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年金障害厚生年金社会保障

障害厚生年金 計算ツール|1-3級別・標準報酬月額別・加入期間別の支給額と実務ガイド

障害厚生年金を、等級(1級・2級・3級)・平均標準報酬月額・厚生年金加入月数から瞬時に計算。300月みなし規定による若年発症時の保護、配偶者加給年金(65歳未満)、障害基礎年金との2階建て構造、うつ病・がん・糖尿病・人工透析など疾病別の等級判定、労災年金・傷病手当金との併給調整、事後重症請求・遡及請求などの手続きまで、日本年金機構の最新公式基準に沿って解説。厚生年金加入中に病気やケガで働けなくなった方の生活保障の要となる制度です。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

障害厚生年金 計算機

障害厚生年金とは

障害厚生年金は、厚生年金加入中に初診日がある病気・けがにより一定の障害状態になったときに、障害基礎年金に上乗せして支給される公的年金。会社員・公務員のセーフティネットとして中核的な役割を担います。障害基礎年金が1級・2級のみ対象なのに対し、障害厚生年金は3級も対象で、より軽度の障害でも収入補償が受けられるのが特徴。

障害基礎年金との関係(2階建て構造)

等級1階:障害基礎年金(国民年金)2階:障害厚生年金(厚生年金)
1級約102万円(子加算別途)報酬比例額 × 1.25 + 配偶者加給
2級約81.6万円(子加算別途)報酬比例額 + 配偶者加給
3級—(該当なし)報酬比例額(最低保証61.2万円)
障害手当金(一時金)報酬比例額×2(最低122.4万円の一時金)

会社員が2級以上に該当すれば「基礎年金+厚生年金+配偶者加給」の合算で受給、3級なら厚生年金のみが受給できます。初診日が厚生年金加入中でない場合(学生・退職後・専業主婦)は、国民年金の障害基礎年金のみが対象になります。

計算式と300月みなし規定

報酬比例部分の計算式

報酬比例額 = (平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 加入月数) + (平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数)

2003年3月以前は「平均標準報酬月額」ベース(乗率7.125/1000)、2003年4月以降は「平均標準報酬」(賞与込み)ベース(乗率5.481/1000)で計算。両期間を分けて計算し合算するのが正確な算定。ツールでは簡略化のため2003年4月以降の乗率5.481/1000で一律計算しています。

300月みなし規定(若年発症の保護)

加入月数が300月(25年)未満の場合 → 300月とみなして計算

若くして障害を負った方(例:入社3年目・24歳)でも、300月加入したものと擬制して年金額を算出する保護規定。これにより、加入期間の短さで年金額が極端に低くなることを防ぎます。例:加入36月・標報30万円なら、実際の加入で計算すると年5.9万円ですが、300月みなしで年49.3万円が支給されます。

1級の1.25倍加算と配偶者加給年金

1級:報酬比例額 × 1.25
配偶者加給年金(1級・2級のみ):年234,800円(2026年度)

1級は日常生活に著しい制限がある重度障害のため25%の加算あり。65歳未満の配偶者がいる場合は、生計維持関係にあるという条件で、年約23.5万円の加給年金が上乗せされます。3級には配偶者加給はありません。

3級の最低保証額

3級の最低保証:年612,000円(2026年度)

3級の報酬比例額が61.2万円未満でも、この最低保証額が支給されます。加入期間が短く標報も低い方でも、月5.1万円の最低収入保障となる仕組み。

計算例

  1. 2級・標報30万円・加入15年(180月)・配偶者なし → 300月みなしで報酬比例額 = 30万×5.481/1000×300 = 49.3万円+障害基礎年金81.6万円 = 年130.9万円
  2. 1級・標報40万円・加入20年(240月)・配偶者65歳未満 → 300月みなしで報酬比例額 = 40万×5.481/1000×300 = 65.8万円×1.25 = 82.2万円+加給23.5万+障害基礎年金102万円 = 年207.7万円
  3. 3級・標報30万円・加入15年(180月) → 300月みなしで49.3万円 → 最低保証61.2万を下回らないので年61.2万円(基礎年金なし)

1級・2級・3級の判定基準

障害等級は、日本年金機構の「障害認定基準」(国民年金・厚生年金保険)および厚生労働省「障害等級表」に基づき、日常生活の制限度合いで判定されます。

1級(もっとも重い)

日常生活の身のまわりのことがほとんどできず、他人の援助が常時必要な状態。両上肢または両下肢の機能全廃、両眼失明、寝たきり、常時安静で他人の介助が必要、精神障害で自分の身のまわりのことがまったくできない状態など。

2級

日常生活が著しい制限を受け、他人の援助を必要とすることがしばしばある状態。歩行が困難、片眼失明、精神障害で日常生活に著しい制限、内部障害で軽度の労働制限(人工透析、心臓ペースメーカー等)など。

3級(障害厚生年金のみ)

労働に制限を受けるか、労働に制限を加える必要がある状態。労働能力の低下が判定基準。日常生活は概ね自立できるが就労に支障がある状態。例:軽度のうつ病で就労困難、片手指の欠損、腎機能低下(透析不要な段階)など。

障害手当金(一時金)

3級より軽度で「傷病が治った」(症状固定した)状態に該当する場合、報酬比例額×2の一時金が支給されます(最低保証122.4万円)。年金でなく一時金である点に注意。

疾病別の等級目安

実際の等級認定は個別の診断書と病状で決まりますが、日本年金機構「障害認定基準」に基づく等級の目安を紹介します。

精神疾患

疾患・状態等級目安
重度うつ病・双極性障害(希死念慮・寝たきり)1級〜2級
中等度うつ病(就労困難)2級〜3級
軽度うつ病(就労可能だが制限あり)3級または非該当
統合失調症(重度)1級〜2級
発達障害(就労困難な程度)2級〜3級
知的障害(IQ50以下)1級〜2級
てんかん(週数回発作)2級〜3級

身体障害・内部障害

疾患・状態等級目安
人工透析(腎不全)2級
心臓ペースメーカー・ICD装着3級(重度で2級)
人工心臓・心臓移植1級
肝硬変(重度)・肝移植2級〜3級
糖尿病性合併症(重度)2級〜3級
がん(末期・治療困難)1級〜3級
脳梗塞後遺症(片麻痺重度)1級〜2級
脊髄損傷(対麻痺)1級
両眼失明1級
両下肢全廃1級
片下肢切断3級

受給資格と初診日要件

受給の3要件

  1. 初診日要件 — 初診日(その傷病で初めて医師の診療を受けた日)に厚生年金の被保険者であること
  2. 障害認定日要件 — 障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過日、またはそれまでに症状固定した日)に一定の障害状態にあること
  3. 保険料納付要件 — 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の加入期間の2/3以上納付済または直近1年の未納なし

初診日の重要性

「初診日」がすべての起点となります。初診日に厚生年金加入していれば障害厚生年金の対象、加入していなければ障害基礎年金(1級・2級のみ)のみが対象。退職後に症状悪化した場合でも、初診日が退職前なら障害厚生年金の対象。逆に在職中に発症したつもりでも、初診日が過去の受診歴(会社員以前の学生時代等)となれば厚生年金の対象外になるケースがあります。

事後重症請求と遡及請求

事後重症請求:障害認定日には該当しなかったが、その後悪化して該当した場合、65歳到達日の前日までに請求すれば認定される。遡及請求:障害認定日に該当していたが請求が遅れた場合、5年前まで遡って年金を受給できる(時効5年)。

請求手続きの流れ

1. 年金事務所で相談・請求書入手

最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターで、障害厚生年金の裁定請求書一式を入手。加入記録の確認と受給資格の初回チェック。

2. 主治医に診断書を依頼

日本年金機構所定の診断書様式を主治医に記入依頼(診断書代3,000〜1万円)。傷病の種類に応じて8つの様式(精神・呼吸器・循環器・肢体・眼・聴覚等)があり、正確な選択が重要。

3. 病歴・就労状況等申立書の作成

本人が記入する重要書類。発症から現在までの経過、日常生活の制限、就労状況を詳細に。書き方一つで等級判定が変わることも。社労士のサポートが有効。

4. 受診状況等証明書の入手

初診の医療機関から「受診状況等証明書」を取得(初診日の証明)。初診医療機関がカルテ廃棄済み・閉院の場合は「第三者証明」で代替。

5. 年金事務所に書類提出

診断書、申立書、証明書、戸籍謄本、住民票、口座情報、本人確認書類等を年金事務所に提出。書類チェックで不備があれば追加依頼。

6. 審査(3〜6ヶ月)

日本年金機構障害年金センターで審査。等級判定と初診日認定が行われる。認定されれば年金証書が送付され、支給開始(初回振込は約4ヶ月後)。

不服申立て(審査請求・再審査請求)

不支給決定・等級不服の場合、決定通知から3ヶ月以内に社会保険審査官への審査請求、さらに不服なら2ヶ月以内に社会保険審査会への再審査請求が可能。認容率は10〜20%程度と低いため、社労士(特に障害年金専門)への依頼が現実的です。

他制度との併給調整

労災年金との併給調整

労災の障害補償年金・傷病補償年金と併給する場合、労災側が減額調整(0.73〜0.88倍)される。「両方満額」は不可。ただし、原因傷病が異なれば併給可能。

傷病手当金との調整

健康保険の傷病手当金(給料の2/3、最長1年6ヶ月)と障害厚生年金は併給不可。障害年金の日額を上回る部分のみ傷病手当金が支給される調整あり。

老齢年金・遺族年金との選択

65歳到達後は「障害年金vs老齢年金vs遺族年金」から1つを選択。障害基礎年金+老齢厚生年金の併給パターンが有利になるケースも(併給選択肢は複雑、要試算)。

生活保護との関係

生活保護受給中でも障害年金は受給可能だが、年金額分が生活保護費から減額される(総額は同じ)。ただし障害者加算があるため、生保単独より年金+生保のほうが手取り総額はやや増える。

税制優遇

障害年金は所得税・住民税非課税。年金収入としてカウントされず、確定申告不要。他の給与所得等がある場合も、障害年金分は所得に含めません。医療費控除・扶養控除の判定でも障害年金は所得から除外されます。

受給後の生活設計と資産形成

年金だけでの生活設計

2級・標報30万・加入15年の場合、障害基礎+厚生で年約130万円(月10.8万円)。単身の生活最低費(家賃込み15〜20万円/月)を年金だけで賄うのは困難で、就労収入・障害者福祉制度・生活保護との組み合わせが必要。都市部と地方で必要額に大差がある。

就労収入との組み合わせ

障害年金は所得税・住民税非課税のため、就労収入との合算でも税制は不利にならない。障害者雇用枠・時短勤務・在宅ワーク・自営業など多様な働き方で「年金+勤労所得」を組み立てる。障害者手帳保持者向けの就労移行支援も活用可。

障害者控除の税制優遇

障害等級2級以上(特別障害者:常時介助必要)は所得税27万円・住民税26万円の控除。3級(一般障害者)は所得税27万円・住民税26万円の控除。家族の扶養控除にも障害者加算があり、家族全体の税負担が軽減。

iDeCoでの積立継続

障害年金受給中でも就労収入があればiDeCoは継続可能。所得控除で節税しつつ将来資産形成。60歳前に障害給付金として一括受給する選択肢もあり、退職所得控除の対象で税制優遇。

特定疾患医療費助成

難病(指定難病)の場合、都道府県の特定医療費助成制度で自己負担が月2,500〜3万円に軽減。障害年金と併用可能。市区町村の福祉窓口で申請。

NHK受信料・公共料金の減免

1級・2級で世帯全員が住民税非課税なら、NHK受信料が全額免除。JR・私鉄・バスの障害者割引、携帯電話の障害者向けプラン、水道・下水道料金の一部減免など多様な優遇制度。

よくある間違い・注意点

  • 初診日と発症日の混同 — 初診日は「初めて医師の診療を受けた日」であり、症状に気づいた日(発症日)とは異なる。学生時代のうつで受診歴があると、その後の会社員時代の悪化は厚生年金対象外になることも。
  • 3級を軽視して申請しない — 3級でも年61.2万円(最低保証)は支給される。障害手当金(一時金122.4万円以上)でも該当する可能性があり、専門医の診断・社労士相談が重要。
  • 診断書の記載を放置 — 主治医の診断書は等級判定の最重要書類。日常生活の困難さを具体的に記載してもらう「診察時の伝え方」が結果を左右する。日記・症状メモを持参して主治医と共有。
  • 300月みなし規定を知らない — 加入期間が短いから諦める人が多いが、300月みなしで最低額は保証される。若い方こそ請求検討を。
  • 遡及請求の時効5年 — 過去の障害認定日から請求できるが、時効は5年。放置期間が5年超なら遡及分は受給できない。早期相談を。
  • 労災優先の誤解 — 労災と障害厚生年金は併給可能だが労災側で調整あり。両方を申請することが権利保護上重要。
  • 働きながらは受給不可の誤解 — 就労は原則問題なし。ただし就労状況が診断書・申立書に反映されるため、フルタイムでフル稼働だと等級認定が困難になる場合あり。特に精神障害では影響大。
  • 65歳で自動的に打ち切りの誤解 — 65歳到達後も継続して受給可能。ただし老齢年金との選択が必要。有利な組み合わせは個別ケースにより異なる。

参考文献・公的資料

※本ページの計算結果は概算値です。実際の受給額は個別の加入記録・平均標準報酬額・改定率・扶養状況により異なります。障害等級の認定は日本年金機構の障害認定基準に基づく個別審査で決まるため、本ページの疾病別目安はあくまで参考です。請求手続きや不服申立ての実務では、障害年金を専門とする社会保険労務士または年金事務所への相談を強く推奨します。所得税・住民税・生活保護等との併給関係は個別事情により変動しますので、税理士・自治体福祉窓口にも並行して相談してください。

よくある質問(FAQ)

障害基礎年金とどう違う?

障害基礎年金は国民年金加入者全員が対象で1級・2級のみ。障害厚生年金は厚生年金加入者の上乗せで、3級も対象、配偶者加給もある。会社員なら基礎+厚生の2階建てで、より手厚い保障が受けられる。

退職後の発症は対象?

初診日が厚生年金加入中であれば対象。退職後初診は障害基礎年金のみが対象で、厚生年金は非対象。ただし在職中に受診歴があり退職後に症状悪化した場合、在職中の初診日から算定できるケースも。

労災と両方もらえる?

併給可能だが、労災年金側が0.73〜0.88倍に減額調整される。「両方満額」は不可。ただし障害厚生年金は原則満額支給。原因傷病が異なれば併給無調整のケースも。

働きながら受給できる?

就労は原則問題なし。ただし、就労状況・給料水準が診断書・申立書に反映されるため、フルタイムでフル稼働の場合は等級認定が難しくなる可能性あり。特に精神障害では影響大。傷病手当金との併給は不可。

うつ病で何級?

重症で1級〜2級、中等度で2級〜3級、軽度で3級または非該当。日常生活の制限度(食事・入浴・対人関係・金銭管理等)で判定。診断書に「日常生活能力の判定・程度」を具体的に記載してもらうことが重要。

治癒したら停止?

症状軽快で等級不該当となれば支給停止。1〜5年ごとの更新審査(診断書再提出)で継続可否を判定。永久認定(更新なし)となるケースは重度身体障害等の一部のみ。

受給途中の症状悪化は?

額改定請求が可能。等級変更請求書を年金事務所に提出し、より上位の等級に認定されれば支給額アップ。悪化から1年以上経過すれば請求可能(原則)。

初診日がわからない場合は?

初診の医療機関に「受診状況等証明書」を依頼。初診医療機関がカルテ廃棄済み・閉院の場合は「第三者証明」(家族・友人・同僚等が知る初診状況を証明)で代替可能。障害年金専門社労士に相談すると認定率が上がる。

3級は基礎年金なしで少ない?

3級の最低保証額は年61.2万円(月5.1万円)。単独では生活困難ですが、就労収入と組み合わせる想定の制度設計。3級に該当していれば「障害者控除」等の税制メリットもあるため、必ず申請を。

子どもの加算はある?

障害基礎年金にのみ「子の加算」あり(1・2子各22万円、3子以降各7.5万円/年)。障害厚生年金には子の加算はなく、代わりに配偶者加給年金が上乗せ。基礎+厚生の合算で家族全体の保障が確保される仕組み。

遡って請求できる?

過去の障害認定日に該当していた場合、時効5年以内なら遡及請求可能。最大で5年分の未払い年金(500万円超になることも)を一括受給できるケースあり。ただし主治医の当時のカルテ・診断書が必須。

社労士に頼む費用は?

障害年金専門社労士の相場は着手金2〜5万円+成功報酬10〜15%(年金額の2〜3ヶ月分)が一般的。複雑ケースでは10〜30万円になることも。自力申請より認定率が高く、費用対効果は良好なケースが多い。