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人材紹介料 計算ツール|年収の30-35%・返金保証・厚労省届出制の仕組み解説

人材紹介会社(職業紹介事業者)への成功報酬を、想定年収と料率から即座に算定。年収600万円なら180-210万円が相場帯です。理論年収の定義、返金規定(3ヶ月/6ヶ月)、厚生労働省の届出制手数料・上限制(10.8%+税)の使い分け、職業安定法55条、消費税の扱いまで、採用担当者・人事責任者・経営者に必要な実務論点を網羅します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

人材紹介料 計算機

計算式と料率の内訳

基本式

紹介手数料 = 理論年収 × 手数料率(30-35%が主流)

人材紹介会社の成功報酬(職業紹介手数料)は、採用が成立した候補者の理論年収に一定の料率を乗じて算出されます。国内の実勢は30-35%が中心帯で、外資系エグゼクティブサーチや希少職種では40%を上回るケースもあります。求職者からは一切徴収されず、企業のみが負担するのが原則です(職業安定法32条の3第2項、求職者からの手数料徴収は原則禁止)。

消費税と支払いタイミング

請求額 = 手数料 × 1.10(消費税10%)

紹介手数料は役務提供の対価として消費税の課税取引に該当します。支払いは通常「入社日基準」で請求書が発行され、入社月末締め・翌月末払いが慣習。会社によっては内定承諾時点で請求する契約もあるため、契約書の「請求発生時点」条項を必ず確認してください。

採用単価(CPH)との関係

人事KPIで用いられる採用単価(Cost Per Hire)には、紹介料に加えて求人広告費・面接官の工数・内定者フォロー費用等が積み上がります。厚生労働省「令和5年度職業紹介事業報告書集計結果」では、常用求人1件あたり平均手数料は約90万円で、対年収換算で約28%が全国平均です。

「理論年収」の定義(誤解の温床)

手数料計算の分母である理論年収は契約書ごとに定義が異なり、企業と紹介会社のトラブルの主要因になります。一般的な内訳と、含める/含めないの実勢を整理します。

項目含める(通例)備考
基本給×12ヶ月◯ 必ず含める手数料計算の基本
固定残業代(みなし残業)◯ 含める賃金として固定支給のため
固定手当(役職手当・住宅手当)◯ 含める毎月定額支給
賞与(想定支給)◯ 含める(実勢)年間想定額を上乗せするのが主流
インセンティブ(業績連動)△ 契約次第目標達成前提の想定額
ストックオプション× 通常含めない時価変動・行使条件があるため
通勤手当・出張手当× 含めない実費弁済のため
退職金・福利厚生費× 含めない年収概念に含めない

特に賞与の扱いが争点になりやすく、初年度は基本給×12のみで計算するか、想定賞与を含めるかで数十万円単位で請求額が変わります。契約書のドラフト段階で「初年度理論年収の定義」を明文化することが実務の要点です。

届出制手数料と上限制手数料の違い

厚生労働大臣の許可を得た有料職業紹介事業者は、料金体系として届出制手数料または上限制手数料のいずれかを選択します。実務ではほぼ全社が届出制を採用しています。

比較項目届出制手数料上限制手数料
根拠職業安定法32条の3第1項1号職業安定法32条の3第1項2号
料率上限届出範囲内で自由設定賃金の10.8%(税抜10%)
実勢シェア大多数(実質標準)ごく一部
典型料率年収の30-35%賃金の10.8%以内
届出書類手数料表を厚労大臣へ届出不要(法定上限)

届出制のほうが料率上限が実質存在しないため、大半の紹介会社が届出制で30-35%を設定しています。上限制は公的機関の斡旋事業などで一部利用される程度です。

職種別・レベル別 料率相場

職種・年収レンジ・希少性で料率は変動します。実勢を整理します(2026年時点、複数社の公開手数料表を参考)。

領域年収帯料率相場備考
一般事務・営業300-500万円30-33%汎用人材
ITエンジニア500-900万円33-35%人材難で高め
コンサル・経営企画700-1500万円35%高付加価値
医師・薬剤師800-2000万円25-30%専門紹介会社
執行役員・部長級1500-3000万円35-40%エグゼクティブサーチ
CxO(社長・CFO等)3000万円以上35% or 固定額着手金+成功報酬併用も
外資系ハイクラス1000-3000万円35-40%ヘッドハンター型
新卒紹介初任給ベース80-100万円/名固定額型が多い

返金規定と契約条項

入社した候補者が短期離職した場合、紹介手数料の一部が返金される契約が業界標準です。返金対象期間と返金率は契約書ごとに異なるため、締結前の確認が必須。

退職時期返金率(実勢)備考
入社1ヶ月以内90-100%最も高い返金率
入社1-3ヶ月以内80%3ヶ月保証の主流
入社3-6ヶ月以内50%6ヶ月保証の場合
入社6ヶ月超0%返金対象外
会社都合退職0%(通例)返金対象外の特約が主流
試用期間中の解雇0%(通例)企業都合とみなされる

返金規定の落とし穴として、「企業都合の退職」は返金対象外とする条項が入るケースが大半です。また、返金ではなく「代替候補者の追加紹介」で補填するリプレース保証を採用する会社もあります。契約書のひな型は経営法友会「人材紹介契約書ひな型」や日本人材紹介事業協会の標準約款が参考になります。

試算ケース(年収別・企業規模別)

年収帯と手数料率の組み合わせで、企業の紹介料負担額がどれだけ変動するかを整理します。予算策定・稟議資料作成の目安としてご活用ください。

候補者年収料率30%料率33%料率35%料率40%
400万円120万円132万円140万円160万円
500万円150万円165万円175万円200万円
600万円180万円198万円210万円240万円
700万円210万円231万円245万円280万円
800万円240万円264万円280万円320万円
1000万円300万円330万円350万円400万円
1200万円360万円396万円420万円480万円
1500万円450万円495万円525万円600万円
2000万円600万円660万円700万円800万円
3000万円900万円990万円1050万円1200万円

いずれも税抜額。消費税10%を加算した実際の請求額はこれらの1.10倍になります。年間5-10名の中途採用を予定する企業では、想定紹介料の予算枠を年収帯×人数で積算しておくと採用計画の予算精度が向上します。

利用シーン(採用実務)

スタートアップの初期採用

採用ブランドが弱いスタートアップは、人材紹介経由の採用比率が高い。年収600万円のエンジニア1名の紹介料は約200万円で、シリーズA前の会社では経営インパクトが大きいため、料率交渉(33%→30%)や返金保証の延長(3→6ヶ月)を積極的に打診するのが定石。

大企業の急な欠員補充

期中の退職で発生する急募案件は、社内異動・公募で対応困難な場合に紹介経由が中心。年間予算に紹介料枠を確保していないケースが多く、部長級以上の稟議が必要。「特別採用予算」枠を設けて紹介料をカバーする仕組みが主流。

エグゼクティブサーチ(役員層)

年収2000万円以上のCxO・部長級案件は、通常の求人媒体では不可能。ヘッドハンター型のリテナー契約(着手金30-50万円+成功報酬35%)が主流。着手金は不成功でも返金されないため、選定は複数社で比較する。

IT・DX人材の獲得競争

AI・データサイエンス・SRE・セキュリティ等の希少職種は35%を超える料率提示も一般化。年収900万円のシニアエンジニアで315万円+税=約347万円の紹介料。「オファー承諾までのスピード」を上げる目的でエージェント経由を選ぶ企業も多い。

医療・介護業界の常勤採用

医師・薬剤師・看護師の紹介料率は25-30%と一般より低め。ただし絶対額は年収1000-2000万円で計算するため300-500万円と高額。厚生労働省「医療・介護分野の職業紹介事業者に関する自主点検表」の運用強化が近年進んでいる。

M&A後のPMI人材補強

M&A(合併・買収)後の統合フェーズで発生する管理系人材の急募。CFO候補・経理部長・情シス責任者などを紹介経由で採用するケースが典型。ファンドや投資銀行の紹介経由が中心で、料率は35%固定が多い。

契約書レビューのチェックリスト

紹介契約を締結する前に、以下の項目を必ず契約書上で確認してください。1項目でも曖昧なままの契約はトラブルの温床です。

  • 厚労大臣許可番号 ― 13-ユ-XXXXXX等の許可番号記載を確認。厚労省の職業紹介事業者検索で正当性を裏取り。
  • 手数料率と料率区分 ― 具体的な料率(30% or 35%等)、届出制/上限制の別、消費税の扱い(内税/外税)。
  • 理論年収の定義 ― 基本給・固定手当・固定残業代・想定賞与・インセンティブ・ストックオプションの各扱い。
  • 請求発生時点 ― 内定承諾時/入社日/入社後何日目、いずれか明示。
  • 支払条件 ― 締日・支払日・振込先・分割払可否。
  • 返金保証期間と返金率 ― 1ヶ月/3ヶ月/6ヶ月の各期間別返金率。
  • 返金対象外事由 ― 会社都合退職・試用期間解雇・懲戒解雇等の除外条項。
  • リプレース保証の有無 ― 代替候補者の追加紹介による補填条項。
  • 候補者との重複回避条項 ― 他エージェント経由の重複防止ルール。
  • 候補者情報の取扱い ― 個人情報保護法・秘密保持義務の明記。
  • 解約条項 ― 契約期間・自動更新・中途解約の可否と違約金。
  • 合意管轄裁判所 ― 紛争解決時の管轄地(東京地裁指定は地方企業に不利)。
  • 反社会的勢力排除条項 ― 標準条項として盛り込み必須。
  • インボイス制度対応 ― 適格請求書発行事業者登録番号の記載。

よくある間違い・注意点

  • 「理論年収」の定義曖昧化 — 賞与・インセンティブ・固定残業代を含めるかで請求額が数十万円単位で変わります。契約書段階で「初年度理論年収の定義」を明文化してください。
  • 返金保証の対象外条項見落とし — 「企業都合の退職」「試用期間中の解雇」「休職からの復職しなかった場合」など、返金対象外の特約が多数含まれるのが実勢。契約書全条項の精査が必須。
  • 候補者への手数料請求 — 職業安定法32条の3第2項により、求職者からの手数料徴収は原則禁止です。求職者に「エージェント料は年収から天引き」等と説明する紹介会社は違法の可能性が高い。
  • 厚労大臣許可番号の未確認 — 有料職業紹介事業は厚労大臣許可制(職業安定法30条)。許可番号(13-ユ-XXXXXX等)がない業者との契約は無効の可能性があります。
  • 消費税10%の見落とし — 手数料表記が税抜であることが多く、実際の請求は+10%されます。年間採用予算作成時は必ず税込ベースで積算してください。
  • 複数エージェントの同時運用でのバッティング — 同一候補者を複数エージェント経由で紹介された場合、原則「先出し優先」で1社にのみ手数料が発生。管理体制の未整備でトラブル多発。
  • 「特別着手金」の意味 — エグゼクティブサーチのリテナー契約で徴収される着手金は、採用不成立でも返金されないのが原則。契約前に条項確認を。
  • 成功報酬の請求先確認漏れ — 子会社経由の採用でも親会社に請求される契約になっていないか確認。グループ会社間の紹介の場合、どの会社が請求先か契約書に明記が必要。
  • 紹介候補者の重複防止ルール未整備 — 同一候補者が複数エージェント経由で応募された場合、原則「先出し優先」だが、ATS未導入企業では重複判定が困難。管理体制を整備しないと二重請求のトラブルに。
  • 候補者辞退時の対応 — 内定通知後に候補者が辞退した場合、通常は紹介料は発生しないが、契約書に「内定承諾時点で請求発生」と記載があると発生する。契約書の「請求発生時点」条項を最優先で確認。
  • 試用期間中の対応 — 試用期間内(通常3ヶ月)の企業側解雇は返金対象外の特約が主流。逆に候補者の自主退職は返金対象になることが多いが、判定が曖昧なグレーケースは事後トラブルの原因になる。
  • インボイス制度への未対応 — 2023年10月以降、適格請求書発行事業者以外への支払いは仕入税額控除できない。契約前に登録番号(T+13桁)の記載を確認する。
  • 紹介料の会計処理 — 支払時に「採用費」または「支払手数料」として計上、法人税上は損金算入可能。ただし内定承諾時払いで入社前の企業年度末を超える場合の期ずれに注意。
  • 紹介契約の合意管轄が東京限定 — 契約書末尾の紛争解決条項で東京地裁指定されているケースが多い。地方拠点の企業は紛争発生時の負担が大きくなるため、事前交渉で本社所在地への変更を検討する。
  • 反社会的勢力排除条項の欠落 — 一部の中小紹介会社は反社排除条項を契約書に盛り込んでいない。企業側の内部統制上、明記が必須のため契約書ドラフトの精査時に確認する。

関連する法令・規制

  • 職業安定法(昭和22年法律第141号) ― 有料職業紹介事業の許可制・手数料規制・求職者保護の基本法。第30条(許可制)、第32条の3(手数料)、第55条(罰則)が中核。
  • 職業安定法施行規則 ― 手数料表の届出手続、事業運営基準の詳細を規定。
  • 職業紹介事業の業務運営要領(厚生労働省) ― 事業者の実務運用ルールを厚労省が公表する行政指針。手数料表の作成方法・返金規定の記載例を含む。
  • 厚生労働大臣許可(13-ユ-XXXXXX) ― 有料職業紹介事業を営むための必須許可。東京都では「13-ユ-」、大阪府「27-ユ-」等、都道府県コード付き。
  • 個人情報保護法 ― 候補者情報の取扱いには本人同意が必要。エージェントは「職業紹介事業の運営に必要な範囲」で企業に情報提供。
  • 労働者派遣法との区別 ― 紹介と派遣は別法制。紹介は「雇用契約成立への仲介」、派遣は「派遣元との雇用契約に基づく指揮命令」。
  • 下請代金支払遅延等防止法 ― 紹介会社が個人事業主(フリーランス)を扱う場合、下請法や下請振興法の適用可能性あり。
  • 消費税法 ― 紹介手数料は課税取引。インボイス制度(適格請求書)対応が2023年10月から必須。

参考文献・公的資料

採用予算策定や契約書レビューにあたっては、以下の公的資料と業界団体資料を参照してください。

※本ページの計算結果および相場データは概算値です。実際の紹介手数料は契約書に基づき、料率・理論年収の定義・返金規定の詳細により変動します。契約締結前には社内の法務・人事責任者、必要に応じて弁護士・社会保険労務士など有資格者に相談してください。厚労大臣許可番号のない業者との契約や求職者への手数料請求は違法の可能性があります。

よくある質問(FAQ)

求職者は本当に無料?

はい。職業安定法32条の3第2項により、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することは原則として禁止されています(モデル・芸能等の一部例外あり)。求職者に「エージェント経由で年収から天引き」等と説明する業者は違法の可能性が高いので注意してください。

返金保証の期間はどれくらい?

実勢は入社後3ヶ月または6ヶ月が主流。3ヶ月保証で80%返金、6ヶ月保証で50%返金、6ヶ月超は0%というのが業界標準です。ただし「企業都合退職」「試用期間中の解雇」等は返金対象外の特約が付くのが通例なので、契約書全条項を精査してください。

複数エージェントの利用は問題ない?

むしろ3-5社を並行利用するのが定石です。ただし同一候補者を複数経路で紹介された場合、原則「先出し優先」で1社のみに手数料が発生します。ATSやスプレッドシートで候補者の紹介経路を管理し、バッティング時の対応ルールを事前に定めておくことが重要です。

手数料率の交渉は可能?

可能です。特に複数採用の一括契約継続取引先には料率ディスカウント(35%→30%、30%→28%)や返金保証期間の延長(3→6ヶ月)が引き出せます。年間採用予算の10%以上を1社に発注する場合、法人取引部門との個別交渉を推奨します。

「理論年収」に賞与は含める?

紹介会社ごとに定義が異なりますが、実勢は年間想定賞与を含めるのが主流です。契約書に「理論年収=月給×12+想定賞与」等の明文化がないとトラブルの原因になるため、締結前に定義条項を必ず確認・修正してください。基本給のみで計算する契約に変更するだけで手数料が数十万円下がる可能性があります。

エグゼクティブサーチのリテナー契約とは?

年収2000万円以上のCxO・部長級案件で採用される契約形態。着手金30-50万円+成功時報酬35%が典型で、着手金は採用不成立でも返金されません。専任契約(1社独占)が原則で、代わりに徹底したロングリスト作成・ヘッドハンティング活動が提供されます。

新卒紹介の料金は?

新卒紹介は固定額型が主流で、1名あたり80-100万円が相場帯。中途と異なり年収比例ではありません。就職氷河期からの回復で新卒紹介市場は拡大傾向にあり、地方拠点の採用・体育会系採用等で活用が広がっています。

紹介料はいつ支払う?

実勢は入社月末締め・翌月末払いが主流。契約書によっては「内定承諾時」「入社日」など請求発生時点が異なるため、キャッシュフロー管理の観点でも要確認。分割払いや延べ払いは通常認められません。

厚労大臣許可のない業者との契約は有効?

職業安定法30条違反で罰則対象(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)。契約自体が無効となる可能性が高く、既払い分の返金請求も可能。契約前に必ず厚労大臣許可番号(13-ユ-XXXXXX等)を確認し、厚労省の職業紹介事業者一覧で検索してください。

フリーランス人材の紹介も同じ?

雇用契約ではなく業務委託契約(業務提携)を仲介するフリーランス紹介は、職業安定法ではなく「労働者派遣法」「下請法」等の別法制の適用可能性があります。手数料体系も月額報酬の10-20%を継続的に受け取る「マージン型」が主流で、成功報酬型ではない場合が多いです。

M&Aや事業承継の人材紹介は?

M&A後のPMI(統合)フェーズでの管理系人材補強、事業承継後の後継者・幹部登用は通常の中途紹介と同じフレームで進行しますが、料率は35%固定+着手金付きが多く、投資ファンド出身者を中心とした特化型エージェントが主流です。

紹介経由の応募と直接応募、どちらを優先すべき?

採用単価だけを見れば直接応募・リファラル(社員紹介)が有利ですが、採用スピード・母集団の質・工数削減を含めた総合コストでは紹介経由が優位なケースも多いです。年収600万円のエンジニア採用で紹介料210万円は高額に見えますが、離職コスト(平均年収の30-50%)を考慮すると初期投資として妥当な範囲です。