ボーナス手取り 計算ツール|社会保険料・所得税・介護保険・扶養控除まで精密試算
賞与の手取り額を、健康保険・厚生年金・雇用保険・介護保険・所得税の天引きから精密試算。前月給与・扶養人数・40歳以上の介護保険を反映し、協会けんぽの標準賞与額ルール(千円未満切捨、健保573万・厚年150万の上限)と国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に基づく所得税率テーブルを内蔵。夏冬ボーナスの手取り予測、給与交渉の逆算、住宅ローン頭金計画に。
ボーナス手取り 計算機
計算式と前提
基本式
手取り = 賞与額面 − 社会保険料 − 所得税
社会保険料 = 標準賞与額 ×(健保率 + 厚年率 + 介護保険率)+ 賞与額 × 雇用保険率
住民税はボーナスから引かれません。住民税は前年所得に基づき年額が確定し、毎月の給与から12分割で徴収される仕組みのため、賞与月であっても追加徴収はされません(特別徴収の原則)。
標準賞与額とは
健康保険・厚生年金の保険料計算に用いる基準額で、賞与額の千円未満を切り捨てた金額です。601,500円なら標準賞与額は601,000円。この金額に各保険料率を乗じて算出します。雇用保険は切捨なしで賞与額そのままに料率を掛けます。
労使折半
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は労使折半で、本ツールに表示するのは労働者負担分(半額)です。会社側は同額を別途負担しており、実際の総額はこの2倍になります。雇用保険は労使で率が異なり、労働者負担0.6%(一般事業・2026年度)が控除されます。
社会保険料率の詳細(2026年)
本ツールで採用している料率は、協会けんぽ(東京支部)・日本年金機構・厚生労働省公表の最新値です。健康保険料率は都道府県ごとに異なり、組合健保の場合はさらに別料率になります。
| 保険 | 労働者負担率 | 対象 | 上限 |
|---|---|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ東京) | 4.99% | 全被保険者 | 年573万円まで |
| 介護保険 | 0.91% | 40〜64歳 | 健保と同じ |
| 厚生年金 | 9.15% | 70歳未満 | 1回150万円まで |
| 雇用保険(一般事業) | 0.6% | 全被保険者 | 上限なし |
| 雇用保険(建設業) | 0.7% | 建設労働者 | 上限なし |
| 雇用保険(農林水産・清酒) | 0.7% | 該当業種 | 上限なし |
健康保険料率は都道府県によって9.35%(新潟)〜10.42%(佐賀)と幅があり、労働者負担はその半分です。組合健保では平均9.2%程度で協会けんぽより低いケースも多い一方、独自の付加給付があります。
所得税の計算方法(前月給与ベース)
賞与の所得税は、給与とは別のルールで計算されます。国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に定められる方法で、前月給与の社会保険料控除後金額と扶養親族等の数から税率を決定し、賞与から社会保険料を差し引いた金額に乗じます。
計算手順
- 前月給与から社会保険料を控除した金額を算出
- 扶養親族等の数に応じた「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から税率(%)を読む
- 賞与額面 − 社会保険料 = 課税対象額
- 課税対象額 × 税率 = 源泉徴収税額
賞与源泉税率テーブル(扶養0人・抜粋)
| 前月給与(社保控除後) | 税率 |
|---|---|
| 68,000円未満 | 0% |
| 68,000〜79,000円 | 2.042% |
| 79,000〜252,000円 | 4.084% |
| 252,000〜300,000円 | 6.126% |
| 300,000〜334,000円 | 8.168% |
| 334,000〜363,000円 | 10.210% |
| 363,000〜395,000円 | 12.252% |
| 395,000〜426,000円 | 14.294% |
| 426,000〜550,000円 | 16.336% |
| 550,000〜647,000円 | 18.378% |
| 647,000〜899,000円 | 20.420% |
| 899,000〜1,199,000円 | 22.462% |
| 1,199,000円超 | 24.504% |
これらの税率は復興特別所得税2.1%を上乗せ済みの実効税率です。扶養親族が増えると税率区分の閾値が上がり、実質的に減税されます。
前月給与がない場合(新入社員など)
前月給与ゼロの場合、税額表による計算ができないため、賞与の10分の1相当額を月給とみなして「月額表」で計算し、その税額を10倍する方法を取ります(国税庁通達)。年末調整で最終精算されるため、原則として過不足は年末に整いますが、月々のキャッシュフロー計算では注意が必要です。
ボーナス手取り早見表(前月給与30万円・扶養0人・40歳以上・東京協会けんぽ)
| 賞与額面 | 社保合計 | 所得税 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|
| 200,000円 | 約31,700円 | 約10,300円 | 約158,000円 | 約79.0% |
| 300,000円 | 約47,500円 | 約15,500円 | 約237,000円 | 約79.0% |
| 400,000円 | 約63,400円 | 約20,600円 | 約316,000円 | 約79.0% |
| 500,000円 | 約79,200円 | 約25,800円 | 約395,000円 | 約79.0% |
| 600,000円 | 約95,000円 | 約30,900円 | 約474,100円 | 約79.0% |
| 800,000円 | 約126,700円 | 約41,200円 | 約632,100円 | 約79.0% |
| 1,000,000円 | 約158,400円 | 約51,500円 | 約790,100円 | 約79.0% |
| 1,500,000円 | 約237,600円 | 約77,300円 | 約1,185,100円 | 約79.0% |
手取り率は78〜80%が一般的な水準です。前月給与が高いほど所得税率が上がり手取り率は下がります。前月給与100万円クラスなら手取り率は73〜75%程度まで低下します。
標準賞与額の上限
健康保険と厚生年金には賞与保険料の上限が設定されており、これを超えた部分には保険料がかかりません。「上限まで払えばそれ以上は保険料負担ゼロ」で、賞与が大きい役員層では手取り率が跳ね上がる仕組みです。
| 保険 | 上限額 | 単位 |
|---|---|---|
| 健康保険(介護保険含む) | 573万円 | 年度累計(4/1〜翌3/31) |
| 厚生年金 | 150万円 | 1回の支給ごと |
| 雇用保険 | 上限なし | — |
厚生年金の上限は1回150万円のため、例えば夏200万・冬200万の賞与でも保険料計算の対象は各150万円まで。年度累計573万円を超えた健康保険料についても、超過分は保険料計算対象外です。役員報酬設計で「賞与を集中させて社保節減」という手法が使われる理由もここにあります(役員賞与は事前確定届出給与の届出が別途必要)。
前月給与ケース別の税率と手取り例(賞与60万円・扶養0・40歳以上)
| 前月給与 | 賞与税率 | 社保合計 | 所得税 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 15万円 | 2.042% | 約95,000円 | 約10,300円 | 約494,700円 |
| 25万円 | 4.084% | 約95,000円 | 約20,600円 | 約484,400円 |
| 35万円 | 10.210% | 約95,000円 | 約51,600円 | 約453,400円 |
| 45万円 | 16.336% | 約95,000円 | 約82,500円 | 約422,500円 |
| 60万円 | 18.378% | 約95,000円 | 約92,800円 | 約412,200円 |
| 80万円 | 20.420% | 約95,000円 | 約103,100円 | 約401,900円 |
| 100万円 | 22.462% | 約95,000円 | 約113,400円 | 約391,600円 |
| 150万円 | 24.504% | 約95,000円 | 約123,700円 | 約381,300円 |
同じ60万円の賞与でも、前月給与によって手取りが約113,400円変わります。前月給が高いほど賞与源泉税率が上がるため、賞与月と月給月のバランスを見ながら年間所得税を年末調整で精算するのが日本の源泉徴収制度の基本設計です。
場面別の使い方
夏冬ボーナスの家計計画
年2回の賞与手取りを事前予測し、住宅ローン繰上返済・教育資金・旅行・車購入の原資計画に。額面が同じでも前月給与により所得税が変動するため、6月給与額から実務的に算出できます。
給与交渉・転職判断
「年収600万・賞与4か月」の求人が実際いくら手に入るかを事前試算。年収同額でも月給と賞与の配分により手取り差が発生することを理解し、逆算的に交渉できます。
役員賞与の設計
事前確定届出給与として役員に賞与を支給する場合、150万円上限(厚生年金)を意識した金額設計で社保負担を最適化。税理士・社労士との事前相談が前提ですが、シミュレーションのたたき台に。
住宅ローン審査
ボーナス払い併用ローンで金融機関に申告する「ボーナス手取り」を算出。返済比率25%以内に収まるかの初期チェック。実際の審査は源泉徴収票の額面ベースですが、家計負担の把握には手取りが重要。
育児休業給付との比較
育児休業期間中は社会保険料が免除されるため、育休を挟む場合の年間手取りが変わります。育休給付金67%+社保免除効果で実質的に額面の80%相当が支給されるため、手取り比較の基準として本計算が役立ちます。
退職前の最終賞与計算
退職月の賞与は、月末退職か月中退職で社会保険料の扱いが異なります(月末退職なら当月分社保が発生、中途退職なら発生しない)。退職金と合わせた税務計画の一助として、賞与手取りの正確な把握が重要です。
よくある間違い・注意点
- 住民税もボーナスから引かれると思っている — 住民税は前年所得に基づく確定額を毎月の給与から12分割で徴収する「特別徴収」が原則で、賞与月であっても追加徴収はされません。ボーナス支給月の手取り率が良く見えるのはこのためです。
- 健康保険料率を全国一律だと考える — 協会けんぽは都道府県ごと、組合健保は組合ごとに料率が異なります。本ツールは東京支部の料率(4.99%)を採用しており、他都道府県では若干異なります(労働者負担で±0.3%程度)。
- 厚生年金の1回150万円上限を年間150万円と誤解 — 厚生年金の上限は「1回の支給ごと」150万円。夏冬各200万円の賞与でも保険料対象は各150万円で、200×2=400万円が対象になるわけではありません。
- 雇用保険を給与と同じ0.6%で計算する — 一般事業は0.6%ですが、建設業・農林水産業・清酒製造業は0.7%です。業種確認を忘れずに。
- 介護保険を40歳未満・65歳以上でも計算 — 介護保険料は40〜64歳のみ発生。39歳以下と65歳以上(65歳到達月から健保に含まれず別途年金から特別徴収)は控除ゼロです。
- 賞与から復興特別所得税を忘れる — 賞与の源泉徴収率テーブルは復興特別所得税2.1%が上乗せ済み。本ツールの税率も上乗せ後の実効税率で計算しています。
- 年末調整による還付を考慮せず「手取りが少ない」と誤認 — 賞与源泉税は暫定額で、年末調整で精算されます。生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除等がある方は、年末に還付されるケースが多いです。
関連する規格・法令
- 健康保険法(第40条・第45条) ― 標準報酬月額・標準賞与額の定義。賞与に係る保険料は年度累計573万円が上限。
- 厚生年金保険法(第20条・第24条の4) ― 厚生年金の標準賞与額は1回150万円が上限。
- 雇用保険法(第68条) ― 雇用保険料の算定基礎に賞与を含む。労使双方が拠出、率は業種別。
- 所得税法(第186条) ― 賞与の源泉徴収は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」による。前月給与ベースで税率を決定。
- 復興特別所得税法(第28条) ― 所得税額の2.1%を上乗せ徴収。2013〜2037年の時限措置。
- 地方税法(第321条の3〜6) ― 住民税の特別徴収を規定。賞与からの徴収は原則想定なし。
- 労働保険料徴収法 ― 労災保険料は全額事業主負担で本人負担なし(賞与にも同ルール)。
参考文献・公的資料
賞与に関する保険料・税額の正確なデータは、以下の公的機関の資料を参照してください。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)都道府県別保険料額表 ― 健康保険料・介護保険料の最新料率を都道府県別に掲載。労使折半後の金額も一覧。
- 日本年金機構 厚生年金保険料額表 ― 厚生年金保険料の等級表と料率。標準報酬月額・標準賞与額の計算方法。
- 国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 ― 賞与の源泉税率を決定する公式テーブル(PDF)。扶養親族数別。
- 厚生労働省 雇用保険料率 ― 業種別の雇用保険料率。労使負担割合も明記。
- 国税庁 源泉徴収のあらまし ― 給与・賞与・退職金の源泉徴収実務の総合ガイド。年末調整との関係も解説。
- 厚生労働省 育児休業給付・社会保険料免除 ― 育児休業中の社保免除制度、賞与の扱いを含む。
- 総務省 個人住民税 ― 住民税の徴収方法(特別徴収・普通徴収)と年税額の計算方法。
- 厚生労働省 育児休業給付金 ― 育児休業給付金67%(181日目以降50%)と社保免除の詳細。
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)賞与統計 ― 業種別・企業規模別のボーナス支給月数・支給額データ。
- 経団連 夏季・年末賞与調査 ― 大手企業の賞与動向(賞与月数・支給額のトレンド)。
よくある質問(FAQ)
ボーナスから住民税は引かれる?
引かれません。住民税は前年所得から年税額が確定し、毎月の給与から12分割で徴収する「特別徴収」が原則です。賞与月に追加徴収されることはなく、これがボーナスの手取り率が月給より高く見える理由の一つです。ただし、住民税は前年所得ベースなので、賞与を含む今年の年収は翌年6月からの住民税額に反映されます。
ボーナスの手取り率は普通どれくらい?
前月給与20〜60万円の一般的な会社員なら78〜80%が目安です。前月給与が高いほど所得税率が上がり手取り率は下がります。前月給100万円クラスでは73〜75%、前月給20万円未満なら82〜85%程度。40歳未満(介護保険なし)は0.9%手取り率が高くなります。
前月給与ゼロ(新入社員)だと所得税はどうなる?
賞与の10分の1を月給とみなして「月額表」で税額を決め、10倍する方法で計算します(所得税法施行令)。1年目6月の初回賞与では前月給与ゼロがしばしば起こるため、初任給ベースで試算すると近い数字になります。年末調整で最終精算されるので過不足は解消されます。
賞与額の千円未満切捨って何?
健康保険と厚生年金の保険料計算では、賞与額の千円未満を切り捨てた「標準賞与額」を基礎とします。601,500円の賞与なら標準賞与額は601,000円で、これに料率を乗じます。雇用保険は切捨なしで賞与額そのままに料率をかけます。
厚生年金の150万円上限とは?
厚生年金の標準賞与額は1回の支給あたり150万円が上限。200万円の賞与でも保険料計算の対象は150万円までで、150万円超の部分には厚生年金保険料がかかりません。夏冬各200万円でも各150万円が保険料対象です。
健康保険の573万円上限とは?
健康保険の賞与保険料は、年度累計(4/1〜翌3/31)で573万円が上限。この累計を超えた賞与部分には健康保険料と介護保険料がかかりません。年収の高い役員クラスでは、年度後半の賞与手取り率が跳ね上がる仕組みです。
育休中のボーナスは社保免除?
免除されます。育児休業を取得している月に支給された賞与については、健康保険・厚生年金の保険料が免除(本人分・会社分ともゼロ)。ただし2022年10月の法改正で、育休期間が「その月内で1か月超」等の条件になり、短期育休では免除されないケースが出ています。雇用保険料は通常通り控除、所得税もかかります。
ボーナスからiDeCo・企業型DCの控除はある?
ボーナスから直接iDeCoは天引きされませんが(毎月の給与から控除)、企業型DCで賞与連動の拠出設定がある場合は控除されます。所得税は拠出額が全額所得控除となるため、年末調整で減税されます。手取り最適化にはiDeCoが有効な選択肢の一つです。
退職月の賞与、社保はどうなる?
月末退職なら当月分の社保が発生し、賞与にも保険料がかかります。中途退職(月末以外)なら当月社保は発生せず、賞与に保険料はかかりません。ただし所得税は退職に関係なく通常通り課税。年末調整も退職までの分は行われないため、退職後に確定申告が必要です。
複数社から賞与を受ける場合は?
健康保険料・厚生年金保険料は各社で個別に計算・徴収されます。年度累計573万円(健保)・1回150万円(厚年)の上限は各社別々に適用されるため、複数勤務者は結果的に上限を超えて払うことも。年間所得税は必ず確定申告で精算する必要があります。
ボーナスから借金(税滞納・養育費)差押えできる?
できます。国税・地方税の滞納処分、養育費未払いの差押えは、給与と同じ扱いで賞与にも及びます。ただし民事執行法により、給与手取り額の1/4(33万円超は超過分全額)までとの制限が賞与にも準用されます。差押えを受ける前に、税務署・自治体との分納相談が推奨されます。
賞与の税率が同じ月給より高く感じるのはなぜ?
賞与源泉税率テーブルは復興特別所得税2.1%込みの実効税率で、月給の源泉税率テーブルより数字が大きく見えます。ただし年末調整で「年間所得」ベースで最終計算するため、賞与源泉税が過剰になった分は還付されます。「賞与から取られすぎ」の感覚は、多くの場合、年末調整で調整されるので実質的な負担増ではありません。