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三相モータ全負荷電流(kW→A) 計算ツール|200V/400V誘導電動機・始動電流・ブレーカ・電線サイズまで

三相誘導電動機の全負荷電流を出力・電圧・効率・力率から即算出し、始動電流(直入/スターデルタ/インバータ)・推奨ブレーカ容量・電線サイズ(sq)を自動提案します。ポンプ・圧縮機・空調機器・生産機械の電源設計、IE3プレミアム効率電動機の選定、MMS(モータ・マニュアル・スターター)・進相コンデンサ・電圧降下対策、内線規程・電気設備技術基準の実務観点で解説します。工場動力設計、ビル設備、農業用ポンプ、太陽光発電連系設備の設計にご活用ください。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

三相モータ全負荷電流(kW→A)ツール

計算式と単位系

全負荷電流

I(A) = P(W) / (√3 × V(V) × η × cosφ)

三相誘導電動機の全負荷電流は、定格出力P(W)を線間電圧V・効率η・力率cosφで割り、√3で除して算出します。3.7kW・200V・効率0.88・力率0.85の場合、I=3700/(1.732×200×0.88×0.85)≒14.3Aとなります。

始動電流

直入始動: Ist ≒ I × 6〜8倍

スターデルタ始動: Ist ≒ I × 2〜3倍

インバータ始動: Ist ≒ I × 1〜1.5倍

始動時は静止した回転子を加速するため、大きな突入電流が流れます。直入始動では定格の6〜8倍の突入電流が数秒間流れ、電圧降下・他機器停止・ブレーカ動作を引き起こします。11kW超では原則スターデルタ、55kW超ではインバータ始動が定番です。

効率と力率の目安

出力効率η(2極)効率η(4極)力率cosφ
0.75kW82%80%0.78
2.2kW85%84%0.82
5.5kW88%87%0.84
15kW91%90%0.86
37kW93%93%0.88
75kW94%94%0.89

2015年以降の販売品はIE3(プレミアム効率)以上が義務付けられており、上表はIE3ベースの目安値です。低負荷運転(50%以下)では効率・力率とも大きく低下するため、実務ではメーカーカタログの負荷特性図で正確な値を確認します。

200V誘導電動機の早見表

出力kW全負荷電流A始動電流(直入)推奨ブレーカ電線サイズ
0.753.325A15A2.0mm²
1.56.550A15A2.0mm²
2.29.475A20A3.5mm²
3.715.7125A30A5.5mm²
5.523180A40A8mm²
7.531245A50A14mm²
1145360A75A22mm²
1561490A100A38mm²
2290720A150A60mm²
371501200A225A100mm²
552201760A300A150mm²
753002400A400A250mm²

実務では「1kWあたり約4A(200V三相)」の暗記値でざっくり見積もりが可能。3.7kW=16A、5.5kW=23A、7.5kW=31A、11kW=45A、15kW=61Aと覚えるのが電気工事士・電気主任技術者の実務標準です。

400V化のメリット

大容量モータでは三相400V化(実質420V〜440V)が経済的です。200V比で電流が半分になるため、電線サイズ・変圧器容量・受電設備コストを大幅削減できます。

出力200V電流400V電流電線サイズ差電圧降下
7.5kW31A15.5A14→5.5mm²1/4
22kW90A45A60→22mm²1/4
55kW220A110A150→60mm²1/4
110kW440A220A300→150mm²1/4

電力損失も1/4になるため、長距離配線・大容量負荷では400V化が必須です。ただし人体に対する感電リスクが上がるため、絶縁抵抗・接地・漏電遮断器の設計はより厳格になります。日本の低圧受電契約(50kW未満)では200V三相が主流ですが、50kW以上の高圧受電では400V三相の展開が標準です。

始動方式の選定

直入始動(Direct on Line, DOL)

最もシンプルで安価。全電圧を直接印加し始動。始動電流は定格の6-8倍。0.4〜3.7kW程度の小容量モータに適用。始動トルクは定格の1.5-2倍で強い。

スターデルタ始動(Y-Δ)

始動時はスター(Y)結線で線間電圧を1/√3にし、加速後にデルタ(Δ)結線に切替。始動電流1/3・始動トルク1/3。5.5〜37kWの中容量モータで採用される定番方式。

インバータ(VFD)始動

周波数を徐々に上げて始動。突入電流ほぼなし(定格1-1.5倍)。始動トルク可変、可変速運転で省エネ効果大。近年は5.5kW以上で標準化。

ソフトスタータ(電子式)

サイリスタで電圧を徐々に上げて始動。始動電流2-3倍、機械的ショック軽減。ポンプ・コンベヤに適する。運転中はバイパス接続で効率確保。

リアクトル始動

始動時にリアクトルを直列接続し電圧降下。始動電流1/2-2/3。大容量モータ(75kW超)で使用。現在はインバータに置き換えが進行。

始動補償器始動

自動変圧器で始動電圧を下げる方式。始動電流を1/4程度に抑えられる。600V以上の高圧モータで採用される。

IE3プレミアム効率規制

IE(International Efficiency)はIEC 60034-30-1で定義される三相誘導電動機の効率区分で、IE1(標準効率)・IE2(高効率)・IE3(プレミアム効率)・IE4(スーパープレミアム)の4段階があります。

効率区分3.7kW効率15kW効率特徴
IE1(標準)82.5%88.7%2014年以前の主流(現在販売禁止)
IE2(高効率)85.7%90.6%2015年〜規制対象
IE3(プレミアム)88.4%92.1%2015年〜現行規制、標準品
IE4(スーパー)90.9%93.4%大容量・省エネ用途、単価30%高

日本では省エネ法(トップランナー制度)により、2015年4月以降に販売される0.75〜375kWの三相誘導電動機はIE3以上が義務化されました。既存設備の更新時もIE3対応品への切替が推奨され、初期投資は10〜15%高くなりますが、年間電力消費量が5〜10%削減され、通常3年以内でペイバックします。

ブレーカ・MMSの選定

選定基準

配線用遮断器 定格電流 ≥ 全負荷電流 × 1.5〜3倍

モータは始動時の突入電流で誤動作しないよう、通常負荷の1.5〜3倍で選定します。標準的な配線用遮断器(MCCB)では瞬時引外し要素が突入電流で動作する場合があるため、モータ用MMS(Motor Manual Starter)を使うのが確実です。

MMSの特徴

機能MMS(モータ用)MCCB(汎用)
過負荷保護熱動要素で緩やか熱動要素で早い
短絡保護瞬時磁気引外し瞬時磁気引外し
始動電流耐量定格の10倍まで許容定格の5-6倍まで
電流可変設定◎(±20%可調整)×(固定)
単価MCCB比1.5-2倍安価

過負荷保護は熱動継電器(サーマルリレー)を別途組み合わせるのが定番構成で、MMS+電磁接触器+サーマルリレーの3点セットが標準的なモータスタータになります。

電線サイズと電圧降下

電線サイズ選定

電線サイズ ≥ 全負荷電流 × 1.25倍(内線規程3705-3)

電線サイズは全負荷電流の1.25倍以上の許容電流を持つように選定します。内線規程・電気設備技術基準に基づき、周囲温度・敷設方法(気中/管内/地中)・並列数で許容電流が変わるので補正が必要です。

電圧降下の計算

電圧降下 e = √3 × I × (R·cosφ + X·sinφ) × L / 1000

電圧降下は内線規程で幹線2%以内・分岐回路も含めて4%以内が目安。3.7kWモータ(電流16A)を5.5mm²ケーブルで100m配線した場合、電圧降下は約6.5V(200Vの3.3%)となり、幹線2%を超える場合は電線サイズアップまたは400V化が必要です。

力率改善(進相コンデンサ)

誘導電動機の力率は0.75〜0.90で、進相コンデンサを並列接続することで0.95以上に改善できます。電力会社の力率割引(85%基準)で電気料金が最大15%減額される他、変圧器・配線の負荷余裕が拡大するメリットがあります。

モータ容量推奨コンデンサ容量接続方法
0.75〜3.7kW3〜10kVar個別方式(モータ端子)
5.5〜37kW15〜50kVar個別方式または分電盤集中
45kW以上50kVar以上分電盤集中方式+自動制御

コンデンサ容量が大きすぎると進み力率となり、無効電力送出でシステムに悪影響を与えるため、電動機定格出力の30〜50%以下に抑えるのが実務標準。JIS C 4901「低圧進相コンデンサ」適合品を選ぶのが原則です。

業界・現場での使い方

工場動力設計

コンプレッサー・ポンプ・ファン・生産機械の電源設計。始動方式の選択で電源品質を最適化。省エネ法適合IE3以上の選定が必須。インバータ制御で運転時間の70%以上省エネ効果。

ビル設備・空調

エアハンドリングユニット・冷却塔ファン・ポンプの電源。運転時間長いためインバータ制御による省エネ効果大。BEMS(ビルエネルギー管理システム)連動制御。

農業用揚水ポンプ

井戸ポンプ・スプリンクラー・畜舎換気の電源設計。単相200V(小容量)と三相200V(3.7kW以上)の選択判断。太陽光発電併用も増加中。

浄水場・下水処理場

送水ポンプ・曝気ブロワ・脱水機の電源。負荷変動大きく、可変速制御(VVVFインバータ)による省エネ効果が大きい公共インフラ用途。

電気工事業(電気工事士)

モータ結線・分電盤配線・電気設備の設計施工。第一種・第二種電気工事士の実務。内線規程・電気設備技術基準への適合確認。

電気主任技術者(電験)

受電設備・変電所の運用管理。力率改善・高調波対策・電圧管理の技術管理。第三種電気主任技術者の日常業務。

よくある間違い・注意点

  • 効率・力率を1.0で計算 ― 実効率0.88・力率0.85なら電流は約1.34倍増。過小電流で電線・ブレーカ不足になる。カタログ値の適用が必須。
  • 始動電流を無視してブレーカ選定 ― 直入始動は定格の6-8倍の突入電流。標準MCCBは瞬時要素で誤動作する場合あり。MMS+専用サーマルリレーの構成推奨。
  • 全機器同時始動を想定せず ― 複数モータの同時起動で電圧降下重畳し他機器停止。シーケンス起動で分散、または始動タイミングを制御。
  • IE1標準効率品を新規採用 ― 2015年以降は0.75〜375kWのIE3以上義務化(トップランナー規制)。既存機は使用可だが、新規購入は違法。
  • 力率改善コンデンサ過大 ― コンデンサ容量が大きすぎると進み力率となり、無効電力送出で系統に悪影響。定格出力の30-50%以下に。
  • 電圧降下計算の省略 ― 長距離配線(100m超)では電圧降下2%超過で起動不良・トルク低下発生。内線規程の電圧降下計算を必ず実施。
  • 逆相接続 ― 三相モータは3線の順序で回転方向が決まる。ポンプ・ファンの逆転で配管損傷・機械故障。3相の相順を必ず確認。
  • 接地(D種)未施工 ― 電気設備技術基準でD種接地(100Ω以下)必須。感電・漏電火災の予防に不可欠。漏電遮断器(ELCB)との併設が標準。

関連する規格・法規

  • JIS C 4034-1 回転電気機械 定格及び性能 ― 三相誘導電動機の定格・性能・試験方法の国内標準。IEC 60034整合。
  • JIS C 4213 一般用低圧三相かご形誘導電動機 ― 一般用の三相誘導電動機の定格・寸法・性能規格。
  • JIS C 4212 高効率三相かご形誘導電動機(IE3プレミアム効率) ― 省エネ法対象のIE3規格。2015年〜義務化。
  • IEC 60034-30-1 ― International Efficiency(IE1-IE4)の国際規格。日本のJIS C 4212の元規格。
  • 省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律) ― トップランナー制度で三相誘導電動機のIE3化を義務化。
  • 電気設備技術基準・同解釈 ― 電気設備の設計・施工の法令基準。電線サイズ・絶縁・接地・漏電保護。
  • 内線規程(JEAC 8001) ― 民間工事の電気設計・施工の実務標準。日本電気協会制定。
  • JIS C 4901 低圧進相コンデンサ ― 力率改善用コンデンサの規格。JIS適合品を選定するのが実務標準。
  • JEM 1101 電動機始動方式 ― 直入・スターデルタ・インバータ・リアクトル始動の規格。

参考文献・公的資料

設計・施工・保守の詳細を確認する場合は、下記の公的機関・業界団体の資料を参照してください。

※本ページの計算結果および推奨値は概算です。実際の電気設備設計・施工にあたっては、電気設備技術基準・内線規程・JIS C 4034/4212/4213等の最新版、および電気工事士(第一種・第二種)・電気主任技術者・技術士(電気電子部門)等の有資格者による設計・施工監理を受けてください。特に高圧受電設備、電力系統連系設備、防爆区域内モータでは、追加の性能試験・型式認定・法令認可が必要になります。

よくある質問(FAQ)

3.7kWモータの全負荷電流は?

約15.7A(200V、効率88%、力率0.85)。実務では16Aと暗記するのが標準です。他容量は5.5kW=23A、7.5kW=31A、11kW=45A、15kW=61A、22kW=90Aと覚えると即答できます。1kWあたり約4A(200V三相)の暗記値も便利です。

直入始動とスターデルタ始動の使い分けは?

概ね11kW以上でスターデルタ検討が実務目安。始動電流1/3、始動トルクも1/3になるため負荷特性で判断します。ファン・ポンプは軽負荷始動なのでYΔ適用可、コンベヤ・巻上機は重負荷始動なので直入または特殊始動を選定します。

インバータ始動のメリットは?

(1)突入電流ほぼなし(定格1-1.5倍)、(2)始動トルク可変で無理なく起動、(3)可変速制御で省エネ、(4)力率改善、(5)ソフトスタート・ソフトストップ。近年は5.5kW以上で標準化。高調波発生対策としてリアクトル・アクティブフィルタ併用が必要になる場合あり。

モータ用ブレーカ(MMS)の選び方は?

MMS(モータ・マニュアル・スターター)を推奨。過電流+瞬時要素+熱動要素を最適化した専用機で、始動電流の10倍まで許容します。標準MCCBは瞬時要素で始動時に誤動作する場合あり。MMS+電磁接触器+サーマルリレーの3点セットが定番構成です。

三相200Vと400Vで同じkWだと電線サイズは?

400V化で電流が半分、同じ電線サイズなら電圧降下は1/4、電力損失も1/4になります。大容量(50kW以上)では400V化が経済的で、電線サイズ・変圧器容量・受電設備コストが大幅削減できます。ただし感電リスクが上がるので絶縁抵抗・接地の設計はより厳格。

IE3プレミアム効率モータとは?

IEC 60034-30-1で定義される三相誘導電動機の効率区分の3段階目(IE1-IE4)。省エネ法トップランナー制度により、2015年4月以降に販売される0.75〜375kWの三相誘導電動機はIE3以上が義務化されました。単価は10-15%高くなりますが年間電力消費が5-10%削減。

力率改善はどれくらい必要?

電力会社の力率割引は85%基準で、これを上回ると1%ごとに0.75-1.0%の電気料金割引が受けられます。誘導電動機の力率0.75-0.90に対して、進相コンデンサで0.95以上に改善するのが実務標準。過補償(進み力率)にならないよう定格出力の30-50%以下に。

電線サイズはどう決める?

全負荷電流の1.25倍以上の許容電流を持つように選定するのが内線規程の基準。3.7kW(16A)なら20A許容電流の5.5mm²ケーブル、11kW(45A)なら60A許容電流の22mm²ケーブルが目安。周囲温度・敷設方法・並列数で補正が必要です。

接地(D種)の抵抗値は?

電気設備技術基準でD種接地は100Ω以下(400V回路はC種10Ω以下)が必須。感電・漏電火災の予防に不可欠。漏電遮断器(ELCB)との併設が標準で、動作時間0.5秒以内・感度電流30mA以下が一般的です。

始動時の電圧降下対策は?

(1)電線サイズアップ、(2)400V化、(3)始動方式変更(直入→YΔ→インバータ)、(4)電源トランス容量アップ、(5)始動時刻分散、(6)始動補償器・リアクトル始動。特に自家発電併用系では発電機容量に対して始動電流が電圧降下15%以下となる設計が原則です。

ポンプ・ファンとコンベヤで始動方式は違う?

ポンプ・ファンは軽負荷始動(始動トルク小)なのでYΔ・インバータ可、コンベヤ・巻上機は重負荷始動(始動トルク大)なので直入または特殊始動を選定します。始動トルク要求は負荷特性図で確認、モータの始動トルク150-200%を上回るように設計します。

高調波対策は必要?

インバータ制御では原理的に高調波が発生し、系統(電力会社側)に流出すると変圧器焼損・進相コンデンサ焼損・通信障害の原因になります。JIS C 61000-3-2(高調波電流限度値)への適合が必要で、リアクトル・アクティブフィルタ・PWM制御・12パルス整流などで対策します。

省エネ効果はどれくらい?

インバータ化によるファン・ポンプ可変速運転で年間電力消費30-50%削減可能(定格運転時間の少ない負荷では大)。IE1→IE3更新でも5-10%削減。省エネ補助金(経産省・環境省)を活用すると投資回収期間3年以下も実現できます。