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Mifflin-St Jeor式 RMR計算ツール|現代標準の安静時代謝、AND推奨・日本人参照値との整合・TDEE・減量kcalまで一括算出

Mifflin-St Jeor式RMR(安静時代謝量)を計算する無料電卓。1990年に米国のMifflin・St Jeorらが発表した現代標準の基礎代謝推定式で、米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics、AND)が健常人BMI 18.5〜40の範囲で推奨性別・年齢・身長・体重を入力するだけで、旧来のHarris-Benedict式(1919年)より±10%以内の精度で安静時代謝を算出し、身体活動レベル(PAL)別TDEE、日本人の食事摂取基準(厚労省2025年版)との突合、減量目標に応じた摂取kcal目安まで一括表示します。臨床栄養サポート(NST)、ダイエット・パーソナルトレーニング、アスリート食事設計、糖尿病食事療法の初期設計に対応します。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

Mifflin-St Jeor式 RMR計算機

計算式と単位系

基本式

男性:RMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) − 5 × 年齢(歳) + 5

女性:RMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) − 5 × 年齢(歳) − 161

Mifflin-St Jeor式(1990)は、Mark D. Mifflin、Sachiko T. St Jeor らが健常人498例(男性251、女性247、18〜78歳)を対象に間接熱量測定法(indirect calorimetry)で測定したRMRを回帰分析して導いた式。American Journal of Clinical Nutrition(AJCN)誌に掲載され、現在は米国栄養士会(AND)の Evidence Analysis Library において「健常人(BMI 18.5〜40)の安静時代謝推定に最も推奨される式」と位置付けられています。

RMRとBMRの違い

BMR(Basal Metabolic Rate、基礎代謝量)は「早朝・空腹・完全安静・室温適温」という厳格条件下での代謝量。RMR(Resting Metabolic Rate、安静時代謝量)は「食後3〜4時間経過・座位安静」でよく、実運用がしやすい代わりにBMRより約5〜10%高い値を示します。Mifflin-St Jeor式はRMRを対象に測定されており、厳密にはBMRより高めに出ることを踏まえて解釈します。

換算式との相互関係

1 kcal/日 ≒ 4.184 kJ/日 ≒ 0.0484 W(連続)

栄養学ではkcal/日(キロカロリー)が慣習単位で、欧州論文ではkJ/日(キロジュール)を併記するのが標準。臨床工学や集中治療領域では代謝を消費電力(W、ワット)で扱うこともあり、単位換算を誤ると輸液・経腸栄養処方が過剰・過小になります。

Harris-Benedict式との比較

Harris-Benedict式(1919年発表、1984年Roza-Shizgal改訂)は約100年間BMR推定の標準でしたが、対象集団が20世紀初頭の欧米人(男性136、女性103)と時代性・体格に偏りがあり、現代人では5〜15%過大推定する傾向が指摘されています。両者を並べると差異が鮮明です。

比較項目Mifflin-St Jeor式(1990)Harris-Benedict式(1919/1984)
対象人数498例(男251/女247)239例(男136/女103)
対象時代1990年前後の米国1900年代初頭の米国・欧州
測定法間接熱量測定(現代標準)ダグラスバッグ法(古典)
推奨状況AND・ESPEN が第一選択歴史的・教科書掲載
肥満者精度BMI 40まで許容BMI 30以上で過大推定
実測との一致率±10%以内が約82%±10%以内が約58%
男性35歳170cm65kg約1,495 kcal約1,617 kcal
女性35歳160cm55kg約1,235 kcal約1,376 kcal

Mifflin-St Jeor式のほうが低めに出るのは、現代人の除脂肪体重(LBM)比が20世紀初期より低下していることを反映しています。臨床NST(栄養サポートチーム)現場ではMifflin式を第一選択とし、Harris-Benedict式は歴史的参照値として扱うのが標準運用です。

身体活動レベル(PAL)とTDEE換算

RMRに身体活動レベル(PAL、Physical Activity Level)係数を乗じたものが TDEE(Total Daily Energy Expenditure、総エネルギー消費量)。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも18〜64歳のPAL区分(I 低い・II ふつう・III 高い)が採用されており、以下は臨床・スポーツ栄養で汎用される5段階版です。

区分PAL係数該当例推定TDEE(男35歳65kg170cm)
ほぼ動かない1.20寝たきり・要介護4-5約1,794 kcal
低い(座位中心)1.40デスクワーク・在宅勤務・運動なし約2,093 kcal
ふつう(軽活動)1.55立ち仕事・週2〜3回30分ウォーキング約2,317 kcal
高い(活発運動)1.73週5回以上の中〜高強度運動約2,586 kcal
極めて高い1.90肉体労働・競技アスリート・現場作業約2,840 kcal

PAL選定は過大自己申告に注意。通勤で歩く程度なら「低い〜ふつう」、週末だけ運動する平均的な会社員は「ふつう」1.55が現実的です。PALを1段階上振れさせるだけで1日約200〜300kcal過大となり、減量が進まない主原因になります。

日本人の食事摂取基準(2025年版)との突合

厚生労働省が5年ごとに改訂する「日本人の食事摂取基準」は、年齢・性別・PAL別の推定エネルギー必要量(EER)を公表しています。Mifflin-St Jeor式で得たTDEEはこの参照値との突合が可能です。

区分(PAL II ふつう)男性 kcal/日女性 kcal/日
18-29歳2,6502,000
30-49歳2,7002,050
50-64歳2,6001,950
65-74歳2,4001,850
75歳以上2,1001,650

Mifflin-St Jeor式のTDEE(例:男性35歳170cm65kg・PAL1.55で2,317 kcal)と、厚労省参照値(男性30-49歳PAL II:2,700 kcal)の差は、参照値が「平均的な身長170cm・体重68kg」を想定している一方、個別入力式は実体重をそのまま反映するため。低体重・高体重では実式のほうが個別最適です。集団栄養管理では厚労省値、個別栄養指導ではMifflin式が使い分けられます。

用途別・実務での使い方

🏥 臨床栄養サポート(NST)

入院患者の栄養必要量算出の初期評価。RMR × PAL × ストレス係数(発熱1.1〜1.3、熱傷1.5〜2.0、術後1.1〜1.4)で総必要エネルギーを設定。TPN(中心静脈栄養)・経腸栄養剤の処方設計に直結。日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)ガイドラインでもMifflin式を推奨。

💪 ダイエット・パーソナルトレーニング

減量目標に応じてTDEEから-300〜-500kcal(緩やかな減量)または-750kcal(積極的減量、1週間で約0.7kg減)を差し引いたカロリーを摂取。管理栄養士・パーソナルトレーナーが顧客の初回カウンセリングで使う標準式。

🏋️ アスリート・競技者食事設計

PAL 1.9〜2.4(超高強度)を適用したTDEEを基準に、練習日・レストデイでカロリーを調整。日本スポーツ栄養協会(JSNA)の栄養サポートでも第一選択。競技減量期はRMRを下回らないカロリーが代謝適応防止の目安。

🍚 糖尿病・生活習慣病食事療法

日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表」では標準体重×身体活動係数25〜35kcal/kgを推奨しますが、実体重や個体差の反映にはMifflin式が有効。BMI 25以上ではあえて標準体重ベースを使うこともあり、両者併用が実務的。

👶 妊娠・授乳期の付加量

妊娠中期+250kcal、後期+450kcal、授乳期+350kcalを厚労省が推奨。Mifflin式で得たTDEEに付加量を加えて設計。ただし妊娠期は個体差が大きく、体重増加曲線と併用して調整するのが安全です。

🎯 減量の停滞打破(プラトー)

減量が3週間停滞したらMifflin式で新体重ベースRMRを再計算。減量5%ごとに再算出することで、代謝適応(TDEE低下約10〜15%)を織り込んだ現実的なカロリー設計が可能。リフィード日(維持kcal摂取)を挟むと代謝低下を抑制できます。

減量・増量の設計目安

体脂肪1kg減 ≒ 7,200 kcal のカロリー赤字が必要(Wishnofsky則、脂肪組織の20%は水分)。減量ペース別の設定は以下。

目標1日カロリー週間減量推奨対象
維持TDEE ±0±0kg体重維持・体組成改善
緩やかな減量TDEE − 300約 −0.3kg長期継続、リバウンド予防
標準的減量TDEE − 500約 −0.5kg健康的減量の目安
積極的減量TDEE − 750約 −0.7kg短期集中、監督下で実施
急速減量(要注意)TDEE − 1000超約 −1.0kg超医療管理下のみ推奨
クリーンバルクTDEE + 200〜300約 +0.2kg筋肥大・体脂肪抑制
ダーティバルクTDEE + 500以上約 +0.5kg以上短期集中増量、体脂肪増加

減量時の下限は男性1,500 kcal、女性1,200 kcalが世界保健機関(WHO)目安。これを下回ると微量栄養素不足、代謝適応、月経異常、骨密度低下のリスクが有意に上昇します。

よくある間違い・注意点

  • RMRとBMRを混同 — RMRはBMRより5〜10%高い値です。Mifflin式はRMR測定に基づくため、Harris-Benedict式のBMRと数値を直接比較すると意味を取り違えます。目的が「厳格な絶対的代謝」ならBMR、「食事設計の実用値」ならRMRを選択してください。
  • 身体活動レベルを過大自己申告 — 「週2回ジムに行く」程度で「高い(1.73)」を選ぶと1日250kcal以上過大に。実際は座位中心の生活なら「低い〜ふつう」1.4〜1.55が現実的です。過大選定は減量停滞の最大原因。
  • 肥満者(BMI 40超)に流用 — Mifflin式は BMI 18.5〜40 で検証されており、高度肥満では実測値との乖離が大きくなります。BMI 40超では調整体重(IBW+25%)を用いる、または間接熱量測定を推奨。
  • 体組成無視で高齢者に適用 — 加齢による筋肉量減少(サルコペニア)で除脂肪体重が低下すると、Mifflin式は実測より高めに出ます。65歳以上、要介護者では専門式(Cunningham式、除脂肪体重ベース)を併用。
  • 妊婦・授乳婦にそのまま適用 — Mifflin式は非妊婦データで作成。妊娠中は厚労省の付加量(中期+250/後期+450 kcal)を必ず加算してください。
  • 短期減量後に再計算しない — 5kg減量すればRMRも下がります。ダイエット中は月1回の再計算が必須で、これを怠るとカロリー赤字が消失して停滞します。
  • 疾患時のストレス係数を忘れる — 発熱・術後・熱傷・敗血症では代謝亢進により実TDEEが1.1〜2.0倍上振れます。臨床では必ず各種学会推奨のストレス係数を乗算してください。

関連するガイドライン・参照文献

  • Mifflin MD, St Jeor ST, et al. (1990) ― "A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals." Am J Clin Nutr. 51(2):241-247. 原著論文。
  • Academy of Nutrition and Dietetics (AND) Evidence Analysis Library ― 米国栄養士会が「健常人BMI 18.5〜40でMifflin-St Jeor式を第一選択」と位置付けた公式ガイダンス。
  • ESPEN Guidelines on Clinical Nutrition ― 欧州臨床栄養代謝学会。集中治療・術後患者の栄養設計にMifflin式ベースを推奨。
  • 日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省)― 5年ごと改訂。年齢・性別・PAL別の推定エネルギー必要量を公表、Mifflin式との突合の公式参照値。
  • 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)静脈経腸栄養ガイドライン ― 臨床NSTの実務基準。Mifflin式+ストレス係数を推奨。
  • 日本糖尿病学会 糖尿病食事療法のための食品交換表 ― 標準体重×身体活動係数の伝統法と個別Mifflin式の併用が実務標準。
  • 日本スポーツ栄養協会(JSNA) ― 競技者の栄養サポート指針。RMR+PAL 1.9〜2.4の設定推奨。

参考文献・公的資料

より正確な栄養必要量や個別の栄養指導を受けたい場合は、以下の公的機関・学会の資料および有資格者(管理栄養士・医師)にご相談ください。

※本ページの計算結果は概算値であり、医療診断・治療目的での使用を意図するものではありません。減量・増量を含む食事設計、疾患時の栄養管理、妊娠・授乳期・小児・高齢者の栄養サポートについては、必ず医師・管理栄養士・薬剤師など有資格者にご相談ください。糖尿病・腎疾患・心疾患等の治療中の方は、主治医の栄養指示を最優先してください。

よくある質問(FAQ)

Harris-Benedict式とMifflin-St Jeor式、どちらを使うべき?

健常人(BMI 18.5〜40)のRMR推定ではMifflin-St Jeor式(1990)が現代標準で、米国栄養士会(AND)・日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が第一選択に推奨。Harris-Benedict式は1919年の古典で、現代人では5〜15%過大推定します。教科書・歴史的参照値としては残っていますが、実務ではMifflin式を使ってください。

実測との誤差はどれくらい?

Mifflin式は間接熱量測定との比較で±10%以内が約82%(Frankenfield 2005)。個人差要因は除脂肪体重(LBM)、甲状腺機能、遺伝子多型、腸内細菌叢など。厳密な代謝評価が必要な場合は病院の呼気ガス代謝測定装置(例:ミナト医科学の代謝測定機)で実測してください。

TDEE換算の身体活動レベル選定のコツは?

過大自己申告が最頻の落とし穴。「通勤で歩く程度=低い(1.4)」「立ち仕事+週2〜3回運動=ふつう(1.55)」「毎日中〜高強度運動=高い(1.73)」を目安に。週末だけの運動は「ふつう」に留めるのが現実的で、これを1段階上振れさせると1日200〜300kcal過大となり減量停滞の原因になります。

減量目標のカロリー設定は?

体脂肪1kg減 ≒ 7,200 kcal 赤字が必要(Wishnofsky則)。TDEEから-500kcalで週約-0.5kgが健康的で継続可能な目安。下限は男性1,500・女性1,200 kcal(WHO推奨)で、これ以下は代謝適応・微量栄養素不足のリスクが上がります。急速減量は医療管理下でのみ実施してください。

高齢者・要介護者にMifflin式は使える?

65歳以上、サルコペニア(筋肉減少)例ではMifflin式は過大推定となることが報告されています。除脂肪体重(LBM)ベースのCunningham式や、実測(間接熱量測定)を併用してください。要介護者・低栄養例では管理栄養士・医師の個別栄養プランを最優先します。

妊娠中・授乳中の付加は?

厚労省「日本人の食事摂取基準2025」では妊娠初期+50 kcal、中期+250 kcal、後期+450 kcal、授乳期+350 kcalを推奨。Mifflin式のTDEEに加算します。ただし妊娠期は体重増加曲線と併せて個別調整が必須で、必ず産婦人科医・管理栄養士に相談してください。

減量停滞(プラトー)が起きたら?

3週間停滞したら新体重でMifflin式を再計算。5kg減れば約100 kcal代謝が下がり、追加調整が必要。同時に「リフィード日(維持kcal摂取)」を週1回入れる、有酸素運動を筋トレに置き換える、睡眠時間確保(7時間以上)などで代謝適応を抑制できます。

アスリートのTDEEはPAL 1.9で足りる?

持久系競技(マラソン・トライアスロン・自転車)や2部練の日はPAL 2.0〜2.4が必要。競技者のエネルギー不足症候群(RED-S)予防のため、日本スポーツ栄養協会(JSNA)はエネルギー可利用性(EA)30 kcal/kg LBM/日以上を推奨。減量期でもRMRを下回らないカロリー設定が必須です。

ダイエットしても代謝が落ちすぎない方法は?

①急激な減量を避け週-0.5〜-0.7kgペース、②タンパク質を体重×1.5〜2.0g/日確保、③週2〜3回の筋トレ、④睡眠7時間以上、⑤週1回のリフィード日。これらで代謝適応(TDEE低下10〜15%)を最小化できます。

糖尿病患者の食事療法にMifflin式は使える?

日本糖尿病学会は標準体重×身体活動係数25〜35 kcal/kgを伝統的に推奨。BMI 25以上ではあえて標準体重ベースで抑制する運用が多く、Mifflin式のTDEEはあくまで参考。主治医・管理栄養士の指示を最優先し、HbA1c・体重推移を見ながら調整してください。

甲状腺機能低下・亢進はどう補正する?

甲状腺機能低下症(TSH高値)では代謝が10〜25%低下、亢進症では20〜60%増加します。Mifflin式にそのまま該当補正はなく、TSH・FT4を確認したうえで内分泌医と管理栄養士が個別調整。数値でカバーしきれないため、医師の判断が最優先です。

子供・思春期にMifflin式は適用できる?

Mifflin式は18歳以上を対象に検証されており、小児はSchofield式・IOM式(Institute of Medicine)が推奨されます。成長期の付加エネルギー、思春期スパートを反映するため、厚労省「日本人の食事摂取基準」の小児・青少年区分を参照してください。

間接熱量測定(呼気ガス代謝)はどこで受けられる?

大学病院、専門クリニック、スポーツ医学クリニックで測定可能。10〜30分の測定でVO2・VCO2から実RMRを算出。費用は自費で5,000〜30,000円程度。競技者、難治性肥満、重症患者、TPN長期管理などで用いられ、Mifflin式との差を実測できます。