計算ツール
単位照度JIS

照度シーン別計算機|月明かり・オフィス・晴天までのlx目安とJIS Z 9110推奨照度

照度(lux)を月明かり0.1 lxから晴天10万 lxまで、シーン別に即算出。JIS Z 9110「照明基準総則」に基づく事務所・工場・学校・住宅の推奨照度、労働安全衛生規則の事務所照度基準、道路照明のJIS Z 9111まで、公的規格を踏まえて解説します。家庭・PC作業・読書・精密工作・撮影の照度設計にどうぞ。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

照度シーン別ツール

照度の定義と計算式

基本式

照度 E (lx) = 光束 Φ (lm) ÷ 被照面積 A (m²)

1 lx = 1 lm/m² (SI組立単位)

照度は単位面積あたりに入射する光束で、単位はルクス(lx)。照明器具のカタログ値である光束(lm)を、被照面(机上面・床面)の面積(m²)で割ると、机上照度の概算値になります。ただし壁・天井の反射、器具の配光特性、保守率(汚れによる減衰)を考慮すると実測値は下がるため、実務では光束法(N灯法)で照明率U・保守率Mを掛けて設計します。

実務で使う光束法

E = (N × F × U × M) / A

N=灯数、F=1灯の光束(lm)、U=照明率(0.4〜0.7)、M=保守率(0.6〜0.8)、A=面積(m²)。JIS Z 9110の推奨照度を確保するには、この式で必要灯数を逆算します。天井の高さ、内装の反射率、器具の配光曲線で照明率が変わるため、詳細設計では照明メーカーの器具データが必要です。

照度の派生指標

関連指標として、輝度(cd/m²)=光の面から見た明るさ、光度(cd)=光源の強さ、光束(lm)=光の総量があります。眩しさ(グレア)の評価には輝度、街灯や車のヘッドライトの規制には光度、器具選定には光束を用います。

シーン別照度早見(15段階)

身の回りのシーンの照度をおおまかにまとめました。屋外と屋内では10,000倍以上の差があり、人間の目の順応で気付きにくいものの、写真撮影・光量測定では大きな違いになります。

シーン照度 (lx)状況・視認性
星明かり(月なし)0.001物の輪郭のみ
三日月の夜0.01顔判別困難
満月の屋外0.1〜0.3顔がぼんやり見える
ろうそく1m10幻想的・食事雰囲気
住宅街の街灯下5〜30歩行可能
寝室・くつろぎ30〜100JIS家庭寝室推奨
コンビニ通路500陳列視認性優先
リビング(全体)150〜300JIS住宅居間推奨
食卓・ダイニング300〜500料理の色が映える
読書・学習机500〜750目の疲労軽減
オフィス事務所750JIS Z 9110推奨
製図・精密作業1,000〜2,000細部視認
手術野(局部)10,000〜100,000無影灯JIS T 1701
曇天の屋外10,000〜25,000雲による拡散光
真夏晴天の屋外100,000〜130,000直射日光下

JIS Z 9110の推奨照度

JIS Z 9110「照明基準総則」は日本産業標準調査会(JISC)が定める照明設計の基本規格。屋内の作業・活動に応じた推奨照度Emを規定しており、事務所・工場・学校・病院・住宅・商業施設の各領域で細分化されています。

用途領域・作業推奨照度 Em(lx)
事務所設計・製図・キーボード操作750
事務所執務・会議500
事務所受付・エレベーターホール300
学校製図室・実験室750
学校教室(黒板面)500
工場精密機械組立1,500
工場一般作業500
病院手術野(局部)10,000〜100,000
病院診察室500
住宅居間(全体)150〜300
住宅食堂・ダイニング300
住宅読書・勉強500〜750
住宅寝室(全体)30〜100
商業売場(コンビニ)500〜750

この推奨照度Emは維持照度(器具汚れ・ランプ経年劣化を考慮した最低保証値)。新設時はこの1.25〜1.5倍で設計し、経年で維持照度に達するまで実用範囲とします。

家庭・住宅の照度設計

部屋別の推奨

リビング(150〜300 lx)

全体照明(シーリング)で150〜300 lxを確保し、読書・食事コーナーには追加でスタンド・ペンダントで500〜750 lxを局所提供。全体を均一に明るくすると逆に落ち着かないため、明暗のゾーニングが重要。

寝室(30〜100 lx)

就寝前の照度は暗めが基本。100 lx以下でメラトニン分泌を阻害せず、睡眠導入を助けます。読書用スタンドは手元500 lx確保しつつ、間接光にすると眩しさが軽減。

キッチン(500 lx、手元は750 lx)

作業安全確保のため全体500 lx、包丁作業の手元は750 lx以上。シンクとコンロ直上にダウンライトで局所照明を追加するのが定番。

子供の学習机(750 lx)

JIS住宅の勉強領域推奨照度は500〜750 lx。デスクスタンドの直下で750 lxを確保し、部屋全体も200 lx以上に。デスクだけ明るいと目のコントラスト調節疲労が増します。

浴室・脱衣所(200 lx)

安全確保のため200 lx。ヒートショック対策で温度と合わせて設計。防湿型器具を使用。

玄関(100〜200 lx)

鍵操作・靴の紐結びの視認性で100〜200 lx。人感センサーで留守番中の暗さと来客時の明るさを両立できます。

オフィス・労働安全衛生規則

労働安全衛生規則 第604条は、事業者に対して労働者が常時就業する場所の作業面照度を、次のように定めています。

作業区分基準照度(lx)
精密な作業300 lx以上
普通の作業150 lx以上
粗な作業70 lx以上

2022年12月に改正が施行され、事務所則の照度基準は「一般的な事務作業=300 lx以上」「付随的な事務作業=150 lx以上」に強化されました。デスクワーク主体の職場では300 lxが法定最低ラインです。VDT作業ガイドライン(厚生労働省)では、画面反射防止のため書類面は300〜1,000 lx、画面上は500 lx以下を推奨しています。

グレア(眩しさ)への配慮

照度が十分でも、光源の輝度が高すぎると眩しさ(グレア)で作業効率が低下します。JIS Z 9110ではUGR(統合グレア評価値)を19以下(事務所)〜16以下(製図)と規定。ルーバー付き器具、間接照明、Ra(演色評価数)80以上のLED器具でグレア低減を図ります。

作業別の推奨照度

作業内容推奨照度(lx)備考
倉庫・通路75安全通行の最低ライン
粗な組立作業150労安則の粗作業
一般会話・会議200顔の表情視認
PC作業(参照書類あり)500〜750VDTガイドライン
製図・CAD750〜1,000細線の視認
精密部品組立1,500時計・電子基板
宝飾・時計修理2,000〜3,000ルーペ併用可
色検査・印刷1,500〜2,000Ra95以上必須
手術野(局部)10,000〜100,000無影灯

視覚作業が高精度になるほど照度要求は上がりますが、同時に演色性Ra色温度Kも重要。医療・印刷分野では色温度5,000K・Ra90以上が標準です。

屋外照明とJIS Z 9111

JIS Z 9111「道路照明基準」は屋外道路・歩道の照明基準を規定。国土交通省の「道路照明施設設置基準」と連動しており、道路種別・交通量・沿道環境に応じて路面輝度・照度を規定します。

道路種別路面照度(lx)路面輝度(cd/m²)
高速道路(交通量多)201.0
主要幹線道路150.7
幹線道路100.5
集散道路70.3
地区内道路3〜50.2
横断歩道30

横断歩道は歩行者の視認性確保のため路面照度30 lx以上と特に高く設定。光害対策としては環境省「光害対策ガイドライン」で、上方光束比・グレア規制も併せて考慮します。

光束(lm)⇔照度(lx)換算

照明器具選定で最頻用の換算です。以下は器具直下・保守率0.7・照明率0.5想定の目安値で、実測値は内装反射率と器具配光で±30%程度変動します。

部屋サイズ目標照度必要総光束(lm)
6畳(10 m²)500 lx約14,000 lm
6畳(10 m²)300 lx約8,500 lm
8畳(13 m²)500 lx約18,000 lm
10畳(16 m²)500 lx約23,000 lm
12畳(19 m²)500 lx約27,000 lm
20畳(33 m²)500 lx約47,000 lm

市販LEDシーリング(60W相当≒4,000 lm)を6畳に1灯設置しても300 lx確保が精一杯。JIS推奨500 lxを実現するには、間接光・スタンド併用が現実解です。

よくある間違い・注意点

  • 「明るい=いい」と単純化 — 過剰照度はグレアと眼精疲労を招きます。JIS Z 9110の推奨値は下限ではなく維持照度の目標値で、上限は概ね1.5倍まで。寝室で500 lxは睡眠障害の原因になります。
  • W(ワット)で明るさを比較 — LEDと蛍光灯と白熱灯で発光効率が異なるため、Wは明るさ指標にならない。lm(ルーメン)で比較してください。60W白熱=約800 lm、60W相当LED=約800 lmが目安。
  • 照度計を机上以外で測定 — JIS Z 9110は作業面(通常は机上0.75m)の照度を規定。床置き測定では過小評価、天井直下測定では過大評価になります。
  • 色温度・演色性を無視 — 印刷業・アパレル・食品売場では色の再現性が命。色温度5,000K・Ra90以上が推奨。安価LEDは色温度3,000Kかつ緑寄りで、料理が不味そうに映ります。
  • 保守率M=1.0で設計 — 器具汚れ・ランプ経年で光束は3〜5年で20〜30%減少。新設時は保守率0.7で設計し、経年で維持照度に達する余裕を持つ必要があります。
  • 屋外昼間の照度を屋内基準で判断 — 曇天10,000 lx、晴天100,000 lxは屋内推奨の20〜200倍。屋外撮影で「暗く見える」場合は、コントラスト調整の問題で照度不足ではありません。
  • 労安則の70 lxを事務所に適用 — 70 lxは「粗な作業(倉庫等)」の最低値。事務所は300 lx以上(2022年改正)が法令要件です。

関連する規格・法令

  • JIS Z 9110 ― 照明基準総則。屋内の作業・活動別の推奨照度Em、UGR(グレア)、演色性の基準。日本の照明設計の基本規格。
  • JIS Z 9111 ― 道路照明基準。路面輝度・照度・グレア規制、道路種別ごとの数値目標。
  • JIS Z 9112 ― 蛍光ランプ・LEDランプの光源色及び演色性による区分。
  • JIS T 1701 ― 医療用照明器具(無影灯)。手術野照度10,000〜100,000 lx、色温度・演色性規定。
  • 労働安全衛生規則 第604条 ― 労働者の就業場所の照度基準。精密作業300 lx、普通150 lx、粗な作業70 lx以上。
  • 事務所衛生基準規則 第10条 ― 2022年改正で「一般的事務作業=300 lx以上」「付随的事務作業=150 lx以上」に強化。
  • 建築基準法施行令 第19条 ― 学校の教室・保育室等の採光基準(有効採光面積比)。
  • 環境省 光害対策ガイドライン ― 屋外照明の上方光束比・グレア規制、天体観測・生態系保全のための照明設計指針。

参考文献・公的資料

より正確な照度基準や設計手法は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページの照度目安・シーン別データは概算値です。実際の照明設計・法令適合判定は、上記公的機関の最新規格・法令原文および建築士・電気設備技術者による設計計算を優先してください。特に労働安全衛生・医療用照明・道路照明では、有資格者の判断と実測(照度計JIS C 1609-1準拠)による検証が必要です。

よくある質問(FAQ)

家庭の標準照度はいくつ?

JIS Z 9110では居間全体150〜300 lx、寝室30〜100 lx、食卓300 lx、勉強・読書500〜750 lxを推奨。部屋の用途で目標を変え、明暗のゾーニングをするのが快適です。全体を均一に明るくすると逆に落ち着かなくなります。

PC作業に必要な照度は?

厚生労働省VDTガイドラインでは書類面300〜1,000 lx、画面上500 lx以下を推奨。JIS Z 9110の事務所執務照度は500〜750 lx、キーボード操作は750 lxが基準です。画面反射を防ぐため間接照明・タスクライトを併用してください。

労働安全衛生規則の照度基準は?

2022年12月改正で事務所の照度基準は「一般的事務作業=300 lx以上、付随的事務作業=150 lx以上」に強化されました。労安則第604条の「精密300・普通150・粗な70 lx」は今も工場等の作業場に適用されます。

寝室が暗いほど眠りやすい理由は?

光刺激でメラトニン分泌が抑制されるためです。100 lx以下、色温度2,700K以下の暖色系がJIS Z 9110の推奨。逆にスマホ画面(500 lx相当のブルーライト)は就寝前の使用で入眠を大幅に遅らせます。

lmとlxの違いは?

lm(ルーメン)=光の総量で光源の性能指標。lx(ルクス)=被照面の明るさで目安と法令基準に使います。E=Φ/A(照度=光束÷面積)の関係で相互換算。同じ2,000 lmでも6畳と12畳では照度が半分になります。

色温度と照度の関係は?

色温度は光の色(K)で、照度とは独立の指標。低い(2,700K)ほど暖色、高い(6,500K)ほど昼白色です。JIS Z 9110では作業内容・場所ごとに色温度も推奨(事務所5,000K、住宅居間3,000K)。演色性Raと合わせて選定します。

屋外の照度が桁違いなのは?

太陽光の直射日光は約100,000 lx、曇天でも10,000〜25,000 lx。人間の目は10⁴倍のダイナミックレンジで順応するため気付きにくいですが、光量測定・写真撮影・農業(植物工場)では大きな違いです。

手術野の10,000 lx以上が必要な理由は?

血液・組織の色識別、影を作らないための無影灯性能、微細な血管・神経の視認のためJIS T 1701で10,000〜100,000 lxが規定されています。演色性Ra95以上、色温度4,300〜5,000Kの高品質光源を使用します。

照度計はどう選ぶ?

JIS C 1609-1「照度計」準拠品を選択。研究・法令対応にはClass A(±3%以内)、日常点検にはClass B(±5%)で十分。校正はNMIJトレーサブルな校正機関(JCSS認定)で1〜2年ごと。スマホアプリの照度測定は参考程度に留めます。

LED照明で照度基準は満たしやすい?

LEDは発光効率100〜150 lm/Wと蛍光灯の1.5倍以上で、少ない消費電力で高照度を実現可能。ただし色温度・演色性の選定を誤ると眩しさ・色の悪さが顕在化。JIS Z 9112準拠品(Ra80以上、色温度指定)を選定してください。

間接照明の照度計算はどうする?

光束法(E=NFUM/A)の照明率Uを直接光源より低め(0.2〜0.3)に見積もり、実測で調整します。天井・壁の反射率(白系0.7、木調0.5)も影響大。ラフには「直接照明の必要光束×1.5〜2倍」を目安に設計するとよいでしょう。

光害対策で気をつけることは?

環境省ガイドラインでは上方光束比ULRを3種類(住宅地5%以下、市街地10%以下)、隣家への光漏れ(グレア)を制限。屋外投光器は下向き45°以下、遮光板付き器具の使用、点灯時間管理(タイマー・センサー)で対策します。