介護休業給付金
介護休業給付金の総額を月収と休業日数から試算します。給付率67%、通算93日、賃金日額の上限まで反映し、社会保険料が免除されないという育休との違いも解説します。
介護休業給付金ツール
計算式と前提
介護休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
休業開始時賃金日額 = 休業開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180日
既定の月給30万円・93日なら、賃金日額は180万円÷180日=10,000円、10,000円×67%×93日=623,100円です。本ツールは月給を30で割って賃金日額とし、雇用保険の賃金日額上限16,980円・下限2,869円を反映しています。このため月収が約50.9万円を超えると支給額は頭打ちになり、93日で1,058,024円が上限です。実際の賃金日額は残業手当や通勤手当を含む6か月分の総額から算定されるため、月給の額面と一致しないことがあります。
月収別・93日取得したときの給付総額
| 休業前の月収 | 賃金日額 | 93日の給付総額(ツール出力) |
|---|---|---|
| 15万円 | 5,000円 | 311,550円 |
| 20万円 | 6,667円 | 415,400円 |
| 25万円 | 8,333円 | 519,250円 |
| 30万円 | 10,000円 | 623,100円 |
| 40万円 | 13,333円 | 830,800円 |
| 50万円 | 16,667円 | 1,038,500円 |
| 60万円以上 | 16,980円(上限) | 1,058,024円(上限) |
月給30万円の人が30日だけ取得した場合は201,000円、60日なら402,000円になります。日数を短くすれば、その分だけ残りの日数を後日に取っておけます。
制度の上限・要件(雇用保険)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付率 | 67%(期間による変動なし) |
| 賃金日額の上限・下限 | 16,980円/2,869円 |
| 支給月額の上限(30日) | 341,298円 |
| 対象家族1人あたりの日数 | 通算93日 |
| 分割取得 | 最大3回まで |
| 被保険者期間の要件 | 賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上 |
| 休業中の就業制限 | 支給単位期間ごとに10日以下(または80時間以下) |
| 課税 | 非課税(所得税・住民税ともかからない) |
| 社会保険料 | 免除されない |
上限額は毎年8月に改定されるため、休業開始時期によって頭打ちの金額が変わります。
介護休業給付金の詳しい解説
給付率が67%に置かれているのは、育児休業給付金の当初期間と水準を揃えたためです。ただし手取りで見ると育休と介護休業では意味が違います。給付金そのものは所得税も住民税もかからない非課税所得ですが、介護休業には社会保険料の免除がありません。育休では健康保険料・厚生年金保険料が免除されるのに対し、介護休業では休業中も保険料の負担が続き、給与が出ていないため復帰後の給与から精算されるか、事業主と個別に調整することになります。額面の67%という数字だけを見て資金計画を立てると、この保険料分が抜け落ちます。
実務で判断が分かれるのが、93日をどう配分するかです。介護は先が読めないため、要介護認定の申請、ケアマネジャーとの調整、在宅か施設かの決定、住宅改修といった立ち上がりの時期に集中して使い、残りを容体の変化に備えて温存する設計が現実的です。一方で分割するたびに事業主への申出が必要になり、職場との調整コストがかかります。逆に93日を一度に使い切ると、その後に状態が悪化しても同じ家族についての給付は受けられません。対象家族が複数いる場合は家族ごとに93日が与えられるため、両親それぞれについて取得できます。
見落とされやすい点がいくつかあります。ひとつは入金の時間差で、申請は原則として事業主経由で休業終了後にまとめて行うため、振り込みは休業開始から2〜3か月後になることが珍しくありません。休業中の生活費は先に手当てしておく必要があります。もうひとつは休業中に働いた場合の扱いで、支給単位期間ごとに就業日数が10日を超えると、その期間は支給対象外になります。事業主から賃金が支払われる場合も、賃金と給付の合計が休業前賃金の80%を超える部分は減額されます。有期雇用でも要件を満たせば取得できる点、対象家族の範囲が配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫まで及ぶ点も、知られていないことが多い部分です。
条件による違いも押さえておきたいところです。月収が約50.9万円を超える人は上限で頭打ちになり、収入が高いほど休業中の減収幅は大きくなります。逆に短時間勤務やパートで賃金日額が低い人は下限が働きます。また、93日の介護休業とは別に、年5日(対象家族2人以上なら10日)まで時間単位で取得できる介護休暇があります。こちらは原則無給で給付金の対象外ですが、通院の付き添いやケア会議など半日で足りる用事に向いており、93日を温存する使い方ができます。受給の可否や具体的な手続きは、勤務先の担当部署と居住地を管轄するハローワークにご確認ください。
よくある間違い・注意点
- 育休と同じで社会保険料が免除されると思い込む — 介護休業には保険料免除の仕組みがありません。休業中も負担が続き、復帰後の給与から精算されるのが一般的です。
- 93日を「3か月の連続休暇」と考える — 対象家族1人につき通算93日で、最大3回まで分割できます。連続で使い切る必要はありません。
- 申請すればすぐ入金されると思う — 原則として休業終了後に事業主経由でまとめて申請するため、振り込みは2〜3か月後になることがあります。
- 休業中に働いても満額もらえると考える — 支給単位期間ごとに就業日数が10日を超えると対象外になり、賃金が支払われた場合も80%を超える分は減額されます。
- 要介護認定が出ていないと取得できないと思い込む — 育児・介護休業法の「常時介護を必要とする状態」は介護保険の認定とは別の判断基準です。認定前でも該当し得ます。
参考資料・公的情報
- 厚生労働省 — 育児・介護休業法
- ハローワークインターネットサービス — 雇用保険の給付
- 厚生労働省 労働基準行政 — 労働条件の相談
- e-Gov法令検索 — 育児介護休業法・雇用保険法の条文
- 日本年金機構 — 厚生年金保険料の扱い
- 全国健康保険協会 — 健康保険料の扱い
- 国税庁 — 給付金の課税関係
- 労働政策研究・研修機構 — 介護離職の統計
- 厚生労働省 地域包括ケア — 地域包括支援センター
- 内閣府 — 仕事と介護の両立支援
※本ツールの計算は月給を30で割った簡易的な賃金日額に基づく概算です。実際の支給額は休業開始前6か月の賃金総額、休業中の賃金支給の有無、就業日数により変わります。受給資格や申請手続きは、勤務先およびハローワーク、必要に応じて社会保険労務士にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
取得できる期間はどのくらいですか?
対象家族1人につき通算93日までです。最大3回に分割して取得できるので、状態の変化に合わせて使い分けられます。
対象になる家族の範囲は?
配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。同居や扶養の要件はありません。
パートや契約社員でも受け取れますか?
雇用保険の被保険者で、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あれば対象になります。有期雇用でも要件を満たせば取得できます。
給付金に税金はかかりますか?
所得税・住民税とも非課税です。ただし社会保険料は免除されないため、休業中も健康保険料と厚生年金保険料の負担は続きます。
いつ振り込まれますか?
原則として休業終了後に事業主経由で申請するため、休業開始から2〜3か月後になることが多くなっています。当面の生活費は別に用意しておくと安心です。
休業中に少しだけ働くことはできますか?
支給単位期間ごとに就業日数10日以下(または80時間以下)であれば支給対象になります。これを超えるとその期間は支給されません。
育児休業給付金と何が違いますか?
給付率が67%固定である点、社会保険料の免除がない点、期間が通算93日である点が主な違いです。育休は181日目以降50%に下がりますが、介護休業は最後まで67%です。
93日を使い切ったあとはどうなりますか?
同じ家族について再度の給付は受けられません。年5日の介護休暇、短時間勤務、時間外労働の制限といった別の両立支援制度を組み合わせることになります。