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公正証書遺言費用 計算ツール|遺産額別の公証人手数料と実務ガイド

公正証書遺言の作成にかかる公証人手数料を、遺産総額と相続人数から即算出。公証人手数料令の目的価額別料金表に基づき、遺言加算(11,000円)、正本・謄本交付料、証人謝礼、弁護士報酬の相場まで対応。公証人法・民法(相続法)・法務省公式資料に照らして、必要書類・当日の流れ・自筆証書遺言との比較まで解説します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

公正証書遺言費用 計算機

相続人ごとに承継させる財産額の合計
遺言で財産を渡す相手の人数

計算式と手数料令の仕組み

公正証書遺言の公証人手数料は、公証人手数料令(政令)第9条別表に基づき、目的の価額(相続人・受遺者に承継させる財産の額)ごとに算定します。重要なポイントは「1人あたりの承継額ごとに手数料を計算し、全員分を合算する」点です。

総手数料 = Σ(受遺者ごとの手数料) + 遺言加算(11,000円) + 正本・謄本交付料

例えば「遺産1億円を配偶者と子2人に均等に承継」する場合、各人の承継額は約3,333万円。この価額に対応する手数料23,000円を3人分合算(69,000円)し、さらに遺言加算11,000円と交付料数千円を加算します。全体の遺産総額に一律で手数料がかかるわけではないため、相続人が多いほど1人あたりの承継額が下がり、手数料も抑えられるのが特徴です。

遺言加算(11,000円)

目的価額の合計が1億円以下の場合、上記の合算手数料に一律11,000円が加算されます(公証人手数料令第19条)。この加算は「遺言公正証書1件あたり」の付加料金で、相続人が何人いても定額です。

正本・謄本の交付料

公正証書は原本を公証役場が保管し、遺言者には正本1通・謄本1通を交付するのが通例。1通あたり250円×枚数で、標準的な遺言書(A4で5-10枚)なら2,500-5,000円程度になります。

目的価額別 手数料早見表(公証人手数料令 第9条別表)

1人あたりの承継額に対応する手数料は下表のとおりです。日本公証人連合会が公式に案内している金額で、全国どの公証役場でも同一です。

目的価額(1人分)手数料備考
100万円以下5,000円最低額
200万円以下7,000円-
500万円以下11,000円-
1,000万円以下17,000円-
3,000万円以下23,000円もっとも使用頻度が高い層
5,000万円以下29,000円-
1億円以下43,000円ここまでは遺言加算11,000円あり
3億円以下43,000円 + 超過額5,000万円ごと13,000円-
10億円以下95,000円 + 超過額5,000万円ごと11,000円-
10億円超249,000円 + 超過額5,000万円ごと8,000円-

合算計算の実例

事例各人の承継額手数料計算加算後合計
遺産5,000万円・妻に全額妻5,000万円29,000円29,000 + 11,000 = 40,000円
遺産5,000万円・妻と子2人均等各1,666万円23,000円×3 = 69,000円69,000 + 11,000 = 80,000円
遺産1億円・妻と子1人均等各5,000万円29,000円×2 = 58,000円58,000 + 11,000 = 69,000円
遺産1億円・妻と子2人均等各3,333万円23,000円×3 = 69,000円69,000 + 11,000 = 80,000円
遺産3億円・妻と子2人均等各1億円43,000円×3 = 129,000円129,000円(遺言加算なし)

このツールでは簡略計算のため「相続人数で均等配分」と仮定していますが、実際は配分に応じて各人の手数料を個別算定します。詳細は最寄りの公証役場でシミュレーション可能です。

遺言加算・交付料・その他費用

祭祀主宰者の指定

遺言に祭祀主宰者(墓・仏壇の承継者)の指定を入れる場合、これも1件11,000円の手数料が発生します(公証人手数料令第9条別表)。祭祀財産は相続財産と切り離して指定するのが実務慣行です。

病床執務加算

遺言者が病気・高齢で公証役場に出頭できず、公証人が病院・自宅・介護施設に出張する場合は基本手数料が1.5倍となり、さらに公証人の日当(1日20,000円、4時間以内10,000円)と交通費実費が加算されます。入院中の急ぎの遺言では出張が必要になるため、費用は増えます。

証人謝礼

公正証書遺言には証人2人の立会いが必須(民法969条)。証人を自分で手配する場合は謝礼のみですが、公証役場・弁護士事務所で手配してもらう場合は1人5,000-10,000円程度が相場。合計10,000-20,000円を見込みます。

登記費用等(財産承継後の別費用)

遺言に基づく不動産の名義変更(相続登記)は、遺言の作成費用とは別に発生します。登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)+司法書士報酬(1件6-10万円)で、都市部の一戸建てなら合計10-30万円程度です。

自筆証書遺言との比較

項目公正証書遺言自筆証書遺言
作成者公証人が作成本人が全文自書(財産目録はPC可)
費用3-10万円+α基本無料(法務局保管は3,900円)
証人2人必要不要
保管公証役場(原本20年~)自宅または法務局
検認手続不要家庭裁判所での検認必要(法務局保管なら不要)
無効リスクほぼゼロ(公証人チェック)形式不備で無効の可能性
改ざんリスクゼロ(原本は公証役場)自宅保管ならあり
遺言能力の証明公証人が確認争いになりやすい
秘密性証人・公証人には内容が知られる完全秘密可
推奨ケース相続人間で争いが予想される、資産1,000万円超資産少額、内容単純、頻繁に書き換えたい

2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」(法務局保管)により、自筆でも検認不要かつ紛失リスクを回避できるようになりました。ただし内容の適法性チェックまではしてもらえないため、複雑な相続では引き続き公正証書遺言が安全です。

弁護士・司法書士費用の相場

本人手続(弁護士なし)

公証人手数料のみ。5,000万円遺産で相続人2人なら約8万円で完結。ただし文案作成・必要書類収集・証人手配を全て自分で行う必要があり、内容の適法性・遺留分配慮の判断も自己責任。単純な相続向き。

簡易サポート(10-15万円)

司法書士・行政書士に文案チェックと必要書類収集を依頼するプラン。証人手配も含む場合が多い。公証人との事前打合せも代行してくれるため、初めての人でも安心。

標準プラン(20-30万円)

弁護士が文案作成・遺留分の検討・公証人打合せ・当日立会いまで一括対応。相続人間で紛争リスクがある場合、遺留分侵害を避ける配分設計、付言事項の起案などプロの判断が入る。もっとも一般的な選択肢。

遺言執行者込み(50万円+執行報酬)

作成費用に加え、遺言執行者(弁護士・信託銀行)への就任予約料を含む。将来の相続開始時に執行報酬(遺産の1-3%、最低30-50万円)が別途発生。銀行手続・不動産登記・裁判所対応まで一括で任せられる。

必要書類チェックリスト

区分書類取得先費用
本人確認印鑑登録証明書(3か月以内)市区町村役所300円
本人確認実印--
本人確認運転免許証・マイナカード等--
戸籍関係戸籍謄本(本人)本籍地役所450円
戸籍関係相続人の戸籍謄本本籍地役所450円×人数
戸籍関係受遺者(相続人以外)の住民票市区町村役所300円
財産(不動産)登記事項証明書法務局600円/通
財産(不動産)固定資産評価証明書市区町村役所300円
財産(預貯金)通帳コピーまたは残高証明金融機関0-800円
財産(株式)証券会社の残高証明証券会社無料~1,100円
証人証人2人の身分証・認印-謝礼10,000-20,000円

証人になれない人:推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、未成年者、公証人の親族(民法974条)。この制限で自分の家族には頼めないため、実務では弁護士事務所や公証役場の紹介が一般的です。

作成当日の流れ

ステップ1:事前相談(1-2週間前)

公証役場に電話またはWebで予約。文案・必要書類・費用の見積もりを事前に打ち合わせ。文案の推敲は複数回のメール往復になることが一般的で、最終確定まで2-4週間かかります。

ステップ2:書類提出と最終確認

指定された必要書類(戸籍・印鑑証明・不動産登記事項・固定資産評価証明・通帳コピー等)を公証役場に事前送付。公証人が文案を最終清書し、当日の読み上げ用原本を準備。

ステップ3:当日出頭(30-60分)

遺言者本人・証人2人が公証役場に出頭。公証人が遺言の趣旨を口頭で確認し、原本を読み上げ、内容に相違ないことを確認して遺言者・証人・公証人が署名・押印。遺言者は実印。

ステップ4:手数料支払と正本受領

手数料を現金で支払い(クレカ不可の公証役場が多い)、正本1通・謄本1通を受領。原本は公証役場が20年間(遺言者100歳になるまで、または死亡確認まで)保管。以後は「遺言検索システム」で全国の公証役場から検索可能。

こんな人に向いている

相続人間で争いが予想される

先妻の子と後妻、兄弟姉妹の折り合いが悪い、事業承継で特定の子に集中させたい等、遺留分侵害額請求や遺産分割協議の紛争リスクが高いケース。公証人が関与することで遺言の有効性を強固に立証できる。

不動産・事業・株式など複雑資産

複数の不動産、非上場株式、共有持分、抵当権付き資産など、財産評価と分割が複雑な場合。文案の適法性チェックが入る公正証書のほうが安全。

法定相続人以外に遺贈したい

内縁の配偶者、事実婚パートナー、孫、公益団体、お世話になった第三者への遺贈。自筆遺言だと形式不備で無効になるリスクが高く、公正証書での作成が推奨される。

高齢・病気で遺言能力に不安

認知症の初期、大病を患っている、高齢で判断力が徐々に低下している等、後から「遺言能力なし」と争われるリスクがある場合。公証人が本人と面談することで遺言能力の証拠を残せる。

資産1,000万円以上

相続税申告義務のライン(基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人)に近い規模。手続不備で数十万円の税務調整が発生するリスクを考えると、10万円前後の公正証書費用は妥当。

遺言執行者を明確化したい

金融機関・法務局・税務署での手続をスムーズに進めたい場合、遺言に執行者を指定するのが有効。公正証書なら執行者への信頼度が高く、金融機関も遺産分割協議書なしで解約に応じやすい。

よくある間違い・注意点

  • 遺留分を考慮せず全額を1人に — 「妻に全額」「長男に全額」等の遺言でも、他の相続人(子・親)には遺留分(法定相続分の1/2、直系尊属のみは1/3)を請求する権利があります(民法1046条)。遺留分侵害額請求で1,000万円級の返還が発生するケースもあるため、事前に遺留分計算を行い、付言事項で理由を説明するのが実務の定石です。
  • 財産の特定が曖昧 — 「A銀行の預金全部」だけでは、口座番号や支店名が不明で執行時に困ります。金融機関名・支店・口座番号・種別まで明記が原則。不動産は登記簿記載どおりの地番・家屋番号で特定します。
  • 証人を身内に頼む — 推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族は証人になれません(民法974条)。妻・子・親は不可。友人や弁護士事務所職員に依頼するか、公証役場に手配依頼するのが実務。
  • 作成後、財産構成が変わった — 不動産売却・買い替え、預金の移動、証券の売買等で財産が変動しても遺言は自動更新されません。相続開始時に「遺言に記載の財産が存在しない」場合、その部分は無効になることも。3-5年に1回は見直しを推奨。
  • 撤回・変更の手続を怠る — 遺言内容を変えたい場合、新たな公正証書遺言を作成すれば前の遺言は自動撤回(民法1023条)。ただし部分変更は複雑なので、全文作り直しが安全。手数料はまた最初から発生します。
  • 「口頭で伝えてある」だけで安心 — 「長男に伝えてあるから大丈夫」は法的に無効です。相続人全員が納得していても、遺産分割協議で覆される可能性があります。書面(公正証書)化しなければ効力を持ちません。
  • 手数料を「遺産総額×税率」で誤計算 — 公正証書遺言の手数料は相続人ごとの承継額で決まります。総額に一律料率をかけるわけではありません。相続人が多いほど1人あたり承継額が下がり手数料も下がる仕組みを理解しましょう。

関連する法令・規則

  • 民法 第960条-第1027条(遺言) ― 遺言の方式・効力・執行に関する基本規定。第969条が公正証書遺言の要件(口授・証人2人・公証人が筆記等)を定める。
  • 民法 第1042条-第1049条(遺留分) ― 遺留分の額と侵害額請求の規定。2019年7月施行の相続法改正で「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求(金銭債権化)」に変更。
  • 公証人法 ― 公証人の職務、公正証書の作成手続、原本保管義務を定める基本法。
  • 公証人手数料令(政令第224号) ― 公証人が徴収する手数料の額を政令で定めたもの。第9条別表が目的価額別料金表、第19条が遺言加算11,000円の根拠。
  • 法務局における遺言書の保管等に関する法律 ― 2020年7月10日施行。自筆証書遺言を法務局で保管する制度(保管料3,900円)。検認不要となる。
  • 民法974条(証人・立会人の欠格事由) ― 未成年者、推定相続人・受遺者、その配偶者・直系血族、公証人の親族等は証人になれない。
  • 相続税法 ― 相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)、配偶者の税額軽減(1.6億円または法定相続分まで非課税)等。遺言による承継も相続税の対象。

参考文献・公的資料

より正確な情報は、以下の公的機関の一次資料を必ず参照してください。手数料や制度は改正される可能性があります。

※本ページの計算結果は公証人手数料令に基づく概算です。実際の手数料は財産の内訳・承継配分・付随条項(祭祀指定、遺言執行者指定等)により変動します。取引や意思決定に用いる際は、必ず最寄りの公証役場での事前見積りおよび弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。遺留分・相続税・遺言執行の各論点は個別事案ごとに判断が必要で、本ページは一般情報の提供にとどまります。

よくある質問(FAQ)

自筆証書遺言と何が違う?

公正証書遺言は公証人が作成するため形式不備で無効になるリスクがほぼゼロ、家庭裁判所での検認手続も不要、原本は公証役場で20年以上保管され改ざんリスクもなし。自筆証書遺言は費用がほぼ無料な反面、形式不備・改ざん・紛失リスクがあります。2020年7月開始の法務局保管制度を使えば検認は不要になりますが、内容の適法性チェックまではしてもらえません。

手数料は遺産総額×税率で決まる?

いいえ。相続人・受遺者ごとに承継額を計算し、それぞれの手数料を合算する仕組みです。遺産1億円を3人に均等承継なら1人3,333万円で23,000円×3=69,000円。相続人が多いほど1人あたり承継額が下がり手数料も下がります。総額に一律料率ではありません。

証人はどうやって手配する?

証人2人が必要ですが、推定相続人・受遺者・その配偶者・直系血族は証人になれません(民法974条)。家族には頼めないため、友人・知人に依頼するか、公証役場や弁護士事務所に手配を依頼します。手配料は1人5,000-10,000円が相場です。

内容を変更したい場合は?

新たに公正証書遺言を作成すれば、前の遺言は自動的に撤回されます(民法1023条)。部分変更よりも全文作り直しが実務では一般的で、手数料は最初から発生します。財産構成の変化や家族関係の変化があった場合、3-5年に1回の見直しが推奨されます。

遺留分を無視して遺言してもよい?

遺言自体は有効ですが、遺留分を侵害された相続人(配偶者・子・直系尊属)は遺留分侵害額請求権を行使できます(民法1046条)。侵害された金額を金銭で請求される可能性があるため、事前に遺留分を計算して配分を検討することが実務では必須です。

公証役場に行けない場合は?

公証人が病院・自宅・介護施設に出張する制度があります。基本手数料が1.5倍、日当20,000円(4時間以内10,000円)、交通費実費が加算されます。入院中の急ぎの遺言でもこの方法で作成可能ですが、遺言能力の確認が特に厳格になります。

作成後、原本はどこにある?

原本は作成した公証役場に20年以上保管され、通常は遺言者が100歳になるまで、または死亡が確認されるまで保管されます。遺言者には正本1通・謄本1通が交付されます。相続開始後、相続人は全国どの公証役場からでも「遺言検索システム」で遺言の有無を照会できます。

遺言執行者は指定すべき?

指定を強く推奨します。遺言執行者がいると、金融機関の口座解約・不動産の名義変更・株式の移管などの手続を単独で進められ、他の相続人の署名・押印を求める必要がありません。信頼できる家族、または弁護士・司法書士・信託銀行を指定するのが一般的です。

公正証書遺言でも相続税はかかる?

はい、通常の相続と同じく相続税の対象です。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を超える遺産は相続税申告が必要。公正証書遺言による相続でも配偶者の税額軽減(1.6億円まで非課税)や小規模宅地等の特例は適用可能です。

公証人はどうやって選ぶ?

全国約300か所ある公証役場のうちどこでも作成可能で、遺言者の住所地に関係ありません。自宅・勤務先の近くを選ぶのが一般的。日本公証人連合会のサイトで所在地を検索できます。公証人による当たり外れは基本的になく、料金も全国一律です。

認知症でも作成できる?

遺言能力(自分の遺言の意味を理解できる状態)があれば可能ですが、後に「遺言能力なし」と争われるリスクがあります。医師の診断書公証人による意思確認記録を残すのが実務。認知症が中等度以上に進行している場合は、事前に医師・弁護士に相談が必須です。

手数料はいつ、どうやって支払う?

作成当日、公証役場の窓口で現金払いが原則。クレジットカード対応の公証役場は少ないため、事前に見積もりを確認して現金を準備します。領収書は税務署への提出用にも使えるので保管を推奨。