ねじ径M計算ツール|M3〜M30の有効径・下穴径・ピッチ・ナット幅早見
ISOメートルねじ(M3〜M30)の有効径・下穴径・ピッチ・ナット二面幅・呼び断面積・引張強度・締付トルクを一画面で確認。並目/細目、JIS B 0205/ISO 68準拠。ステンレス・アルミ・鉄への締結、タップ加工、工具選定の実務に対応します。
ねじ径M 寸法・トルク計算
計算式と用語定義
基本寸法の関係式
呼び径 d = 外径(おねじの山の頂を結ぶ円の直径)
ピッチ P = 隣接するねじ山の頂点間距離
有効径 d₂ = d − 0.6495 × P
谷径 d₁ = d − 1.0825 × P
下穴径 ≒ d − P(並目タップ用)
メートル並目ねじ(ISO M)はISO 68で規定される60°山角の三角ねじで、日本ではJIS B 0205として制定。M3・M6・M10のようにMに続く数字が呼び径(外径mm)を示します。同じM8でも並目(ピッチ1.25)と細目(1.0/0.75)があるため、注文・図面指示では「M8×1.25」のように併記します。
呼び断面積の計算
呼び断面積 As = π/4 × ((d₂ + d₃)/2)² (mm²)
d₃ = 谷径 = d - 1.226869 × P
呼び断面積は引張強度計算に用いる代表面積で、有効径と谷径の平均値を直径として算出します。M8のAsは36.6mm²、M10で58.0mm²、M16で157mm²など。
締付トルクと軸力の関係
締付トルク T = K × F × d (N·m)
K:トルク係数(乾燥0.20、油付0.15)、F:軸力(N)、d:呼び径(mm)
実務では規格値に依らずK=0.20を採用してカタログトルク値を計算するのが標準。強度区分8.8のM10で49 N·m、M12で85 N·m、M16で210 N·m前後が推奨締付トルクです。
M3〜M30寸法早見表(並目)
JIS B 0205「一般用メートルねじ」の並目寸法。プラス・マイナス誤差は6H/6g等の等級で規定されます。
| 呼び | 外径 d | ピッチ P | 有効径 d₂ | 谷径 d₁ | 下穴径 | 断面積 As mm² | ナット幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| M3 | 3.00 | 0.50 | 2.675 | 2.459 | 2.5 | 5.03 | 5.5 |
| M4 | 4.00 | 0.70 | 3.545 | 3.242 | 3.3 | 8.78 | 7 |
| M5 | 5.00 | 0.80 | 4.480 | 4.134 | 4.2 | 14.2 | 8 |
| M6 | 6.00 | 1.00 | 5.350 | 4.917 | 5.0 | 20.1 | 10 |
| M8 | 8.00 | 1.25 | 7.188 | 6.647 | 6.8 | 36.6 | 13 |
| M10 | 10.00 | 1.50 | 9.026 | 8.376 | 8.5 | 58.0 | 17 |
| M12 | 12.00 | 1.75 | 10.863 | 10.106 | 10.2 | 84.3 | 19 |
| M14 | 14.00 | 2.00 | 12.701 | 11.835 | 12.0 | 115 | 22 |
| M16 | 16.00 | 2.00 | 14.701 | 13.835 | 14.0 | 157 | 24 |
| M18 | 18.00 | 2.50 | 16.376 | 15.294 | 15.5 | 192 | 27 |
| M20 | 20.00 | 2.50 | 18.376 | 17.294 | 17.5 | 245 | 30 |
| M22 | 22.00 | 2.50 | 20.376 | 19.294 | 19.5 | 303 | 32 |
| M24 | 24.00 | 3.00 | 22.051 | 20.752 | 21.0 | 353 | 36 |
| M27 | 27.00 | 3.00 | 25.051 | 23.752 | 24.0 | 459 | 41 |
| M30 | 30.00 | 3.50 | 27.727 | 26.211 | 26.5 | 561 | 46 |
細目ねじピッチ表
細目(Fine)ねじは並目よりピッチが小さく、締結力が高い・振動でゆるみにくい・強度低下が少ないという特徴があります。自動車・航空機・精密機器で頻用。指示は「M8×1.0」のように呼び径×ピッチで書きます。
| 呼び径 | 並目P | 細目P(第1) | 細目P(第2) |
|---|---|---|---|
| M8 | 1.25 | 1.0 | 0.75 |
| M10 | 1.50 | 1.25 | 1.0/0.75 |
| M12 | 1.75 | 1.50 | 1.25/1.0 |
| M14 | 2.00 | 1.50 | 1.25 |
| M16 | 2.00 | 1.50 | — |
| M18 | 2.50 | 2.00 | 1.50/1.0 |
| M20 | 2.50 | 2.00 | 1.50/1.0 |
| M24 | 3.00 | 2.00 | 1.50/1.0 |
| M30 | 3.50 | 2.00 | 1.50/1.0 |
細目はタップ折れリスクが並目より高く、下穴精度・切削油の管理が重要です。
締付トルク早見(強度区分別)
ボルトの降伏点の70%を締付軸力とし、トルク係数K=0.20(乾燥)で計算した推奨値です。実務では対象材質・座面状態で調整してください。
| 呼び | 4.8 N·m | 8.8 N·m | 10.9 N·m | 12.9 N·m | SUS304(A2-70) |
|---|---|---|---|---|---|
| M3 | 0.6 | 1.3 | 1.8 | 2.1 | 1.1 |
| M4 | 1.3 | 2.9 | 4.1 | 4.9 | 2.5 |
| M5 | 2.6 | 5.7 | 8.1 | 9.7 | 4.8 |
| M6 | 4.4 | 9.8 | 13.8 | 16.6 | 8.3 |
| M8 | 10.7 | 23.8 | 33.5 | 40.2 | 20 |
| M10 | 21.1 | 47.1 | 66.3 | 79.6 | 40 |
| M12 | 36.9 | 82.5 | 116 | 139 | 70 |
| M14 | 58.7 | 131 | 184 | 221 | 112 |
| M16 | 91.5 | 205 | 287 | 346 | 175 |
| M20 | 179 | 399 | 561 | 674 | 340 |
| M24 | 309 | 691 | 972 | 1,166 | 590 |
| M30 | 620 | 1,388 | 1,952 | 2,342 | 1,180 |
油付・二硫化モリブデン塗布ではK=0.15になり、トルク値は約25%低下します。トルクレンチのcal(校正)期限にも注意。
下穴径・タップ選定表
タップ加工での下穴径選定表。かかり率75%(強度重視)と50%(切削抵抗低減)を併記。
| 呼び | ピッチ | 下穴(75%) | 下穴(50%) | ドリル選定 |
|---|---|---|---|---|
| M3 | 0.50 | 2.5 | 2.7 | 2.5mmキリ |
| M4 | 0.70 | 3.3 | 3.5 | 3.3mmキリ |
| M5 | 0.80 | 4.2 | 4.4 | 4.2mmキリ |
| M6 | 1.00 | 5.0 | 5.2 | 5.0mmキリ |
| M8 | 1.25 | 6.8 | 7.1 | 6.8mmキリ |
| M10 | 1.50 | 8.5 | 8.9 | 8.5mmキリ |
| M12 | 1.75 | 10.2 | 10.6 | 10.2mmキリ |
| M14 | 2.00 | 12.0 | 12.5 | 12.0mmキリ |
| M16 | 2.00 | 14.0 | 14.5 | 14.0mmキリ |
| M20 | 2.50 | 17.5 | 18.1 | 17.5mmキリ |
| M24 | 3.00 | 21.0 | 21.7 | 21.0mmキリ |
ステンレス・チタンなど加工性の悪い材料には、切削油(タッピングオイル)使用が必須。折れ防止に50%かかり率も選択肢です。
強度区分と材質
ボルトの強度は2桁数字(4.8/8.8/10.9/12.9)で表示。1桁目×100=引張強度(MPa)、2桁目÷10=降伏比。ステンレスはA2/A4-70/80のようにオーステナイト系記号と引張強度で表記します。
| 強度区分 | 引張強度 MPa | 降伏点 MPa | 典型材質 |
|---|---|---|---|
| 4.6 | 400 | 240 | SS400 一般構造用 |
| 4.8 | 400 | 320 | 低炭素鋼 標準ボルト |
| 8.8 | 800 | 640 | 中炭素鋼焼入れ(高強度) |
| 10.9 | 1,040 | 940 | 合金鋼(超高強度) |
| 12.9 | 1,220 | 1,100 | クロムモリブデン鋼(最高強度) |
| A2-70 | 700 | 450 | SUS304 ステンレス |
| A4-80 | 800 | 600 | SUS316 高耐食ステンレス |
業界での応用
機械設計・機構部品
M6-M16が汎用寸法。強度区分8.8ボルトが標準。降伏点70%締付が業界慣行で、トルクレンチによる管理が主流。振動環境ではダブルナット・スプリングワッシャ・緩み止めナット併用。
自動車・二輪整備
エンジンヘッドボルトM10-M12、ホイールナットM12/M14、キャリパーボルトM10。細目ねじ多用。締付トルクはメーカー整備マニュアル参照必須。塑性域締付(角度法)も採用される。
建築・鉄骨工事
高力ボルトF10T/F8T(降伏点10.9/8.8相当)でM20/M22/M24が主流。ボルト頭にF10T刻印。トルクシャー式で導入軸力管理。JIS B 1186高力六角ボルト規格。
プラント・配管
フランジ用スタッドボルトM12-M64。ASME B16.5規格。締付順序(星型)・トルク段階(30%→60%→100%)必須。潤滑剤の種類(グラファイト・二硫化モリブデン)でトルク係数変わる。
精密機器・電子部品
M2-M4の極小ねじ多用。真鍮・アルミ材への締結で潰れ・穴つぶれ注意。トルクドライバー(0.1-3 N·m)で管理。細目化・低頭・皿・トリロバなどバリエーション豊富。
DIY・家具組立
M4-M8がホームセンター標準。IKEA・カラーボックスに多用。ドライバー・六角レンチで手締めが基本、締めすぎで木材割れ注意。鬼目ナット・爪付きナットで木部強化。
よくある間違い・注意点
- 並目と細目を間違える — 同じM8でも並目P1.25と細目P1.0があります。ナットとボルトのピッチ違いは絶対に噛み合いません。図面指示は「M8×1.25」のように必ずピッチ併記が安全。
- 下穴径を呼び径と同じにする — M8の下穴は8.0mmではなく6.8mm(呼び径-ピッチ)。ドリル選定を間違えるとねじが切れず、材料廃棄になります。
- 締めすぎで塑性域に入る — 推奨トルクの1.2倍を超えるとボルト降伏点を超え軸力が抜けます。「固く締めれば安全」は誤り。トルクレンチ校正が定期的に必要。
- ステンレスにステンレスをかじらせる — SUS同士の締結は焼付き(かじり)発生率が高い。二硫化モリブデン・グリスなど滑り剤塗布か、ボルト・ナット材質を変える(SUSボルト+スチールナット等)。
- インチねじ(UNC/UNF)と互換と思う — メートルねじ(ISO M)とインチねじは互換性なし。米国機械の補修部品調達時にM10とUNC 3/8"の混同でトラブル多発。
- ピッチ違いを目視判定 — M10並目1.5とM10細目1.25は素人目にはほぼ同じ。ねじピッチゲージ(1本100円台)を工具箱に常備しましょう。
- 再使用で軸力低下 — 塑性域締結ボルト・キャップスクリューは再使用不可。特に自動車エンジンヘッドボルトは必ず新品交換。
関連規格・法令
- JIS B 0205 ― 一般用メートルねじ。M0.25〜M300までの並目・細目寸法を規定。
- JIS B 0209 ― メートル並目ねじ-許容限界寸法及び公差。等級6H/6gの詳細。
- JIS B 1180 ― 六角ボルト。呼び径・長さ・材質・許容差の規格。
- JIS B 1181 ― 六角ナット。1種2種3種・スタイル1/スタイル2の区分。
- JIS B 1186 ― 摩擦接合用高力六角ボルト・ナット・平座金のセット。F8T/F10T/F11T。
- JIS B 1051 ― 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質。強度区分4.6〜12.9の定義。
- JIS B 1054 ― ステンレス鋼製ねじ部品の機械的性質。A2-70/A4-80等。
- ISO 68-1 ― ISO general purpose screw threads - Basic profile。メートルねじ基本山形。
- ISO 261 ― ISO general purpose metric screw threads - General plan。標準呼び径系列。
- ISO 898-1 ― Mechanical properties of fasteners made of carbon steel and alloy steel。国際強度区分。
- 建築基準法・鉄骨工事仕様書 ― 高力ボルト摩擦接合の設計・施工基準(JASS 6・SS-JIS 6)。
参考文献・公的資料
ねじ・締結技術に関する詳細資料は、以下の公的機関・学協会で参照可能です。
- 日本産業標準調査会(JISC) ― JIS規格の公式索引。B 0205・B 1180・B 1186等の全文検索・閲覧。
- ISO/TC 1 Screw threads ― ISOねじ専門委員会。国際ねじ規格の一次資料。
- 産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ) ― ねじゲージの国家標準。校正サービス。
- 国土交通省 建築基準法 ― 鉄骨工事・高力ボルトの建築規制。
- 日本材料学会 ― ねじ・締結の材料工学研究。
- 一般社団法人 日本鉄鋼連盟 ― 鋼材強度・成分の業界標準。
- 日本ファスナー工業会 技術情報 ― ねじの技術資料集(ボルト・ナット・座金)。
- 公益社団法人 自動車技術会 ― 自動車用ボルト・締結技術の学術団体。
- 日本製鉄 鋼材データベース ― 主要鋼材の機械的性質・化学成分。
よくある質問(FAQ)
M8の下穴径は?
並目(P1.25)の場合6.8mmが標準。かかり率75%相当。切削抵抗を下げたい場合は7.0mm(かかり率60%)まで拡大可能ですが、強度は約10%低下します。ステンレス・チタンなど硬い材料は7.0mmが推奨されることも。
細目ねじとは何が違う?
ピッチが並目より小さいねじ。M8並目1.25に対して細目は1.0または0.75。ゆるみにくく・強度低下が少ない・微調整可能などの利点があり、自動車・精密機器で多用。ただしタップ折れリスク・かじり発生率は上がります。
ステンレスとアルミで締付トルクは違う?
ボルト自体の強度で決まるため、ボルト材質が同じなら基本同じ。ただし相手材が柔らかい(アルミ・真鍮)場合は座面つぶれの限界が下がるため、規格値の70-80%に減らします。アルミ相手のSUSボルトは焼付きも要注意。
強度区分8.8と10.9の違いは?
1桁目×100=引張強度(MPa)。8.8は800MPa、10.9は1,040MPa。同じM10でも軸力・トルクが約1.3倍違います。10.9は高張力ボルト(HTB)と呼ばれ、機械設計・建設機械で多用。ボルト頭に「10.9」刻印があります。
M10の推奨締付トルクは?
強度区分8.8で約47 N·m(乾燥)、10.9で66 N·m、SUS304(A2-70)で40 N·m。潤滑剤付きなら約25%減。実務ではメーカー整備マニュアル指定値を最優先で参照してください。
ナット二面幅は呼び径の何倍?
おおむね呼び径×1.5〜1.75倍。M6=10mm、M8=13mm、M10=17mm、M12=19mm、M16=24mm。JIS B 1181で規格化されています。工具(スパナ・ソケット)選定の基準。二面幅寸法違いのメガネレンチ・ソケットセットを工具箱に用意。
タップ折れを防ぐには?
①下穴径を正確に開ける、②切削油(タッピングオイル)を必ず使う、③加工中は逆転で切り屑を排出、④2〜3回転進めて半回転戻す動作、⑤ハンドタップは必ず先端タップ→中タップ→上げタップの順で使う。折れた場合はタップ除去工具(タップ抜き)使用。
再使用可能なボルトの見分け方は?
塑性域締結・エンジンヘッド用は原則使い捨て(オーバートルクで伸びる)。標準ボルト(強度区分8.8以下)は変形・傷なし・ねじ山正常を目視確認できれば再使用可能。ステンレス・キャップスクリューでも損傷なければ数回まで可。
インチねじ(UNC/UNF)とメートルの互換性は?
互換性なし。ISO M系(60°山)と米国UNC/UNF(60°山だがピッチ違う)は寸法が全く異なります。M8とUNC 5/16"は近似寸法ですがピッチが違い噛み合いません。米国機械の補修は必ずインチ工具・インチ部品を使ってください。
油付きと乾燥でトルク値が違うのはなぜ?
締付トルクはねじ摩擦・座面摩擦を含めた合計で、潤滑があると摩擦低下でトルク係数Kが下がります(乾燥K=0.20→油付K=0.15)。同じ軸力を得るには油付でトルク約25%減。潤滑指定を守らないと過大軸力→ボルト破断につながります。
高力ボルトF10Tとは?
建築鉄骨の摩擦接合用高力ボルト。F10T = 引張強度10 kg/mm²(実際は1000MPa)・トルシア型。強度区分10.9相当。ボルト頭にF10T刻印。トルクシャー機でピンテール切断→適正軸力導入。JIS B 1186規格。
ねじピッチゲージの使い方は?
複数枚の刃先(0.5・0.75・1.0・1.25・1.5・1.75・2.0mm等)から、ねじ山にピタリと重なる刃を探すだけ。M10で並目1.5か細目1.25かを目視判別できる工具。1本100〜500円で工具箱の必需品。中華製の低価格品でも実用性は十分。