計算ツール
無線綴じ製本ページカタログ

無線綴じ 最少ページ・背幅目安 計算ツール|PUR/EVA接着剤・用紙厚別実用範囲

総ページ数と用紙1枚あたりの厚みから、無線綴じ(パーフェクトバインド)製本の背幅・製本可否・推奨方式を即判定。ソフトカバー書籍・カタログ・パンフレット・自費出版・写真集の設計現場で頻用される、最少32ページ・背幅3mm下限・上限50mm・PUR推奨条件をまとめました。EVAホットメルトとPUR(反応性ホットメルト)の使い分け、上質紙/コート紙/書籍用紙の代表的厚み、DTP入稿時の背幅計算式まで解説します。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

無線綴じ最少ページ・背幅目安ツール

計算式と背幅の考え方

基本式

背幅(mm) ≒ 総ページ数 ÷ 2 × 用紙厚(mm) + 表紙厚み(0.3〜0.5mm)

無線綴じの背幅は、本文用紙の総枚数(=総ページ数÷2、両面印刷を前提)と用紙1枚あたりの厚みを乗じ、表紙の厚みを足すことで概算できます。実際の仕上がりは接着剤の厚み・製本方向のプレス圧・用紙のかさ(嵩高性)によって±0.5〜1mm程度の誤差が出るため、印刷会社ごとに用紙別の背幅表を持っています。本ツールでは表紙厚を0.5mm固定として計算します。

製本可能条件

最少ページ数=32ページ・最少背幅=3mmが無線綴じの一般的な下限です。ページ数が32未満だと接着剤の付着面積が確保できず、開くとページが抜け落ちる不良につながります。背幅3mm未満は接着剤の乾燥後の強度が不足し、耐久性がありません。上限は方式により異なりますが、EVAホットメルトで50mm・PURで60mm程度が実用範囲です。

用紙のかさ(嵩高)による補正

同じ「上質紙90kg」でも、嵩高書籍用紙(たとえば淡クリームキンマリなど)は通常品より1.1〜1.3倍の厚みがあります。写真集などで用いるアート紙・コート紙は逆に薄めです。DTP入稿時は印刷会社の指定した用紙別背幅表を参照し、机上計算の背幅と照合して表紙データを作るのが定石です。

製本方式別 適用ページ数比較

印刷部数・ページ数・使用シーンに応じて4つの主要製本方式を選び分けます。無線綴じ以外の選択肢との比較表です。

方式ページ範囲特徴単価耐久性
中綴じ(針金)4〜64P薄手・雑誌・パンフレット安い
無線綴じ(EVA)32〜500Pソフトカバー主流普通
無線綴じ(PUR)32〜700P写真集・図鑑・高強度+10〜30円/冊
上製本(ハードカバー)48P〜ハードカバー書籍・記念誌高い非常に高
あじろ綴じ32P〜無線+折り丁切込みで強度UP+5〜15円/冊
糸かがり48P〜辞書・聖書等の永年使用書籍高い非常に高

ページ数が16以下なら中綴じ一択、32〜64Pは中綴じ/無線綴じ両対応、それ以上は無線綴じか上製本という判断が一般的です。

用紙別 厚み早見表

DTP入稿・印刷見積・背幅計算で頻用する代表的な用紙の1枚あたり厚み(概算)です。数値は連量(kg)や種類によって変動するため、印刷会社の実測値と照合してください。

用紙種類連量目安厚み(mm/枚)用途
コート紙(A2判)90kg0.09雑誌本文・カラー印刷
コート紙(A2判)110kg0.10チラシ・パンフ
コート紙(A2判)135kg0.13カタログ表紙
マットコート紙90kg0.10写真集本文
上質紙(A判)70kg0.09教科書・小説本文
上質紙(A判)90kg0.12ノート・単行本本文
上質紙(A判)110kg0.14ハガキ・表紙
書籍用紙(淡クリームキンマリ72.5kg)0.11文庫・新書本文
書籍用紙(オペラクリーム72.5kg)0.13単行本本文(嵩高)
アート紙110kg0.11高級写真集
マシュマロCoC(嵩高)103kg0.16絵本・図鑑
NPI上質(74kg)0.10ページ物本文

例:400ページの単行本を書籍用紙(0.11mm)で作る場合、本文200枚×0.11+表紙0.5=22.5mmが背幅の目安です。

EVAとPURの接着剤選択

無線綴じの接着剤には大きく分けてEVA(エチレン酢酸ビニル)ホットメルトとPUR(ポリウレタン反応性ホットメルト)の2種類があり、コスト・強度・開きやすさが大きく異なります。

EVAホットメルト(従来型)

加熱で溶かして塗布し、冷却で固まる熱可塑性接着剤。安価で高速製本が可能ですが、経年で接着剤が脆化しやすく、開きにくさが弱点。カタログ・雑誌・短期使用の書籍に多用されます。適用温度は約-10〜40℃で、真夏の車内放置などで軟化しページが抜けるトラブルもあります。

PUR(反応性ホットメルト)

加熱溶融後、湿気と反応して架橋硬化するウレタン系接着剤。接着強度がEVAの2〜3倍、開き角度が最大180°近く、耐熱性・耐寒性ともに優秀。写真集・辞書・図鑑・長期使用書籍に採用が広がっています。追加コストは1冊10〜30円程度。硬化に24〜48時間かかるため、直後の裁断は不可。

あじろ綴じ(EVA+折り丁切込み)

EVAホットメルトを使いつつ、折り丁の背に切込みを入れて接着剤を折り内部まで浸透させることで強度を高めた方式。EVAとPURの中間的コスト・強度で、月刊誌・分厚めのカタログに多用されます。

糸かがり+ホットメルト

本文を折り丁単位で糸で綴じた上で背に接着剤を塗布する方式。上製本や辞書等、超長期使用の書籍で採用。工程が多く高コストですが、100年単位で使用可能な最高強度が得られます。

背表紙タイトル入れの判断基準

本を書棚に立てたときに背表紙タイトルが読めるかは、書店販売や図書館収蔵において重要な要素です。無線綴じ書籍の一般的な判断目安を整理します。

背幅タイトル入れ推奨レイアウト
3mm未満×(製本不可)
3〜4mm△(タイトルなし推奨)色帯・アイコンのみ
4〜6mm△(小さくなら可)タイトルのみ・6pt程度
6〜10mmタイトル+著者名・8〜10pt
10〜20mmタイトル+著者名+版元ロゴ
20mm〜フルデザイン可能

背表紙印刷では、断裁誤差(±1mm程度)を考慮して背の両端3mm程度は空白にしておくのが定石です。特にコート紙の表紙では折り位置が正確に取れず、タイトルが折り目にかかると読みにくくなります。

DTP入稿ワークフローと背幅データ作成

DTP入稿時の表紙データ作成手順を、印刷会社への発注順にまとめます。無線綴じ表紙は「表4-背-表1」を1枚のデータで作成する必要があり、背幅計算の精度が仕上がりに直結します。

1. 用紙・ページ数の確定

本文用紙(コート/上質/書籍用紙)、連量、ページ数(4の倍数、無線綴じは8P/16P単位が理想)を確定。表紙用紙も連量180〜220kg程度を選定。

2. 印刷会社の背幅表を入手

プリントパック・グラフィック・イロドリなど印刷通販各社は用紙別背幅表をWeb公開。実測値ベースなので必ず参照。同じ用紙でも印刷会社ごとに±0.5mm程度の差があります。

3. Illustrator/InDesignで表紙データ作成

表4(裏表紙)+背+表1(表紙)を1つのアートボードに配置。塗り足し3mm、断裁マージンを考慮した文字組み。背表紙タイトルは背幅の中央に、両端3mmは空白確保。

4. PDF入稿・下版確認

PDF/X-1aまたはPDF/X-4形式で入稿。印刷会社のプリフライトチェックを通過後、下版画像で背表紙位置を最終確認。ここでズレを発見しても再入稿可能。

業界・場面別の使い方

書籍出版・自費出版

ソフトカバー書籍(単行本・文庫・新書)の企画時点で、想定ページ数と用紙から背幅を試算。書店流通向けの単行本は書籍用紙(嵩高)、文庫は薄手上質紙が定番。POD(オンデマンド)出版でも同じ背幅計算を用います。

カタログ・パンフレット制作

製品カタログ・会社案内・不動産物件資料等。年1〜2回改訂の場合はEVA、リフレッシュ頻度が低い長期使用資料はPURと使い分け。B2B展示会配布用の分厚いカタログは、書棚整理性を考慮して背表紙タイトルを入れます。

写真集・作品集

180°近く開くPUR製本が定番。見開き写真が背でくの字に折れないことが最重要で、通常のEVA製本だと中央写真が谷折りになり見栄えを損ないます。用紙はマットコート・アート紙で1枚0.13mm前後を想定。

社内マニュアル・議事録集

50〜300ページの社内資料は無線綴じで統一する会社が多い。オンデマンド印刷+無線綴じで1冊300〜500円程度の内部製本が可能。年数ごとの改訂版管理では背幅表を作っておくとバックナンバー背表紙が揃います。

雑誌・季刊誌

ページ数が中綴じ限界の64Pを超え、200P程度までは無線綴じEVAが定番。ファッション誌等の分厚いオールカラー雑誌はコート紙0.09〜0.10mmで16〜20mm背幅になります。デジタル併売の時代でも紙媒体は無線綴じで残存。

展示会用作品集・卒業制作

美大生・写真学校の卒業制作、企業のブランドブックは、少部数・高品質を求めてPUR製本+高級用紙が選択されます。数十冊レベルのオンデマンド印刷でもPUR対応の印刷会社が増えており、費用は1冊3000〜5000円程度。

製本コスト比較(参考価格)

印刷通販各社の一般的な公表価格レンジをまとめた参考値です。実際の見積は印刷会社にお問合せください。

仕様100部500部1000部5000部
A5・64P・中綴じ・4色/1色25,00045,00065,000180,000
A5・128P・無線綴じEVA・4色/1色65,000110,000150,000420,000
A5・128P・無線綴じPUR・4色/1色85,000140,000190,000530,000
B5・256P・無線綴じPUR・4色230,000380,000500,0001,400,000
A4・128P・無線綴じEVA・4色85,000150,000210,000580,000
四六判・256P・無線綴じEVA(単行本)350,000460,0001,200,000

1冊単価は部数に強く依存します。100部と5000部で単価は5〜10倍違い、少部数はオンデマンド、大部数はオフセット印刷が有利です。

よくある間違い・注意点

  • 32ページ未満で無線綴じ発注 — 接着面積不足でページ抜け不良確定です。20〜28ページは中綴じ、8〜16ページは折り加工のみ推奨。無理に無線綴じにすると印刷会社から差し戻しになります。
  • 背幅3mm未満で製本可能と誤解 — 3mmは物理的な最低ライン。実際は5mm以上で品質が安定するため、薄い本を狙う場合は用紙を厚くして必要背幅を確保する方が確実です。
  • 通常EVAホットメルトで長期使用書籍を作成 — 経年で接着剤が脆化し、5〜10年でページが抜けます。保管が想定される辞書・図鑑・写真集はPUR製本一択です。
  • DTP入稿の背幅と実際の背幅のズレ — 印刷会社ごとに使用紙の実測厚みが異なるため、机上計算+0.5〜1mmの誤差が発生します。必ず印刷会社の背幅表を確認し、表紙データを作成してください。
  • PUR製本で当日納品を期待 — PURは硬化に24〜48時間かかります。急ぎ案件でPURを指定すると、印刷会社の工程で追加日数が必要になり納期に影響します。
  • コート紙表紙の折り位置ズレ — コート紙は表面が滑らかで折り機での位置決めが難しく、背表紙タイトルが折り目にかかりやすい。両端3mm以上のマージンを取ることが必須です。
  • あじろ綴じと無線綴じを同義に使う — あじろ綴じは折り丁の背に切込みを入れる工程が加わる別方式。単価が微増し、強度が上がります。カタログ発注時に「あじろ」と「無線」を明確に指定する必要があります。

関連する規格・法令

  • JIS Z 8305 ― 印刷用語。無線綴じ・中綴じ・上製本・あじろ綴じ・PUR等の用語定義。
  • JIS P 0138 ― 印刷用紙の仕上げ寸法(A列・B列・四六判・菊判)。ページ物設計の基本規格。
  • JIS P 8118 ― 紙及び板紙-厚さ、密度及び比容積の試験方法。用紙厚みの公式測定法。
  • JIS P 8124 ― 紙及び板紙-坪量の測定方法。連量計算の基準。
  • 日本製本工業組合 標準仕様 ― 無線綴じ・中綴じ・上製本の推奨仕様、背幅・折込表紙の設計基準。
  • ISO 216 ― 紙のA/B系列サイズの国際規格。DTP入稿の基本。
  • 日本印刷技術協会(JAGAT)技術情報 ― 印刷・製本技術の解説資料。PUR製本・オンデマンド印刷の最新動向。

参考文献・公的資料

DTP入稿・印刷会社への発注時に、以下の公的機関・業界団体・大手印刷会社の資料を参照すると、より精度の高い設計が可能です。

※本ページの背幅計算は「本文ページ数÷2×用紙厚+表紙0.5mm」の概算式に基づく参考値です。実際の背幅は接着剤の厚み・プレス圧・用紙嵩高・湿度で変動します。DTP入稿・表紙データ作成前には、必ず発注する印刷会社の背幅計算ツールまたは用紙別背幅表で確認してください。特に写真集・自費出版など高品質を求める案件は、事前に用紙見本の実測・試作を推奨します。

よくある質問(FAQ)

無線綴じの最少ページは?

32ページが一般的な下限です。これ未満は接着剤の付着面積が不足し、ページ抜け不良の原因になります。20〜28ページは中綴じ、8〜16ページは折り加工のみを検討してください。

背幅の最小は?

物理的な最小は3mm以上。ただし品質安定は5mm以上からで、それ未満は接着剤量不足のリスクがあります。薄い本にする場合は用紙を厚くして背幅を確保する方が確実です。

PUR製本のメリットは?

接着強度がEVAの2〜3倍、開き角度が最大180°近く、耐熱性・耐寒性ともに優秀。写真集の見開き印刷、辞書や図鑑の永年使用、真夏の車内保管などで真価を発揮します。追加コストは1冊10〜30円程度。

無線綴じと上製本の違いは?

無線綴じはソフトカバーで表紙が本文と一体構造。上製本はハードカバーで表紙が本文と別工程で貼り合わされる高級製本。上製は原価が2〜3倍かかり、記念誌・辞書・美術書などに使われます。

背幅の計算式は?

「本文ページ数÷2×用紙1枚厚(mm)+表紙厚み(0.3〜0.5mm)」が概算式。ただし嵩高書籍用紙・アート紙は実測が異なるため、印刷会社の背幅表を必ず確認してください。

表紙用紙の厚みは何mm?

ソフトカバー表紙は連量180〜220kg程度のコート紙・上質紙が定番で、厚み0.15〜0.25mmが一般的。片面ラミネート加工を加える場合は+0.05〜0.10mmを見込みます。

あじろ綴じは無線綴じと何が違う?

あじろ綴じは本文折り丁の背に切込みを入れて接着剤を折り内部まで浸透させる方式。強度が無線綴じの1.5〜2倍で、開きやすさも向上します。単価は+5〜15円/冊程度。EVAとPURの中間コストで採用されるケースが増えています。

PUR製本の納期はどれくらい追加?

接着剤の完全硬化に24〜48時間必要なため、通常のEVA製本より2〜3営業日程度長くなります。急ぎ案件では事前に印刷会社と工程確認が必須です。

背表紙にタイトルを入れられる最小背幅は?

実用的には4mm以上から。3〜4mmは色帯・アイコン程度、6mm以上でタイトル+著者名、10mm以上で版元ロゴまで入れられます。断裁誤差を考慮して両端3mmはマージンを取ってください。

500ページ超の無線綴じは可能?

可能ですが背幅50mmを超えるとEVAでは強度不足になります。500〜700ページはPUR製本、それ以上は上製本(糸かがり付き)への切替を検討してください。分冊も一つの選択肢です。

無線綴じは中央部が開きにくい問題はある?

EVA製本は特に中央付近が開きにくく、見開き写真の中央が谷折りで隠れる問題があります。PUR製本にすれば180°近く開くため、写真集・楽譜・料理本などは必ずPURを指定してください。

オンデマンド印刷でも無線綴じできる?

できます。1冊単位のオンデマンド印刷+無線綴じで自費出版本や少部数マニュアルが作れます。単価は300〜1000円程度。PUR対応のオンデマンド印刷会社も増えており、高品質少部数のニーズに応えられます。