計算ツール
単位天文宇宙物理

宇宙距離計算機|光年・AU・パーセク・光秒の相互変換

宇宙距離の各単位を相互変換する無料電卓。光年(ly)・天文単位(AU)・パーセク(pc)・光秒・光分・光時・km・mまで対応し、太陽系惑星から観測可能宇宙(約930億光年)まで代表天体の距離早見表を掲載。IAU国際天文学連合・NASA・JAXAの公的データに基づき、単位の定義と天文観測での使い分けを解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

光年・天文単位ツール

各単位の定義と計算式

基本の定義

1 AU (天文単位) = 149,597,870,700 m (≒1.496×10⁸ km) [IAU 2012定義]
1 光年 (ly) = 9.4607×10¹² km ≒ 9.461兆km
1 パーセク (pc) = 3.0857×10¹³ km ≒ 30.857兆km = 3.2616光年
1 光秒 = 299,792,458 m ≒ 30万km(光の秒速)

天文単位(AU)は太陽-地球間の平均距離を基準に定めた単位で、IAU(国際天文学連合)が2012年に149,597,870,700 mと正確に定義しました。光年は光が真空中を1ユリウス年(365.25日)で進む距離、パーセクは年周視差1秒角となる距離で、恒星までの距離測定の実務単位です。

相互換算のショートカット

1 光年 = 63,241 AU
1 パーセク = 206,265 AU = 3.2616 光年
1 メガパーセク = 3,261,600 光年 ≒ 326万光年

キロパーセク(kpc)は銀河系内、メガパーセク(Mpc)は銀河間距離、ギガパーセク(Gpc)は観測可能宇宙のスケールで使われます。天文論文では「z=1」のような赤方偏移(cosmological redshift)を距離指標として使うのが一般的です。

光の到達時間で表す距離

光秒 ≒ 30万km/光分 ≒ 1,800万km/光時 ≒ 10.8億km/光日 ≒ 259億km

太陽-地球=約8光分20秒、太陽-木星=約43光分、太陽-海王星=約4光時、太陽-プロキシマケンタウリ=約4.2光年、と光の到達時間で距離を実感できるのが天文単位の特徴です。

単位の比較と使い分け

単位主な用途スケール
AU (天文単位)太陽系内(惑星軌道)0.4-30 AU
光秒/光分/光時太陽系内(直感的)光分〜光時
光年近傍恒星・銀河系内1-10万光年
パーセク (pc)専門家の恒星距離1-1000 pc
キロパーセク (kpc)銀河系構造1-30 kpc
メガパーセク (Mpc)近傍銀河群・銀河団1-100 Mpc
ギガパーセク (Gpc)観測可能宇宙全体0.1-10 Gpc
赤方偏移 z宇宙論的距離z=0〜11以上

一般教育・SFでは光年が最も直感的ですが、天文学の学術論文ではパーセクが主流。パーセク基準の理由は、視差測定という観測技術に直結しているためです。

太陽系内の距離早見表

NASA/JAXAが公表する太陽系の公式データに基づく代表値です。惑星の距離は「太陽からの平均距離(半長軸)」で示しています。

天体太陽からの距離AU光の到達時間
水星0.58億 km0.39 AU3分13秒
金星1.08億 km0.72 AU6分00秒
地球1.50億 km1.00 AU8分19秒
火星2.28億 km1.52 AU12分40秒
木星7.78億 km5.20 AU43分16秒
土星14.29億 km9.55 AU1時間19分
天王星28.75億 km19.22 AU2時間40分
海王星44.95億 km30.05 AU4時間10分
冥王星(平均)59.06億 km39.48 AU5時間28分
カイパーベルト外縁75億 km50 AU約7時間
ボイジャー1号(2026年時点)約242億 km162 AU約22時間
オールトの雲(内側)1,500億 km1,000 AU約6日
オールトの雲(外側)15兆 km10万 AU約1.6光年

地球〜太陽の8分19秒とは、今見ている太陽の光が8分19秒前のもの、ということ。火星との通信は片道12〜24分の遅延があり、火星探査機の運用計画に組み込まれています。

代表恒星までの距離早見表

恒星距離 (光年)距離 (パーセク)備考
プロキシマケンタウリ4.246 光年1.30 pc太陽に最も近い恒星
ケンタウルス座α星A・B4.37 光年1.34 pc連星系、プロキシマの伴星
バーナード星5.96 光年1.83 pc固有運動最大の恒星
シリウス(おおいぬ座α)8.60 光年2.64 pc全天最輝の恒星
プロキオン(こいぬ座α)11.4 光年3.51 pc冬の大三角の一角
アルタイル(彦星)16.7 光年5.12 pc夏の大三角
ベガ(織姫星)25.0 光年7.68 pc七夕伝説
アークトゥルス36.7 光年11.3 pc春の大曲線
カペラ(ぎょしゃ座α)42.9 光年13.2 pc冬の五角形
ポラリス(北極星)約433 光年約133 pc北天の目印
アルデバラン(おうし座α)65.2 光年20.0 pc牡牛の眼
スピカ(おとめ座α)250 光年77 pc青白い一等星
アンタレス(さそり座α)約550 光年約169 pc赤色超巨星
デネブ(はくちょう座α)約2,600 光年約800 pc夏の大三角、超遠方
ベテルギウス(オリオン座α)約640 光年約197 pc赤色超巨星、超新星候補

銀河系・宇宙のスケール

スケール距離備考
銀河系の直径約10万光年約30 kpc、渦巻銀河
銀河系の厚み約1,000光年渦盤の厚み
太陽の銀河中心からの距離約2.6万光年約8 kpc、オリオン腕
銀河系の中心ブラックホール(Sgr A*)2.6万光年2020年ノーベル賞
大マゼラン雲(LMC)16万光年南半球で肉眼可視
小マゼラン雲(SMC)20万光年南半球で肉眼可視
アンドロメダ銀河(M31)約250万光年肉眼で見える最遠天体
局部銀河群約1,000万光年約60個の銀河
おとめ座銀河団約5,900万光年1000個以上の銀河
局部超銀河団約2億光年ラニアケア超銀河団の一部
ラニアケア超銀河団約5億光年2014年発見の大構造
宇宙背景放射(CMB)約137億光年ビッグバンの残光
観測可能宇宙の半径約465億光年宇宙膨張を考慮

天文距離の測定方法

年周視差法(Parallax)

地球公転による恒星の位置変化(視差)を測って距離を求める最も基本的な方法。ESA(欧州宇宙機関)のGaia衛星が全天20億個の恒星を精密測定中。パーセクの定義もこの視差1秒角に由来します。数kpc(数万光年)までカバー。

ケフェイド変光星

周期と光度が比例するケフェイド型変光星を「標準光源」として使う。1912年ヘンリエッタ・リービットが発見した関係で、大マゼラン雲・アンドロメダ銀河の距離もこの方法で決定。ハッブル宇宙望遠鏡の主要業務。

Ia型超新星

白色矮星の熱核暴走爆発は絶対光度がほぼ一定(-19.3等)で「標準光源」となる。宇宙膨張の加速発見(2011年ノーベル物理学賞)もこの方法。数Gpc(数十億光年)までカバー。

赤方偏移(cosmological redshift)

宇宙膨張による波長のドップラー効果を測って距離を推定。ハッブル-ルメートルの法則 v=H₀×dで計算。ハッブル定数H₀は約70 km/s/Mpc。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がz=13以上の初期銀河を観測しています。

研究・宇宙開発での応用

惑星探査ミッション設計

JAXAはやぶさ・NASAボイジャーの軌道計算はAU単位で設計。木星スイングバイの位置ズレは数百km程度に収める精度が必要。距離データはNASA JPL(ジェット推進研究所)のSPICEカーネルで統一されています。

地球外知的生命体(SETI)研究

プロキシマケンタウリ4.2光年、地球型惑星が確認されており、電波観測の第一候補。往復通信に8年以上かかるため、片方向のメッセージ送受信が主体。カリフォルニアのAllen Telescope Arrayが主要施設。

系外惑星探査

NASA Kepler・TESS衛星が発見した系外惑星は5000個超。最も近い居住可能圏の惑星はプロキシマb(4.2光年)。距離とスペクトル解析から水の存在可能性を推定します。

宇宙論・ダークエネルギー研究

Ia型超新星の距離測定から宇宙膨張加速が発見された(1998年)。ダークエネルギーが全宇宙エネルギーの68%を占める最新モデルの根拠。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が最新データを更新中。

教育・プラネタリウム

光年・AUは科学館・プラネタリウムの解説で必須。日本科学未来館・国立科学博物館・すばる望遠鏡広報室などが体験型の距離感覚教材を提供しています。文部科学省の学習指導要領でも中学理科・高校物理で扱われます。

SF・エンタテインメント

「〇光年先の惑星」はSFの定番表現。スタートレック(ワープ航法)、スターウォーズ(ハイパースペース)なども光年距離を前提。実物理では亜光速航行でも数十年オーダー、超光速は現代物理では実現困難とされます。

よくある間違い

  • 光年を時間の単位と誤解 — 光年は距離の単位です。「光が1年で進む距離=9.461兆km」。「10光年後に彼はやってくる」は物理的におかしい表現(距離を時間の意味で使っている)。
  • 光年とパーセクの換算誤り — 1パーセク=3.26光年、1光年=0.307パーセク。専門論文はパーセク基準が主流で、一般解説は光年基準。相互換算を間違えると距離が3倍以上ズレます。
  • ハッブル定数の値混乱 — H₀≒70 km/s/Mpcが標準。Planck衛星は67.4、SH0ES観測は73.0と観測手法で異なる「ハッブル・テンション」問題があります。宇宙年齢や距離推定の元になる定数です。
  • 観測可能宇宙半径を「宇宙年齢×光速」と誤解 — 宇宙年齢138億年ですが、観測可能宇宙半径は約465億光年。宇宙膨張により、光が発せられた時点より遠くに退いた光源が見えています。
  • 星までの距離を可視光の届く速度と誤解 — 1光年先の星は「1年前の光」を見ている。デネブ2,600光年先の星は「2,600年前の姿」で、現在も存在するかは不明。時空の遅延を理解することが天文の基本です。
  • 惑星軌道を単純円で計算 — 惑星軌道は楕円(ケプラーの第一法則)。太陽-地球平均1.00 AUだが、近日点0.9832 AU、遠日点1.0167 AUと3%変動。地球-火星は0.37-2.66 AUと大きく変化します。
  • 「〇光年離れた星を見に行こう」の実感覚差 — 現代のロケットで光速の0.01%=秒速30 km。プロキシマ4.2光年に到達するのに約4万2000年かかります。人類が生きているうちに恒星間往来は現実的ではありません。

関連する規格・国際基準

  • IAU (国際天文学連合) 2012年定義 ― 1 AU = 149,597,870,700 m の正確な定義。天文単位の国際標準。
  • IAU (国際天文学連合) 1976年定義 ― 光年の定義(ユリウス年365.25日を使用)。1 ly = 9.4607×10¹² km。
  • SI単位系 (国際単位系) ― 光速 c = 299,792,458 m/s は定義値。全単位の基準。
  • NIST SP 811 ― 米国国立標準技術研究所のSI単位使用ガイド。天文単位の記述基準。
  • ISO 80000-3 ― 量および単位 第3部:空間及び時間。天文距離の表記標準。
  • NASA/JPL SPICEカーネル ― 太陽系天体の位置・軌道データの世界標準。宇宙探査機の航法基盤。

参考文献・公的資料

※本ページの数値はIAU 2012年定義・NASA/JAXAの公表データ2024-2025年時点の代表値です。距離は視差測定精度・観測手法により継続的に更新され、恒星距離は年々改訂されます。学術論文・研究報告での引用にはIAU・NASA/JAXA最新の一次資料を参照してください。プラネタリウム・科学教育での使用時は、国立天文台の最新資料を推奨します。

よくある質問(FAQ)

光年は時間ですか?距離ですか?

距離です。光が真空中を1ユリウス年(365.25日)で進む距離=約9.461兆kmを1光年と定義します。日常語で「光年後」と時間の意味で使う表現は、物理的には誤り。天文学ではIAUの1976年定義に基づく厳密な単位として運用されています。

天体観測の単位は光年ですか?

専門家はパーセク(pc)が主流です。1パーセク≒3.26光年で、年周視差1秒角となる距離。視差測定という観測技術に直結するため学術論文の標準単位です。一般向け解説では光年が直感的で、両方が使い分けられています。

太陽から地球までの距離は?

1天文単位(AU)=1億4959万7870.7 km(IAU 2012年定義)。光の到達時間は約8分19秒。太陽の光が今地球に届いているのは8分19秒前の光ということ。この距離を基準に太陽系の他の距離も表現されます。

地球から一番近い星は?

太陽以外ではプロキシマケンタウリ(4.246光年)。その周りを地球型惑星「プロキシマb」が公転しており、居住可能圏内(ハビタブルゾーン)にあります。ケンタウルス座α星A・B(4.37光年)と3つで連星系を作っています。

1パーセクは何光年ですか?

1パーセク=3.2616光年、1光年=0.3066パーセク。パーセクは年周視差1秒角(1/3600度)となる距離で、地球-太陽の視差=1秒角となる遠さを1 pcとします。IAUで正式に定義された学術単位です。

アンドロメダ銀河までの距離は?

約250万光年(770 kpc)。銀河系の隣に位置する渦巻銀河で、肉眼で見える最も遠い天体です。地球から見える光は250万年前のもの。銀河系とアンドロメダは秒速110 kmで接近中で、約40億年後に衝突・合体すると予測されています。

観測可能宇宙の広さは?

半径約465億光年、直径930億光年。宇宙年齢138億年ですが、宇宙膨張により光を発した位置がすでに退いており、単純に「宇宙年齢×光速」より広い範囲が観測可能です。宇宙背景放射(CMB)が観測の最外縁です。

光年で表せる最も近い星は?

プロキシマケンタウリ(4.246光年)。太陽以外の恒星で最も近く、太陽系から見て「一番近所の星」です。名前の由来はラテン語のproxima(最も近い)+ケンタウルス座。太陽系から片道4万2000年の距離感です。

ボイジャー1号は今どこにいる?

2026年時点で太陽から約162 AU(=約242億km)、光の到達時間で約22時間。1977年打上げから48年経過し、太陽系の外(星間空間)を航行中。地球からの最遠人工物で、電波通信も可能な限り継続中(NASA Deep Space Networkが運用)。

プロキシマケンタウリまで何年かかる?

ボイジャー1号の速度(秒速17 km)換算で約7万5000年。光速の10%を実現できれば42年。現代技術での光速航行は物理法則上不可能で、亜光速航行も未確立。ブレイクスルー・スターショット計画は光速の20%を目指しています。

光年とキロパーセクの関係は?

1 kpc = 1000パーセク = 3,261.6光年。銀河系の直径(約10万光年=30 kpc)や、銀河内部の構造を示すときに使う単位。銀河系の中心から太陽までは約26,000光年=8 kpcです。

宇宙の膨張速度は距離に比例する?

はい。ハッブル-ルメートルの法則 v = H₀ × dにより、距離に比例して銀河が遠ざかっています。ハッブル定数H₀≒70 km/s/Mpcが標準値ですが、観測手法で67-73の幅があり「ハッブル・テンション」として現代宇宙論の未解決問題です。