チーム年間予算 計算ツール|人件費・法定福利費・ツール・教育研修の総額試算
チームの年間予算を試算。マネージャー・メンバーの人件費(法定福利費約16-18%込み)、SaaSツール費、教育研修費、備品、出張費、オフィス按分まで計上して総額・月平均・1人あたりコストを可視化。厚労省・国税庁・中小企業庁の公式データに基づく計算根拠、業界別・職種別の予算配分実例まで解説します。
チーム予算 計算機
計算式と前提条件
基本式
総予算 = 人件費×(1+法定福利費率) + ツール費×12×人数 + 教育費×人数 + オフィス按分×12×人数 + 出張費×人数 + その他
チームの実効コストは「表面年収の1.2〜1.4倍」が業界共通の目安。表面年収が500万円なら、法定福利費・オフィス・ツール・教育を含めた「1人あたり実効コスト」は600万〜700万円に達します。この差を認識せず「年収の合計=予算」で経営判断すると、営業利益が大幅に悪化します。
本ツールで含めない項目
本ツールでは以下を「その他予備費」に丸めています:退職金積立、健康診断費、社宅補助、通勤手当、決算賞与、株式報酬、CFO/CTO直下の役員報酬など。企業ステージ・業種で幅が大きいため個別計上を推奨します。
予算精度の目安
本ツールは±10%程度の精度で、経営会議・部門長ヒアリング・予算計画初期の目安づくりに適した粒度です。厳密な予算編成(月次PL、キャッシュフロー計画)は経理部・財務部と連携し、勘定科目別に精緻化してください。
法定福利費の内訳(16-18%の根拠)
「法定福利費」は法律で企業負担が義務化されている社会保険料等の総称。給与総額に対する会社負担率は以下の通り(2026年8月時点、東京都・協会けんぽ標準料率)。
| 費目 | 会社負担率 | 概要 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 約5.0% | 協会けんぽ東京 9.98%の労使折半、40歳以上は介護保険1.60%加算 |
| 厚生年金保険料 | 9.15% | 18.3%の労使折半(上限あり) |
| 雇用保険料 | 0.95% | 2026年度一般事業の会社負担分 |
| 労災保険料 | 0.25〜0.30% | 業種別、事務系は0.25% |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.36% | 厚生年金対象者に対して |
| 介護保険料(40歳〜) | 約0.80% | 対象年齢のみ |
| 合計目安 | 約16〜18% | 年齢構成で変動 |
本ツールのデフォルト値17%は、40歳未満メインチームで16%、40歳以上比率の高いチームで18%、中間値として設定しています。実際の見積もりは所属都道府県の協会けんぽ料率・厚生年金料率をご確認ください。
SaaSツール費の相場
近年、チーム予算のうちSaaS費が5〜15%を占める企業が増加。総務省「情報通信白書」でも、DX投資の一環として堅調に増えているカテゴリです。
| ジャンル | ツール例 | 1人月額目安 |
|---|---|---|
| コミュニケーション | Slack Pro / Microsoft Teams | 1,000〜1,500円 |
| プロジェクト管理 | Asana / Notion / Jira | 800〜2,000円 |
| グループウェア | Google Workspace / MS 365 | 800〜2,500円 |
| 営業CRM | Salesforce / HubSpot | 7,500〜25,000円 |
| 会計・経費精算 | freee / Money Forward | 500〜1,500円 |
| デザイン | Figma / Adobe CC | 1,500〜7,000円 |
| AI/LLM | ChatGPT Team / Claude for Work | 3,000〜5,000円 |
| セキュリティ | 1Password Business / Okta | 500〜2,000円 |
| 合計(一般的なDXチーム) | ― | 15,000〜35,000円/人 |
本ツールのデフォルト「1人5,000円/月」はスタートアップの最低ライン。大企業DX部門・エンジニア組織では1人3万円/月(年36万円)を超えるケースも一般的です。
教育研修費の適正額
厚生労働省「能力開発基本調査」の直近データでは、企業の教育訓練費(OFF-JT)は労働者1人あたり年約1.4万円が全産業平均。ただしIT・コンサル・大手事業会社では10万〜30万円/年の投資が一般化しています。
| カテゴリ | 年間目安/人 | 効果測定 |
|---|---|---|
| 資格取得補助 | 3〜10万円 | 合格時全額支給が一般的 |
| eラーニング(Udemy Business等) | 6万円〜 | 月あたり視聴時間で評価 |
| 外部研修参加費 | 5〜30万円 | 受講後の実務適用レポート |
| 技術書購入補助 | 2〜5万円 | 読書後の共有会 |
| カンファレンス参加 | 10〜30万円 | 登壇・記事化でROI測定 |
| 社内勉強会運営 | 1〜3万円 | 参加率・満足度で評価 |
| コーチング | 30〜60万円 | マネージャー中心、360度評価 |
本ツールのデフォルト「5万円/年・1人」は中小企業標準ライン。人材投資に本気の組織では10万円〜20万円が目安です。
オフィス按分と在宅ハイブリッド
フルオフィス出社を前提とした場合、東京都心のオフィス賃料は1坪あたり月2〜4万円(三鬼商事オフィスビル賃料調べ)。1人3坪換算で家賃だけで6〜12万円、共益費・光熱費・清掃費を含めると1人月8〜15万円のオフィス実質コスト。
| 働き方 | 1人あたり月額目安 | 補足 |
|---|---|---|
| フル出社(丸の内・大手町) | 10〜15万円 | 家賃4万×3坪+共益費・光熱費 |
| フル出社(渋谷・新宿) | 8〜12万円 | 家賃3万×3坪 |
| ハイブリッド(週3出社) | 4〜7万円 | フリーアドレス化で坪数削減 |
| フルリモート(東京拠点なし) | 1〜2万円 | コワーキング補助・自宅ネット手当 |
| 地方拠点 | 2〜5万円 | 福岡・大阪・仙台 |
本ツールのデフォルト「1人3万円/月」はハイブリッド想定。都心フル出社のスタートアップは6万〜10万円で設定してください。
業界別・チーム予算の相場
チーム構成6名(マネージャー1+メンバー5)モデルの実効コスト業界別目安。
| 業界 | 年間予算(6名) | 1人あたり |
|---|---|---|
| IT/SaaS スタートアップ | 5,500〜7,500万円 | 約1,000万円 |
| コンサルティング | 7,000〜1億円 | 約1,200〜1,700万円 |
| 広告代理店 | 4,500〜6,500万円 | 約800〜1,100万円 |
| 制作・デザイン | 3,800〜5,500万円 | 約650〜900万円 |
| メーカー R&D | 5,500〜8,000万円 | 約1,000〜1,300万円 |
| 金融・銀行 | 7,000〜9,500万円 | 約1,200〜1,600万円 |
| 介護・福祉 | 2,800〜4,200万円 | 約470〜700万円 |
| 飲食・小売 | 2,500〜3,800万円 | 約420〜630万円 |
部署別予算配分の実例
営業チーム
人件費60〜65%、SalesforceなどCRM10%、教育15%、出張・接待10%。歩合制・インセンティブが年収を押し上げるため、成果連動の変動費比率が高い構造。
エンジニアチーム
人件費70〜80%、開発ツール(GitHub Copilot、AWS/GCP、Datadog等)10〜15%、教育5〜10%。人件費比率が高く、SaaS費とクラウド費が要素として大きい。
マーケティングチーム
人件費40〜50%、広告出稿費30〜40%、ツール(HubSpot、SEO tools、SNS運用等)8%、教育3%。広告費が変動費として大きい。
コーポレート(経理・法務・人事)
人件費75〜85%、SaaS(freee、SmartHR等)5〜8%、外部士業(税理士、弁護士、社労士)3〜7%、教育3%。ツール自動化投資が生産性の鍵。
カスタマーサクセス
人件費65〜75%、CS支援ツール(Intercom、Zendesk等)10%、教育・オンボード5%、出張5%。契約継続率がKPIのため、教育投資のROIが可視化しやすい。
デザインチーム
人件費70〜80%、Adobe/Figma/フォント素材ライセンス10%、外部委託10〜15%。Adobe CC・Figmaの単価が高く、ツール比率が構造的に大きい。
予算モデルケース(4パターン)
ケース1:スタートアップIT開発チーム(6名)
マネージャー1名(年収900万)+エンジニア5名(平均年収650万)。人件費(法定福利17%)=約4,875万円、SaaS費(1人月3万×12×6)=216万円、教育(1人10万×6)=60万円、オフィス按分(1人月3万×12×6)=216万円、出張(1人15万×6)=90万円。総額約5,460万円/年、1人平均910万円。
ケース2:営業チーム(8名)
マネージャー1名(900万)+営業7名(平均年収550万)。人件費約5,616万円、CRM/MA(1人月2万×12×8)=192万円、教育・接待60万円、出張(1人20万×8)=160万円。総額約6,030万円/年、1人平均約754万円。
ケース3:管理部門・少数精鋭(4名)
マネージャー1名(1,000万)+経理・法務・人事3名(平均年収600万)。人件費約3,276万円、SaaS(freee・SmartHR等)月2万×48=96万円、外部士業240万円/年、教育30万円。総額約3,650万円/年、1人平均約913万円。
ケース4:大企業DX推進チーム(12名)
部長1名(1,300万)+マネージャー2名(1,000万)+メンバー9名(平均700万)。人件費約1億1,700万円、SaaS費(1人月3万×144)=432万円、教育(1人15万×12)=180万円、オフィス(一人月5万×144)=720万円、出張(1人20万×12)=240万円。総額約1億3,270万円/年、1人平均約1,106万円。
よくある予算計上ミス
- 法定福利費を計上せず「年収合計=予算」で計算 — 17%の見落としで、6名チームなら年間500万〜800万円の予算不足が発生。経営判断の狂いの最大要因です。
- SaaS費の年次更新値上げを想定しない — Salesforce・HubSpot・Notion等は毎年5〜15%値上げが定着。3年後には現在の1.3〜1.5倍を想定して予算計画すべき。
- 採用費・退職費を「その他」丸めで軽視 — 1名採用にリクルート経費で年収の20〜35%、外資系エージェント経由で35〜50%。退職者代替コストは総人件費の10〜20%を占めることも。
- 賞与・インセンティブを月給ベースで平均化 — 決算賞与や成果報酬は変動費で、業績連動のため計画時は保守的(低め)、実現時に別途上振れ費用として計上するのが安全。
- 出張費を営業のみと想定 — 開発合宿、リーダー研修、カンファレンス参加でエンジニア・PMも年10万円以上の出張予算が必要。全職種に按分計上すべき。
- 備品減価償却の月割り忘れ — PC1台25万円は税法上4年償却で年6.25万円/人がコスト。10万円未満は消耗品扱いだが、モニター・椅子・カメラを含めると1人あたり月5,000〜8,000円が実質コスト。
- 健康診断・産業医費を忘れる — 労働安全衛生法で従業員50人以上の企業は産業医選任義務。健康診断1名1万円+産業医契約年60万〜120万円が固定費。
関連会計基準・税務ルール
- 健康保険料率 ― 全国健康保険協会(協会けんぽ)が都道府県別に決定。東京都は令和6年度9.98%(労使折半)。
- 厚生年金保険料率 ― 18.3%(労使折半、上限厚生年金基金あり)。日本年金機構が公式レートを掲載。
- 雇用保険料率 ― 厚生労働省告示。2026年度一般事業は労働者0.6%・事業主0.95%(合計1.55%)。
- 労災保険料率 ― 業種別、厚労省労働基準局告示。事務系0.25%、建設業0.9%以上など。
- 子ども・子育て拠出金率 ― 内閣府・厚労省告示、2026年度0.36%(全額事業主負担)。
- 減価償却 ― 法人税法施行令第56条・耐用年数省令。PC4年、事務用机15年、モニター5年など。
- 教育訓練費の税額控除 ― 法人税法「所得拡大促進税制(現:賃上げ促進税制)」で教育訓練費の上乗せ控除が制度化。
- 労働安全衛生法 ― 定期健康診断(年1回以上)・産業医選任(50人以上)を義務化。
- ストレスチェック制度 ― 労安法により従業員50人以上は年1回のストレスチェック実施義務。
参考文献・公的資料
より詳細な料率・統計データは、以下の公的機関の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省 ― 労働保険料率、能力開発基本調査、賃金構造基本統計調査の一次資料。
- 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(賃金センサス) ― 業種別・職種別・年齢別の平均賃金統計。
- 全国健康保険協会 保険料額表 ― 都道府県別の健康保険料率(労使折半)。
- 日本年金機構 厚生年金保険料額表 ― 標準報酬月額別の厚生年金保険料。
- 国税庁 ― 民間給与実態統計調査、減価償却の耐用年数省令、税務通達。
- 中小企業庁 中小企業白書 ― 業界別・規模別の中小企業経営データ。
- 総務省 情報通信白書 ― SaaS・DX投資の統計、IT関連支出の推移。
- 経済産業省 ― DXレポート、SaaS市場規模統計。
- 三鬼商事 オフィスビル賃料相場 ― 都心オフィスビル賃料の月次動向(サードパーティ参考)。
- 労働政策研究・研修機構(JILPT) ― 労働経済・人事管理の実証研究レポート。
よくある質問(FAQ)
法定福利費は本当に17%?
2026年8月時点で東京都・協会けんぽ・40歳未満メインチームで約16%、40歳以上比率高で約18%、平均で17%が目安。都道府県・業種で微差があるため、正確な数値は所属健保組合・年金事務所の公式資料でご確認ください。
SaaSツール費が5,000円/月は少なすぎない?
スタートアップ・小規模チーム基本ラインです。DX投資に本気のチームは1人1〜3万円/月が標準。エンジニアチームでGitHub Copilot・AWS・Datadog等を利用すると3〜5万円/月に達します。
教育研修費が5万円/年は少なくないか?
厚労省統計の全国平均は約1.4万円/年なので、5万円は平均以上の水準。ただしIT・コンサル・大手事業会社では10〜30万円/年が一般的。人材投資に本気の組織はデフォルト値を上書きしてください。
オフィス按分3万円/月は妥当?
ハイブリッド勤務・週3日出社の設定として妥当。フル出社(都心)は8〜15万円/月、フルリモートは1〜2万円/月と幅があります。実際のオフィス賃料÷従業員数で正確に算出してください。
退職金・賞与はどう計上する?
本ツールでは「その他予備費」に丸めています。厳密には賞与は年収に含める(月給×15〜18ヶ月換算)、退職金は退職給付会計基準に基づき期間発生額を按分計上。詳細は経理・会計士へ。
採用費は予算に入れるべき?
採用予定があるなら別途計上を推奨。1名採用で年収の20〜50%(外資エージェント経由)が業界相場。年間3名採用予定なら想定年収3名分×30% = 追加予算数百万円を確保してください。
チームの人件費比率の目安は?
業種で大きく異なります。IT・SaaSは総コストの70〜80%、コンサル・広告は50〜65%、飲食小売は35〜45%が中央値。人件費比率が高いほど「人が資本」の業種と言え、教育・SaaS投資のROIも大きくなります。
予算超過を防ぐ運用のコツは?
①月次で予算vs実績を可視化②SaaS・出張は事前承認制③採用時に「1人あたり実効コスト」で決裁④四半期ごとに予備費使用状況をレビュー、の4点で90%は防げます。
ハイブリッド勤務のオフィス削減余地は?
週3出社なら坪数40%削減の実例多数。フリーアドレス+ホテリング(席予約制)でさらに20%削減可能。ただし固定費削減の代わりに、リモートワーク補助・コワーキング利用費が発生する点を織り込みましょう。
備品・PCの計上ルールは?
10万円未満は消耗品費で即時費用化、10万円以上は減価償却(PC4年)。1人あたり月ベースで5,000〜1万円が固定費目安。PCリース活用で月額均等化する企業も増加中。
健康診断・産業医は予算に入れるべき?
労働安全衛生法で必須。健康診断は1名1万円、産業医は50人以上事業所で年60万〜120万円が固定費。ストレスチェックも年1回義務。予算のその他項目で必ず計上を。
役員報酬はチーム予算に含める?
通常はチーム予算とは別枠(役員報酬は税務上も別カテゴリ)。ただしプレイングマネージャーのCTO・CFOで、実務業務比率が高い場合はチーム按分計上する企業もあります。会計士と要相談。