介護保険料 計算ツール|第1号・第2号被保険者の月額・年額を年齢×年収で即算出
介護保険料は40歳の誕生日の前日属する月から生涯にわたり徴収されます。40〜64歳は第2号被保険者(健康保険料に上乗せ)、65歳以上は第1号被保険者(市区町村ごとに9〜13段階の所得別定額)と、負担の仕組みが大きく変わります。本ツールは年齢・年収・加入保険(協会けんぽ/組合健保/国民健康保険)から介護保険料の月額・年額を即算出。2025年度全国平均料率1.82%(協会けんぽ)、市区町村の基準額(平均月6,225円)、被扶養配偶者の特例まで実務レベルで解説します。
介護保険料 月額・年額 計算機
計算式と保険料の仕組み
第2号被保険者(40〜64歳)の計算式
介護保険料(月) = 標準報酬月額 × 介護保険料率 ÷ 2(労使折半)
会社員(協会けんぽ・組合健保・共済組合)は健康保険料に上乗せする形で徴収され、労使折半で会社と本人が半分ずつ負担します。給与から天引きされる自己負担分は保険料率の半分です。
第1号被保険者(65歳以上)の計算式
介護保険料(月) = 市区町村の基準額 × 所得段階倍率
市区町村ごとに設定される「基準額」(全国平均月額6,225円)に、所得段階(9〜13段階、標準は9段階)ごとの倍率を掛けます。基準額は3年に1度改定され、当該市区町村の高齢者数・介護給付費見込みで決まります。
国民健康保険加入者の介護分
自営業者・無職の国民健康保険加入者は、国保料に「介護分」が上乗せされます(40〜64歳のみ)。所得割・均等割・平等割の組合せで、市区町村ごとに料率が異なります。
第1号・第2号被保険者の違い
| 項目 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 65歳以上 | 40〜64歳 |
| 保険料計算 | 所得段階別 定額 | 健康保険料に上乗せ(率) |
| 徴収方法 | 年金天引き(特別徴収)/納付書(普通徴収) | 給与天引き/国保料に上乗せ |
| 労使折半 | なし(全額本人) | 会社員はあり(本人半額) |
| 介護給付の受給要件 | 要支援・要介護の認定 | 特定疾病(16疾病)+要介護認定 |
| 被扶養配偶者 | 個別に納付 | 協会けんぽ・組合健保は追加負担なし |
特に第2号被保険者の被扶養配偶者は、協会けんぽ・組合健保では扶養に入っていれば追加保険料負担がありません(第2号被保険者全員で負担)。ただし2017年以降、大企業健保等で「特定被保険者制度」を導入し、被保険者が40〜64歳未満でも配偶者が40〜64歳なら別途負担する例が増えています。
2025年度 料率と全国平均
協会けんぽ 介護保険料率
協会けんぽの介護保険料率は全国一律で、2025年度は1.82%(労使折半で本人負担0.91%)です。過去の推移:
| 年度 | 料率 | 本人負担(労使折半) |
|---|---|---|
| 2020年度 | 1.79% | 0.895% |
| 2021年度 | 1.80% | 0.90% |
| 2022年度 | 1.64% | 0.82% |
| 2023年度 | 1.82% | 0.91% |
| 2024年度 | 1.60% | 0.80% |
| 2025年度 | 1.82% | 0.91% |
健康保険組合の料率
組合健保は組合ごとに異なりますが、平均は1.7〜2.0%程度。財政力の強い組合は料率が低く、財政悪化の組合は高い傾向。
65歳以上の基準額(第1号被保険者・月額)
2025年度〜2027年度の全国平均基準額は月額6,225円(年額74,700円)。市区町村別の主な水準:
| 自治体 | 基準額(月額) | 特徴 |
|---|---|---|
| 大阪市 | 約8,100円 | 全国最高水準 |
| 京都市 | 約7,100円 | 高齢化率高い都市部 |
| 横浜市 | 約6,900円 | 大都市平均 |
| 東京都特別区平均 | 約6,000〜6,500円 | 区により差 |
| 名古屋市 | 約6,400円 | — |
| 仙台市 | 約6,000円 | — |
| 地方町村 | 約4,500〜5,500円 | 高齢化率低い自治体 |
65歳以上(第1号被保険者)の所得段階
厚生労働省の標準は9段階ですが、多くの自治体は独自に13段階以上に細分化。所得の低い層は基準額の30〜50%、高い層は250%以上と、所得再分配機能があります。
| 段階 | 対象 | 倍率 | 月額例(基準6,225円) |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護・世帯全員非課税・年金80万以下 | ×0.285 | 約1,774円 |
| 第2段階 | 世帯全員非課税・年金80〜120万 | ×0.485 | 約3,019円 |
| 第3段階 | 世帯全員非課税・年金120万超 | ×0.685 | 約4,264円 |
| 第4段階 | 本人非課税(世帯課税)・年金80万以下 | ×0.9 | 約5,603円 |
| 第5段階 | 本人非課税(世帯課税)・年金80万超 | ×1.0 | 約6,225円 |
| 第6段階 | 本人課税・合計所得120万未満 | ×1.2 | 約7,470円 |
| 第7段階 | 本人課税・合計所得120〜210万 | ×1.3 | 約8,093円 |
| 第8段階 | 本人課税・合計所得210〜320万 | ×1.5 | 約9,338円 |
| 第9段階 | 本人課税・合計所得320〜420万 | ×1.7 | 約10,583円 |
| 第10段階以上 | 合計所得420万超(自治体別) | ×1.9〜2.5 | 約11,828円〜15,563円 |
2024年度の制度改正で、高所得者の負担を強化する目的で13段階以上への細分化が全国的に進んでいます。「合計所得金額」は給与所得控除・年金所得控除後の額で、住民税課税所得とは異なる点に注意。
40〜64歳(第2号被保険者)の計算方法
会社員(協会けんぽの例)
介護保険料(月・本人負担) = 標準報酬月額 × 0.91% + 標準賞与額 × 0.91%
例:月給30万円(標準報酬30万円)の会社員の介護保険料は月額30万円×0.91%=2,730円。健康保険料(介護分を除く)4,935円と合計で7,665円が給与から天引きされます。
健康保険組合の場合
組合ごとの料率で計算。料率と労使負担割合は組合の規約で定められています。労使折半でない組合(会社負担多め)もあり、その場合は本人負担が減ります。
被扶養配偶者の扱い
協会けんぽ・組合健保:被扶養配偶者が40〜64歳でも、被保険者本人の保険料に含まれる形で処理され、追加負担なし(全被保険者で共同負担)。
「特定被保険者制度」を導入する健保組合の場合:被保険者本人が40歳未満でも、被扶養配偶者が40〜64歳なら別途保険料負担があります。
国民健康保険加入者の介護分
自営業者・フリーランス・無職の国民健康保険加入者は、国保料に「介護分」(40〜64歳のみ)が加算されます。
介護分の計算式
介護分保険料 = 所得割(旧ただし書き所得×料率)+ 均等割(1人あたり) + 平等割(1世帯あたり)
市区町村の例(2025年度・介護分のみ)
| 自治体 | 所得割率 | 均等割 | 介護分 上限 |
|---|---|---|---|
| 東京都特別区 | 1.86% | 18,700円/人 | 17万円 |
| 大阪市 | 2.05% | 18,900円/人 | 17万円 |
| 横浜市 | 1.72% | 16,900円/人 | 17万円 |
| 名古屋市 | 1.62% | 15,300円/人 | 17万円 |
| 札幌市 | 1.65% | 15,600円/人 | 17万円 |
介護分の年間上限は全国一律で17万円(2025年度)。世帯全体で40〜64歳の該当者ごとに計算します。所得が一定以下の世帯は7割・5割・2割の軽減措置あり。
こんな方が影響を受ける
40歳の誕生日を迎える会社員
40歳の誕生日が属する月の分から給与天引き開始。年収500万円なら月額約2,275円(本人負担・協会けんぽ)が新たに引かれます。健康保険料と合算されるため、明細では「健康保険料」欄が増額されて表示される点に注意。
65歳を迎える会社員・退職者
65歳になると第2号→第1号に切替。給与天引きから年金天引き(特別徴収)に。年金額15万円以上/月なら年金から天引き、それ未満は納付書で年6回納付。
年金生活の高齢者夫婦
夫婦とも65歳以上ならそれぞれ第1号として個別に納付。所得段階も個別判定で、住民税非課税世帯なら基準額の30〜50%と割安に。夫が課税、妻が非課税なら妻は第4段階になる可能性大。
自営業・フリーランス
国民健康保険料に介護分(40〜64歳のみ)が加算。所得割+均等割+平等割の組合せで、市区町村により大きく異なる。青色申告特別控除を活用した所得圧縮が保険料軽減にも効きます。
専業主婦(協会けんぽ被扶養配偶者)
40〜64歳でも被保険者(夫)が会社員なら個別の保険料負担なし。第2号被保険者全体で共同負担する仕組み。ただし2017年以降、大企業健保等で「特定被保険者制度」を導入し個別負担を求める例あり。
高所得の65歳以上(第13段階)
合計所得720万円超で基準額の2.5倍(月額約15,563円、年額約186,750円)に。近年、市区町村で13段階以上への細分化と最上位段階の倍率引き上げ(3.0倍等)が進んでおり、高所得高齢者の負担強化傾向にあります。
よくある勘違い・注意点
- 「40歳になる月から」ではなく「40歳の誕生日の前日属する月」 — 4月2日生まれなら4月から、4月1日生まれなら3月から徴収開始。誤解しやすい起算日ルールに注意。
- 「65歳以降は保険料なし」は誤り — 65歳以降も生涯にわたり第1号被保険者として保険料を支払います。年金天引きが原則で、支払いが止まることはありません。
- 「主婦は保険料払わなくていい」は誤解を招く — 協会けんぽ・組合健保の被扶養配偶者は個別負担が無いだけで、全被保険者の保険料に含まれています。「保険料ゼロ」ではなく「共同負担」。
- 「介護サービスを使わないと保険料が返ってくる」は誤り — 社会保険なので、給付を受けなくても保険料は還付されません。「使わないと損」ではなく、使わないで済むこと自体が幸運と捉えるべき。
- 「引越しで保険料が変わる」は正しい — 65歳以上は市区町村の基準額が異なるため、大阪市→地方町村で月額3,000円以上下がるケースも。高齢者の移住時は要試算。
- 「賞与にはかからない」は誤り — 標準賞与額(月額報酬と同料率)にもかかります。年収700万円で夏冬各100万円のボーナスなら、年間の介護保険料は月給部分に加えて18,200円追加負担。
- 「所得税確定申告で介護保険料も控除できる」は正しい — 支払った介護保険料は社会保険料控除の対象で、全額所得控除可能。年金天引き・給与天引き分も含めて。
- 「所得段階は住民税課税所得で決まる」は誤り — 「合計所得金額」で判定されます。給与所得控除・年金控除は差し引いた額ですが、社会保険料控除・扶養控除は差し引き前の額です。
関連する法令・制度
- 介護保険法 ― 1997年制定・2000年施行。介護保険料徴収と介護給付の根拠。3年ごとに事業計画・保険料見直し。
- 健康保険法 ― 協会けんぽ・組合健保加入者からの介護保険料徴収の根拠。第39条「介護保険第2号被保険者たる被保険者」。
- 国民健康保険法 ― 自営業者・無職の介護分保険料徴収の根拠。
- 地方税法 ― 65歳以上の年金天引き(特別徴収)の根拠。
- 介護保険特定疾病 ― 40〜64歳が介護給付を受けられる16疾病リスト(末期がん・ALS・脳血管疾患・関節リウマチ等)。
- 特定被保険者制度 ― 健康保険組合が被扶養配偶者の介護保険料を別途徴収する制度。組合規約で任意に定められる。
- 介護保険料減免制度 ― 災害・失業・所得激減時の減免。市区町村条例により対応。
参考資料・公的機関の情報
介護保険料率・所得段階・軽減措置の詳細は、以下の一次資料を参照してください。
- 厚生労働省 介護・高齢者福祉 ― 介護保険制度の全体像、保険料の全国平均、制度改正情報。
- 厚生労働省 介護保険料の全国平均 ― 第1号被保険者の全国平均基準額(3年ごと改定)。
- 協会けんぽ 保険料額表 ― 都道府県別・年度別の介護保険料率と保険料額表。
- 健康保険組合連合会(健保連) ― 組合健保の料率統計、財政状況。
- 厚生労働省 国民健康保険 ― 国保料の介護分・所得軽減の公式情報。
- 日本年金機構 年金からの介護保険料天引き ― 特別徴収の仕組みと対象。
- 総務省 地方税関係 ― 市町村民税・国保料関連の法令。
- 国税庁 社会保険料控除 ― 介護保険料を含む社会保険料控除の税務処理。
- e-Gov 法令検索 ― 介護保険法・健康保険法等の原文。
よくある質問(FAQ)
いつから徴収される?
40歳の誕生日の前日が属する月から徴収開始です。4月2日生まれなら4月分から、4月1日生まれなら3月分から。この起算日ルールは民法上の「年齢計算に関する法律」に基づく特殊ルールで、多くの人が誤解しやすいポイントです。
給与から天引きされる?
会社員・公務員(協会けんぽ・組合健保・共済組合)は健康保険料と合算して給与から天引きされます。40歳の誕生月から自動的に始まり、明細では「健康保険料」の欄が増額されて表示されるのが一般的。65歳以上は年金天引き(特別徴収)または納付書(普通徴収)に切替。
介護保険料はどうやって決まる?
40〜64歳の第2号は標準報酬月額×介護保険料率(労使折半、協会けんぽ2025年度1.82%)。65歳以上の第1号は市区町村の基準額×所得段階倍率(全国平均月6,225円)。3年に1度、市区町村の事業計画で見直されます。
介護サービスを使うには何が必要?
市区町村への要介護・要支援認定申請が必要です。認定調査員による訪問調査+主治医意見書で判定され、要支援1〜2・要介護1〜5の7段階に区分されます。介護給付を受けられるのは40〜64歳の第2号被保険者は16の特定疾病による要介護に限定されますが、65歳以上の第1号は理由を問いません。
専業主婦は保険料を払わなくていい?
協会けんぽ・組合健保の被扶養配偶者は個別負担なし。第2号被保険者全体で共同負担する仕組みで、被保険者本人の保険料に含まれる形。ただし一部の健保組合で「特定被保険者制度」を導入し、配偶者分を別途徴収する例あり。国民健康保険加入世帯は40〜64歳の妻分も別途負担が必要。
65歳を過ぎたら保険料は?
第1号被保険者として市区町村に直接納付します。年金月額15万円以上なら年金からの天引き(特別徴収)、それ未満は納付書での支払い(普通徴収)が原則。所得段階は9〜13段階で、住民税非課税世帯なら基準額の30〜50%と割安に。
65歳の誕生月は保険料が二重に取られる?
いいえ、二重徴収にはなりません。65歳の誕生日の前日が属する月からは第1号被保険者に切替となり、その月分からは第2号としての給与天引きは終了します。給与天引きと年金天引きが同月に発生することはありません。
賞与にもかかる?
かかります。標準賞与額×介護保険料率で計算されます。年間の賞与合計が573万円までが対象(上限)。夏冬のボーナスから合わせて数千円〜数万円が天引きされます。年収評価では見落としがちなポイント。
所得税で控除できる?
できます。支払った介護保険料は全額社会保険料控除の対象で、確定申告・年末調整で所得から控除可能。給与天引き分は源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に含まれています。年金天引き分は市区町村から送付される「介護保険料額決定通知書」で確認。
失業・災害で払えなくなったら?
市区町村ごとに介護保険料減免制度があります。災害・失業・所得激減時は減免申請が可能。必要書類は罹災証明・離職票・確定申告書等。生活保護受給者は第1段階(基準額の30%)に自動的に該当。
介護保険料を滞納するとどうなる?
1年以上滞納で介護サービス費用がいったん全額自己負担となり、後日9割還付される「償還払い」に変更。1年6ヶ月以上で還付が差し止められ、2年以上で自己負担率が3割に引き上げられます。時効消滅した保険料は追納できず、介護給付が制限されます。
3年ごとに変わる?
はい、市区町村の第1号被保険者基準額は3年ごとに改定されます(介護保険事業計画)。次期改定は2027年度〜2029年度分。協会けんぽの介護保険料率は毎年3月の運営委員会で見直され、4月から新料率が適用されます。