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単位力学材料JIS

ヤング率(縦弾性係数)単位変換計算機|GPa⇔MPa⇔kgf/mm²・40材料早見・建築構造設計

ヤング率(縦弾性係数 E)を、GPa⇔MPa⇔kgf/mm²⇔N/mm²で相互換算。鋼・アルミ・コンクリート・木材・樹脂・ゴム40材料のヤング率早見表、フックの法則(σ=Eε)を使った応力ひずみ計算、JIS建築構造・日本建築学会指針・機械構造用鋼の設計基準までを網羅。旧単位のkgf/mm²とSI単位N/mm²の換算実務、材料選定の勘所を解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

ヤング率単位換算 計算機

ヤング率の定義と単位系

基本式

ヤング率 E = 応力 σ ÷ ひずみ ε
σ (Pa) = 荷重 F (N) ÷ 断面積 A (m²)
ε = 伸び ΔL ÷ 元長 L₀ (無次元)

ヤング率(縦弾性係数, Young's Modulus)は、弾性域内で材料に軸方向の力を加えたときの応力とひずみの比例定数です。単位は圧力と同じPaまたはN/m²で、実務ではGPa(ギガパスカル)MPa(メガパスカル)が主に使われます。1807年のトマス・ヤング(Thomas Young)にちなむ命名で、材料の「硬さ・剛性」を示す最も基本的な物性値です。

SI単位系との関係

1 GPa = 1,000 MPa = 10⁹ Pa
1 MPa = 1 N/mm² = 10⁶ Pa
1 kgf/mm² = 9.80665 MPa ≒ 9.807 N/mm²
1 GPa ≒ 101.97 kgf/mm²

1999年の計量法改正でkgf/mm²は取引・証明用には使えず、SI単位(Pa・N/mm²)への統一が義務化されました。ただし、旧規格の材料試験資料・古い機械設計書・熟練技術者の慣習では今も併用されるため、変換に注意が必要です。

米国系単位のpsi

米国製材料・輸入機械ではpsi(pounds per square inch)やksi(千psi)が使用されます。1 GPa ≒ 145,038 psi ≒ 145.0 ksi。ASTM規格・SAE規格の材料資料はpsi表記が標準です。

フックの法則と応力ひずみ

フックの法則: 弾性域内では応力σとひずみεは比例し、比例定数がヤング率E。
σ = E × ε

この式は棒・板・柱などの軸方向変形の基本式で、次の関係を導きます。

伸び ΔL = (F × L₀) / (A × E) = σ × L₀ / E

例えば、S45C鋼(E=205 GPa)の断面積10mm²の丸棒を長さ1,000mmで、100Nの荷重をかけると:
σ = 100/10 = 10 N/mm² = 10 MPa
ε = 10/205,000 = 4.88×10⁻⁵
ΔL = 4.88×10⁻⁵ × 1000 = 0.049mm

弾性限度と塑性域

フックの法則は弾性域内でのみ成立します。降伏点(σ_y)を超えると塑性変形が始まり、ヤング率では変形量が予測できません。設計では通常、降伏強度の60〜70%を上限に使用(安全率1.4〜1.7)します。

鋼・金属材料のヤング率

鋼のヤング率は約200 GPa前後で、種類による差はわずか(5%以内)。機械構造用鋼・ステンレス鋼・工具鋼のいずれもほぼ同値です。

材料ヤング率 E (GPa)用途
純鉄211基準値
炭素鋼 S45C205機械構造・シャフト
SS400(構造用鋼)200建築構造・鋼骨
SC材(鋳鋼)190〜200大型鋳造品
SKD11(工具鋼)210金型・切削
SUS304(オーステナイト系)193厨房・食品機械
SUS430(フェライト系)200建材・厨房
ねずみ鋳鉄 FC250100〜130機械台座・部材
球状黒鉛鋳鉄 FCD450160〜180自動車ハブ・水道管
アルミニウム(純Al)70建材・箔・電気導体
A5052(Al-Mg合金)70船舶・車両
A7075(超々ジュラルミン)72航空機・レース
チタン(純Ti)106医療インプラント
Ti-6Al-4V113航空機構造材
マグネシウム(純Mg)45ノートPC筐体・軽量部品
銅(純Cu)115電気導体・熱交換器
真鍮 C2801130装飾・電気接点
青銅(Sn-Cu合金)105装飾・ベアリング
ニッケル(Ni)200合金添加・化学触媒
亜鉛(Zn)108めっき・電池電極
鉛(Pb)16放射線遮蔽・鉛蓄電池
タングステン(W)411切削工具・重量調整

コンクリート・石材

コンクリートのヤング率は圧縮強度(Fc)で変化し、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」で以下の実験式が採用されています。

E = 3.35×10⁴ × (γ/24)² × (Fc/60)^(1/3) [N/mm²]
γ=気乾単位容積質量(kN/m³)、Fc=設計基準強度(N/mm²)

材料ヤング率 E (GPa)備考
普通コンクリート Fc=21約 21一般住宅
普通コンクリート Fc=30約 25中層建築
普通コンクリート Fc=42約 30タワーマンション下層
高強度コンクリート Fc=60約 35超高層下層階
軽量コンクリート15〜20屋根スラブ・軽量下地
花崗岩(みかげ石)50〜70建材・石碑
大理石50〜80装飾建材
安山岩40〜80建材・敷石
砂岩10〜20軟質建材
普通ガラス70窓ガラス
石英ガラス70〜75光学ガラス
コンクリートブロック10〜15塀・間仕切り

コンクリートはヤング率が鋼の1/7〜1/10で「同じ荷重に対して7〜10倍たわむ」性質。鉄筋コンクリートは、剛性は鋼が、圧縮はコンクリートが担う複合構造です。

木材のヤング率

木材のヤング率は繊維方向繊維直角方向で20〜30倍差があります(異方性材料)。以下は繊維方向の代表値。

樹種ヤング率 E (GPa)比重用途
杉(スギ)7〜100.38建築構造材
檜(ヒノキ)10〜120.44建築仕上げ材
米松(ダグラスファー)12〜150.50建築梁材
米栂(ヘム)10〜130.47建築造作
松(マツ・アカマツ)10〜130.53建築・家具
ホワイトオーク12〜140.68家具・洋樽
ケヤキ10〜130.62家具・彫刻
チーク12〜150.66船舶甲板
集成材(構造用)9〜130.42大断面梁
合板7〜100.55下地・型枠
OSB4〜60.65木質面材
MDF3〜40.70家具下地

木造建築の構造計算では、JIS Z 2101「木材の試験方法」および日本建築学会「木質構造設計規準」の樹種別基準値を使用。含水率・年輪密度で±30%程度変動します。

樹脂・ゴム・複合材

材料ヤング率 E (GPa)用途
ポリカーボネート(PC)2.3〜2.4透明カバー・防弾
アクリル(PMMA)2.5〜3.0透明板・水槽
ABS樹脂2.0〜2.5家電・玩具
ポリスチレン(PS)3.0〜3.5包装・断熱材
ポリエチレン(HDPE)0.7〜1.4ボトル・パイプ
ポリプロピレン(PP)1.2〜1.7ヨーグルト容器
ナイロン(PA6)2.0〜3.5ギア・繊維
PEEK(高性能樹脂)3.6〜4.1航空機・医療
エポキシ樹脂2.5〜3.5接着剤・複合材マトリクス
天然ゴム0.01〜0.1タイヤ・パッキン
シリコーンゴム0.001〜0.05キッチン用品・医療
CFRP(炭素繊維強化樹脂)70〜200航空機・自転車・レース
GFRP(ガラス繊維強化樹脂)15〜35浴槽・船舶
アラミド繊維(ケブラー)70〜130防弾・防護

CFRPは鋼と同等のヤング率を1/4の比重で実現できる先端材料。比剛性(E/密度)では鋼の4倍、航空機・レース自転車の主構造材として広く使われています。

生物材料と極端値

材料ヤング率 E (GPa)備考
ダイヤモンド1,050〜1,220既知材料で最大級
カーボンナノチューブ(CNT)1,000〜1,800理論上限に近い
タングステン411金属で最高値
アルミナ(Al₂O₃)380ファインセラミックス
チッ化ケイ素(Si₃N₄)310エンジン部品
骨(皮質骨)10〜30人体骨格
腱・靭帯1〜2コラーゲン繊維
皮膚(真皮)0.0001〜0.01柔軟な生体組織
クモの糸(牽引糸)10〜30比強度は鋼の5倍
絹糸(カイコ)10〜17繊維の代表
綿(セルロース繊維)5〜12繊維構造材

ヤング率のダイナミックレンジは11桁(シリコーンゴム0.001 GPa 〜 ダイヤモンド1,200 GPa)。この事実は「材料の硬さは桁で違う」ことを示し、設計時のオーダー感覚が重要です。

建築・機械設計での使い方

🏢 建築構造設計

建築基準法・構造計算では鋼のE=205 GPa、コンクリートのE(Fc依存)を用いた剛性設計。柱・梁のたわみ、地震時の層間変形角(1/120以下)は、断面積とヤング率で決まります。

⚙️ 機械要素設計

軸のねじり剛性(GJ)、はりの曲げ剛性(EI)、板ばねのばね定数はすべてヤング率が支配。JIS B 0001「機械製図」及び機械学会「機械便覧」の設計事例に多数登場。

🌉 橋梁・土木構造

長大橋の垂直変位・振動固有振動数はEIで決定。本州四国連絡橋・スカイツリーの構造計算に鋼ヤング率と減衰特性が組み込まれています。

🔬 材料試験

引張試験(JIS Z 2241)・曲げ試験(JIS Z 2248)で応力ひずみ曲線を実測し、初期直線部の傾きからヤング率を算出。品質保証・不適合品検出の基本試験です。

✈️ 航空機・自動車

比剛性(E/ρ)で材料選定。CFRPは鋼と同等のEで比重1/4のため、翼・車体のたわみを抑えて軽量化。ボーイング787・トヨタLFAの主構造材はCFRPです。

🏥 医療機器・インプラント

チタンE=106 GPaは人骨(10〜30 GPa)より高く、応力遮蔽(stress shielding)問題が発生。骨の萎縮を防ぐため多孔質チタンやPEEK(E=3.6 GPa)への置換が進んでいます。

よくある間違い・注意点

  • ヤング率と強度を混同 — ヤング率(剛性)と引張強度(強さ)は別物。鋼はE=200 GPa共通ですが、S45C(降伏強度345 MPa)とSCM440(降伏強度830 MPa)では強度が2倍以上異なります。
  • kgf/mm²とN/mm²を1:1で読む — 1 kgf/mm² ≒ 9.807 N/mm²で約10倍差。古い図面や海外資料の単位確認は最重要です。「200 kgf/mm²」は実質的には約2,000 N/mm²=2 GPaで、鋼(200 GPa)の1/100の値でおかしいと気付くべきです。
  • コンクリートを鋼と同じ剛性で計算 — コンクリートE≒25 GPaは鋼の1/8。同じ荷重で8倍たわみます。RC構造では圧縮を担うのがコンクリート、引張を鉄筋が受け持つ複合設計。
  • 木材の異方性を無視 — 木材は繊維方向と直交方向でヤング率が20〜30倍差。梁の設計は必ず繊維方向を長辺に合わせます。JAS(日本農林規格)構造材の格付けは繊維方向の弾性値。
  • 塑性域で公式適用 — フックの法則(σ=Eε)は弾性域のみ有効。降伏後の塑性変形はヤング率では予測できず、真応力ひずみ曲線・材料の加工硬化係数が必要です。
  • 温度依存性の無視 — 高温になるとヤング率は低下。鋼は400℃で常温比0.85、600℃で0.65まで下がるため、耐火設計(建築基準法・避難時間)で考慮が必要です。
  • ゴムを弾性材料と扱う — ゴムはE=0.001〜0.1 GPaと非常に低く、大変形域では非線形。フックの法則は微小変形に限られ、大変形設計にはMooney-Rivlinモデル等の非線形超弾性解析が必要です。

関連する規格・法令

  • JIS Z 2241 ― 金属材料引張試験方法。ヤング率E・降伏強度・引張強度・伸びの標準測定法。
  • JIS Z 2248 ― 金属材料曲げ試験方法。曲げによるヤング率確認。
  • JIS Z 2101 ― 木材の試験方法。曲げ・圧縮・引張でのヤング率測定。
  • JIS A 1108 ― コンクリートの圧縮強度試験。設計基準強度Fcの実測法。
  • JIS G 3101 ― 一般構造用圧延鋼材(SS材)。SS400等の機械的性質。
  • JIS G 4051 ― 機械構造用炭素鋼鋼材(S45C等)。
  • JIS G 4304 ― 熱間圧延ステンレス鋼板・鋼帯(SUS304等)。
  • 建築基準法・構造計算基準 ― 建築物の剛性・変形計算にヤング率使用。層間変形角1/120以下等の規定。
  • 日本建築学会 鉄筋コンクリート構造計算規準 ― コンクリートE=3.35×10⁴×(γ/24)²×(Fc/60)^(1/3)の実験式。
  • 日本建築学会 木質構造設計規準 ― JAS格付け構造材のヤング率基準値。
  • 計量法(1999年改正) ― 取引・証明の計量にSI単位使用義務。kgf/mm²廃止、N/mm²・Paへの統一。

参考文献・公的資料

より正確なヤング率データや測定手順は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページのヤング率データは概算値・代表値です。実際の設計・法令適合判定には、上記公的機関・学会の最新規格および認証材料の実測値・製造元カタログを参照してください。建築構造・機械設計で法令対応が必要な場合は、建築士・技術士(機械/建設部門)等の有資格者の判断を仰いでください。特にkgf/mm²使用の古い図面は、SI単位への正しい換算が事故防止の要点です。

よくある質問(FAQ)

鋼はコンクリートの何倍硬い?

ヤング率で比較すると、鋼E=200 GPaはコンクリートE=25 GPa(Fc=30の場合)の約8倍。同じ荷重・断面積なら鋼のたわみはコンクリートの1/8です。この差を利用したのが鉄筋コンクリート(RC)で、剛性は鋼が、圧縮強度はコンクリートが担う複合構造となっています。

木材のヤング率は?

建築材料として代表的な杉7〜10 GPa、檜10〜12 GPa、米松12〜15 GPa。樹種・含水率・年輪密度で±30%変動。木材は繊維方向と直角方向でヤング率が20〜30倍異なる異方性材料のため、構造材は必ず繊維方向を長辺に合わせます。

1 GPaは何kgf/mm²?

1 GPa = 101.97 kgf/mm² ≒ 102 kgf/mm²。SI単位1 Pa = 1 N/m² を9.80665で割った換算値です。旧図面の200 kgf/mm²は約2 GPaで、鋼E=200 GPaの1/100と大きく異なる値のため、単位の読み違いは致命的です。

ヤング率と剛性率(横弾性係数)の違いは?

ヤング率E=軸方向(引張・圧縮)の応力ひずみ比、剛性率G=せん断応力ひずみ比。等方性材料ではE=2G(1+ν)で関連。νはポアソン比。鋼はν=0.3でE=200 GPaのときG=77 GPaです。ねじり剛性の計算にGを使います。

ダイヤモンドのヤング率は?

約1,050〜1,220 GPaで既知の天然材料としては最高クラス。カーボンナノチューブ(CNT)は理論上限に近い1,000〜1,800 GPa。硬さと剛性の頂点で、次世代材料開発の目標値となっています。

ゴムのヤング率が極端に低い理由は?

ゴムは分子鎖が絡み合ったエントロピー弾性で、原子間結合ではなく分子鎖の形状変化で伸縮するため、ヤング率が0.001〜0.1 GPaと極めて低い。大変形域では非線形性が支配し、Mooney-Rivlin等の超弾性モデルが必要です。

CFRPが航空機で使われる理由は?

CFRP(炭素繊維強化樹脂)はE=70〜200 GPaで鋼と同等の剛性を1/4の比重で実現。比剛性(E/ρ)は鋼の4倍で、翼・胴体のたわみを抑えつつ大幅軽量化が可能。ボーイング787は機体重量の50%がCFRPです。

温度でヤング率は変わる?

変わります。鋼は400℃で常温比0.85、600℃で0.65、800℃で0.35まで低下。建築基準法の耐火設計では、火災時30分〜3時間の温度上昇と剛性低下を見込んで、耐火被覆の設計や避難時間の算定に用います。

コンクリートのヤング率計算式は?

日本建築学会規準ではE = 3.35×10⁴×(γ/24)²×(Fc/60)^(1/3) [N/mm²]。γ=単位容積質量(kN/m³)、Fc=設計基準強度(N/mm²)。普通コンクリートFc=30、γ=23の場合、E≒24.7 GPaになります。

骨のヤング率とチタンの差は?

人骨(皮質骨)は10〜30 GPa、チタン(純Ti)は106 GPaと3〜10倍差。この差が「応力遮蔽(stress shielding)」を引き起こし、骨萎縮の原因になります。多孔質チタンやPEEK(3.6 GPa)への置換で改善が進んでいます。

ヤング率はどう測る?

JIS Z 2241「金属材料引張試験方法」に基づき、標準試験片に軸方向荷重をかけて応力ひずみ曲線を実測。初期直線部の傾きがヤング率E。試験機の精度と伸び計(strain gauge)の分解能が測定精度を決めます。動的測定(共振法・超音波法)も併用されます。

設計にヤング率だけで十分?

不十分です。ヤング率(剛性)に加え、降伏強度(σ_y)・引張強度(σ_uts)・疲労限度・靭性(KIC)も必要。剛性設計(たわみ)にヤング率、強度設計(破損)に降伏強度、寿命設計に疲労特性を使い分けます。JIS・機械便覧の材料一覧を必ず確認してください。