SPC管理図
工程の平均とばらつきから、管理図の管理限界と工程能力指数を試算します。
SPC管理図ツール
計算式と考え方
Xbar-R管理図では、群の大きさn=5に対する係数d2=2.326とA2=0.577を使います。群内範囲の平均R̄=1.2mmから、工程の標準偏差は1.2÷2.326≒0.5159mmと推定されます。平均値の管理限界は50±0.577×1.2で、上限50.692mm・下限49.308mmです。工程能力指数Cpは規格の幅4.0mmを6σ(約3.10mm)で割って約1.29、平均が規格の中央にあるためCpkも約1.29になります。この条件で規格を外れる割合は、正規分布を仮定すると100万個あたり約106個と見積もられます。
管理図の種類と使い分け
| Xbar-R管理図 | 群の大きさが2〜9のときに使う標準的な形。群内の範囲Rでばらつきを推定する |
|---|---|
| Xbar-S管理図 | 群の大きさが10以上のときに使う。範囲より標準偏差sのほうが情報の損失が少ない |
| 個別値・移動範囲 | 1回に1個しか測れない工程で使う。連続する2点の差を移動範囲として扱う |
| CpとCpkの違い | Cpは規格の幅とばらつきの比、Cpkは平均が規格の中央からずれた分を反映した指標 |
SPC管理図の詳しい解説
管理図の管理限界は、規格から決めるのではなく、工程そのもののばらつきから決めます。群内の範囲の平均R̄を係数d2で割ると工程の標準偏差が推定でき、その3倍を平均値の上下にとったものが管理限界です。3倍という値には理由があります。工程が安定していれば、平均値が偶然にこの範囲を外れる確率は片側でおよそ千分の1.35、両側で約370分の1です。つまり管理限界を外れたときは、偶然ではなく工程に何かが起きたと考えるほうが合理的だという判断になります。この誤警報の頻度と見逃しの少なさの釣り合いが、3σという設定の根拠です。実務でよく混乱が起きるのは、管理限界と規格限界の関係です。管理限界は工程の実力を表し、規格限界は顧客や設計が要求する範囲を表します。両者は別の性質の線で、同じ図に引くべきではありません。管理限界の内側に収まっていても規格を外れることはありますし、その逆もあります。この2つの関係を数値にしたのが工程能力指数で、CpとCpkの差が中心のずれの大きさを示します。Cpが1.33でもCpkが0.9であれば、ばらつき自体は十分小さく、平均を規格の中央に寄せるだけで改善できることが分かります。逆にCpとCpkがほぼ等しく、どちらも低い場合は、中心の調整では解決せず、ばらつきの要因そのものを減らす必要があります。この見分けが改善の方向を決めます。群の取り方も結果を左右します。同じ条件で連続して採ったものを1群にすると群内のばらつきは小さくなり、管理限界は狭くなります。逆に異なる型やロットを混ぜて1群にすると群内のばらつきが大きくなり、管理限界が広がって異常を検出できなくなります。層別の考え方が誤っていると、管理図は形だけ整っていても機能しません。要求される工程能力の水準は業種によって差があります。自動車部品では重要特性についてCpk1.33以上、安全に関わる特性では1.67以上を求められることが一般的です。医薬品や医療機器ではさらに高い水準や、能力指数とは別の妥当性の確認が要求される場合があります。ばらつきが正規分布から大きく外れる特性、たとえば真円度や表面粗さのように片側に裾を引く分布では、通常の計算式をそのまま当てはめると実態と合いません。この場合は分布の形に応じた方法を用いるか、実測の不良率と突き合わせて確認する必要があります。
業界・現場での使い方
管理限界の設定
実測のばらつきから平均値の管理上限と下限を求めます。
工程能力の評価
規格の幅に対する余裕をCpとCpkの両方で確認します。
不良率の見積もり
現在の能力で規格外がどの程度発生するかを概算します。
よくある間違い・注意点
- 管理限界を規格から決める — 管理限界は工程の実力を表す線で、規格は要求を表す線です。規格から引くと異常の検出ができなくなります。
- Cpだけで能力を判断する — 平均が規格の中央からずれていればCpが高くても不良は出ます。Cpkと併せて見る必要があります。
- 群の取り方を検討しない — 異なる型やロットを1群に混ぜると管理限界が広がり、異常が埋もれます。層別してから群を作ります。
関連する規格・法規
- JIS
- ISO
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
Cpkはいくつあればよいですか?
1.33以上が一般的な目標で、安全に関わる特性では1.67以上を求められることがあります。取引先の要求水準の確認が必要です。
データはどのくらい必要ですか?
管理限界を初めて設定する際は20〜25群程度が目安とされます。少なすぎると限界の推定が不安定になります。
管理限界を外れたらすぐ止めるべきですか?
まず測定と記録の誤りを確認し、そのうえで工程の変化を調べます。限界を外れた点は原因の調査対象という位置づけです。