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成年後見人 報酬 計算ツール|管理財産別の月額・年額の目安+家裁標準算定の実務解説

法定成年後見人・保佐人・補助人の月額報酬を、管理財産額に応じて計算。家庭裁判所の標準算定基準に基づく目安を表示。付加報酬(遺産分割・不動産売却・訴訟)、市町村の成年後見制度利用支援事業による報酬助成、任意後見との違いまで、認知症の親を持つ家族・法定後見申立を検討中の方向けに徹底解説。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

成年後見人 報酬 計算機

預貯金・有価証券など後見人が管理する財産の合計

成年後見人報酬の算定基準

報酬の性質

成年後見人の報酬は、家庭裁判所に「報酬付与審判」を申立てて裁判官が個別に決定します。民法862条で「家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる」と規定されており、報酬額は法律で定められていません。ただし各家庭裁判所は「標準算定基準」を公表しており、それに基づく目安があります。

基本報酬の算定基準(東京家庭裁判所の標準)

月額基本報酬 = 管理財産額に応じた段階別金額

  • 管理財産額 1,000万円以下:月額2万円
  • 管理財産額 1,000万円〜5,000万円:月額3〜4万円
  • 管理財産額 5,000万円超:月額5〜6万円

この基準は2013年に東京家庭裁判所が公表して以降、全国の家庭裁判所で参考基準として用いられています(法的拘束力はなく、各地裁判所で若干の差異あり)。年間報酬は月額×12で、20年後見が続けば累計500-1,500万円級になる大きな費用です。

管理財産別 月額報酬の標準

成年後見人の基本報酬と、保佐人・補助人(後見人の8割・6割の目安)の月額報酬をまとめます。

管理財産額成年後見人保佐人(80%)補助人(60%)年額(後見人)
500万円以下2万円1.6万円1.2万円24万円
1,000万円2万円1.6万円1.2万円24万円
2,000万円3.5万円2.8万円2.1万円42万円
3,000万円3.5万円2.8万円2.1万円42万円
5,000万円4万円3.2万円2.4万円48万円
1億円5万円4万円3万円60万円
3億円6万円4.8万円3.6万円72万円

10年間の後見が続くと、管理財産2,000万円ケースで累計約420万円、5,000万円ケースで累計約480万円、1億円ケースで累計約600万円の報酬が本人の財産から支払われる計算になります。

成年後見・保佐・補助の3類型

成年後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて成年後見・保佐・補助の3類型に分かれます。

類型判断能力後見人の権限典型ケース
成年後見常に判断能力を欠く状態広範な代理権・取消権重度認知症・重度知的障害
保佐判断能力が著しく不十分特定行為の同意権・取消権中度認知症・軽度統合失調症
補助判断能力が不十分特定行為のみ(本人同意必要)軽度認知症・軽度知的障害

後見人の主な業務

  • 財産管理:預貯金の管理、税務申告、収入・支出の記録
  • 身上監護:介護施設との契約、医療同意、住居確保
  • 家庭裁判所への定期報告:年1回の財産目録・収支状況報告
  • 本人の意思の尊重:可能な限り本人の意向を確認して行動

後見人の選任

後見人は家庭裁判所が選任し、家族が申立てても専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)が選任されるケースが増加傾向(2022年で全体の約8割)。家族が選任される場合、財産額が多いと監督人(別途報酬)が付けられることがあります。

付加報酬(一時金)の実務

後見業務の中で特別困難な事務を行った場合、家庭裁判所は基本報酬に加えて付加報酬(一時金)を与えることができます(民法862条)。

付加報酬の対象となる業務

  • 遺産分割協議への参加:本人が相続人の場合、後見人が代理で協議。一時金30-50万円
  • 不動産の売却:本人の住宅・土地の売却。家裁の許可が必要。50-100万円
  • 訴訟の追行:本人の権利保護のための訴訟。30-50万円
  • 保険金請求:本人が被害者の交通事故・傷害保険金請求。10-30万円
  • 相続税の申告:本人が相続人の場合。10-30万円

付加報酬の実務基準

付加報酬は「その事務に要した労力・時間・専門性」で判断されます。専門職後見人(弁護士・司法書士)は付加報酬を取りやすい傾向にあり、家族後見人は「本業とは別の労力」として認められれば付加報酬対象になります。

市町村の成年後見制度利用支援事業

本人が経済的に困窮して後見人報酬を支払えない場合、市町村の「成年後見制度利用支援事業」で報酬助成を受けられる可能性があります。

支援内容

  • 申立費用の助成:申立手数料、鑑定費用(5-10万円)
  • 後見人報酬の助成:月額1-3万円程度を市町村が負担
  • 対象:生活保護受給者、低所得者、身寄りのない高齢者

支援を受ける条件(例:東京23区)

  • 市町村長申立てで開始した後見
  • 本人の資産が一定額以下(自治体により異なる、300-500万円が目安)
  • 年収が生活保護基準以下、または在宅生活困難な高齢者

市町村長申立

身寄りのない高齢者・障害者について、市町村長が家庭裁判所に後見開始の申立ができます(老人福祉法32条・知的障害者福祉法28条・精神保健福祉法51条の11の2)。この場合、市町村が申立費用と報酬の一部を負担することが一般的です。

任意後見との違い・選び方

法定後見と任意後見の違い

項目法定後見任意後見
開始時期判断能力低下後判断能力低下前に契約
後見人の選任家庭裁判所が選任本人が事前に指名
報酬家庭裁判所が決定契約で自由に設定(無報酬も可)
監督人必要に応じて選任必ず選任(月1-3万円)
代理権の範囲類型ごとに法定契約で自由に設定
取消権ありなし(重要な違い)

選び方の目安

  • 認知症等がすでに進行している:法定後見一択
  • 判断能力があるうちに準備したい:任意後見が推奨
  • 家族に信頼できる人がいる:任意後見で家族を後見人に
  • 財産管理だけで身上監護が不要:家族信託の検討も

利用者・家族の使い方

👵 認知症の親を持つ家族

親の判断能力低下で預貯金の引き出し・不動産管理が困難になった場合の後見申立コスト試算。管理財産2,000万円で月3.5万円、年42万円、10年で420万円の報酬が親の財産から支払われる想定。

💼 相続対策・親族間の資産管理

資産1億円超の親の相続対策で法定後見申立てを検討する際、月5万円×20年で1,200万円の報酬コストと、相続税節税効果を天秤にかける。相続税と併せて試算。

🏥 医療・介護施設との契約

認知症の親を介護施設に入居させる際、契約締結には後見人が必要。医療同意・入院手続・年金請求まで含めて後見人業務を任せるコスト計画。

📋 家族後見人の申立検討

家族(子・配偶者)が後見人になる場合の報酬。家族間でも家裁への報酬付与申立をすれば標準算定額が支払われる。「無償で親の面倒を見る」場合はゼロ、有償なら月2-4万円級。

⚖️ 弁護士・司法書士・社会福祉士

専門職後見人としての年間業務量計画。1件月3-4万円で年40-50万円、専門職1人あたり10-20件受任で年間400-1,000万円の売上見込み。

🏛️ 自治体・地域包括支援センター

市町村長申立て件数と後見制度利用支援事業の予算計画。1件月3万円助成×年間20件で年720万円級の予算が必要。地域の高齢化率と連動して増加傾向。

よくある間違い・注意点

  • 後見報酬を家族が受け取れないと誤解 — 家族後見人でも、家庭裁判所に「報酬付与審判」を申立てれば、標準算定基準の報酬を本人の財産から受け取れる。逆に、申立をしなければ支払われない。
  • 後見人になれば何でもできると誤解 — 不動産の売却、居住用不動産の処分、投機的取引などは家庭裁判所の許可が必要。無許可の行為は無効になる可能性。
  • 後見人の途中解任は困難 — 一度後見が開始すると、本人の判断能力が回復するまで基本的に終了しない。20年以上続くケースも一般的で、累計報酬が1,000万円級になる。
  • 専門職後見人の報酬を過小評価 — 弁護士・司法書士後見人は付加報酬を取りやすく、遺産分割・不動産売却で年間100-200万円の付加報酬が加算される可能性。初期試算より高額になるケース。
  • 任意後見と法定後見の混同 — 判断能力低下前は任意後見、低下後は法定後見。任意後見でも監督人(月1-3万円)が必要で、完全無料ではない。
  • 家族信託との比較不足 — 家族信託は財産管理のみで身上監護なし、初期費用30-100万円だが月次報酬なし。財産管理だけなら家族信託の方が長期的に安価になることも。
  • 市町村長申立てを見落とし — 身寄りのない高齢者・障害者は市町村長申立てで報酬助成を受けられる可能性。地域包括支援センターに相談する。

関連する法令・制度

  • 民法(第7条〜第20条) ― 成年後見・保佐・補助の3類型、後見開始の審判、後見人の選任等の基本規定。
  • 民法第862条 ― 成年後見人の報酬。「家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる」。
  • 任意後見契約に関する法律 ― 任意後見契約の要式(公正証書)、任意後見監督人の選任等を規定。
  • 成年後見制度の利用の促進に関する法律(成年後見促進法) ― 2016年施行。国・地方公共団体の役割、市町村計画策定義務。
  • 老人福祉法第32条 ― 市町村長による後見開始の申立て(高齢者)。
  • 知的障害者福祉法第28条・精神保健福祉法第51条の11の2 ― 市町村長による申立て(障害者)。
  • 家事事件手続法 ― 家庭裁判所での後見開始審判・報酬付与審判の手続。
  • 信託法・信託業法 ― 家族信託・民事信託の法的根拠。財産管理型代替手段として。

参考文献・公的資料

成年後見制度・後見人報酬に関する正確な情報は、以下の公的機関の資料が一次情報源です。

※本ページの成年後見人報酬額は東京家庭裁判所の標準算定基準(2013年公表)に基づく参考値であり、実際の報酬額は各家庭裁判所の判断、事件の難易度、後見人の労力等で増減します。個別の後見申立・報酬付与審判については、弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家、または家庭裁判所の後見センターにご相談ください。市町村の成年後見制度利用支援事業の詳細は、各自治体の地域包括支援センターへお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)

家族が後見人になった場合も報酬は発生する?

原則発生します。ただし家庭裁判所への報酬付与審判の申立をしなければ実際には支払われません。家族間でも「成年後見業務」の対価として認められるため、申立すれば本ツールの目安額(月2-4万円級)が支払われます。逆に、申立をしなければ無償となります。

本人が報酬を払えない場合は?

市町村の成年後見制度利用支援事業で報酬を助成してもらえる場合があります。生活保護受給者は基本無料、低所得者は減額対象。詳細は管轄の市区町村の高齢者福祉課・地域包括支援センターに相談を。市町村長申立ての場合は特に対象になりやすい。

後見人を家族から専門職(弁護士・司法書士)に変更すると報酬は変わる?

基本報酬の標準算定額は同じ(誰が後見人でも管理財産額で決まる)。ただし専門職は付加報酬を取りやすい傾向にあり、遺産分割・不動産売却で年間100-200万円の付加報酬が加算されるケースあり。長期的には専門職の方が高額になる可能性。

後見人報酬と任意後見の違いは?

本ツールは法定後見の報酬。任意後見は契約で報酬を自由に設定可能(無報酬も可)。ただし任意後見監督人(家裁が選任、月1-3万円)が必ず必要。家族が後見人でも監督人分の費用が発生。

後見はいつまで続く?

本人の判断能力が回復するまで継続。多くの場合、認知症の高齢者では死亡まで続く。平均後見期間は約8-10年とされ、20年以上のケースもある。累計報酬は500-2,000万円級になる長期契約であることを理解する必要がある。

付加報酬はどんな時にどれくらい?

遺産分割協議30-50万円、不動産売却50-100万円、訴訟30-50万円が一時金として本人財産から支払われる。相続税申告10-30万円、保険金請求10-30万円も対象。事案の難易度・労力で家庭裁判所が個別判断。

後見人を辞任・解任できる?

後見人の辞任は「正当な事由」があり家庭裁判所の許可があれば可能(民法844条)。解任は「不正な行為・著しい不行跡」等の場合に家裁が職権または申立で行う(民法846条)。専門職の変更も家裁の許可が必要で、簡単ではない。

家族信託との違いは?

家族信託:財産管理のみで身上監護なし、初期費用30-100万円だが月次報酬なし、認知症進行前に契約可能。成年後見:財産管理+身上監護、月次報酬必要、判断能力低下後に開始。財産管理だけなら家族信託が長期的に安価、身上監護も必要なら成年後見。

後見監督人とは?

後見人の業務を監督する立場で、家庭裁判所が必要に応じて選任。管理財産が多い(1,000万円超)、家族後見人の不正防止で選任されることが多い。監督人にも月1-3万円の報酬が必要で、後見人報酬と合わせて月4-6万円の負担になる。

後見開始の申立費用は?

申立手数料800円、収入印紙代4,300円、切手代3,000-4,000円、鑑定費用5-10万円(必要な場合)で合計6-12万円。市町村の支援事業で助成される場合あり。専門家に依頼する場合は10-20万円の追加報酬。

市町村長申立ての場合の費用負担は?

市町村が申立費用(6-12万円)と、場合により後見人報酬の一部(月1-3万円)を負担。身寄りのない高齢者・障害者、生活保護受給者が主な対象。地域包括支援センターが窓口。

後見人が本人の財産を横領したらどうなる?

業務上横領罪(刑法253条)で刑事罰の対象。後見人(家族含む)による横領は毎年報告されており、家庭裁判所は防止策として後見制度支援信託・後見制度支援預金を導入(月次引出以外は家裁の許可を要する仕組み)。