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面粗さRaRz仕上げ機械加工JIS B 0601

加工面粗さ計算 ツール|送り・ノーズRから理論Ra・Rz(μm)を算定、JIS B 0601・シール面・嵌合部の粗さ設計

送り(mm/rev)と工具ノーズR(mm)から、JIS B 0601「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語, 定義及び表面性状パラメータ」に基づく理論表面粗さRa・Rz(μm)を即算出。旋盤・フライス盤・エンドミル・NC加工・マシニングセンタでの仕上げ加工の粗さ設計、Oリング当り面・シール面のRa 0.4指定、精密機械のRa 1.6、一般加工のRa 6.3、荒加工Ra 25といった粗さ規格の使い分け、送り半減で粗さ1/4、ノーズR倍増で1/2という非線形関係の把握、機械設計技術者・NCオペレータ・金型技術者・工業高校生・技能士検定受験者すべてに向けた無料計算ツールです。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

加工面粗さ計算ツール

計算式と計算例

理論Rz [μm] = f² ÷ (8 × r) × 1000     理論Ra [μm] ≒ Rz ÷ 4

ここで f = 送り [mm/rev]、r = 工具ノーズR [mm]。Rzは連続する送り痕の谷から山までの最大高さ、Raは中心線からの平均偏差で、実務上「Ra ≒ Rz/4」の関係が知られています(理論的にはRz = 4×Ra が正弦波近似での関係)。旋盤加工では工具の送りごとに残る「送りマーク」の高さがそのままRzになるため、幾何学的にf²/(8r)で算出できます。実際の切削では工具振動・弾性変形・切りくず影響で理論値の1.5〜2倍の粗さになるのが一般的で、Ra 0.4狙いなら理論0.2〜0.3μmで設計しておくのが安全マージンです。

計算例:送り0.1mm/rev・R0.4mmで、Rz = 0.01÷3.2×1000 = 3.13μm、Ra ≒ 0.78μm。送りを0.05に半減するとRz = 0.78μm、Ra ≒ 0.20μmと1/4に激減。逆にRを0.2に半減するとRz = 6.25μm、Ra ≒ 1.56μmと2倍に悪化。粗さは送りに対して2乗で効き、Rには反比例で効くのが幾何学的特徴です。この非線形性を理解した上で「送り重視の生産性 vs 粗さ重視の品質」のバランスを設計するのが実務スキルです。

面粗さ規格の歴史

面粗さの規格化は1930年代のドイツから始まり、第二次大戦後の1950年代に国際規格として整備されました。1930年ドイツDIN規格が世界初の面粗さ規格として制定、1940年代に米国ANSI B46.1、1950年代に英国BS 1134、1960年代にISO 468(現ISO 4287)へと発展。日本ではJIS B 0601が1952年に初制定、その後1970年・1982年・2001年・2013年と大改訂され、現在のJIS B 0601:2013はISO 4287:1997・4288:1996との整合が進んでいます。

歴史的には、1950年代まではRmax(最大高さ)が主流の粗さパラメータでしたが、加工痕を1点だけで判断する脆弱さから1970年代以降はRa(算術平均粗さ)が標準化。日本でも1982年改訂でRa重視となり、現在は「Ra 0.4」といった記号が図面での標準表記です。同時にRz(十点平均粗さ→最大高さ表記に変更)も並用され、精密機械・自動車部品・航空機部品ではRaとRzを併記する図面が今も標準です。

2013年改訂ではISO 25178「面性状パラメータ(3D)」との整合が進み、従来の2D輪郭パラメータ(Ra・Rz・Rq)に加えて、面全体を3D測定するSa・Sz等の3Dパラメータが導入されました。EV・半導体・医療機器の精密表面設計、AM(積層造形)部品の複雑表面評価、生体適合表面の評価等、従来2D測定では捉えきれない現象を数値化する必要性が急拡大しています。

面粗さ規格・用途対応表

Ra (μm)Rz (μm)面粗さ記号代表用途
0.0250.1▽▽▽▽ブロックゲージ・精密光学・鏡面研磨
0.10.4▽▽▽▽ボールベアリング・精密軸受・光学部品
0.20.8▽▽▽油圧シリンダ内面・エアーシール・精密嵌合
0.41.6▽▽▽Oリング当り面・シール面・精密嵌合
0.83.2▽▽回転軸・軸受面・機械しゅう動面
1.66.3▽▽精密機械・機能面・化粧品容器外観
3.212.5一般機械・組立面・ボルト座面
6.325一般加工・鍛造後仕上げ
12.550~荒加工・鋳肌仕上げ
25100~粗加工・鋳肌

Ra・Rz・Ry・Rmaxの違い

面粗さパラメータは種類が多く混同されやすいため、それぞれの定義と用途を明確にします。

Ra(算術平均粗さ)

基準長さ内での粗さ曲線の中心線からの偏差の絶対値の平均。粗さの「代表値」として最も使われる。JIS B 0601の主指標で、図面での「Ra 0.4」等の記号が標準表記。粗さの安定性・平均像を捉える。

Rz(最大高さ:2013版)

基準長さ内での最大山高さと最大谷深さの合計。粗さ曲線の「最大変動」を表す。1982〜2001年版のRzは「十点平均粗さ」だったが2013年改訂で「最大高さ」に定義変更、旧Rmaxと同義に。図面記号「Rz 1.6」で表記。

Rq(二乗平均平方根粗さ、RMS)

粗さ曲線の中心線からの偏差の二乗平均平方根。統計的・数学的処理に適し、光学面・電子デバイスの表面評価で使用。同じRaでもRqは1.25倍程度大きい傾向。米国系規格ではRMSと表記されることが多い。

Ry(旧最大高さ、廃止)

1982〜2001年版JISの「最大高さ」パラメータ。2001年改訂でRy廃止、Rz(最大高さ)に統合された。古い図面では今もRy表記が残るが、新規図面では使用しない。

Rmax(最大高さ、廃止)

1952〜1982年版JISの「最大高さ」。1982年改訂でRy(現Rz)に置き換え、廃止。しかし現場・業界の口語では「Rmax」が今も残っている。ベテラン工員の口頭指示で使われる。

Rt(全高さ、参考)

評価長さ(基準長さの5倍)全体での最大山〜最大谷の合計高さ。Rzより広い範囲を評価するため通常Rzより大きい値。特殊用途で使われる補助的パラメータ。

Rc(粗さ曲線要素の平均高さ)

基準長さ内の粗さ要素の高さの平均。個別要素評価に用いられ、繊維業界・微細構造評価で参照される補助パラメータ。

Sa・Sz(3D粗さ、ISO 25178)

2013年改訂で導入された3D面性状パラメータ。従来の2D輪郭では捉えきれない「面全体」の性状を数値化。半導体・AM部品・医療用インプラント・複雑形状部品での精密評価で採用が拡大中。

加工面粗さ計算の詳しい解説

面粗さは「機能・寿命・美観・組立性を決定する仕上げ品質」であり、機械設計・加工計画・品質保証のいずれの現場でも中核となる指標です。理論粗さ式 Rz = f²/(8r) は、単純な旋削・フライスで工具ノーズが幾何学的に転写された痕から導かれ、「送り(feed)」と「ノーズR(radius)」だけで表面性状のオーダーが決まります。ただし実際の切削では、①工具振動(びびり)、②弾性回復、③切り屑の再付着、④工具摩耗、⑤材質の変形挙動、⑥切削油の状態、⑦刃先の欠損等の複合要因で、理論値の1.5〜2倍の粗さになるのが業界常識です。

加工プロセスごとの実現可能な粗さレンジは概ね次のように業界標準化されています。旋削・フライス(荒):Ra 3.2〜25、旋削・フライス(仕上):Ra 0.4〜3.2、リーマ:Ra 0.8〜3.2、内面研削:Ra 0.05〜0.8、円筒研削:Ra 0.05〜1.6、平面研削:Ra 0.05〜1.6、超仕上げ(スーパーフィニッシュ):Ra 0.01〜0.2、鏡面研磨(バフ):Ra 0.005〜0.1、ホーニング:Ra 0.05〜0.8、ラッピング:Ra 0.01〜0.1、電解研磨(EP):Ra 0.05〜0.4、ショットピーニング(粗面化):Ra 3〜25。設計者は目標Ra値から必要な加工プロセスを選び、工程設計と原価見積を行います。

Ra値を1グレード上げる(例:Ra 1.6→0.4)ごとに加工工数は約2倍、原価は1.5〜2倍になるのが業界の目安。したがって「必要以上に細かい面粗さ指定は原価膨張の元凶」であり、機能上必要な範囲でRaを指定するのが機械設計の実務スキル。シール面はRa 0.4、機能面はRa 1.6、一般組立面はRa 3.2〜6.3、非機能面はRa 12.5または鋳肌のままといった段階的な指定が、コスト最適化の定石です。

近年のコーティング工具・高速加工・ミニマルクエンチングにより、理論粗さ式の適用範囲が拡大しています。従来「送り0.1以下はビビリで不可能」だったところ、CBN・cBN・ダイヤモンドコート工具+マシニングセンタ高剛性化で、送り0.02〜0.05mm/revでRa 0.1以下を旋削工程だけで実現できるようになりました。研削工程を1工程削減できるため、生産効率・原価の両面で大きなインパクトを与えています。3Dプリンター・AM(積層造形)ではAs-Built面粗さがRa 6.3〜25と粗いため、機能面の後加工(研削・EP・機械加工)がセットで必要となり、加工技術者の必須スキルとして「AM後加工粗さ設計」の需要が急拡大しています。

面粗さは疲労寿命にも直接影響します。回転軸・歯車・ボルト等の疲労破壊は表面欠陥から発生するため、Ra値半減で疲労寿命が1.5〜2倍伸びるのが定説です。自動車エンジンの内燃機関ピストンピン・クランクシャフトジャーナル・カムシャフトカムでのRa 0.05〜0.4指定、航空機ジェットエンジンの高圧タービンブレードでのRa 0.4以下指定、鉄道車両車軸のRa 0.2以下指定など、安全部品では厳格な粗さ管理が命綱です。

送り・R・切込みの実務最適化

面粗さ改善は理論式だけで決まらず、実際の切削条件との組み合わせで最適化されます。

送りの選定

送り半減で粗さ1/4、生産効率半減、工具寿命は延びる傾向。仕上げ工程では0.05〜0.15mm/revが標準、超仕上げは0.02〜0.05mm/rev、荒加工は0.2〜0.5mm/revが目安。ステンレス・チタン等の難削材は送り小・切削速度小が基本。

ノーズR(工具コーナR)の選定

R拡大で粗さ改善だが、切削抵抗増でビビリ発生・切込みが浅い場合は不完全切削になる。R0.4が業界標準、精密切削でR0.8、R1.2〜1.6、鏡面仕上げではR2.0〜3.2やワイパーインサート使用。切込み量はR以下だと不完全切削で粗さ悪化する要注意点。

切込み(depth of cut)の選定

仕上げでは0.1〜0.5mm、荒加工では2〜5mm。深すぎると切削抵抗大でビビリ、浅すぎると切削痕不完全で粗さ悪化。最小切込みはノーズR以上、理想は切込み=R×1.5倍程度。

切削速度の選定

速度アップで粗さ改善だがビビリ・工具寿命短縮のトレードオフ。仕上げ工程はメーカー推奨値の上限近く、荒加工は中央値、難削材は下限で使う。CBN・cBN・PCBN工具では高速・高送り両立が可能。

ワイパーインサート

ノーズR部にワイパーエッジを追加した仕上げ専用インサート。送り0.3mm/revでもRa 0.4を達成でき、生産性1.5〜2倍。京セラ・住友電工・三菱マテリアル・OSG各社から発売され、量産部品のシール面加工で標準採用が進む。

ミニマルクエンチング・ドライ加工

切削油最小量または無油の加工。環境負荷低減・オイルミスト除去のメリット。粗さは油潤沢時より1.3〜1.5倍悪化する傾向で、送りとRの再チューニングが必要。半導体・自動車部品で採用が拡大中。

測定方法(触針式・光学式)

面粗さ測定には複数の方式があり、精度・非破壊性・測定範囲・コストで使い分けます。

触針式粗さ計(手持ち型)

ダイヤモンド触針を試料表面に接触させ、上下変位を電気信号化。JIS準拠のポータブル機で1台10〜30万円。ミツトヨ・小坂・アメテックFederalの機種が業界標準。現場工員が加工後即測定できる利点で、金型工場・NC加工現場での標準装備。

触針式粗さ計(据置型)

大型ワークや高精度測定用の据置型。触針の追従精度と直線案内の精度が高く、Ra 0.01μmクラスの測定が可能。1台100〜500万円。精密機械メーカー・研究所での標準装備。ミツトヨ SJ-500・小坂研究所ラボマスターが代表機種。

光学式(白色干渉計)

白色光の干渉パターンから表面高さを非接触測定。ナノメートルオーダーの精度、透明部材・柔らかい試料の測定も可能。半導体・光学部品・薄膜評価で標準。ZygoやTaylor Hobson製で1台数百万円〜1000万円クラス。

光学式(共焦点顕微鏡)

ピンホールで焦点面以外の光を遮断し、Z方向スキャンで3D形状を復元。深穴・傾斜面の測定に強い。オリンパス・キーエンス・ライカ製で1台500〜2000万円。医療機器・電子部品・金型のR面粗さ測定で活用。

電子顕微鏡(SEM・AFM)

走査電子顕微鏡(SEM)は表面凹凸を高倍率観察、原子間力顕微鏡(AFM)はナノメートル精度で3D形状測定。半導体・光学結晶・ナノ材料研究の標準装備。1台数千万円〜1億円クラス。

触針式インライン粗さ計

NC機・研削盤に組込む自動粗さ測定装置。加工終了後にプローブが自動測定し、判定結果を機械に返信。無人加工ラインの品質保証で採用が急拡大。マーポス社・ミツトヨ・Renishaw等が製品化。

業界・現場での使い方

自動車部品加工

エンジン・ミッション・シャシー部品の面粗さ管理。ピストン・クランクシャフト・カムシャフトRa 0.05〜0.4、ミッション歯車Ra 0.4〜0.8、シャシーねじ面Ra 1.6等の厳格指定。トヨタ・日産・ホンダの図面標準に沿った仕上げ設計。

金型・プラスチック成形

射出成形金型のキャビティ内面Ra 0.05〜0.4、ヒケ防止のためスプルー内面Ra 0.4以下。EV部品用金型では鏡面バフ+EP仕上げでRa 0.02の超精密面が要求される。

油圧・空圧機器

油圧シリンダのロッド・シリンダ内面Ra 0.2〜0.4、Oリングシール当り面Ra 0.4以下、エア機器では気密確保のため0.4以下標準。ホーニング・ラッピング仕上げが必須。

ベアリング・軸受

玉軸受・ころ軸受の玉・ころ・軌道輪はRa 0.02〜0.1の鏡面。NSK・NTN・JTEKT・SKFの各社標準。研削+スーパーフィニッシュ+ラッピングの3工程で仕上げる。

航空機・宇宙

ジェットエンジン高圧タービンブレードRa 0.4以下、ロケットエンジン燃焼室Ra 0.2以下、宇宙機バルブシート Ra 0.1以下。疲労寿命・信頼性・気密性のため厳格管理。

医療機器・インプラント

人工関節(股関節・膝関節)のカップ・ヘッドRa 0.02以下、歯科インプラントRa 0.4〜1.6(生体活性化のため意図的に粗さを持たせる)、手術器具Ra 0.4以下。生体適合性・磨耗特性の両立が要点。

半導体・電子部品

シリコンウェハ表面Ra 0.001以下、リードフレームRa 0.4〜1.6、コネクタ端子Ra 0.4以下。触針測定不可の領域はAFM・白色干渉計で管理。ナノメートル精度が命綱。

化粧品・食品容器

化粧品ボトル・シャンプー容器Ra 1.6以下(外観重視)、食品容器Ra 3.2以下(衛生性)。射出成形金型の仕上げ品質で最終品の見た目・触感が決まる。

実務ケーススタディ

ケースA:油圧シリンダのシール面Ra 0.4指定

油圧シリンダの内面をNC旋盤で仕上げる場合、Ra 0.4指定を達成する条件設計。理論式から必要送り fを逆算 → 0.4 = f²/(8×0.4)÷4×1000 → f²=1.28×10⁻³→ f=0.036mm/rev。実務では安全マージンを取ってf=0.02〜0.03mm/rev、ノーズR0.8、切削速度180m/min、CBNインサート使用でRa 0.3〜0.4を実現。追加のホーニング工程で0.1〜0.2まで仕上げるのが一般的です。

ケースB:金型鏡面バフ工程の設計

射出成形金型のキャビティをRa 0.02(鏡面)に仕上げる工程。粗加工→仕上げ加工Ra 0.8→#600砥石ラッピング Ra 0.2→#1500 Ra 0.1→#3000 Ra 0.05→ダイヤモンドペーストバフ Ra 0.02の5工程。人手作業で1工程30分〜2時間、総計8〜16時間かかる。自動バフ機導入で工数削減が進んでいる。

ケースC:AM(3Dプリンター)後加工の粗さ管理

金属3DプリンターDMLSでAs-Built面はRa 6.3〜12.5と粗い。機能面のRa 1.6以下を実現するため、①ショットピーニング Ra 3.2、②機械加工(ミル・旋削) Ra 1.6、③電解研磨(EP) Ra 0.4、④ラッピング Ra 0.1、と後加工工程を段階的に組み合わせる。医療用チタンインプラント・航空機部品・エンジン燃焼室で標準的なアプローチ。

よくある間違い・注意点

  • 送り優先の生産性最適化で仕上げ品質悪化 — 送り倍増で粗さ4倍、後工程の研磨・仕上げが余分にかかりトータルコスト増。
  • ノーズR過大でビビリ発生 — Rを大きくすると切削抵抗が急増し、細長ワーク・薄肉ワークではビビリが発生。粗さがかえって悪化する。
  • 切込みがR以下 — 切込みがノーズR未満だとコーナー部が不完全切削となり、加工痕が転写されず粗さ悪化。切込みはR×1.5倍程度が理想。
  • Ry・Rmax等の廃止パラメータ表記 — 現行JIS B 0601:2013はRa・Rz(最大高さ)標準。古いRy・Rmax表記の図面はRz読み替えが必要で、CAD更新時のミスに要注意。
  • 理論式のみで実測せず — 理論値は工具ノーズの幾何転写のみ。実際は工具振動・弾性・切り屑影響で1.5〜2倍悪化。試切りと実測が必須。
  • 過剰な粗さ指定でコスト膨張 — 機能上Ra 1.6で十分な部位にRa 0.4を指定すると原価1.5〜2倍。設計者は必要最小限の指定を心がける。
  • 触針の摩耗・破損 — 触針は消耗品。年1回の交換または点検、汚れ拭き取り、DIN準拠のマスターピースでの日常校正が必須。
  • 方向性面の1方向測定のみ — 送りマークは加工方向に平行な溝を作る。粗さは加工方向に垂直な向きで測定するのが標準。方向を間違えると値が小さめに出る。

関連する規格・法規

  • JIS B 0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語, 定義及び表面性状パラメータ」 — 日本の面粗さ規格の中核。Ra・Rz・Rq等の定義。
  • JIS B 0031「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状の図示方法」 — 図面上での面粗さ記号の表記方法。
  • JIS B 0651「触針式表面粗さ測定機」 — 触針式粗さ計の仕様・校正方法。
  • JIS B 0671「表面性状フィルタ及び校正方法」 — 粗さ・うねりのフィルタリングと校正基準物質。
  • ISO 4287:1997 — 面粗さの国際規格。JIS B 0601の原典。
  • ISO 4288:1996 — 面粗さ評価のための基準長さ・評価長さ。
  • ISO 25178「面性状パラメータ(3D)」 — 3D面性状評価の国際規格。Sa・Sz等。
  • ASME B46.1 — 米国機械学会の面粗さ規格。米国系業界の標準。

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

参考文献・公的資料

面粗さ規格・切削加工・測定技術の詳細については、以下の公的機関・業界資料を参照してください。

※本ページの計算値は理論値であり、実際の加工では工具振動・弾性回復・切り屑・工具摩耗等の影響で1.5〜2倍の粗さになるのが一般的です。設計・製造での適用時は、試切りによる実測・校正済み粗さ計での確認・公的規格の最新版参照が必須です。特に安全部品・医療機器・航空宇宙部品・自動車安全部品では、日本産業規格・関連認証(ISO 9001・IATF 16949等)・所轄検査機関の判断を仰いでください。

よくある質問(FAQ)

送り0.1・R0.4のRaは?

約0.78μm(Rz=3.13μm、Ra≒Rz/4)。実際の切削では工具振動・弾性影響で1.5〜2倍(Ra 1.2〜1.6)になるのが一般的。Ra 0.4狙いなら送りを0.05以下に落とすか、Rを0.8に大きくする必要があります。

Ra 0.4指定のシール面を旋削だけで達成できる?

可能ですが要注意。CBNコートインサート+ノーズR0.8+送り0.05mm/rev+高剛性マシニングセンタで理論Ra 0.19、実測Ra 0.3〜0.5が期待できる。安定的にRa 0.4切りが必要なら、ホーニング等の追加仕上げ工程を組み合わせるのが安全です。

RaとRzの関係「Ra ≒ Rz/4」の根拠は?

正弦波近似での理論関係。Rzは振幅、Raは平均偏差で、正弦波では|平均偏差|=振幅×π/4/2≒0.32×振幅、Rzは振幅の2倍のため、Ra ≒ 0.32×Rz/2 ≒ Rz/6.25。実際の切削では0.2〜0.3の係数で、目安として Ra ≒ Rz/4 が使われます。

ノーズRを大きくすると必ず粗さは良くなる?

幾何学的には良くなりますが、切削抵抗増でビビリが発生する場合があり、実測ではかえって悪化することも。細長ワーク・薄肉ワーク・低剛性機械ではR拡大は要注意。R0.4〜0.8が業界標準で、それ以上は機械剛性次第です。

切込みをR以下にすると何が悪い?

コーナー部が不完全切削となり、送りマーク間の谷部が転写されずランダムな微細凹凸が発生。理論式Rz=f²/(8r)が適用できず、粗さが予測不能に。切込みは最低でもR以上、理想はR×1.5倍が推奨されます。

ワイパーインサートで粗さが良くなる仕組みは?

ノーズR部にワイパーエッジを追加し、送り方向に微小フラットを作ることで、送りマークを「なめる」効果。送り0.3mm/revでもRa 0.4達成可能で、生産性1.5〜2倍。京セラ・住友電工・三菱マテリアルから各種発売中。

研削とラッピングの違いは?

研削は砥石で除去、ラッピングは砥粒を介した圧力除去。研削はRa 0.05〜1.6が到達点、ラッピングはRa 0.01〜0.1と一桁精細。ラッピングは平坦度も出るが加工時間が長く高コスト。用途で使い分け。

3Dプリンター(AM)の面粗さは?

As-Built面はRa 6.3〜25と粗い。機能面には後加工が必須で、ショットピーニング→機械加工→EP→ラッピングを段階的に組み合わせ、目標粗さまで仕上げる。航空機・医療部品で標準的なアプローチ。

触針式と光学式の使い分けは?

触針式は現場即測・低コスト・実績豊富、光学式は非接触・ナノ精度・柔らかい試料対応。日常品質管理は触針式、精密・微細・研究用途は光学式が主流。予算次第で共存が理想です。

面粗さ記号▽▽▽の意味は?

旧JIS表記(1978年廃止)で、▽の数が多いほど精細。▽=荒(Ra 25〜100)、▽▽=中(Ra 6.3〜25)、▽▽▽=精密(Ra 0.8〜6.3)、▽▽▽▽=超精密(Ra 0.05〜0.8)。現在は「Ra 0.4」等の直接記号が標準ですが、古い図面では今も見かけます。

疲労寿命と面粗さの関係は?

Ra半減で疲労寿命1.5〜2倍。表面欠陥から疲労亀裂が発生するため、Ra値が小さいほど疲労寿命が伸びます。自動車エンジンピストンピン、航空機タービンブレード、鉄道車軸で厳格な粗さ管理が命綱です。

ドライ加工・MQL加工での粗さは?

油潤沢時より1.3〜1.5倍悪化。工具摩耗・熱膨張が要因。送り・Rの再チューニング+コーティング工具活用で目標粗さ達成が可能。環境対策・オイルミスト対策で採用が拡大中です。