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鉄筋定着長継手RC造JASS 5

鉄筋定着長・重ね継手長 計算ツール|D10-D51の定着L1/L2/L3・継手長を即算出、配筋設計まで

RC造の鉄筋定着長L1/L2/L3重ね継手長を、鉄筋径(D10-D51)と設計基準強度Fc(21-60N/mm²)から即算出。JASS 5「鉄筋コンクリート工事」・日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準」に基づき、定着の応力伝達メカニズム、直線定着と折り曲げ(90°/180°フック)定着、重ね継手・ガス圧接継手・機械式継手の選定基準、応力集中位置での継手禁止規定、配筋検査のポイントまでを網羅解説します。設計者・鉄筋工・施工管理者・確認検査員必読。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

鉄筋定着長・重ね継手ツール

計算式と係数体系

基本式

定着長 L1(mm) = 定着係数 α × 鉄筋径 D(mm)

重ね継手長 = L1 × 1.2(またはL1×1.25)

定着係数α(SD295A・SD345)

設計基準強度Fcフックなし直線L1フック付きL1h備考
Fc1845D35D低強度、住宅基礎程度
Fc2145D35D住宅・低層
Fc2440D30D集合住宅・中層(最多)
Fc2740D30D中層
Fc3035D25D中高層
Fc3335D25D中高層
Fc36-4530D20D高層・超高層下層
Fc48-6030D20D超高層コア・免震柱

係数はJASS 5「鉄筋コンクリート工事」T7表(定着および重ね継手の長さ)に規定されています。SD390・SD490を使用する場合は割増(SD390で×1.1、SD490で×1.2程度)が必要です。

50mm単位への切り上げ

実務では計算値を50mm単位に切り上げして施工します。D13×40D=520mm → 550mm、D25×40D=1,000mm →1,000mm(そのまま)、D22×45D=990mm → 1,000mmといった具合です。切り上げ理由は、鉄筋加工場での加工精度・配筋作業性・図面表記のしやすさによります。

定着・継手の応力伝達

定着の物理

鉄筋はコンクリートとの付着応力(bond stress)によって引張力をコンクリートに伝達します。異形鉄筋(SD295A/SD345)ではリブ(節)による機械的抵抗と、化学的付着(セメント水和物との結合)の合計が付着力となります。付着応力は概ね0.8×√Fc(N/mm²)で、Fc24なら約3.9 N/mm²です。

付着応力から必要長さの導出

必要付着長 = (鉄筋降伏荷重) ÷ (許容付着応力 × 周長)

SD345・D22(降伏強度345N/mm²・断面積387mm²)の降伏荷重=133,515N、Fc24の許容付着応力=約3.9N/mm²、周長π×22.2=69.7mmで、必要長さ=133,515÷(3.9×69.7)≒491mm。安全率と施工誤差を見込み実務では40D=888mmで施工します。

継手の応力伝達

重ね継手では、2本の鉄筋が並列することで周長が実質2倍(片側からの付着応力+反対側への伝達)になります。しかし応力集中の緩和のため、単純に「定着長÷2」にはならず、定着長×1.2が必要となります。この係数はJASS 5表T7で厳密に規定されています。

L1/L2/L3の使い分け

JASS 5では、定着長を用途別に3種類に分類しています。実務では図面の「大梁定着L1」「小梁定着L2」「その他L3」の指定に従い、加工・配筋を行います。

種別用途係数(Fc24時)D13(mm)
L1(標準)大梁の柱への定着、応力の大きい部位40D550
L2(小梁)小梁の大梁定着、二次部材の応力伝達35D500
L3(応力小)スラブ端部・応力集中しない位置25D350
L1h(L1フック)L1の折り曲げ定着(直線区間の代替)30D+フック400+フック
L2h(L2フック)L2の折り曲げ定着25D+フック350+フック
L3h(L3フック)L3の折り曲げ定着20D+フック300+フック

L2・L3の緩和適用は設計者(構造設計一級建築士等)の判断が必要です。図面に指定なく現場判断でL1をL2に短縮するのは重大な設計変更違反となります。

直線定着と折り曲げ定着

直線定着

鉄筋を折り曲げず、直線のまま定着長を確保する方式。最もシンプルで施工性が良く、大空間の梁定着で標準採用されます。ただし、必要長さが柱寸法を超える場合は物理的に不可能で、その場合はフック付き定着に切り替えます。

90°フック定着

柱端で鉄筋を90°曲げ、フック長10D以上を確保する方式。JASS 5では折り曲げ内法直径をD16以下で3D、D19-D41で4D、D51で5Dと規定。180°フックより施工性が良く、標準的な梁定着で採用されます。定着長L1hは直線定着より20-30%短縮できます。

180°フック定着

鉄筋を180°折り返し、フック先端が主筋側に戻る形状。応力集中が最大で、狭隘部での定着に採用されます。柱主筋の梁端定着・スターラップの主筋への定着で標準採用。定着長は90°フックよりさらに10-15%短縮可能です。

フック内法直径の規定

鉄筋径内法直径(D16以下)内法直径(D19-D41)内法直径(D51)
D103D=30mm--
D133D=39mm--
D163D=48mm--
D19-4D=76mm-
D22-4D=88mm-
D25-4D=100mm-
D51--5D=255mm

全径×全Fcの定着長早見表

SD345・直線定着L1(mm、50mm切り上げ)の全パターンを示します。

Fc\DD10D13D16D19D22D25D29D32
Fc21(45D)4506007509001,0001,1501,3501,450
Fc24(40D)4005506508009001,0001,2001,300
Fc27(40D)4005506508009001,0001,2001,300
Fc30(35D)3505006007008009001,0501,150
Fc36(30D)3004005006007007509001,000
Fc42(30D)3004005006007007509001,000
Fc60(30D)3004005006007007509001,000

重ね継手長は上記値×1.2で算定します。例: D22×Fc24なら継手長=900×1.2=1,080→1,100mm(50mm切り上げ)

継手工法の比較

鉄筋継手には重ね継手、ガス圧接継手、機械式継手、溶接継手の4種類があります。

継手工法特徴コスト信頼性使用場面
重ね継手L1×1.2重ね最安D16以下、住宅・低層で主流
ガス圧接継手酸素・アセチレンで加熱溶接D19以上、集合住宅・中高層で主流
機械式継手(ネジ節・カプラ)専用継手金物で接合超高層・SRC、狭隘部
アーク溶接継手電弧溶接特殊構造、免震装置周辺
エンクローズ溶接継手ワイヤ供給式全周溶接超高層コア柱、免震柱

ガス圧接継手の詳細

D19以上の主筋で最も広く採用される継手工法。JIS Z 3120「鉄筋コンクリート用棒鋼のガス圧接技量検定における試験方法及び判定基準」に基づき、圧接技量資格者(1種〜4種)が施工します。施工後は目視検査・超音波探傷検査(UT)により全数または抜取検査を実施。

機械式継手の詳細

専用のカプラ(継手金物)を用いて鉄筋端部をネジ加工・くさび加工で接合。狭隘部・大径鉄筋(D41・D51)・工期短縮を求める現場で採用増加中。トキワ社・第一高周波・共英製鋼・タツミなど数社の製品が主流。

継手位置の規定

継手を設ける位置

継手は応力の小さい位置に設けるのが原則。梁・柱の応力分布は端部(接合部)で最大、中央付近で最小となるため、継手は中央付近の1/4スパン以内に配置します。

継手を設けてはいけない位置

  • 柱の柱脚部・柱頭部(はりとの接合部近傍)
  • 梁の柱への接合部・端部(1/4スパン以内)
  • スラブの支点付近
  • 耐震壁の脚部・頭部
  • 基礎の柱直下
  • 階段の踊り場・支点付近

継手のずらし配置

複数の鉄筋を同一位置で継手すると、断面欠損が集中して構造耐力が低下します。継手位置は互いにL1以上ずらして千鳥配置とし、同一断面内の継手鉄筋は全体の1/2以下とする規定があります(JASS 5)。

配筋検査と実務

配筋検査で確認する事項

  • 定着長L1/L2/L3の実長(スケール実測)
  • 継手長・継手位置・継手数(1本ずつ確認)
  • フック内法直径・フック長(D16以下は3D、D19以上は4D)
  • 継手ずらし配置(隣接継手との距離L1以上)
  • ガス圧接継手の外観検査(ふくらみ幅・偏心率)
  • ガス圧接継手の超音波探傷検査(UT報告書)

ガス圧接継手の外観検査基準

検査項目合格基準
ふくらみ幅1.4D以上
ふくらみ長さ1.2D以上
圧接面のずれ(偏心)0.1D以下
圧接部の折れ曲がり2°以下
表面のきず・膨れなきこと
圧接面の割れ絶対不可

不合格時の是正

ガス圧接継手が外観検査・UT検査で不合格の場合、切り取って再施工が原則。周辺鉄筋の再配置とD重ね継手への切替えが実務対応です。1箇所の再施工に鉄筋工1人日+ガス圧接工1人日、費用は5-10万円/箇所が目安。

業界・現場での使い方

構造設計事務所

構造図面のRC造部分で、大梁・小梁・柱・スラブごとに定着長L1/L2/L3を明記。継手位置の設計指定、フック定着の要否判断。構造計算書に定着応力の検定値を記載し、確認申請の対象。

鉄筋加工場

設計図面から加工図を作成し、必要長さ(直線+定着+継手)で切断・曲げ加工。D呼び・SD呼び別の在庫管理、フック曲げ加工の内法直径確保、90°/180°フックの区別。加工誤差±25mm以内が業界標準。

ゼネコン・工務店(施工管理)

配筋検査での実測、継手位置の順守確認、ガス圧接業者との調整。UT検査報告書の受領・保管。特に基礎・柱・梁の主筋定着は重点確認項目で、監理者・確認検査員の立会検査。

ガス圧接業者

1級・2級ガス圧接技量資格者による施工。1日1人あたり40-60継手が標準能率。施工後の目視検査記録、UT検査依頼、不合格継手の切り取り再施工。RC工事の隠れた要石職種。

UT検査業者(第三者検査機関)

ガス圧接継手の超音波探傷検査。JIS Z 3062「鉄筋コンクリート用ガス圧接継手の非破壊検査方法」に基づき、内部欠陥・未圧着を検出。抜取検査(全数の30%)または全数検査で品質保証。

確認検査機関・建築主事

建築確認申請時の配筋計画審査、中間検査時の定着・継手の現地確認。特に基礎・柱・梁の主筋定着はJASS 5適合性の重点チェック項目です。

よくある間違い・注意点

  • 低強度Fcで大定着長を要することを見落とす — Fc21ではL1=45Dが必要で、D25なら1,125mm(50mm切り上げで1,150mm)。柱寸法(500-800mm)を超えるため、直線定着が物理的に不可能となり、90°フック定着(30D+フック)への切替えが必須です。
  • 継手位置を応力集中箇所に設置 — 柱脚・梁端・スラブ支点は応力最大位置。ここに継手を設けると耐力大幅低下。1/4スパン以内(応力小箇所)に配置するのが原則。
  • 継手を同一断面に集中させる — 隣接する複数鉄筋を同一位置で継手すると、断面欠損が集中して構造耐力が2-3割低下。JASS 5では互いにL1以上ずらす千鳥配置、同一断面内の継手数は全体の1/2以下と規定。
  • L2/L3を設計指定なく現場判断で採用 — L2小梁定着・L3応力小箇所定着の緩和は設計者(構造設計一級建築士等)の判断が必要。図面指定なく現場でL1をL2に短縮するのは重大な設計変更違反となります。
  • フック内法直径不足 — D13以下=3D(39mm)、D19以上=4D(76mm以上)、D51=5Dを厳守。内法直径不足だと鉄筋にひび割れが入り、定着効果が半減します。加工場での曲げ機ロール径管理が重要。
  • ガス圧接継手の技量資格ミス — SD345以上・D25以上は原則2種以上の技量資格者施工が必要。1種資格者(D25以下・SD295まで)がD32を圧接すると仕様書違反で撤去・再施工となります。
  • 継手長を50mm単位に切り上げ忘れ — 計算値986mmを「990mm」と表記するのは実務上NG。50mm単位で切り上げて1,000mmと加工指示するのが業界標準。鉄筋加工場の混乱防止と施工誤差の吸収が理由。
  • フックの折り曲げ余長不足 — 90°フックの余長は8D以上、180°フックの余長は4D以上が必要。図面指定を無視して短くすると、フック先端の定着効果が発揮されず引抜き破壊のリスク。

関連する規格・法規

  • 建築基準法 第20条・第37条 ― 構造耐力・建築材料の基本規定。RC造の主要構造部の要件。
  • JASS 5「鉄筋コンクリート工事」T7表 ― 日本建築学会。定着および重ね継手の長さ規定の実務標準。
  • 鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説 ― 日本建築学会。RC造構造設計の教科書的標準。
  • JIS G 3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」 ― 異形鉄筋(SD295A/SD345/SD390/SD490)の材料規格。
  • JIS Z 3120「ガス圧接継手技量検定」 ― ガス圧接技量資格1種〜4種の試験基準。
  • JIS Z 3062「鉄筋コンクリート用ガス圧接継手の非破壊検査方法」 ― 超音波探傷検査(UT)の検査手順と判定基準。
  • 公共建築工事標準仕様書(建築工事編) ― 国土交通省。官公庁工事のRC造施工標準。
  • 建築基準法施行令 第73条 ― 鉄筋の継手及び定着に関する規定。
  • 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法) ― 住宅性能表示制度の構造安定性等級。
  • 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 ― 長期優良住宅認定における構造要件。

参考文献・公的資料

設計・施工・確認申請の詳細確認は、下記の公的機関・業界団体の資料を参照してください。

※本ページの定着長・継手長の算定値は概算です。実際の設計・施工・確認申請にあたっては、建築基準法・JASS 5の最新版、および所轄行政庁・確認検査機関の運用基準に従い、構造設計一級建築士・建築構造士・鉄筋施工技能士等の有資格者による設計と施工管理を受けてください。ガス圧接継手・機械式継手の採用にあたっては、各工法ごとの適用範囲・技量資格・検査基準を厳格に遵守することが必須です。

よくある質問(FAQ)

D13・Fc24の定着長は?

直線定着L1=40D×13=520mm→50mm切り上げで550mm。フック付きなら30D=400mm+フック余長。重ね継手長は550×1.2=660→700mm(50mm切り上げ)。集合住宅の梁筋主流サイズで、実務で最頻出のパターンです。

継手長が定着長×1.2の理由は?

重ね継手では2本の鉄筋の並列付着で応力を伝達しますが、単純に「定着長÷2」にはならず、応力集中の緩和のため定着長×1.2倍が必要とJASS 5表T7で規定されています。1.2は単純付着力からの安全率と応力集中係数を含んだ実験ベースの経験係数です。

L1・L2・L3の違いは?

L1=標準(大梁の柱定着など応力大の部位、40D程度)L2=小梁定着(35D程度)L3=応力小箇所(25D程度)。L2/L3の緩和適用は設計者(構造設計一級建築士等)の判断が必要で、図面指定なく現場でL1をL2に短縮するのは違反です。

フック付き定着の利点は?

直線定着より20-30%短縮可能。狭隘な柱寸法(500-800mm)内で長大な定着長(D25×45D=1,125mm等)が確保できない場合に採用。90°フック(10D余長)、180°フック(4D余長)の2種類があり、90°が施工性・経済性で標準です。

ガス圧接継手の技量資格は?

1種(D25以下・SD345まで)、2種(D32以下・SD345まで)、3種(D38以下・SD390まで)、4種(D51以下・SD490まで)の4段階。JIS Z 3120に基づく実技試験に合格した技量資格者のみ施工可能。技量資格ミスは仕様書違反となります。

ガス圧接継手の外観検査基準は?

ふくらみ幅1.4D以上、ふくらみ長さ1.2D以上、偏心0.1D以下、折れ曲がり2°以下、表面のきず・膨れなし、圧接面の割れ絶対不可。全数の目視検査+抜取UT検査で品質保証します。不合格時は切り取り再施工が原則。

機械式継手はどんな場面で使う?

超高層のコア柱(D41・D51の大径鉄筋)、狭隘部での作業性優先、SRCの複雑な配筋、工期短縮を求める現場。トキワ社・第一高周波・共英製鋼・タツミなど数社の製品が主流で、専用金物とネジ加工・くさび加工の技術認定が必要です。

継手を設けてはいけない位置は?

柱脚・柱頭部、梁の柱接合部・端部(1/4スパン以内)、スラブ支点、耐震壁の脚部・頭部、基礎の柱直下、階段の踊り場付近。応力最大位置での継手は耐力を大幅に低下させるため厳禁です。

継手のずらし配置とは?

複数鉄筋を同一位置で継手すると断面欠損が集中して構造耐力が低下。継手位置は互いにL1以上ずらして千鳥配置とし、同一断面内の継手鉄筋は全体の1/2以下とする規定(JASS 5)。

フック内法直径の規定は?

D16以下は3D(D13なら39mm)、D19-D41は4D(D22なら88mm)、D51は5D(255mm)以上を厳守。内法直径不足は鉄筋にひび割れを生じさせ、定着効果を半減させます。加工場での曲げ機ロール径管理が重要です。

SD390・SD490の定着長は?

降伏強度が高いため、SD345基準の定着長をSD390で×1.1、SD490で×1.2に割増します。例:D22・Fc30(SD345で35D=770mm)なら、SD390は847mm→850mm、SD490は924mm→950mm(50mm切り上げ)となります。

50mm単位切り上げの理由は?

鉄筋加工場での加工精度(±25mm)、配筋作業性、図面表記の簡略化。実務で「1,033mm」より「1,050mm」の方が現場・加工場で混乱がなく、施工誤差の吸収代にもなります。業界標準の慣行です。

継手のUT検査は必須?

JIS Z 3062に基づく超音波探傷検査(UT)が公共工事・一定規模以上の民間工事で標準化。全数検査または30%抜取検査が実施され、報告書は施工記録として保管。品確法対象住宅・長期優良住宅では特に重視されます。

D51の定着長は?

超高層コア柱・免震柱で採用されるD51は、Fc48-60が主流で係数30Dが標準。30×51=1,530mm→1,550mm(50mm切り上げ)。柱寸法1,000mm超が必須で、機械式継手併用が現実的です。