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ねじ径M計算ツール|M3〜M30の有効径・下穴径・ピッチ・ナット幅早見

ISOメートルねじ(M3〜M30)の有効径・下穴径・ピッチ・ナット二面幅・呼び断面積・引張強度・締付トルクを一画面で確認。並目/細目、JIS B 0205/ISO 68準拠。ステンレス・アルミ・鉄への締結、タップ加工、工具選定の実務に対応します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

ねじ径M 寸法・トルク計算

計算式と用語定義

基本寸法の関係式

呼び径 d = 外径(おねじの山の頂を結ぶ円の直径)
ピッチ P = 隣接するねじ山の頂点間距離
有効径 d₂ = d − 0.6495 × P
谷径 d₁ = d − 1.0825 × P
下穴径 ≒ d − P(並目タップ用)

メートル並目ねじ(ISO M)はISO 68で規定される60°山角の三角ねじで、日本ではJIS B 0205として制定。M3・M6・M10のようにMに続く数字が呼び径(外径mm)を示します。同じM8でも並目(ピッチ1.25)と細目(1.0/0.75)があるため、注文・図面指示では「M8×1.25」のように併記します。

呼び断面積の計算

呼び断面積 As = π/4 × ((d₂ + d₃)/2)² (mm²)
d₃ = 谷径 = d - 1.226869 × P

呼び断面積は引張強度計算に用いる代表面積で、有効径と谷径の平均値を直径として算出します。M8のAsは36.6mm²、M10で58.0mm²、M16で157mm²など。

締付トルクと軸力の関係

締付トルク T = K × F × d (N·m)
K:トルク係数(乾燥0.20、油付0.15)、F:軸力(N)、d:呼び径(mm)

実務では規格値に依らずK=0.20を採用してカタログトルク値を計算するのが標準。強度区分8.8のM10で49 N·m、M12で85 N·m、M16で210 N·m前後が推奨締付トルクです。

M3〜M30寸法早見表(並目)

JIS B 0205「一般用メートルねじ」の並目寸法。プラス・マイナス誤差は6H/6g等の等級で規定されます。

呼び外径 dピッチ P有効径 d₂谷径 d₁下穴径断面積 As mm²ナット幅
M33.000.502.6752.4592.55.035.5
M44.000.703.5453.2423.38.787
M55.000.804.4804.1344.214.28
M66.001.005.3504.9175.020.110
M88.001.257.1886.6476.836.613
M1010.001.509.0268.3768.558.017
M1212.001.7510.86310.10610.284.319
M1414.002.0012.70111.83512.011522
M1616.002.0014.70113.83514.015724
M1818.002.5016.37615.29415.519227
M2020.002.5018.37617.29417.524530
M2222.002.5020.37619.29419.530332
M2424.003.0022.05120.75221.035336
M2727.003.0025.05123.75224.045941
M3030.003.5027.72726.21126.556146

細目ねじピッチ表

細目(Fine)ねじは並目よりピッチが小さく、締結力が高い・振動でゆるみにくい・強度低下が少ないという特徴があります。自動車・航空機・精密機器で頻用。指示は「M8×1.0」のように呼び径×ピッチで書きます。

呼び径並目P細目P(第1)細目P(第2)
M81.251.00.75
M101.501.251.0/0.75
M121.751.501.25/1.0
M142.001.501.25
M162.001.50
M182.502.001.50/1.0
M202.502.001.50/1.0
M243.002.001.50/1.0
M303.502.001.50/1.0

細目はタップ折れリスクが並目より高く、下穴精度・切削油の管理が重要です。

締付トルク早見(強度区分別)

ボルトの降伏点の70%を締付軸力とし、トルク係数K=0.20(乾燥)で計算した推奨値です。実務では対象材質・座面状態で調整してください。

呼び4.8 N·m8.8 N·m10.9 N·m12.9 N·mSUS304(A2-70)
M30.61.31.82.11.1
M41.32.94.14.92.5
M52.65.78.19.74.8
M64.49.813.816.68.3
M810.723.833.540.220
M1021.147.166.379.640
M1236.982.511613970
M1458.7131184221112
M1691.5205287346175
M20179399561674340
M243096919721,166590
M306201,3881,9522,3421,180

油付・二硫化モリブデン塗布ではK=0.15になり、トルク値は約25%低下します。トルクレンチのcal(校正)期限にも注意。

下穴径・タップ選定表

タップ加工での下穴径選定表。かかり率75%(強度重視)と50%(切削抵抗低減)を併記。

呼びピッチ下穴(75%)下穴(50%)ドリル選定
M30.502.52.72.5mmキリ
M40.703.33.53.3mmキリ
M50.804.24.44.2mmキリ
M61.005.05.25.0mmキリ
M81.256.87.16.8mmキリ
M101.508.58.98.5mmキリ
M121.7510.210.610.2mmキリ
M142.0012.012.512.0mmキリ
M162.0014.014.514.0mmキリ
M202.5017.518.117.5mmキリ
M243.0021.021.721.0mmキリ

ステンレス・チタンなど加工性の悪い材料には、切削油(タッピングオイル)使用が必須。折れ防止に50%かかり率も選択肢です。

強度区分と材質

ボルトの強度は2桁数字(4.8/8.8/10.9/12.9)で表示。1桁目×100=引張強度(MPa)、2桁目÷10=降伏比。ステンレスはA2/A4-70/80のようにオーステナイト系記号と引張強度で表記します。

強度区分引張強度 MPa降伏点 MPa典型材質
4.6400240SS400 一般構造用
4.8400320低炭素鋼 標準ボルト
8.8800640中炭素鋼焼入れ(高強度)
10.91,040940合金鋼(超高強度)
12.91,2201,100クロムモリブデン鋼(最高強度)
A2-70700450SUS304 ステンレス
A4-80800600SUS316 高耐食ステンレス

業界での応用

機械設計・機構部品

M6-M16が汎用寸法。強度区分8.8ボルトが標準。降伏点70%締付が業界慣行で、トルクレンチによる管理が主流。振動環境ではダブルナット・スプリングワッシャ・緩み止めナット併用。

自動車・二輪整備

エンジンヘッドボルトM10-M12、ホイールナットM12/M14、キャリパーボルトM10。細目ねじ多用。締付トルクはメーカー整備マニュアル参照必須。塑性域締付(角度法)も採用される。

建築・鉄骨工事

高力ボルトF10T/F8T(降伏点10.9/8.8相当)でM20/M22/M24が主流。ボルト頭にF10T刻印。トルクシャー式で導入軸力管理。JIS B 1186高力六角ボルト規格。

プラント・配管

フランジ用スタッドボルトM12-M64。ASME B16.5規格。締付順序(星型)・トルク段階(30%→60%→100%)必須。潤滑剤の種類(グラファイト・二硫化モリブデン)でトルク係数変わる。

精密機器・電子部品

M2-M4の極小ねじ多用。真鍮・アルミ材への締結で潰れ・穴つぶれ注意。トルクドライバー(0.1-3 N·m)で管理。細目化・低頭・皿・トリロバなどバリエーション豊富。

DIY・家具組立

M4-M8がホームセンター標準。IKEA・カラーボックスに多用。ドライバー・六角レンチで手締めが基本、締めすぎで木材割れ注意。鬼目ナット・爪付きナットで木部強化。

よくある間違い・注意点

  • 並目と細目を間違える — 同じM8でも並目P1.25と細目P1.0があります。ナットとボルトのピッチ違いは絶対に噛み合いません。図面指示は「M8×1.25」のように必ずピッチ併記が安全。
  • 下穴径を呼び径と同じにする — M8の下穴は8.0mmではなく6.8mm(呼び径-ピッチ)。ドリル選定を間違えるとねじが切れず、材料廃棄になります。
  • 締めすぎで塑性域に入る — 推奨トルクの1.2倍を超えるとボルト降伏点を超え軸力が抜けます。「固く締めれば安全」は誤り。トルクレンチ校正が定期的に必要。
  • ステンレスにステンレスをかじらせる — SUS同士の締結は焼付き(かじり)発生率が高い。二硫化モリブデン・グリスなど滑り剤塗布か、ボルト・ナット材質を変える(SUSボルト+スチールナット等)。
  • インチねじ(UNC/UNF)と互換と思う — メートルねじ(ISO M)とインチねじは互換性なし。米国機械の補修部品調達時にM10とUNC 3/8"の混同でトラブル多発。
  • ピッチ違いを目視判定 — M10並目1.5とM10細目1.25は素人目にはほぼ同じ。ねじピッチゲージ(1本100円台)を工具箱に常備しましょう。
  • 再使用で軸力低下 — 塑性域締結ボルト・キャップスクリューは再使用不可。特に自動車エンジンヘッドボルトは必ず新品交換。

関連規格・法令

  • JIS B 0205 ― 一般用メートルねじ。M0.25〜M300までの並目・細目寸法を規定。
  • JIS B 0209 ― メートル並目ねじ-許容限界寸法及び公差。等級6H/6gの詳細。
  • JIS B 1180 ― 六角ボルト。呼び径・長さ・材質・許容差の規格。
  • JIS B 1181 ― 六角ナット。1種2種3種・スタイル1/スタイル2の区分。
  • JIS B 1186 ― 摩擦接合用高力六角ボルト・ナット・平座金のセット。F8T/F10T/F11T。
  • JIS B 1051 ― 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質。強度区分4.6〜12.9の定義。
  • JIS B 1054 ― ステンレス鋼製ねじ部品の機械的性質。A2-70/A4-80等。
  • ISO 68-1 ― ISO general purpose screw threads - Basic profile。メートルねじ基本山形。
  • ISO 261 ― ISO general purpose metric screw threads - General plan。標準呼び径系列。
  • ISO 898-1 ― Mechanical properties of fasteners made of carbon steel and alloy steel。国際強度区分。
  • 建築基準法・鉄骨工事仕様書 ― 高力ボルト摩擦接合の設計・施工基準(JASS 6・SS-JIS 6)。

参考文献・公的資料

ねじ・締結技術に関する詳細資料は、以下の公的機関・学協会で参照可能です。

※本ページの寸法・トルク値はJIS/ISOに基づく代表値です。実際の設計・施工では、対象部品の図面・使用材質・締結条件を確認し、有資格者(機械設計技術者・特級技能士等)による判断が必要です。建築鉄骨・自動車・航空機・圧力容器など法令規制が厳しい用途では、必ず一次規格書・メーカー技術資料・整備マニュアルを参照してください。

よくある質問(FAQ)

M8の下穴径は?

並目(P1.25)の場合6.8mmが標準。かかり率75%相当。切削抵抗を下げたい場合は7.0mm(かかり率60%)まで拡大可能ですが、強度は約10%低下します。ステンレス・チタンなど硬い材料は7.0mmが推奨されることも。

細目ねじとは何が違う?

ピッチが並目より小さいねじ。M8並目1.25に対して細目は1.0または0.75。ゆるみにくく・強度低下が少ない・微調整可能などの利点があり、自動車・精密機器で多用。ただしタップ折れリスク・かじり発生率は上がります。

ステンレスとアルミで締付トルクは違う?

ボルト自体の強度で決まるため、ボルト材質が同じなら基本同じ。ただし相手材が柔らかい(アルミ・真鍮)場合は座面つぶれの限界が下がるため、規格値の70-80%に減らします。アルミ相手のSUSボルトは焼付きも要注意。

強度区分8.8と10.9の違いは?

1桁目×100=引張強度(MPa)。8.8は800MPa、10.9は1,040MPa。同じM10でも軸力・トルクが約1.3倍違います。10.9は高張力ボルト(HTB)と呼ばれ、機械設計・建設機械で多用。ボルト頭に「10.9」刻印があります。

M10の推奨締付トルクは?

強度区分8.8で約47 N·m(乾燥)、10.9で66 N·m、SUS304(A2-70)で40 N·m。潤滑剤付きなら約25%減。実務ではメーカー整備マニュアル指定値を最優先で参照してください。

ナット二面幅は呼び径の何倍?

おおむね呼び径×1.5〜1.75倍。M6=10mm、M8=13mm、M10=17mm、M12=19mm、M16=24mm。JIS B 1181で規格化されています。工具(スパナ・ソケット)選定の基準。二面幅寸法違いのメガネレンチ・ソケットセットを工具箱に用意。

タップ折れを防ぐには?

①下穴径を正確に開ける、②切削油(タッピングオイル)を必ず使う、③加工中は逆転で切り屑を排出、④2〜3回転進めて半回転戻す動作、⑤ハンドタップは必ず先端タップ→中タップ→上げタップの順で使う。折れた場合はタップ除去工具(タップ抜き)使用。

再使用可能なボルトの見分け方は?

塑性域締結・エンジンヘッド用は原則使い捨て(オーバートルクで伸びる)。標準ボルト(強度区分8.8以下)は変形・傷なし・ねじ山正常を目視確認できれば再使用可能。ステンレス・キャップスクリューでも損傷なければ数回まで可。

インチねじ(UNC/UNF)とメートルの互換性は?

互換性なし。ISO M系(60°山)と米国UNC/UNF(60°山だがピッチ違う)は寸法が全く異なります。M8とUNC 5/16"は近似寸法ですがピッチが違い噛み合いません。米国機械の補修は必ずインチ工具・インチ部品を使ってください。

油付きと乾燥でトルク値が違うのはなぜ?

締付トルクはねじ摩擦・座面摩擦を含めた合計で、潤滑があると摩擦低下でトルク係数Kが下がります(乾燥K=0.20→油付K=0.15)。同じ軸力を得るには油付でトルク約25%減。潤滑指定を守らないと過大軸力→ボルト破断につながります。

高力ボルトF10Tとは?

建築鉄骨の摩擦接合用高力ボルト。F10T = 引張強度10 kg/mm²(実際は1000MPa)・トルシア型。強度区分10.9相当。ボルト頭にF10T刻印。トルクシャー機でピンテール切断→適正軸力導入。JIS B 1186規格。

ねじピッチゲージの使い方は?

複数枚の刃先(0.5・0.75・1.0・1.25・1.5・1.75・2.0mm等)から、ねじ山にピタリと重なる刃を探すだけ。M10で並目1.5か細目1.25かを目視判別できる工具。1本100〜500円で工具箱の必需品。中華製の低価格品でも実用性は十分。