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PER・PBRバリュエーション投資

株価指標 PER・PBR・配当利回り・ROE 計算ツール|割安株スクリーニング指標を全解説

株のPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回り・ROE(自己資本利益率)を計算し、割安・割高を判定します。東証プライム・スタンダードの業種別平均、バリュエーション理論(DDM・DCF)、成長株(グロース)と割安株(バリュー)の使い分け、東証PBR1倍割れ改革(2023年〜)、新NISA・iDeCoでの実践的活用、金融庁の投資教育指針まで、投資家向けに体系的に解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

株価指標 計算機

4指標の計算式と定義

PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり純利益)

PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)

配当利回り = 1株配当 ÷ 株価 × 100 (%)

ROE = EPS ÷ BPS × 100 (%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

4指標は相互に関連しています。PBR = PER × ROE の関係が成立しており、「PBR=1倍未満で解散価値以下」「ROE=8%以上で優良企業」「PER=15倍以下で割安圏」の閾値を組合せて総合判断します。

EPSとBPSはどこで確認する?

証券会社の銘柄情報ページ、四半期決算短信、有価証券報告書に記載。EDINET(金融庁)で全上場企業の開示書類を無料閲覧可能。多くの証券会社は「予想EPS」と「実績EPS」を分けて表示しており、将来の期待値と過去実績で判断視点を切り替えられます。

PER(株価収益率)の見方

PERは株価が1年間の利益の何倍かを示し、投資回収年数の目安とも呼ばれます。PER=10倍なら10年間の利益で投資額を回収できる計算(実際は成長率で変動)。

PER水準評価解釈
5倍未満超割安収益低迷・不祥事・業績悪化懸念の場合も多い
5-10倍割安成熟産業・金融・エネルギー等に多い
10-15倍妥当日本市場の長期平均レンジ
15-25倍やや割高安定成長企業・優良ブランド
25倍以上高PER・成長期待グロース株・SaaS・バイオ等の成長期待
赤字・PER算出不可特別評価成長投資中・一時的赤字の場合も

米国S&P500の長期平均PERは15-20倍、日経225は約13-15倍(過去10年平均)。業種・成長期待・金利水準で変動します。

PBR(株価純資産倍率)の見方

PBRは純資産(会社解散時の残余価値)に対する株価の倍率です。PBR=1倍は「解散価値=株価」を意味し、これを下回ると「解散した方がマシ」との理論値になります。

PBR水準評価解釈
0.5倍未満超割安不良資産・訴訟・業績激減懸念
0.5-1.0倍解散価値以下東証改革の対象、資本効率改善圧力
1.0倍解散価値理論的均衡点
1.0-2.0倍妥当安定企業の一般水準
2.0-5.0倍やや割高ブランド・特許・成長期待の織込み
5倍以上高PBRSaaS・バイオ・AIなどの高成長期待

配当利回りとインカムゲイン

配当利回りは年間配当が株価の何%かを示します。定期預金金利や国債利回りと比較して、投資判断の重要指標となります。

配当利回り評価
1%未満低配当(成長投資優先型)
1-3%平均的
3-5%高配当銘柄
5-7%特別高配当・注意
7%以上減配リスクあり・要調査

日経平均の平均配当利回りは約2.0-2.5%(2024年)。米国S&P500は1.5-1.8%と日本より低め。連続増配銘柄(花王・三菱UFJ・NTT等)は長期保有で複利効果を得られます。配当利回りは税引前のため、通常口座での実質利回りは20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)差引後で概ね×0.8となります。

ROE(自己資本利益率)の意義

ROEは自己資本(株主資本)を使ってどれだけ利益を生み出したかの効率指標。バフェット等の著名投資家が最重視する指標の1つです。

ROE水準評価
5%未満低効率
5-8%平均
8-15%優良企業
15%以上超優良企業(ブランド・IP・独占的地位)
25%以上過剰レバレッジ懸念(借入依存)

日本企業の平均ROEは約8-9%、米国S&P500は約15-17%と差があります。東証プライム市場では「ROE8%以上」がグローバル投資家からの評価基準となっており、企業側の意識改革が進んでいます。

業種別平均PER・PBR早見表

東証プライム市場の業種別平均(2024年基準)。単独の指標では割安・割高判断できないため、同業種内での相対比較が実務の基本です。

業種平均PER平均PBR平均ROE
情報・通信(SaaS等)25-40倍3.0-5.0倍12-18%
電気機器(半導体等)18-28倍1.5-3.0倍8-15%
医薬品15-25倍1.5-3.0倍8-15%
小売業15-22倍1.2-2.5倍7-15%
サービス業15-25倍1.5-3.0倍8-15%
機械・輸送用機器12-18倍1.0-2.0倍7-12%
食料品15-20倍1.2-2.0倍7-10%
化学・素材10-15倍0.8-1.5倍6-10%
建設業8-12倍0.8-1.2倍7-10%
鉄鋼・非鉄6-12倍0.5-1.0倍5-10%
電力・ガス10-15倍0.5-1.0倍4-7%
銀行業7-12倍0.4-0.8倍5-8%
不動産業10-15倍0.8-1.5倍7-10%
陸運業(鉄道・物流)10-18倍0.8-1.5倍6-10%

金融・エネルギー・素材等の伝統業種はPER・PBRとも低め、ハイテク・医薬品・サービスは高めが業界の常識。逆張り投資は業種平均に対する乖離を狙う戦略です。

東証PBR1倍割れ改革(2023-2027)

2023年3月、東京証券取引所は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を上場企業(プライム・スタンダード)に要請しました。特にPBR1倍割れ企業には資本効率改善策の開示・実施が求められています。

改革の狙い

  • 解散価値(PBR=1倍)以下で放置されている企業に資本効率改善を促す
  • ROE向上、自社株買い、増配、事業ポートフォリオ見直しを促進
  • グローバル投資家からの日本株の再評価を狙う
  • 2024年の日経平均株価4万円台回復の一因

投資家への影響

PBR1倍割れの銘柄が「バリュー株ラリー」として注目され、金融・素材・建設等の伝統業種が2023-2024年に大幅上昇。今後もPBR1倍割れからの脱却に向けた企業行動(自社株買い・増配・事業売却)がイベント投資の対象となります。定期的に東証・日本取引所グループの企業リストを確認してください。

投資スタイル別の活用

バリュー投資(割安株)

PER15倍未満・PBR1倍前後・配当利回り3%以上をスクリーニング。ベンジャミン・グレアム、ウォーレン・バフェットの伝統的手法。長期保有前提で、業績安定・財務健全性・経済堀(参入障壁)を重視。

グロース投資(成長株)

PER25倍超でもEPS成長率20%以上を狙う。SaaS・AI・バイオ・EV等の高成長分野。PBR5倍超も許容。売上高成長率・アクティブユーザー数・GMV等の非財務指標を重視。ボラティリティは高い。

配当再投資戦略(DRIP)

配当利回り3%以上×連続増配銘柄を分散保有し、受け取った配当を再投資して複利効果を狙う。新NISA成長投資枠との相性が良好。年間配当額の管理と減配リスクの継続監視が重要。

PBR1倍割れ投資(2023改革連動)

東証改革に応える形で、自社株買い・増配・事業売却を発表する企業を追う。銀行・鉄鋼・不動産等に該当企業多数。短期イベントドリブンで年10-30%のリターンも狙える戦略。

高ROE・QARP戦略

Quality At a Reasonable Price(合理的価格の優良株)。ROE15%以上×PER20倍前後を狙う。バフェット氏の後年の投資思想に近く、成長株バブル・割安株の「バリュートラップ」の両方を回避します。

NISA活用(2024年新NISA)

成長投資枠(年240万・生涯1,200万)で高配当・株主優待銘柄、つみたて投資枠(年120万・生涯600万)でインデックス投信を長期積立。配当再投資も非課税で複利効果が大きい。

個別株分析 vs インデックス投資

個別銘柄の指標分析は魅力的ですが、時間・スキル・情報収集のコストがかかります。一般投資家にとってはインデックス投資と組合せるハイブリッド戦略が現実的です。

個別株分析のメリット・デメリット

項目メリットデメリット
リターン市場平均を大きく超える可能性市場平均に大きく負ける可能性
時間コスト決算・IR資料の継続チェック必要
分散集中投資で成長を享受1社の破綻で大損失
税金NISA活用で非課税短期売買で税負担増
心理投資の勉強・楽しさ下落時のストレス大

コア・サテライト戦略の推奨

資産の70-80%をインデックスファンド(S&P500・全世界株)、20-30%を個別株に配分するコア・サテライト戦略が推奨されます。コアで市場並みリターンを確保しつつ、サテライトで銘柄選択の楽しさとアルファ(超過収益)の可能性を得られます。金融庁「つみたてNISA適格商品リスト」に登録された低コスト投信を活用しましょう。

プロと個人投資家の差

プロのアクティブファンドの70-80%は10年でインデックスに負けるという有名な統計(S&P SPIVAレポート)。情報アクセス・分析能力で優位なはずのプロでもこの結果ですから、個人投資家がインデックスを常に上回るのは容易ではありません。

企業価値評価の理論(DCF・DDM・EVA)

DCF(割引キャッシュフロー法)

企業価値 = Σ(将来FCF ÷ (1+r)^t) + 継続価値

フリーキャッシュフロー(FCF)を予測期間(5-10年)に渡り現在価値に割引き、それ以降の継続価値(ゴードンモデル)を合算。M&A、上場前評価、ファンダメンタル分析の王道です。割引率rには加重平均資本コスト(WACC)を使用。

DDM(配当割引モデル)

株式価値 = D₁ ÷ (r - g)

次期配当D₁を「株主要求利回りr - 配当成長率g」で割引く簡易モデル(ゴードン成長モデル)。安定配当銘柄(通信・電力・銀行)の評価に有効。成長率が要求利回りを超える急成長企業には適用不可。

EVA(経済的付加価値)

EVA = 税引後営業利益 - 投下資本 × WACC

資本コスト以上の利益を生めているかを測る指標。ROE - 株主資本コストの差 = 「エクイティ・スプレッド」も同義概念。伊藤レポート以降、日本企業のIRでも重視されるようになりました。

相対評価(マルチプル法)

PER・PBR・PSR・EV/EBITDA等の倍率を業界平均・類似企業と比較して評価する簡便法。実務で最も多用され、本ツールが提供するPER/PBR分析もこれに該当します。DCFで得られる絶対価値と、マルチプルで得られる相対価値の両方で判断するのがベストプラクティスです。

よくある間違い・注意点

  • PER単独で割安判定 — PER5倍でも赤字転落間近、PER50倍でも急成長中は割安の場合あり。EPS成長率・PBR・ROE・業種平均・財務健全性を組合せで判断。
  • 配当利回り高すぎに飛びつく — 7%超は減配リスクあり。配当を維持できるだけの利益・キャッシュフローがあるか、配当性向(配当÷利益)が100%超ではないかを確認。過去の連続配当実績も重要。
  • 過去実績EPSで判断 — 業績が悪化した企業では実績PER低くても、来期予想EPS急落で実際は高PERに。証券会社の「予想PER」表記も併用してください。
  • ROE高すぎは要注意 — ROE30%超は借入依存(自己資本を圧縮しての効率)の場合あり。負債比率・利子カバレッジも確認。真の優良企業か財務工学的に高いだけかを見極めます。
  • 「PBR1倍割れ=絶対買い」の誤解 — 事業価値がマイナス評価されている理由(業績激減・技術陳腐化)がある場合も。事業内容と将来性の吟味が必要です。
  • 特別利益/損失で歪んだEPS — 資産売却益・訴訟損失等の一時要因でEPSが大きく変動している場合、経常利益ベースのPER確認や、過去3-5年の平均EPS(CAPE、シラー式PER)を使うと本質が見えます。

参考文献・公的資料

※本ページの計算結果および割安判定は概算値です。株式投資には元本割れリスクがあり、過去の実績は将来の成果を保証しません。投資判断は複数指標(PER・PBR・PSR・ROE・DER・キャッシュフロー・配当性向・EPS成長率など)と、経営陣の質・業界動向・マクロ経済を総合的に検討して行ってください。個別銘柄の詳細分析、税務相談は、証券会社アナリスト・投資顧問業者・税理士等の有資格者にご相談ください。金融商品取引法・金融商品販売法の対象。

よくある質問(FAQ)

PERとPBR、どちらが重要?

目的次第。将来利益を重視する成長株分析ではPER、資産価値を重視する割安株分析ではPBRが主指標。PBR=PER×ROEの関係から両方見るのが基本。銀行・不動産・素材はPBR、SaaS・医薬品はPERを優先する業界慣習があります。

PER15倍が割安の目安ってどこから来た?

米国S&P500の長期平均PER(150年で約15倍)、ベンジャミン・グレアムの「賢明な投資家」で提唱された保守的水準(PER×PBR<22.5)がルーツ。日本市場では過去10年平均で日経225が13-15倍のため、15倍以下=平均並みという実務感覚です。

ROEはなぜ8%以上が優良企業とされる?

グローバル投資家の要求利回り(株主資本コスト)がおおよそ7-8%とされ、これを上回るリターンを株主に還元できる企業が「価値創造企業」と評価されます。伊藤レポート(経済産業省・2014)で日本企業のROE目標が8%と提示されて以来、目安として定着しました。

配当性向100%超は危険?

配当性向=1株配当÷EPS。100%超は利益以上に配当を出しており、内部留保取り崩し・借入で配当を維持している状態。翌期以降の減配リスクが高いサインです。ただし特別損失で一時的にEPSが低下しただけの場合は例外。3年平均EPSと比較して判断してください。

成長株のPERが高いのはOK?

売上高成長率20-30%以上・将来のEPS急拡大が見込める場合、PER50-100倍でも投資対象になります。PEG=PER÷成長率(%)が1.0前後なら成長を織り込んだ妥当水準。ただしバブル的水準(PER200倍超・PSR20倍超)は10年に1度の大調整時に半値以下になり得ます。

PBR1倍割れなら必ず買い?

いいえ。事業価値がマイナスに評価されている理由(業績激減・訴訟・技術陳腐化)がある可能性があります。PBR<1でもROE<3%・配当性向100%超・借入依存の場合、「バリュートラップ」に陥る危険。2023年東証改革により改善企業を選別できるようになりました。

連続増配銘柄の意義は?

10年以上増配を継続している企業は、財務・収益基盤が安定しており景気変動に強い経営体質。日本では花王(30年超)、三菱HCキャピタル、KDDI、NTT等が該当。米国では「配当貴族(25年以上増配)」「配当王(50年以上)」というカテゴリーがあります。

PSR(株価売上高倍率)はいつ使う?

赤字企業(PER算出不可)、SaaS・バイオ・スタートアップの評価で使用。売上高成長率が高いが利益がまだ出ていない段階の企業に。PSR=時価総額÷売上高。3倍以下=割安、10倍超=高成長期待、20倍超=バブル的水準と見なされます。

NISA口座で株価指標を活用するコツは?

成長投資枠(年240万・生涯1,200万)で、PBR1倍割れ改革の対象企業や連続増配銘柄を中長期保有。配当・売却益とも非課税で複利効果が大きい。つみたて投資枠(年120万)はインデックス投信で世界株を積み立て、個別株分析の負担を減らすのが実務的です。

米国株にも同じ指標が使える?

使えます。ただしS&P500の平均PERは15-20倍と日本(13-15倍)より高め、平均ROEは15-17%と2倍近く高いため、業種平均を米国基準で確認する必要があります。yahoo Finance・Bloomberg・SEC EDGAR等で無料取得可能。

指標が良くても株価が下がるのはなぜ?

市場は将来を織り込むため、指標が良くても①将来業績悪化を予想、②業界全体の逆風(規制強化・需要激減)、③マクロ環境悪化(金利上昇・地政学リスク)で下落することがあります。指標分析は必要条件で十分条件ではありません。分散投資・長期保有が対策です。

配当金の税金はいくら?

上場株式の配当金は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の源泉徴収。NISA口座なら非課税。総合課税を選択すれば配当控除も利用可能ですが、給与所得等と合算されるため課税所得が高い場合は不利です。