採用単価・採用コスト 計算ツール|CPH(Cost Per Hire)の試算
採用単価(CPH: Cost Per Hire)を計算。求人広告・人材紹介・リファラル別のコスト・採用効率・年間採用予算を一発算出。人事工数・媒体費・紹介手数料を積算し、最も効率的な採用手法をベンチマークします。
採用単価 計算機
求人広告(リクナビ・マイナビなど)
人材紹介(リクルート・ビズリーチなど)
リファラル(社員紹介)
人事工数
CPHの定義と計算式
基本式
CPH = 採用にかかった総費用 ÷ 採用人数
総費用 = 外部費用(媒体費・紹介手数料・イベント費)+ 内部費用(人事人件費・面接工数・研修費)
CPH(Cost Per Hire)は、米SHRM(Society for Human Resource Management)が定義する人事KPIの代表指標で、ANSI/SHRM 06001.2012「Cost-per-Hire, American National Standard」に準拠して計算します。日本ではリクルート・パーソル総合研究所・マイナビが業界別調査を毎年公開しており、経営会議や採用予算稟議の説得材料として広く用いられます。
実質CPHへの補正
実質CPH = CPH ÷ (1 − 早期離職率)
採用した人材が1年以内に離職すれば、そのCPHは「実質倍増」します。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」によれば、大卒新入社員の3年以内離職率は約32%、高卒は約38%。中途採用者でも1年以内離職率は業種により10〜25%あります。表面上のCPHだけでなく、定着率を掛け合わせた実質単価で意思決定するのが実務の鉄則です。
採用チャネル別の内訳
求人広告は掲載期間の固定費、人材紹介は年収連動の成功報酬、リファラルは紹介ボーナスと社内広報コスト、ダイレクトリクルーティングはスカウトDB利用料とスカウトメール送信工数、と費用構造が異なります。単純合算ではなくチャネル別に計算し、ROI(採用予算あたりの入社数)と定着率を並列比較する必要があります。
採用チャネルの構造
採用チャネルは大きく5系統に分類されます。それぞれの費用構造・特徴を理解して組み合わせるのが「採用ポートフォリオ設計」です。
| チャネル | 費用構造 | 主な媒体・サービス | 強み |
|---|---|---|---|
| 求人広告(媒体) | 掲載固定費 | リクナビNEXT・マイナビ転職・doda・エン転職 | 大量・短期採用 |
| 人材紹介 | 年収の30-35%成功報酬 | リクルートエージェント・doda・パーソル・JAC | 質・スピード |
| ダイレクトリクルーティング | DB利用料+工数 | ビズリーチ・ミイダス・Wantedly・LinkedIn | 質・攻めの採用 |
| リファラル | 紹介ボーナス | 社員経由・アルムナイ | 定着率・コスト低 |
| 公的・無料 | 0円〜工数 | ハローワーク・大学キャリアセンター | コスト0 |
採用手法別の相場早見表
厚生労働省「雇用動向調査」・リクルート「就職白書」・マイナビ「中途採用状況調査」の複数ソースから、2025年時点の相場感を整理しました。
| 手法 | 採用単価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 求人広告(媒体) | 30〜100万円 | 大量採用に向く・候補質ばらつき |
| 人材紹介(一般) | 年収の30-35% | 年収500万→150-175万。質高い |
| 人材紹介(エグゼクティブ) | 年収の30-40% | 年収1000万→300-400万 |
| リファラル(社員紹介) | 10-50万円 | 定着率が高い・コスパ最高 |
| SNS採用 | 20-80万円 | 運用工数大きい |
| ダイレクトリクルーティング | 50-150万円 | スカウト送信工数 |
| ハローワーク | 0円〜(人事工数) | 無料、応募質ばらつき |
| 新卒採用(イベント・媒体) | 1人50-100万円 | 長期投資・育成前提 |
| アルムナイ(元社員) | 10-30万円 | 定着率・即戦力性が最高 |
| 採用オウンドメディア | 初期100-500万円 | 継続的採用・ブランディング |
採用効率を上げるコツ
- リファラル制度の活性化(紹介ボーナス20-50万円)
- 求人媒体の絞り込み(自社マッチ度の高い1〜2媒体)
- 面接プロセス短縮(書類→面接1回→内定の3週間以内)
- 採用後の定着率向上(離職コストは採用コストの2倍)
- 採用DBの内製化(過去応募者・SNSフォロワーの再アプローチ)
業界別 平均採用単価(中途)
マイナビ・パーソル総合研究所の業界調査に基づく2024-2025年の中途採用単価目安です。IT・専門職ほど高く、飲食・小売は低めですが「入社後定着率」まで加味すると差が縮まります。
| 業界 | 平均CPH | 備考 |
|---|---|---|
| IT・ソフトウェア(エンジニア) | 110-180万円 | 年収700万×紹介35%が主流 |
| コンサル・金融 | 150-300万円 | エグゼクティブ紹介・DR |
| 製造・メーカー(技術職) | 80-140万円 | 紹介+媒体併用 |
| 商社・流通(総合職) | 90-150万円 | 紹介中心 |
| 建設・土木(施工管理) | 60-120万円 | 媒体+紹介 |
| 医療・介護 | 40-80万円 | ハローワーク+専門媒体 |
| 飲食・小売・サービス | 10-40万円 | アルバイト媒体中心 |
| 物流・ドライバー | 15-50万円 | ハローワーク+媒体 |
企業規模別ベンチマーク
SHRM Talent Acquisition Benchmark Reportおよび厚生労働省「賃金構造基本統計調査」ベースの規模別目安です。大企業は媒体・イベント固定費、中小企業は紹介への依存が強くなります。
| 企業規模 | 年間採用人数 | 平均CPH | 主要チャネル |
|---|---|---|---|
| 大企業(1000名超) | 50-500名 | 60-120万円 | 媒体+新卒イベント+DR |
| 中堅(300-1000名) | 10-50名 | 80-160万円 | 紹介+媒体 |
| 中小(30-300名) | 3-10名 | 100-200万円 | 紹介+ハローワーク |
| スタートアップ | 3-30名 | 50-250万円 | DR+リファラル+Wantedly |
質の指標(QoH)と定着率
CPHと並んで重要なのがQoH(Quality of Hire、採用の質)です。米SHRM・LinkedInの調査では、上級人事の80%以上がQoH指標を採用KPIに組み込んでいます。定着率・パフォーマンス評価・入社後6ヶ月の目標達成率などを組み合わせて算出します。
QoH = (定着率 + 評価上位比率 + 入社後6ヶ月満足度) ÷ 3
CPHが低くてもQoHが低ければ、実質採用コストは高騰します。逆にリファラル・アルムナイ経由はCPHもQoHも高水準になるのが定説で、多くの先進企業が「リファラル比率30%」を目標に置いています。
部門・場面別 使い方
人事部 採用予算稟議
次年度採用計画(総採用人数・職種別)から、チャネルごとの最適配分と必要予算を算出。役員会・取締役会向けのプレゼン資料に反映。実質CPHでROIを説明することで、経営陣の理解が得やすくなります。
採用エージェント選定
紹介手数料の交渉時に、業界平均(年収の30-35%)から30%以下への引き下げ、成功報酬型からリテイナー型への変更、返金保証の6ヶ月から1年への延長など、複数指標で総合評価します。
スタートアップの資金計画
シリーズA-Bで人員を年10倍にする際、採用コストの年間バーンレートへの影響を試算。人材紹介依存だと1名150万円×10名=1,500万円が年次固定費に。DR・リファラル比率を早期に高める戦略が財務健全性に直結。
大量採用プロジェクト
店舗展開・工場新設で1年に50-100名を採用する場合、媒体(リクナビNEXT・Indeed)+自社サイト+合同説明会の総額と、応募数・内定承諾率から採用ファネルCPAを試算。1媒体300万円で50名採用は妥当か等を判断。
人事部門KPI設定
SHRM準拠のKPI(CPH・Time to Hire・Offer Acceptance Rate・Retention Rate 90 days)をダッシュボード化。経営会議で四半期ごとにレビュー。パーソル・リクルート等の外部ベンチマークと比較して優劣を可視化。
M&A・組織統合
買収後の人員配置計画・重複ポジション統廃合・不足職種の追加採用を1年で完遂する際、統合PMOの中で採用コストラインを策定。旧体制の採用費を50%削減しつつ、新体制の追加採用予算を確保するリバランスに活用。
よくある間違い・注意点
- 人事人件費を計上し忘れ — 求人媒体費だけをCPHと呼ぶのは誤り。ANSI/SHRM 06001基準では人事担当者の人件費・面接工数を必ず内部費用として含めます。20-40%を見落とす計算になります。
- 離職率を無視 — 1年以内離職率が20%なら実質CPHは1.25倍。厚労省「新規学卒就職者の離職状況」など公的統計で自社実績と業界平均を比較しましょう。
- 紹介手数料の「年収」の定義誤り — 紹介会社契約書では「理論年収=月給×12+固定賞与」が通例だが、「年収に業績賞与を含む」契約もあり、想定より20-30%高くなるケースがあります。
- 入社辞退率を無視 — 内定→入社の承諾率が7割なら、実効CPHは1.4倍。オファーレターの魅力度、面接体験、条件通知のスピードで差が出ます。
- 採用チャネルを1つに集中 — 媒体オンリー、紹介オンリーはリスク集中。3チャネル以上のポートフォリオ運用が定石。
- 時期による相場変動を見落とす — 転職市場は1-3月と9-10月に活況、8月と12月は閑散。求人広告費・スカウト効率も変動するため、時期別に予算配分を最適化するのが実務。
- 紹介予定派遣・SES契約の混同 — 職業安定法・労働者派遣法の対象で、直接雇用の採用単価と単純比較できません。契約形態別に区分計算が必要です。
関連する規格・法令
- ANSI/SHRM 06001.2012 ― Cost-per-Hire, American National Standard。米SHRMが策定したCPH算定の国際規格。外部費用・内部費用の内訳定義。
- 職業安定法(日本) ― 有料職業紹介事業の許可制、手数料規制、労働条件明示義務。人材紹介契約の基礎法令。
- 労働者派遣法 ― 派遣・紹介予定派遣の運用ルール。直接採用と派遣受入のコスト比較の前提。
- 雇用対策法・労働施策総合推進法 ― 求人票の年齢制限禁止(原則)等、募集要項の作成に影響。
- 個人情報保護法 ― 応募者データの取扱い、スカウトDB利用時のオプトイン管理。
- 労働基準法 ― 労働条件明示(労基法第15条)、試用期間の解雇規制。採用後の労務コスト設計に影響。
- 男女雇用機会均等法・育児介護休業法 ― 募集・採用における差別禁止、両立支援。多様性採用のコスト影響。
- 厚労省「雇用動向調査」 ― 入職率・離職率・入職経路の公的統計。CPH算定の基礎データ。
参考文献・公的資料
より詳細な採用コスト分析や業界統計は、以下の公的機関・専門機関の資料を参照してください。
- 厚生労働省「雇用動向調査」 ― 入職率・離職率・入職経路など、日本の労働市場の基幹統計。CPH算定の必須参照データ。
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」 ― 大卒・高卒の3年以内離職率。実質CPHの補正係数の根拠。
- SHRM「Cost-per-Hire: Concepts and Considerations」 ― ANSI/SHRM 06001規格の解説と算定例。国際基準の一次資料。
- リクルート「就職白書」 ― 新卒・中途採用の企業側コスト・学生側就職活動データの年次調査。
- パーソル総合研究所 ― 中途採用・エンゲージメント・人的資本経営の実態調査。業界別採用単価の参照元。
- マイナビ「中途採用状況調査」 ― 中途採用の企業側動向と採用チャネル別コスト調査。年次刊行。
- 全国民営職業紹介事業協会 ― 有料職業紹介事業の業界団体。手数料相場・契約標準の参照元。
- 日本人材紹介事業協会 ― 人材紹介事業者の業界団体。倫理綱領・契約ガイドライン。
- ハローワークインターネットサービス ― 公共職業安定所の求人・求職オンライン窓口。無料採用チャネル。
- 総務省統計局「労働力調査」 ― 就業者数・失業率などの基幹統計。採用市況の判断材料。
よくある質問(FAQ)
CPHの計算範囲はどこまで?
ANSI/SHRM 06001規格では外部費用(媒体費・紹介手数料・イベント費・スカウトDB利用料)と内部費用(採用担当者・面接官の人件費、システム費、研修費)の両方を含めます。「媒体費のみ」では過小計上、経営説明で誤解を生みます。
人材紹介の手数料は交渉できる?
可能です。標準は年収の30-35%ですが、複数採用のボリュームディスカウント、返金保証期間の延長、リテイナー型(月額固定)への変更などで実質20-25%まで下がるケースがあります。年間5名以上の紹介予定があれば必ず交渉すべきです。
リファラル採用のボーナス相場は?
10-50万円が主流で、エンジニア・専門職では50-100万円のケースも増えています。紹介者への支払いは所得税課税対象(給与所得または雑所得)となるため、税務処理に注意が必要です。
新卒採用と中途採用でCPHは違う?
大きく違います。新卒は1人50-100万円(媒体費・合説参加費・インターン費が主)、中途は職種により30-300万円(紹介手数料に依存)。新卒は「入社後3-5年で回収」の長期投資、中途は「即戦力の期待値」で見るのが実務です。
離職コストはどう計算する?
「採用コスト+研修コスト+機会損失+後任採用コスト」の合計で、多くの調査で年収の50-200%とされます。CPHが100万円でも、1年以内離職すれば実質数百万円のロスに。定着率とセットでの管理が必須です。
ハローワークは本当に0円?
掲載料は無料ですが、内部工数(求人票作成・応募対応・面接調整)は発生します。応募数・内定率が媒体経由より低い傾向があるため、人事工数を含めると1名あたり10-30万円相当の内部コストが実質発生していると考えるべきです。
Time to Hireとの関係は?
Time to Hire(募集開始から入社決定までの日数)はCPHと逆相関の関係。長引くほど媒体掲載費・面接工数が増え、CPHが上昇します。SHRM調査では業界平均42日、テック業界60日が目安。プロセス短縮がコスト最適化の要です。
スタートアップに適した採用手法は?
初期はリファラル+Wantedly+DR(ビズリーチ・LinkedIn)の組み合わせが定石。CPHは高くなりがちですが、カルチャーフィットの高い人材を採れるためQoHが高く、実質ROIが高い傾向。シリーズB以降は紹介依存が増える段階で、リファラル体制の整備が急務になります。
ダイレクトリクルーティングの実際のコスト構造は?
DB利用料(ビズリーチ月20-50万円)+スカウト送信工数(100件で20-40時間)+面接工数。1名採用あたり50-150万円が目安で、紹介手数料より安いが人事工数負担が大きい。専門スカウターの内製化かRPO活用の判断が分かれ目です。
採用マーケティングオートメーション(RPO/ATS)は元が取れる?
年間採用20名以上、ATS(Applicant Tracking System)導入費50-200万円/年で、応募管理・スケジュール自動化により人事工数を30-50%削減できるケースが多い。応募者数が多い企業ほど費用対効果は明確です。
採用ブランディングは費用対効果があるか?
オウンドメディア構築100-500万円、社員インタビュー動画1本20-50万円で立ち上げ、継続運用で3年後に応募単価が半減した事例が報告されています。短期ROIは見えづらいが、5年スパンでは中途採用でも新卒でも大きな効率化に寄与します。
外国人採用のコスト特性は?
在留資格取得(技術・人文知識・国際業務、特定技能等)の行政書士費用(10-30万円)、日本語教育(半年で30-100万円)、住居手配(初期費用30-100万円)等が追加で発生。1名あたりの追加コストは50-200万円の見込みが必要です。