計算ツール
労務単価積算公共工事

公共工事設計労務単価 計算機|職種×都道府県で日単価と積算原価を試算

国土交通省・農林水産省が毎年3月に告示する公共工事設計労務単価(51職種・都道府県別)を職種と地域の組み合わせで即参照し、日単価・月給換算(稼働21日)・年収換算(250日)・法定福利費15%込み積算単価・実賃金相場(設計単価の70〜90%)までを一括計算します。大工・型枠大工・鉄筋工・とび工・電工・配管工・溶接工・左官・塗装工・タイル工・普通作業員など主要職種に対応。公共工事の予定価格算定、民間工事の見積根拠、専門工事業者の下請単価交渉、労務費予算策定に必須のプロ向け計算ツールです。国土交通省告示・建設物価調査会の積算基準に沿った内容で、2024年度は前年比+5.9%の大幅上昇と過去最高水準を更新しています。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

公共工事設計労務単価 計算ツール

積算対象の総人日。工程表の延べ人数を入力。
健保・厚年・雇用・労災の事業主負担。標準15.5%。

公共工事設計労務単価とは

公共工事設計労務単価は、国土交通省と農林水産省が毎年3月に告示する公共工事の予定価格算定に用いる労務費の公式基準です。前年10月時点の労務費実態調査を基に、51職種×47都道府県ごとに1人1日あたりの単価が定められ、国・地方自治体の発注工事の積算に使われます。民間工事の見積根拠としても広く参照され、専門工事業者の下請単価交渉や労務予算策定の基準として実務界で標準化しています。

2024年度は全国全職種単純平均で23,600円/日(前年比+5.9%)と過去最高水準を更新。2012年度の15,175円/日から累計55%以上の上昇となり、深刻な建設業の人手不足と若手確保のための処遇改善が反映されています。専門職種(型枠・左官・電工など)は24,000〜27,000円/日、普通作業員は21,000円/日前後というのが2024年度の代表値です。

単価改定の推移(2012〜2024)

設計労務単価は近年、若手技能者の確保・処遇改善策として国交省主導で毎年引き上げられてきました。

年度全職種単純平均前年比普通作業員大工
201215,175円13,000円17,300円
201618,078円+4.9%15,500円20,400円
201919,392円+3.3%16,700円21,700円
202120,409円+1.2%17,700円22,800円
202221,084円+2.5%18,500円23,600円
202322,227円+5.2%19,500円24,700円
202423,600円+5.9%21,000円26,000円

2012年比で1.55倍と、この12年間で建設労務単価は大幅に上昇しました。建設物価・資材価格・鉄骨・生コン・木材の同期間の上昇率(1.3〜1.6倍)とほぼ整合しており、公共工事の予定価格自体も同水準で上昇しています。

2024年度 職種別全国平均日単価

以下は2024年3月告示・2024年度公共工事設計労務単価の全国単純平均値です(円/人日)。

職種2024年度月給21日年収250日
普通作業員21,000441,0005,250,000
特殊作業員23,900501,9005,975,000
大工26,000546,0006,500,000
型枠大工26,500556,5006,625,000
鉄筋工24,500514,5006,125,000
とび工24,500514,5006,125,000
電工24,500514,5006,125,000
配管工23,500493,5005,875,000
溶接工25,000525,0006,250,000
左官26,500556,5006,625,000
塗装工23,000483,0005,750,000
タイル工25,500535,5006,375,000
防水工24,000504,0006,000,000
硝子工24,000504,0006,000,000
内装ボード工23,500493,5005,875,000
運転手(クレーン)25,500535,5006,375,000
運転手(トラック)22,500472,5005,625,000

専門職種は日単価24,000〜27,000円で年収換算600〜660万円。稼働率90%・年240日稼働で見積れば実質年収500〜600万円が現実的なライン。若手技能者の魅力向上策として単価上昇が続いています。

地域係数(都道府県別調整率)

公共工事設計労務単価は都道府県ごとに設定されており、地方の労務事情・物価水準を反映して大都市圏と地方で10〜25%の差があります。以下は全国平均を基準とした地域係数の目安(大工の場合)。

地域係数大工日単価特徴
東京・関東1.1028,600円首都圏・高物価
中部(愛知等)1.0527,300円製造業拠点・活況
近畿(大阪等)1.0026,000円全国平均
北海道0.9524,700円降雪期の稼働制約
東北1.0026,000円復興工事で高水準維持
中国・四国0.9524,700円地方物価
九州0.9023,400円地方物価
沖縄0.8020,800円島嶼・物流コスト

東京と沖縄で日単価差は7,800円/人日、大工1人年収では200万円以上の差になります。地域間の労務移動(遠隔地からの応援)を検討する際の重要な指標です。

法定福利費の別建て積算

2013年の国交省通知以降、公共工事の見積書には法定福利費を内訳明示する運用が定着しました。設計労務単価は労働者本人の賃金相当額のみで、事業主負担分の社会保険料は別建てで積算するのが標準です。

法定福利費の内訳

項目事業主負担率算定基礎
健康保険料5.00%標準報酬月額
介護保険料0.80%標準報酬月額(40歳以上)
厚生年金保険料9.15%標準報酬月額
雇用保険料0.95%賃金総額(建設業一般)
労災保険料0.90%賃金総額(建築事業)
合計15.5〜16.8%

大工日単価26,000円に法定福利費15.5%を加算すると30,030円/人日が総原価。年間250日稼働なら1人あたり法定福利費約100万円が事業主負担となり、これを含めた見積提示が業界標準です。

設計単価と実賃金の関係

公共工事設計労務単価は「発注者が予定価格を算定するための単価」であり、そのまま職人の日給になるわけではありません。元請・下請の階層構造の中で、以下のような分配が実務では一般的です。

階層取り分設計単価26,000円の場合
元請ゼネコン10-15%3,900円
1次下請(専門工事業者)15-25%5,200円
2次下請(工事チーム)10-15%2,600円
職人(実賃金)50-65%14,300円

ただし2次以下の下請階層が薄い直接雇用・専門業者直請けのケースでは設計単価の80〜90%が職人賃金になるケースも増えています。国交省の「担い手三法」改正に伴う下請次数の抑制と、若手技能者確保のための処遇改善策として、階層の圧縮が進んでいます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)との連動

技能者の資格・経験を蓄積するCCUS登録者には、レベル1〜4の技能レベルに応じた推奨賃金水準が示されています。レベル4のベテラン技能者は設計労務単価と同水準以上、レベル1の初級者は80%程度が推奨ラインです。

働き方改革の実稼働日数への影響

2024年4月からの建設業への時間外労働の上限規制適用と、国交省が推進する週休2日制モデル工事により、実稼働日数は年間240〜245日程度に圧縮されつつあります。積算上の年250日想定と実稼働のギャップを埋めるため、単価の追加割増(4週8休で+5%相当)が国交省告示に組み込まれています。

労務単価スライド条項

公共工事では単年度で完了しない長期工事について、契約後1年経過時点で新しい労務単価が告示されている場合、労務単価スライド条項により契約金額の増額改定が可能です。近年の毎年5〜6%上昇局面では、この条項の活用によって受注業者の採算悪化を回避できます。適用申請は工事完成前に発注者に対して行います。

こんな時に使えます

公共工事の積算・応札準備

入札書提出前の予定価格算定。国交省・自治体の発注工事の積算基準に沿った労務費見積の基礎。

民間工事の見積根拠

ゼネコン・工務店・専門工事業者の見積書提出時の労務費算定根拠。設計単価×稼働日数で人件費を明示。

下請単価交渉の基準

専門工事業者が元請ゼネコンとの下請単価交渉で、設計労務単価を基準に一定率(70-90%)の要求根拠として活用。

労務予算・原価管理

工事別・月別の労務予算策定と、実績との差異分析。人員配置と工程管理の意思決定材料に。

法定福利費の別建て見積

2013年国交省通知以降の内訳明示ルールに沿って、労務費と法定福利費を分離した見積書作成。

職人・技能者への賃金水準参考

建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別推奨賃金と設計単価を比較して、自社の賃金水準を検証。

よくある間違い・注意点

  • 前年度単価をそのまま流用 — 近年は毎年3〜6%の上昇。2024年度単価と2023年度単価では大工で1,300円/日の差。毎年3月の新告示を必ず確認
  • 都道府県間の10〜25%差を無視 — 東京と沖縄で日単価差7,800円。地域別単価を使わず全国平均で積算すると、地方案件では過大見積、都市部案件では過小見積のリスク。
  • 法定福利費を別建てで積算しない — 労務費のみで見積書を出すと事業主負担15.5%が抜け落ち、赤字受注に。労務費と法定福利費は別建て明示が業界標準。
  • 設計単価=職人賃金と誤解 — 設計単価は予定価格算定用の公式基準で、そのまま職人給与にはならない。元請・下請の中間マージン後の実賃金は設計単価の70〜90%が実態。
  • 稼働率100%で年収を計算 — 年間250日稼働は理論値。雨天・現場休止・待機日を含めると実稼働は年200〜240日。年収換算は0.85〜0.95倍に調整すべき。
  • 諸経費率を無視した労務費単独見積 — 現場管理費・共通仮設費・一般管理費の諸経費率(工事金額の15〜25%)を別途計上しないと総原価が不足。諸経費率計算と併用推奨。
  • 職種の細分化を無視 — 単に「作業員」で計算せず、大工・型枠・鉄筋・とび等の職種別で積算。職種によって日単価が3,000〜5,000円/日異なる。
  • 下請階層が深すぎる — 3次・4次下請まで階層化すると各層の中間マージンで職人賃金が設計単価の50%以下に。担い手三法の趣旨に沿って2次以下の階層を圧縮。
  • CCUSの技能レベルを反映しない — 建設キャリアアップシステムのレベル1〜4に応じた推奨賃金水準を無視すると、ベテラン職人の離職・若手不採用のリスク。
  • 働き方改革の週休2日制対応漏れ — 2024年4月からの建設業時間外労働の上限規制で、年間実稼働日数は230〜240日に減少。年収換算を稼働日数減少で調整必要。

参考文献・公的資料

公共工事設計労務単価・積算基準の詳細は、以下の公的機関の資料をご確認ください。

※本ページの労務単価は2024年度国土交通省告示を基に地域係数を乗じた概算値です。実際の入札・見積に使用する場合は必ず国土交通省・農林水産省の最新告示単価と、発注自治体・機関の積算基準を参照してください。労務単価は毎年3月に改定されるため、年度をまたぐ工事では改定日を境に単価を切り替える必要があります。詳細な適用ルールは、所属する建設業団体・建設物価調査会・積算コンサルタント等の専門家にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

大工の日単価は?

2024年度全国平均26,000円/人日、東京・関東は係数1.10で28,600円/人日。年収換算(250日)で650〜715万円が公共工事設計上の水準です。

公共と民間で単価差は?

設計労務単価は公共基準ですが、民間工事もこの単価を見積根拠に用いるのが業界標準。実際の民間工事の単価は設計単価の80〜100%程度が慣行です。

社会保険料は単価に含まれる?

含まれません。労務費と法定福利費は別建てで積算するのが2013年国交省通知以降の運用ルール。事業主負担15.5〜16.8%を別途計上してください。

職人の実賃金は?

設計単価の70〜90%が実賃金相場。元請・下請の階層マージン差引後の水準で、大工26,000円/日なら実賃金18,000〜23,000円/日が目安。CCUSレベル4のベテランは設計単価と同水準以上。

単価はいつ改定される?

毎年3月に翌年度単価が告示されます。改定日以降の入札・契約は新単価で積算。年度をまたぐ工事は継続工事のスライド条項で単価差調整のケースあり。

都道府県別の差は?

全国平均比で沖縄0.80〜東京1.10の範囲。日単価で7,800円/人日、年収で200万円の差になります。地域別単価を必ず使用してください。

2024年度の上昇率は?

2024年3月告示の設計労務単価は前年比+5.9%、2012年比で+55%と過去12年で大幅上昇。建設業の人手不足対策と若手処遇改善が背景。

法定福利費の割合は?

健保5.00%+介護0.80%+厚年9.15%+雇用0.95%+労災0.90%で合計約15.5〜16.8%。労務費とは別に見積書に内訳明示するのが業界標準です。

年間稼働日数は何日で計算?

公共工事積算は年250日(月21日×12=252日)を標準。ただし2024年4月からの働き方改革・週休2日制で実稼働は230〜240日に減少。年収換算は0.92〜0.96倍で調整。

諸経費率も別途必要?

公共工事の予定価格は労務費・材料費に加えて共通仮設費・現場管理費・一般管理費を別途加算。工事金額の15〜25%が諸経費率の目安。諸経費率計算と併用を。

CCUSの推奨賃金水準は?

建設キャリアアップシステムの技能レベル1〜4に応じた推奨賃金。レベル1(初級)は設計単価の80%、レベル2(中堅)90%、レベル3(職長候補)100%、レベル4(高度技能)110%が目安です。

労務単価と建設物価の関係は?

労務単価は労働者本人の賃金、建設物価は資材(生コン・鉄骨・木材等)の単価。両者を合算して工事費全体を積算します。建設物価も労務費とほぼ同じ上昇率で推移中です。