タクトタイム
稼働時間と必要生産数から、タクトタイムと目標サイクルタイム、必要人員、生産能力を計算します。
タクトタイムツール
計算式と考え方
稼働時間は「(定時480分 - 計画停止45分)× 60 × 直数」で26,100秒です。不良率2%を見込むと必要な着手数は800個÷0.98で約816個となり、タクトタイムは26,100秒÷816個で約31.97秒になります。可動率90%を掛けた目標サイクルタイムは約28.77秒です。現状28秒で回すと生産能力は26,100÷28×0.9×0.98で約822個となり、必要数を22個上回ります。必要人員は総作業時間210秒÷31.97秒で約6.57人、ラインバランス効率は210÷(8工程×28秒)で93.8%です。
タクトタイムに関わる用語
| タクトタイム | 1個を作るべき時間の基準。稼働時間を必要数で割った値で、需要側から決まります |
|---|---|
| サイクルタイム | 実際に1個が流れ出る間隔。ラインで最も時間のかかる工程(ネック工程)が決めます |
| ラインバランス効率 | 総作業時間÷(工程数×サイクルタイム)。手待ちの少なさを表し、85%以上が一つの目安です |
| 可動率 | 設備が動かしたいときに動く割合。故障や段取り替えで落ち、90%前後が実務上の水準です |
タクトタイムの詳しい解説
タクトタイムは、需要から逆算して決まる時間の基準です。1日の稼働時間を必要生産数で割るだけの単純な式ですが、これを基準に置くことで、ラインの速さを「速いほど良い」から「必要な速さに合わせる」へ転換できます。必要数を超えて作れば在庫が積み上がり、運搬と保管と資金の負担が生じます。タクトタイムという概念が作りすぎのムダを抑える道具として扱われるのは、この転換が本質だからです。混同されやすいのがサイクルタイムです。タクトタイムが需要側から与えられる目標であるのに対し、サイクルタイムは実際にラインから製品が出てくる間隔で、工程の能力によって決まります。ラインは最も遅い工程の速さでしか流れないため、サイクルタイムはネック工程の作業時間に等しくなります。サイクルタイムがタクトタイムを上回れば必要数に届かず、下回れば手待ちか作りすぎが生じます。改善活動が「最も時間のかかる工程を見つけて分割する」から始まるのは、そこを縮めない限り全体が変わらないためです。稼働時間の取り方で結果が大きく変わる点は注意が必要です。定時の8時間480分をそのまま使うと、休憩、朝礼、清掃、始業前点検、計画的な段取り替えの時間が含まれてしまい、タクトタイムが実態より長く算出されます。この状態で計画を立てると、日中に遅れが出ても余裕があるように見え、残業で埋める運用が常態化します。計画停止を差し引いた正味の稼働時間を使うことが前提です。もう一つ、不良率の扱いで判断が分かれます。良品を800個必要とするなら、不良率2%のもとでは816個に着手しなければ足りません。タクトタイムを良品数で計算すると、不良分だけ能力が不足します。一方、工程内で手直しして良品化できる場合は着手数を増やす必要がないため、不良の性質によって扱いが変わります。ラインバランス効率は、工程間の作業量のばらつきを表す指標です。総作業時間を、工程数とサイクルタイムの積で割ります。効率が低いということは、ネック工程以外の作業者が手待ちになっている時間が長いことを意味します。85%以上が一つの目安ですが、機械の加工時間が支配的な工程では人の作業を動かしても効率は上がらず、多台持ちや工程の統合という別の手段が必要になります。見落とされやすいのが、需要変動への対応です。タクトタイムは需要が変われば変わります。月ごとに必要数が上下する製品では、そのつど人員配置を組み替える少人化の考え方が使われ、作業割り当てを変えられる設備設計が前提になります。設備投資の段階で想定する需要の幅が、後の運用の自由度を決めます。
業界・現場での使い方
生産計画の立案
必要数から1個あたりの目標時間を求め、現状の能力で足りるかを確認します。
人員配置の検討
総作業時間をタクトタイムで割り、必要な作業者数を算出します。
改善効果の確認
サイクルタイムを短縮したときの生産能力と過不足の変化を見ます。
よくある間違い・注意点
- 定時時間をそのまま稼働時間に使う — 休憩や朝礼、段取り替えを含めるとタクトタイムが長く出ます。計画停止を差し引いた正味の時間で計算してください。
- 良品数だけでタクトタイムを求める — 不良率2%なら着手は必要数の約1.02倍が要ります。手直しで良品化できるかによって扱いは変わります。
- 平均の作業時間で能力を見る — ラインは最も遅い工程の速さで流れます。平均ではなくネック工程の時間がサイクルタイムを決めます。
関連する規格・法規
- JIS
- ISO
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
タクトタイムとサイクルタイムの違いは何ですか?
タクトタイムは需要から決まる目標時間、サイクルタイムは実際に製品が流れ出る間隔です。後者が前者を超えると必要数に届きません。
可動率はどう扱いますか?
設備が止まる分を見込み、タクトタイムに可動率を掛けた値を目標サイクルタイムとします。90%前後が実務上の水準です。
ラインバランス効率の目安はありますか?
85%以上が一つの目安とされます。機械の加工時間が支配的な工程では、人の作業を動かしても効率は上がりません。