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配管 圧力損失 計算ツール|Darcy-Weisbach式で直管摩擦・継手損失を即算出、ポンプ揚程選定と配管サイズ最適化

配管の圧力損失を、Darcy-Weisbach式(直管摩擦損失)+局部損失(継手・バルブ)で即座に計算。配管長・内径・流速・配管種類別の粗度、水・空気・油など流体別の密度と動粘度に対応。層流・乱流の判定、Swamee-Jain近似による摩擦係数λ、水頭m換算、レイノルズ数まで一括表示し、給水・給湯・空調冷温水・冷媒・空気ダクト・工場用水などポンプ選定と配管サイズの最適化に必要な数値を網羅。空気調和・衛生工学会(SHASE-S 010)・給排水設備指針・日本冷凍空調工業会(JRAIA)などの実務基準に沿って、省エネ配管設計と正確なポンプ動力算定を支援します。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

圧力損失 計算機

エルボ1個=約2m、バルブ1個=約5m相当として加算

Darcy-Weisbach式と単位系

基本式

Δp = λ × (L/D) × ρ × v² / 2 [Pa]

λ:管摩擦係数(無次元)、L:配管長[m]、D:内径[m]、ρ:流体密度[kg/m³]、v:流速[m/s]。Darcy-Weisbach式は流体力学の基本則で、層流・乱流を問わず適用可能。ドイツのDarcy(1857)とWeisbach(1845)の名を冠した工学式で、流体機械・配管設計の国際標準となっています。

水頭表記(実務多用)

h = λ × (L/D) × v² / (2g) [m]

Δpを流体柱の高さ(水頭m)で表現する形式。ポンプ揚程との整合性が取りやすく、給排水設計で多用されます。水では1m水頭 ≒ 9.8kPa ≒ 0.098気圧の関係。

SI・実用単位換算

1 kPa = 1000 Pa = 0.01 bar = 0.145 psi
水頭1m = 9.807 kPa ≒ 0.0968 atm ≒ 10.2 mmHg

海外資料や輸入ポンプの銘板ではpsi(Pound per Square Inch)表記があり、換算漏れはポンプ選定ミスに直結。SHASE-S基準ではkPa統一が推奨されています。

レイノルズ数と流れの分類

Re = v × D / ν (ν:動粘度[m²/s])

レイノルズ数Reは慣性力/粘性力の比で、流れの状態を判定する無次元数。1883年イギリスのオズボーン・レイノルズが提唱。実用配管ではほぼ乱流域です。

レイノルズ数流れの状態実務での該当例
Re < 2300層流(Laminar)油圧配管の油、極低速の水
2300 < Re < 4000遷移域実測困難・不安定
Re > 4000乱流(Turbulent)ほぼ全ての水配管・空気ダクト
Re > 10⁵完全乱流大口径・高流速、粗度支配

代表的流体の動粘度(20℃)

水:1.0×10⁻⁶ m²/s、空気:1.5×10⁻⁵ m²/s、油圧作動油:3.0×10⁻⁵ m²/s、エンジンオイル:1.0×10⁻⁴ m²/s。温度上昇で液体は粘度低下、気体は粘度上昇の逆関係。

摩擦係数λとムーディ線図

層流域(Re < 2300)

λ = 64 / Re

ハーゲン・ポアズイユの解析解。粘性のみに依存し、粗度は無関係。油圧配管・毛細管流でよく使う式。

乱流域(Re > 4000)

Swamee-Jain近似式:
λ = 0.25 / [log₁₀(ε/(3.7D) + 5.74/Re⁰·⁹)]²

コールブルック・ホワイト式の反復計算を避ける近似式(±1%精度)。本ツールもこの式を採用。手計算にはNikuradseの実験グラフ「ムーディ線図(Moody diagram)」も使われます。相対粗度ε/DとReから直接λを読み取る20世紀初頭の代表的な工学ツール。

相対粗度ε/Dの重要性

同じ流速でも、内径50mm・新品鋼管なら ε/D = 0.045/50 = 0.0009、老朽鋼管なら 0.3/50 = 0.006と6倍の差。摩擦係数λは1.5-2倍増加し、圧損も同率悪化。老朽配管の全面更新でポンプ動力を30-50%削減した省エネ事例も多数あります。

配管種類別の粗度早見表

配管種類粗度 ε (mm)主な用途
プラスチック管(塩ビ・PE・PP)0.0015給水・排水・薬液
銅管・ステンレス管(研磨)0.0015給湯・冷媒・医療配管
ガラス管0.0003実験室・化学プラント
新品鋼管(無処理)0.045一般給水・空調冷温水
新品ダクタイル鋳鉄管0.05水道本管
亜鉛メッキ鋼管(新品)0.15屋内給水・消火配管
使用済鋼管(10年)0.15実運用の平均
古い鋳鉄管(錆・スケール)0.3更新前の老朽配管
コンクリート管(滑面)0.3-1.0下水本管・農業用水
コンクリート管(粗面)1.5-3.0雨水管・トンネル

設計時は「新品値の1.5-2倍を安全側」として見込むのが実務。老朽配管の内面ライニング補修(エポキシ樹脂・PE管挿入)で粗度を新品レベルまで回復可能。

継手・バルブの相当長

継手やバルブを通過する際の局部損失は、「同じ損失を発生する直管長さ」に換算して直管損失に加算する方式が実務的。

継手・バルブ相当長(D=内径倍数)50mm管での実長
90° エルボ(普通)30D1.5m
90° エルボ(曲率大)20D1.0m
45° エルボ16D0.8m
ティー(直通)20D1.0m
ティー(分岐)60D3.0m
ボールバルブ全開3D0.15m
ゲートバルブ全開8D0.4m
グローブバルブ全開300D15m
チェッキバルブ(スイング)100D5m
ストレーナー150D7.5m

グローブバルブ(玉形弁)は流れの折り返しが激しく損失大。流量調節が不要な区間ではボール・ゲートバルブを採用し省エネ設計を。

実務での活用シーン

給水・給湯配管のポンプ選定

マンション増圧給水・工場用水では、実揚程+摩擦損失+残留速度水頭を合計して全揚程を算出。ポンプ揚程計算と組み合わせて必要動力kWを算出。5-10%の効率改善で年間電気代を数十万円削減できるケースも。

空調冷温水配管の省エネ設計

冷温水コイルの圧損+配管圧損の合計でポンプ動力を決定。VAV/VWV(可変流量)システムでは、部分負荷時の圧損計算が必須。SHASE-S 010に準拠した設計で省エネ大賞受賞事例多数。

スプリンクラー消火設備

消防法に基づく消火配管では、末端ヘッドで規定圧力(100kPa以上)を確保する必要あり。ハーゼン・ウィリアムズ式(消防用簡易式)と本ツールの併用で余裕率を確認。

排水配管・重力流

ポンプなしの重力排水では、勾配(1/50-1/100)から実効流速を算出。管満水率・掃流力・線状水切れの検討で、詰まりのない設計を実現。排水勾配計算と併用推奨。

空気ダクト(空調換気)

ダクト内の空気流速(推奨5-8 m/s)と圧損(1 Pa/m目安)から送風機(ファン)選定。SHASE-S 010・LEED認証・ZEB化のいずれでも、ダクト圧損の削減は省エネの最大テーマです。

冷媒配管(フロン・アンモニア)

冷凍・冷蔵設備の冷媒配管では、液・ガス両相での圧損計算が必要。オイル戻り確保と圧損最小化のバランス設計が求められ、日本冷凍空調工業会(JRAIA)が指針を公開。

推奨流速と経済速度

流速を上げると管を細くできてコスト減、ただし圧損は流速の2乗で増えるためポンプ動力が増加。両者のバランス点が「経済速度」で、実務では以下が目安。

用途推奨流速 (m/s)注意点
給水本管(吸込側)1.0-1.5キャビテーション防止で低め
給水本管(吐出側)2.0-3.0ウォーターハンマー注意
冷温水配管1.5-2.5省エネ設計は1.5m/s以下
給湯管(銅管)1.5以下エロージョン腐食防止
スプリンクラー2.0-4.0末端圧力確保優先
排水管(横引き)0.6-1.5汚物掃流最低速度0.6以上
空気ダクト(低速)4-8低騒音・オフィス
空気ダクト(高速)10-20工場・大規模施設

老朽化・省エネ改修プロジェクトでは、既設配管サイズを維持したまま流量・流速を再検討することで、大きな改善効果が得られます。

よくある間違い・注意点

  • 単位換算のミス — 内径をmmのまま計算式に代入する誤り。Dはm単位。50mm → 0.05mへの換算漏れで圧損が1000倍ずれます。ツール利用時はmm入力欄の使用推奨。
  • 層流・乱流の判定不足 — 層流と乱流で摩擦係数の式が異なります。油圧配管や低速微小流量ではRe < 2300の層流が現れるため、λ=64/Reの適用が必要。ツール自動判定で回避可能。
  • 粗度の経年劣化を無視 — 新品鋼管ε=0.045mmで設計しても、10年経過で0.15-0.3mmに増加。ポンプ選定に安全率30-50%を見込むのが実務の暗黙ルール。
  • 継手損失を無視 — 直管損失だけで検討すると実測値と大差(30-100%増)に。特にエルボ・バルブが多い経路では相当長方式で加算必須。
  • キャビテーション未検討 — 吸込側で高流速・低圧になるとポンプ入口で気化(キャビテーション)が発生し、羽根車損傷・振動騒音。吸込ヘッド(NPSH)計算と合わせて低流速を確保。
  • ウォーターハンマー未対策 — 高流速の配管で急閉止バルブを使うと衝撃圧上昇(ジューコフスキー圧)が発生し、配管破裂の原因に。緩閉止バルブ・空気室・アキュムレータで緩和。

関連する規格・法令

  • SHASE-S 010 ― 空気調和・衛生工学会「空気調和設備の設計基準」。圧損計算・ダクト設計の民間標準。
  • SHASE-S 206 ― 給排水衛生設備規準・同解説。給水・給湯・排水配管の設計基準。
  • 建築基準法・給排水衛生設備 ― 昇降機・給水・排水の技術基準。特殊建築物の設計要件。
  • 水道法・水道施設設計指針 ― 厚生労働省。給水施設の圧力・流速基準。
  • 消防法・消防用設備等の技術基準 ― 屋内消火栓・スプリンクラーの末端圧力・流量要件。
  • 下水道法・下水道施設計画・設計指針 ― 排水管の勾配・流速基準。日本下水道協会が発行。
  • JIS B 8302 ― ポンプの試験方法。全揚程・軸動力測定手順。
  • JIS B 2011~ ― 各種バルブ(ボール・ゲート・グローブ・チェック)の規格。
  • ASHRAE Handbook ― 米国暖房冷凍空調学会。空調配管の設計基準の国際的な準拠資料。
  • ANSI/ASME B31.1・B31.9 ― 米国機械学会。動力配管・建築サービス配管の設計コード。

参考文献・公的資料

より詳細な圧損計算・流体力学理論の一次資料は、以下を参照してください。

※本ページの計算結果は概算値です。実際のポンプ選定・配管設計には、Darcy-Weisbach式に加え、SHASE-S・水道法・消防法・下水道法など該当法令の技術基準を優先してください。特に消火配管・給水本管・危険物配管では有資格者(管工事施工管理技士・建築設備士・給水装置工事主任技術者等)の設計・監理が必要です。老朽配管の圧損は新品時の1.5-2倍を安全側と見込み、事故防止のためキャビテーション・ウォーターハンマー対策を必ず検討してください。

よくある質問(FAQ)

圧損が大きい原因は?

①配管が長い(Lに比例)、②内径が小さい(Dに反比例で5乗の影響)、③流速が速い(v²に比例)、④エルボやバルブが多い(相当長)、⑤配管が古い(粗度大)。設計段階では内径の見直しが最も効果的で、内径を1.2倍にすると圧損は約40%削減。既設更新プロジェクトで真っ先に検討すべき点です。

水頭(m)と圧力(kPa)の関係は?

水1m水頭 ≒ 9.807 kPa ≒ 0.098 気圧。10mで約1気圧(100kPa)。ポンプ揚程はm単位、圧力計はkPa(またはMPa)単位で表示されることが多く、換算は 1m = 9.8kPa と覚えると素早い。水以外の液体では密度比を掛けて換算します(水銀76cm = 1気圧など)。

継手の相当長の目安は?

90°エルボ:内径の30倍、ボールバルブ全開:内径の3倍、グローブバルブ全開:内径の300倍(!)、ティー分岐:60倍、ゲートバルブ全開:8倍。50mm管なら90°エルボ1個が約1.5mに相当。グローブバルブは流量調節に有効ですが圧損が桁違いなので、単なる開閉ならボールバルブ推奨。

層流・乱流はどう判別する?

レイノルズ数Re = vD/νで判別。Re < 2300が層流、Re > 4000が乱流、間は遷移域で実測不安定。水配管はほぼ全て乱流(例:50mm管・1m/sで Re = 50000)。油圧・毛細管・低速微流量では層流域があり、λ=64/Reを適用します。

Darcy-Weisbach式とHazen-Williams式の違いは?

Darcy-Weisbach式はあらゆる流体・流れに使える汎用式で、SI単位・粗度・粘度を明示するため学術・国際基準向き。Hazen-Williams式は水専用の簡略式で、消防・水道設計で伝統的に使われますが、精度は粘度変化を無視するため限定的。省エネ・空調ではDW式が推奨されます。

老朽配管はどの程度圧損が増える?

新品鋼管(ε=0.045mm)と10年経過鋼管(ε=0.15-0.3mm)で摩擦係数λが1.5-2倍に増加。同じ流量なら圧損が1.5-2倍、ポンプ動力も同率で増加します。省エネ改修では配管更新or内面ライニング補修で新品レベルまで回復可能で、投資回収3-5年の事例が多数。

キャビテーションとは?対策は?

ポンプ吸込側で流速が高く圧力が飽和蒸気圧を下回ると液体が気化し、羽根車で潰れる際に高圧衝撃波を発生。羽根車損傷・振動騒音・揚程低下を招きます。対策は吸込側配管の低流速化(1-1.5m/s)・吸込ヘッド確保(NPSH ≥ 必要NPSH+1m)。設計段階で必ず確認します。

ウォーターハンマーとは?

配管中の流体が急停止する際、慣性力で衝撃圧が発生する現象。ジューコフスキー式 ΔP = ρav(a:圧力波速度)で圧力上昇が計算でき、水配管では数MPaに達することも。緩閉止バルブ・空気室・アキュムレータ・エアバルブで緩和。マンション給水では衝撃圧で管接続部が破断する事故事例あり。

推奨流速の根拠は?

低すぎると管が太くなりコスト増、高すぎると圧損とキャビテーション・エロージョン腐食のリスク増。給水本管2-3m/s、冷温水1.5-2.5m/s、給湯銅管1.5m/s以下、排水横引き0.6-1.5m/sが実務標準。SHASE-S 206・給排水設備指針で規定されています。

粗度εの単位はμm?mm?

実務ではmm単位で表記。塩ビ管0.0015mm、新品鋼管0.045mm、老朽鋼管0.3mm。μm換算では新品鋼管45μm、老朽鋼管300μm。ムーディ線図は相対粗度ε/Dで整理されるため、内径のmm単位と揃えると計算が楽です。

ダクトの圧損計算は同じ式で良い?

Darcy-Weisbach式は空気ダクトにも適用可能。ただし空気は圧縮性を持つため、高速ダクト(20m/s超)では密度変化補正が必要。実務では低速ダクト(8m/s以下)はDW式で、高速ダクト(10-20m/s)はメーカー資料と併用します。SHASE-S 010に準拠。

省エネ設計のポイントは?

①流速を推奨値の下限側に設定、②直角エルボを45°×2やスイープエルボに変更、③グローブバルブをボールバルブに置換、④老朽配管の更新or内面補修、⑤VAV/VWVで部分負荷対応、⑥インバーター制御ポンプの採用。ポンプ動力の20-40%削減が実現可能で、ZEB化・SDGs対応の重点項目です。