年始の連続休暇に活用され、消化率向上と業務調整が両立可能。厚労省ガイドで具体例が多数紹介されている。

時季指定義務(労基法39条7項)

年5日未満の労働者に対し、使用者が時季指定して取得させる義務。4月〜翌年3月の1年間に5日取得させないと違法。義務者リストと消化状況を月次管理。

時季変更権(労基法39条5項)

使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」に時季を変更できる権利。繁忙期・代替人員確保困難等の客観的事由が必要で、「単に忙しい」では認められない。

年次有給休暇管理簿(労基則24条の7)

2019年改正で作成義務化。労働者ごとに付与日・付与日数・取得日・取得日数を記録し、3年間保存。労基署調査の必須書類。

半日単位・時間単位有給

半日有給は就業規則で規定可能。時間単位有給は労使協定を締結して年5日以内で認められる。通院・行政手続き等の短時間ニーズに便利。

アニバーサリー休暇制度

誕生日・結婚記念日・家族の記念日等に取得推奨。義務日数達成率向上に効果的で、計画的付与と組み合わせた運用が増加。

主要企業の消化率ランキング(2024年公表値)

企業業種消化率備考
旭化成化学100%計画的付与制度
三菱ケミカル化学95%+本社・工場統一運用
NTT東日本通信88%働き方改革推進
大和ハウス建設85%アニバーサリー休暇活用
ソニー電機82%裁量労働制併用
富士通IT80%リモートワーク推進
トヨタ自動車自動車75%工場・本社別運用
日本平均全業種62.1%厚労省調査

出典:各社統合報告書・サステナビリティレポート(2024)。政府目標は2028年までに70%。

世界主要国との消化率比較

付与日数取得日数消化率備考
ドイツ30日30日100%連邦休暇法・強制取得
フランス30日30日100%労働法典で保障
スペイン30日30日100%労働法・完全消化
イギリス28日26日93%Working Time法
ブラジル30日30日100%労働法典で保障
米国10日(企業任意)10日55%法定なし・完全企業任意
日本17.6日(平均)11.0日62.1%労基法39条・年5日義務
韓国15日10.5日70%近年改革・消化率向上中

出典:Expedia「Vacation Deprivation Report」・各国労働統計・厚労省国際比較資料

シーン別の使い方

人事労務担当者の管理

従業員ごとの付与日数・消化状況・年5日義務達成率を月次で管理。年度末に達成困難な社員には時季指定による計画的取得を実施。管理簿は3年保存義務。

労働者の権利確認

自分の付与日数・残日数を勤続年数から早見表で確認。会社の運用が労基法違反となっていないかチェック。労基署相談も可能。

退職時の交渉

未消化有給を退職前にまとめて取得(引継期間との調整必要)。買取り交渉時は「月給÷21日×残日数」で金額を試算。

就業規則の設計

年5日確実取得の仕組み(計画的付与・時季指定制度・失効前アラート)を就業規則に明記。労働基準監督署への届出必要(10人以上)。

アニバーサリー休暇制度

誕生日・結婚記念日・家族の記念日等に取得を推奨する制度で、義務日数達成率向上。計画的付与と組み合わせると効果的。

働き方改革対応

厚労省「働き方改革」の一環で有給消化率向上は経営指標に。健康経営優良法人認定の評価項目でもある。

労働組合の交渉材料

春闘・労使交渉で消化率向上を要求する材料。連合や産業別労組のデータと比較して交渉優位性を確保。

離職防止・エンゲージメント向上

消化率の高さは従業員満足度と相関。採用ブランディング・離職防止策として、消化率100%を目標にする企業も増加。

ESG報告書での開示

統合報告書・サステナビリティレポートで消化率を開示する上場企業が増加。投資家評価ESGレーティングにも影響。

よくあるトラブル・対策

有給申請を拒否された

使用者は時季変更権しか行使できず、取得そのものを拒否することは違法。「業務多忙」だけでは変更権も認められにくく、労基署相談で対応可能。

年5日達成できない社員

使用者側の管理義務として、年度末までに時季指定して取得させる必要あり。事前に計画的付与ルールを就業規則に明記して回避。

時効消滅の直前で慌てる

付与から2年経過前に申請すれば消滅回避可能。失効前アラートを年次有給休暇管理簿と連動させて社員へ通知するのが優良企業運用。

買取り金額でトラブル

買取りは義務ではないが、慣行的に認められる場合の金額計算方法(月給÷21日 or 平均賃金)で揉めるケース多い。就業規則で明記が予防策。

パート・アルバイトの認識ギャップ

「パートには有給ない」と誤解している労働者・使用者が多い。比例付与ルールを周知徹底することで、労働トラブル・労基署相談を予防。

労基署からの是正勧告

年5日義務違反で是正勧告→改善しない場合は送検→書類送検→罰金のフロー。是正勧告時点で人事担当者・社労士と対策協議して迅速対応。

よくある勘違い

1. 「有給は使わなければ買い取られる」

買取りは義務ではない。在職中の買取りは労基法で禁止(有給取得を抑制するため)。退職時のみ慣行的に認められるが会社次第。

2. 「年5日は付与するだけで良い」

2019年改正で「付与」ではなく「取得させる」義務。労働者が自主取得しない場合、使用者は時季指定して取得させないと違法。

3. 「有給の理由を聞かれる」

有給取得の理由は本来告げる義務なし。「私用」で十分。ただし業務との調整が必要な場合、事前申請時期の会社ルールは有効。

4. 「パート・アルバイトは有給なし」

週所定労働日数に応じた比例付与で有給が発生。週1日勤務でも6ヶ月継続で年1日以上付与される。

5. 「退職時は残有給を全部取れる」

取得は労働者の権利だが、業務引継・時季変更権との調整が必要。1ヶ月前の退職届+残有給消化の相談が実務的。

6. 「時効消滅は仕方ない」

2年時効の直前になっても取得可能。会社は失効前アラートを出す義務はないが、労働者側で管理して取得請求すれば消滅を防げる。

7. 「有給取得中の給与は減る」

有給取得中は通常の労働日と同じ賃金支払い義務。通常賃金・平均賃金・健康保険標準報酬日額のいずれかを就業規則で規定。

8. 「有給を分割取得できない」

1日単位が原則だが、就業規則で規定すれば半日単位取得可能。時間単位有給は労使協定を締結して年5日以内で認められる(労基法39条4項)。

9. 「退職前の消化申請は認められない」

退職前でも取得は可能。ただし業務引継・時季変更権との調整が必要。1ヶ月前の退職届+残有給消化の相談が実務円満退職の定石。

10. 「派遣社員には有給がない」

派遣社員の有給付与義務は派遣元会社にある。6ヶ月継続勤務+8割出勤で発生。派遣先が変わっても、派遣元が同じなら勤続年数は継続カウント。

参考リンク・公的資料

本ツールは労働基準法39条および厚生労働省告示に基づく標準的な計算です。実際の有給付与・消化・買取り運用は就業規則・労使協定・雇用形態(正社員/パート/契約社員/派遣)・比例付与条件(週所定労働日数・時間)・時季変更権の適用等により個別判断が必要です。労働時間管理・有給運用ルール・年5日義務対応の設計は、必ず社会保険労務士・弁護士(労働法専門)・労働基準監督署等の専門家にご相談ください。

よくある質問

年5日義務違反の罰則は?

労働基準法120条により労働者1人あたり30万円以下の罰金。例えば違反者が10人いれば累積300万円、100人なら3,000万円の罰金リスク。労働基準監督署の是正勧告が入ります。

パート・アルバイトの有給は?

比例付与で発生。週5日以上または週30時間以上勤務ならフルタイム同等(0.5年で10日)。週1日勤務なら0.5年で1日、週4日なら0.5年で7日等、比例的に付与。

有給の理由を会社に伝える必要は?

不要。労働者の権利であり、理由開示義務は判例上ない。「私用」で十分。ただし業務調整のため事前申請時期の会社ルール(1週間前など)は合理的範囲で有効。

時効消滅を防ぐには?

付与から2年経過前に取得請求。会社は失効前通知の義務はないが、労働者側で管理して失効月の直前に取得申請すれば消滅回避。年次有給休暇管理簿の確認を年1回推奨。

退職時に残有給を買い取ってもらえる?

買取りは義務ではないが、慣行的に認められるケースあり。就業規則の規定次第。月給÷21日×残日数が金銭換算の目安。買取り拒否の場合は退職前に消化するのが確実。

時季変更権とは?

使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」に有給取得日を変更できる権利(労基法39条5項)。ただし単に「忙しい」では認められず、繁忙期・代替人員確保困難等の客観的事由が必要。

計画的付与制度とは?

労使協定を締結して年5日を超える部分を計画的に付与する制度(労基法39条6項)。会社が付与日を指定できるため、消化率向上と業務調整が両立可能。夏季・年末年始の連続休暇に活用。

有給取得中の賃金はいくら?

就業規則で規定した通常賃金・平均賃金・健康保険標準報酬日額のいずれか。通常賃金(普段の日給相当)が最も多く、平均賃金は退職時等特殊ケース、標準報酬日額は労使協定必要。

半日有給・時間単位有給は?

半日有給は就業規則の定めで可能。時間単位有給は労使協定を締結して年5日以内で認められる(労基法39条4項)。1時間単位で細かく取得可能なため、通院・行政手続きに便利。

年次有給休暇管理簿とは?

2019年改正で作成義務化された書類。労働者ごとに付与日・付与日数・取得日・取得日数を記録し、3年間保存が労働基準法施行規則で義務化。労基署調査時の必須書類。

有給消化率TOP企業は?

厚労省調査では情報通信業75%が業種TOP。企業別では旭化成・NTT・大和ハウス等の大企業が80%超を公表。ヨーロッパ企業は100%が標準。

労基署に相談する方法は?

会社所在地管轄の労働基準監督署へ相談(無料・匿名可)。証拠(就業規則・タイムカード・給与明細)を持参。悪質な場合は是正勧告→送検の流れ。

派遣社員の有給はどうなる?

派遣社員の有給付与義務は派遣元会社にある。6ヶ月継続勤務+8割出勤で発生。派遣先が変わっても、派遣元が同じなら勤続年数は継続カウント。取得申請も派遣元へ。

フレックスタイム制でも有給は同じ?

基本は同じ扱い。フレックスタイム制でも1日単位の有給取得が可能で、コアタイム分の時間差は不問。労使協定でフレックス独自の運用ルールを定める企業もある。

裁量労働制での有給は?

専門業務型・企画業務型裁量労働制でも、有給は他と同じ1日単位で計算。労働時間の裁量とは別次元で、年5日義務も同様に適用される。

公務員の有給は?

国家公務員は人事院規則、地方公務員は各自治体条例で規定。年間20日付与・繰越20日と労基法より充実。夏季休暇(5日別途)・生理休暇・慶弔休暇も付与される。

有給申請が事後承認となるケース

本人急病・家族の突然の入院等、事前申請が困難な場合は事後承認で有給扱いにできる(就業規則の規定次第)。証明書類(診断書等)の提出を求められる場合あり。