計算ツール
人事組織採用コストHR

離職率・定着率 計算ツール|採用コスト換算で組織の健康度判定・業界別平均との比較

離職率・定着率を月次・年次・3年で計算し、離職による採用コスト・育成損失・業界平均との比較を即時表示。厚生労働省雇用動向調査に基づく業界別離職率、若手3年離職率、離職理由ランキング、組織健康度の指標としての活用方法まで、経営者・人事担当・マネージャーが使える形で解説します。エンゲージメント・ES調査・退職面談・オンボーディング設計の意思決定に活用できます。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

離職率 計算機

求人広告・人材紹介・面接コスト合計
入社1年間の研修・OJT・先輩工数

計算式と定義

基本式

離職率(%)= 離職者数 ÷ 期首従業員数 × 100

定着率(%)= 100 − 離職率

離職コスト = 離職者数 ×(採用コスト + 育成コスト)

離職率の分母には期首従業員数を使うのが厚生労働省の雇用動向調査の定義。ただし人事実務では「期中平均従業員数」を使うケースもあり、企業のIR資料や統合報告書では算出方法を注記していることが一般的です。分子は「自己都合退職+会社都合退職+定年退職+契約満了退職」の合計。

離職率と定着率の関係

離職率と定着率は基本的に補数関係(合計100%)ですが、「入社◯年以内の離職率」「新卒3年離職率」のように特定コホートを追う指標では、期首の対象人数から計算します。例えば新卒100人が3年後に70人残っていれば「3年定着率70%・3年離職率30%」となります。

算出期間の考え方

年次離職率が最も一般的(毎年4月1日〜翌年3月31日、または1〜12月)。月次離職率は年率換算する場合、月次離職率×12倍で目安を出します。ただし単純な×12は季節変動を無視するため、精密な予測には過去3〜5年の月次データから季節指数を組んで補正します。

業界別離職率の目安(厚労省雇用動向調査)

厚生労働省「雇用動向調査」(令和5年結果)に基づく主要業界の年間離職率です。全業種平均は約15%で、業界による差が非常に大きいのが特徴です。

業界年間離職率特徴
宿泊業・飲食サービス業26.6%非正規雇用比率高、季節性強い
生活関連サービス業(美容・理容・葬祭等)23.0%個人事業化への転換多い
サービス業(その他)19.4%労働集約型・低賃金
教育・学習支援業15.2%非正規講師の入替多い
医療・福祉14.7%介護職の離職多い
不動産業・物品賃貸業13.8%営業職の入替あり
卸売業・小売業13.2%店舗職・パート離職
運輸業・郵便業11.4%ドライバー人材不足
製造業10.2%安定的、正社員比率高い
建設業9.6%職人技能継承の課題
情報通信業9.1%転職市場活発だが定着率高い
金融業・保険業8.9%大手中心で安定
電気・ガス・熱供給・水道業7.5%公共インフラで最も低い
全業種平均15.0%

業界内でも大企業と中小企業では差が大きく、中小企業は大企業より5〜10ポイント高いのが一般的です。自社の離職率を評価する際は、業界×企業規模の平均値と比較するのが実務のスタンダード。

若手3年離職率

新卒入社3年以内の離職率は、厚生労働省・雇用動向調査の分析で継続的にウォッチされる指標。「7・5・3現象」(中卒7割・高卒5割・大卒3割が3年以内に辞める)と呼ばれる状況が長期に続いています。

最終学歴3年離職率(近年平均)1年目離職率
中学卒約60〜70%約30〜40%
高校卒約35〜40%約15〜17%
短大等卒約40〜43%約17〜19%
大学卒約30〜35%約11〜13%

業界別の大卒3年離職率では、宿泊・飲食(約50%)、教育(約46%)、生活サービス(約45%)が高く、電気ガス(約10%)、金融保険(約22%)、鉱業(約13%)が低い傾向。新卒採用に力を入れる企業は、この指標のIR開示・改善が投資家からも求められています。

離職理由ランキング

離職者の実際の理由(自己都合退職者を対象とした厚労省雇用動向調査より)。「本当の理由」と「表向きの理由」は乖離することが多く、退職者アンケート・退職面談で本音を引き出す仕組みが重要です。

順位離職理由回答率(概算)
1労働条件(賃金・時間)が悪い約12%
2職場の人間関係が好ましくない約10%
3会社の将来性に不安を感じた約8%
4仕事内容に興味を持てない約7%
5結婚・出産・育児約6%
6能力・個性・資格を活かせない約5%
7介護・看護約4%
8健康上の理由約4%
9会社の経営方針が合わない約4%
10定年・契約期間の満了約3%

特に若手離職では「人間関係」「成長機会の不足」「評価・処遇への不満」の3つが真因のトップ。表向きの理由は「キャリアアップのため」「家庭の事情」等の当たり障りのない回答が多いですが、退職者インタビューを丁寧に行うと本音が見えてきます。

離職コストの内訳

離職1人あたりのコストは、業界・職種により年収の30〜200%と幅広く見積もられます。目に見える採用コストだけでなく、育成損失・生産性低下・引継ぎ工数など見えにくいコストも大きいのが実態です。

コスト項目内容目安金額(若手正社員1人・年収400万円ベース)
採用コスト求人広告・人材紹介手数料・面接工数・入社手続60〜100万円
研修・育成コスト新人研修・OJT・先輩社員の教育工数80〜200万円
戦力化までの生産性ロス入社1年目〜3年目の未達成分100〜300万円
引継ぎ・退職手続コスト業務引継ぎ・退職金・有休消化・雇用保険等30〜80万円
周囲への影響コスト他メンバーのモチベーション低下・追加業務負担数十万円〜(可視化困難)
合計(目安)270〜680万円(年収400万の70〜170%)

ハーバードビジネスレビュー等の海外研究では、幹部職員1人の離職コストは年収の200%とも試算されます。専門職・技術職・営業職の離職は特にコストが高く、離職率1ポイント改善が売上・利益に大きく影響します。

組織健康度としての活用

離職率はエンゲージメントスコア・ES調査(従業員満足度)・360度評価と並ぶ組織健康度の重要指標です。単独指標ではなく、複数の指標と組み合わせて解釈することで組織の本質的な状態が見えてきます。

健全な水準(5〜10%)

業界平均以下で、新陳代謝も適度にある状態。長期勤続者と若手の流入バランスが取れている。ただし低すぎる(3%以下)と組織の停滞・イノベーション不足のリスクもあります。

要注意水準(15〜20%)

業界平均を上回り、対策が必要。退職理由のヒアリング・エンゲージメント調査・1on1の頻度アップ等、原因究明と即時対応が重要です。放置すると連鎖離職が起きる。

危険水準(20%超)

組織課題の根本的見直しが必要。経営層・管理職の関与、報酬制度・キャリアパス・労働環境の抜本的見直しがないと改善しません。M&A・企業再編後や急拡大期に発生しがち。

過剰安定(3%以下)

離職が少なすぎると、組織の硬直化・年功序列化・イノベーション不足のリスク。健全な新陳代謝がないため、10年後に世代交代で危機を迎えるケースも。適度な離職は組織にプラス。

離職率低減の施策

離職率低減で効果が高いとされる施策を、投資対効果順に整理します。

  • 1on1ミーティングの導入 — 上司と部下の月次1on1で早期にサインを察知。エンゲージメント低下・不満蓄積の兆候を掴めれば大半の離職は事前に対処可能。
  • オンボーディング(入社後3ヶ月)の充実 — 新卒・中途採用問わず、入社後3ヶ月の受け入れ体制が離職率を大きく左右。メンター制度・研修計画・部署配置の丁寧な設計が重要。
  • 報酬・評価制度の透明化 — 評価基準の明確化、昇給ルールの見える化、業界水準との比較。「なぜ自分の給料はこの額なのか」を納得できることが離職抑止の基本。
  • キャリアパスの明示 — 3年後・5年後にどんな役割・スキル・報酬を得られるか。ロードマップが見えると定着率が上がる。管理職ルート以外の専門職ルートも整備。
  • 柔軟な働き方(リモート・フレックス) — 育児・介護世代の離職抑止に大きな効果。特にIT・金融・専門職では標準化しつつあり、対応しないと採用競争でも不利になる。
  • 心理的安全性の醸成 — 意見を言える、失敗を許容される、多様性を尊重する文化。Googleの調査等で、離職率と負の相関が最も強いとされる要因の一つ。
  • 退職者インタビューと改善サイクル — 退職者からの本音のフィードバックを次のアクションに活かす。人事の重要な改善データソース。
  • マネージャー教育の徹底 — 「人は会社ではなく上司から離れる」と言われるほど、直属上司の影響は大きい。マネジメント研修・360度評価・コーチングの導入が効果的。

人事担当者向けチェックリスト

離職率を組織健康度指標として活用するための実務ポイント。

  • 離職率算定式(分母:期首/期中平均)を統一し、社内・IRで一貫させる
  • 業界平均・企業規模別平均と時系列で比較(3〜5年トレンド)
  • 自己都合/会社都合/定年退職を分けて集計・分析
  • 新卒3年離職率を別途モニタリング(人的資本開示の必須項目)
  • 退職面談を人事・第三者が担当し、本音の理由を引き出す
  • 退職後3〜6ヶ月の匿名アンケートで満足度・不満点をフォロー
  • エンゲージメント調査・1on1実施率などの先行指標もセットで管理
  • 1人あたり離職コスト(採用+育成+生産性ロス)を金額換算し経営会議に報告
  • マネージャー教育・オンボーディング施策を継続的に強化
  • 人的資本情報開示(有価証券報告書)に離職率と改善計画を透明開示

よくある間違い・注意点

  • 離職率だけで組織健全性を判断 — 離職率が低くても不満蓄積・生産性低下が進むケースがあります。エンゲージメントスコア・ES調査・1on1での定性情報と組み合わせて評価しましょう。
  • 業界平均と比較しない — 15%が高いか低いかは業界による。宿泊・飲食の15%は「非常に低い」ですが、金融の15%は「異常に高い」水準です。必ず業界×企業規模で比較を。
  • 採用強化だけで解決しようとする — 「離職しても新規採用で埋めれば良い」は錯覚。離職の原因を放置すると、新規採用者もすぐ辞める負のスパイラルに。原因究明が先です。
  • 定年退職を除いた計算 — 定年退職は通常の離職率計算では分子に含めるのが厚労省基準。除外して発表するとIR資料の信憑性が疑われます。開示時は算定方法を明示。
  • 会社都合退職(解雇)を隠す — 経営破綻・リストラ時の会社都合退職は本来離職率に含めますが、業績連動評価やIR対応で除外して発表するケースが問題化。透明性が重要です。
  • 短期集中で解決しようとする — 「今年度は離職率5%改善」等の短期目標は逆効果になりがち。制度・文化の変革は3〜5年スパンで取り組むのが実効性あり。
  • 離職者=悪い人材と決めつける — 離職する人材の中には、より活躍できる場所を見つけた人・企業文化とミスマッチだった人も多い。「引き留めるべき離職」と「送り出すべき離職」を区別することが重要です。

参考文献・公的資料

離職率・雇用に関する公的統計・調査データは、以下の一次資料を参照してください。

※本ページの業界別離職率・離職理由・コスト目安は、厚生労働省雇用動向調査・民間調査等の公表データに基づく一般的な数値です。実際の自社の離職率評価・施策設計は、自社の業界・企業規模・雇用形態・経営戦略に応じて個別判断してください。労務関連の法的リスク(不当解雇・パワハラ等)については、社会保険労務士・弁護士等の専門家に相談することを推奨します。

よくある質問(FAQ)

離職率の平均は?

全業種平均で年間約15%(厚労省雇用動向調査)。業界差が大きく、宿泊・飲食は約26.6%、電気ガスは約7.5%と業種で3〜4倍の開き。自社の評価は必ず業界平均×企業規模と比較しましょう。中小企業は大企業より5〜10ポイント高いのが一般的です。

離職率が高い業界の共通点は?

①非正規雇用比率が高い、②低賃金・長時間労働、③スキルの汎用性が高い(他業界への転職しやすい)、④季節性や需要変動が大きい、⑤個人事業主化しやすい業種。宿泊・飲食・生活サービスがこの条件に当てはまり、離職率20%超が常態化しています。

「7・5・3現象」とは?

新卒3年以内の離職率が中卒約70%・高卒約50%・大卒約30%という統計事実の通称。厚生労働省の継続調査で30年以上大きく変化していない構造的な現象で、若年層の職場適応・キャリア形成の課題として長年議論されています。

離職コストはどれくらい?

1人あたり年収の30〜200%が業界・職種で幅広く見積もられます。若手正社員(年収400万円)で採用コスト60〜100万円+研修コスト80〜200万円+生産性ロス100〜300万円=合計270〜680万円が目安。専門職・技術職・幹部職はさらに高額になります。

離職率を下げるコツは?

①1on1で早期にサインを察知、②オンボーディングを充実、③報酬・評価制度の透明化、④キャリアパスの明示、⑤柔軟な働き方(リモート・フレックス)、⑥心理的安全性の醸成、⑦マネージャー教育の徹底。「人は会社ではなく上司から離れる」と言われるほど、直属上司の影響が大きいです。

離職率が低すぎるのは問題?

問題になることがあります。3%以下の超低離職率は、組織の硬直化・年功序列化・イノベーション不足のリスク。健全な新陳代謝がないため、10年後に世代交代で危機を迎えるケースも。適度な離職(5〜10%)は組織の血液循環として重要な役割を果たします。

本当の離職理由をどう把握する?

①退職面談を必ず実施(直属上司ではなく人事・第三者が担当)、②退職後3〜6ヶ月の匿名アンケート、③エンゲージメントサーベイの継続実施、④在職中の1on1で早期把握。表向きの理由「キャリアアップのため」の裏に、報酬・人間関係・成長機会の不満が隠れていることが多いです。

会社都合退職と自己都合退職は分けて計算?

厚労省統計では両方を含めた総離職率が基本。ただし施策検討時は分けて分析するのが実務的。会社都合(解雇・退職勧奨)は経営判断の結果、自己都合は組織課題の反映と、原因も対策も違うからです。IR資料等では両方を開示する企業が増えています。

エンゲージメントと離職率の相関は?

強い負の相関があります。Gallup調査等で、エンゲージメントスコア上位25%の企業は下位25%の企業に比べて離職率が18〜43%低いという結果。エンゲージメント調査(社員満足度サーベイ)と離職率をセットでモニタリングするのが人事KPIの基本です。

コロナ以降、離職率はどう変化した?

2020〜2022年は感染拡大による経済不安で離職率が一時低下(動きにくい心理)、2023年以降はリベンジ転職・大退職時代(Great Resignation)で反動的に上昇。リモートワーク・副業解禁・キャリア観の変化で、離職ハードルが構造的に下がった側面もあります。

離職率の目標設定はどうする?

単年度で5ポイント下げる等の急激な目標は非現実的で逆効果。業界平均-1〜3ポイントを3〜5年スパンで狙うのが現実的。同時に、エンゲージメントスコア・1on1実施率・オンボーディング満足度など先行指標もセットで管理しましょう。

離職率をIR資料で開示すべき?

2023年以降、上場企業は人的資本情報の開示が義務化され、離職率(新卒3年離職率含む)の開示が求められています。ESG投資・サステナビリティ経営の文脈で、離職率は投資家の重要な評価指標。算定方法・時系列推移・改善計画を透明に開示する企業が信頼を得ています。

中途採用と新卒採用で離職率の管理は違う?

異なります。中途採用は入社1〜2年の早期離職が課題になりやすく、期待値ミスマッチ・カルチャーフィットが主要因。新卒採用は3年離職率が業界標準指標で、キャリア形成の不明瞭さ・成長機会不足が主要因。両者を分けて集計し、それぞれ別の施策で対応するのが人事の実務です。

リモートワークは離職率に影響する?

影響します。リモートワーク導入企業は、育児・介護世代の離職率が10〜30%低下する調査結果があります。一方、新卒・若手のオンボーディングが困難になり、若手離職率が上がるケースも。リモート・出社のハイブリッド設計と、若手向けの定期的な対面コミュニケーション機会の確保が両立の鍵です。

スタートアップと大企業で離職率の見方は違う?

異なります。スタートアップは急拡大期に組織文化の変化が激しく、20〜30%の離職率も珍しくありません。大企業は10%前後が標準で、5%を下回ると硬直化リスクがあります。投資家目線では、スタートアップは「創業メンバーの定着率」、大企業は「新卒3年離職率」を重視するなど、企業ステージに応じたKPI設定が実務のスタンダードです。

正社員と非正規で離職率の集計は分ける?

分けるのが基本です。非正規雇用(契約社員・派遣・パート・アルバイト)は契約期間満了による離職が構造的に多く、正社員と同じ基準で見ると数値が歪みます。正社員離職率・非正規離職率を別集計し、正社員の中でも新卒/中途/管理職/専門職に細分するのが実務的な組織健康度分析です。特に飲食・小売業では非正規比率が高いため、正社員に絞った離職率で組織評価するのが標準です。