FMEAリスク優先度
影響度・発生頻度・検出難易度から、故障モードのリスク優先度を算出します。
FMEAリスク優先度ツール
計算式と考え方
RPN(リスク優先度数)は「影響度 × 発生頻度 × 検出難易度」で求めます。影響度8、発生頻度4、検出難易度5なら160です。この値が閾値100を超えているため、優先的な対策が必要と判定されます。対策により発生頻度を2、検出難易度を3に下げられれば、RPNは48となり70%の低減になります。損害の観点では、対策前の年間想定損害と対策後の差から削減額を求め、対策費用と比較することで投資対効果を判断できます。なお影響度が9以上の項目は、RPNの値にかかわらず対策の対象とすべきとされます。
3つの評価軸
| 影響度(S) | 故障が発生したときの深刻さ。安全に関わるものは9〜10 |
|---|---|
| 発生頻度(O) | その故障モードが起こる確率。過去の実績や類似品から評価 |
| 検出難易度(D) | 出荷前に発見できるか。1が確実に検出、10が検出不能 |
| RPN | 3つの積。ただし単純な積であることの限界も指摘される |
FMEAリスク優先度の詳しい解説
FMEA(故障モード影響解析)は、製品や工程に潜む故障の可能性を事前に洗い出し、その影響と発生の可能性を評価して、優先順位をつけて対策する手法です。設計段階で行う設計FMEAと、製造工程を対象とする工程FMEAがあり、いずれも問題が市場に出る前に予防することを目的としています。評価は3つの軸で行われます。影響度は故障が起きたときの深刻さで、安全に関わるものや法規に違反するものは最高の9〜10と評価されます。発生頻度は、その故障モードがどれだけ起こりやすいかで、過去の実績や類似製品のデータから判断します。検出難易度は、出荷前の検査や試験で発見できるかで、確実に検出できれば1、検出できなければ10となります。RPNはこれらの積で求められますが、この指標には限界が指摘されています。積で計算するため、影響度が10でも発生頻度と検出難易度が1なら10という低い値になり、安全に関わる重大な問題が見過ごされる可能性があります。このため、影響度が9以上の項目はRPNの値にかかわらず対策の対象とするという運用が広く採られています。また、異なる組み合わせで同じRPNになった場合、どちらを優先すべきかが判断できないという問題もあります。この課題への対応として、影響度と発生頻度を優先し、検出難易度を補助的に扱う評価方法も提唱されています。対策の考え方には順序があります。最も望ましいのは設計の変更により故障モード自体をなくすことで、次が発生頻度を下げること、その次が検出の仕組みを強化することです。検出の強化は問題が起きること自体を防がないため、根本的な対策とは言えません。検査を増やすという対応に頼りすぎると、コストが増える一方で品質は本質的には改善しません。FMEAを有効に機能させるには、実施のタイミングと参加者が重要です。設計が固まってから実施しても変更が困難になるため、早い段階での実施が求められます。また、設計、製造、品質、保守といった異なる立場の担当者が参加することで、一つの視点では見えない故障モードが洗い出されます。一度作成して終わりではなく、市場での不具合や工程での問題を反映して更新し続けることが、組織の知識として蓄積される条件になります。
業界・現場での使い方
設計レビュー
故障モードのリスクを定量化し、対策の優先順位を決めます。
対策の効果測定
対策前後のRPNを比較し、低減効果を確認します。
投資判断
対策費用と想定損害の削減額を比較します。
よくある間違い・注意点
- RPNだけで優先順位を決める — 影響度が高い項目が低いRPNになることがあります。安全に関わる項目は別扱いが必要です。
- 検出の強化ばかりを対策とする — 問題の発生自体は防げません。設計変更や発生頻度の低減が根本的な対策です。
- 作成して終わりにする — 市場や工程での問題を反映して更新することで、組織の知識として蓄積されます。
関連する規格・法規
- JIS
- ISO
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
RPNの閾値はどう決めますか?
100が一つの目安ですが、製品の性質と組織の方針により決めます。絶対的な基準はありません。
影響度が高い項目はどう扱いますか?
9以上ならRPNの値にかかわらず対策の対象とする運用が広く採られています。
いつ実施すべきですか?
設計が固まる前です。後になるほど変更が困難になり、対策の選択肢が狭まります。