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アイボルトJIS B 1168使用荷重玉掛け吊り具

アイボルトの使用荷重計算(JIS B 1168)

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ねじの呼び・吊り荷の質量・吊り方から、JIS B 1168 のアイボルトの使用荷重と比べて使えるかを判定します。2個で斜めに吊るときの1個あたりの張力、必要な最小の呼び径、保証荷重とめねじの長さも表示します。

最終更新:2026-10-16/監修:計算ツールズ編集部

アイボルトの使用荷重計算(JIS B 1168)ツール

判定の考え方

JIS B 1168 は、アイボルト1個で垂直に吊るときと、2個で45度づりにするときの使用荷重を定めています。判定は、吊り荷の重さを使用荷重で割るだけです。

荷の重さ(kN)= 質量(kg)× 9.80665 ÷ 1000  使用率 = 荷の重さ ÷ 使用荷重

使用率が100%以下なら使えます。

45度づりは「2個で1個分」

JIS の45度づりは、ワイヤが鉛直から45度(2本の間の角度が90度)傾いた吊り方です。使用荷重は「2個につき」の値で、垂直づり1個と同じです。つまり1個あたりは垂直づりの半分しか吊れません。

1個にかかる張力

1個の張力 = 荷の重さ ÷ 2 ÷ cos(間の角度 ÷ 2)

計算例

M12 の垂直づりの使用荷重は2.16 kN(約220 kg)です。200 kg の荷を1個で垂直に吊ると、1.96 kN ÷ 2.16 kN = 90.8% で使えます。300 kg の荷を M12 の2個で45度づりにすると、2.94 kN ÷ 2.16 kN = 136.2% で使えません。1個にかかる張力は2.08 kN で、垂直づり1個の使用荷重より小さいのに不合格になるのは、斜めの力がねじの首下を曲げるためです。必要なのは M16(4.41 kN・約449 kg)です。

アイボルトの使用荷重(JIS B 1168 付表1)

ねじの呼び垂直づり(1個)45度づり(2個につき)保証荷重めねじ部の長さ l
M80.785 kN(約80 kg)0.785 kN2.35 kN15 mm
M101.47 kN(約149 kg)1.47 kN4.41 kN18 mm
M122.16 kN(約220 kg)2.16 kN6.47 kN22 mm
M164.41 kN(約449 kg)4.41 kN13.24 kN27 mm
M206.18 kN(約630 kg)6.18 kN18.54 kN30 mm
M249.32 kN(約950 kg)9.32 kN27.95 kN38 mm
M3014.7 kN(約1,498 kg)14.7 kN44.13 kN45 mm
M3622.6 kN(約2,304 kg)22.6 kN67.67 kN55 mm
M4233.3 kN(約3,395 kg)33.3 kN100.0 kN65 mm
M4844.1 kN(約4,496 kg)44.1 kN132.4 kN70 mm
M6488.3 kN(約9,004 kg)88.3 kN265 kN90 mm
M80×6147 kN(約14,989 kg)147 kN441 kN105 mm
(M90×6)177 kN(約18,048 kg)177 kN530 kN120 mm
M100×6196 kN(約19,986 kg)196 kN588 kN130 mm

※kg は kN を9.80665で割り、1kg未満を切り捨てた値。保証荷重は使用荷重の3倍(JIS B 1168 表1)。めねじ部の長さ l は、取り付ける側が鋳鉄または鋼の場合の寸法。括弧付きの呼びはなるべく用いない。

2個で斜めに吊るときの1個あたりの張力

2本の間の角度鉛直からの傾き1個の張力(荷の重さに対して)JIS の扱い
0度0度50.0%45度づりの値で判定(安全側)
60度30度57.7%45度づりの値で判定(安全側)
90度45度70.7%45度づり(2個で垂直づり1個分)
120度60度100.0%値なし(使わない)

※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。表の値は JIS 規格票の値です。実際に使ってよい荷重は、製品に刻印・表示された使用荷重と、メーカーの取扱説明書が優先します。古い製品やJIS以外の製品は値が違うことがあります。玉掛けの作業は、玉掛け技能講習(つり上げ荷重1t以上のクレーン等)または特別教育を修了した人が行ってください。

アイボルトの使用荷重計算(JIS B 1168)の詳しい解説

アイボルトは、機械や型、盤などの吊り点としてねじ穴にねじ込んで使う金具です。手軽に吊り点を作れる反面、吊り方によって使える荷重が大きく変わることが知られていないまま使われがちです。JIS B 1168 は、アイボルトの形状・寸法と、ねじの呼びごとの使用荷重を定めています。

規格の使用荷重は、1個で垂直に吊るとき(垂直づり)と、2個で45度に吊るとき(45度づり)の2通りだけです。M12 なら垂直づりが2.16 kN(約220 kg)、45度づりは「2個につき」2.16 kN です。数字が同じなので見落とされますが、45度づりは2個を使っても垂直づり1個分しか吊れないという意味です。1個あたりでは半分になります。

なぜこれほど下がるのでしょうか。アイボルトはねじの軸の方向に引っ張られることを前提にした部品です。斜めに引かれると、リングの付け根とねじの首下に曲げの力がかかります。ねじの首下は断面が最も細く、応力も集中しやすい場所です。2個で45度づりにしたとき、1個にかかる張力は荷の重さの約70.7%で、使用荷重はその張力に対しても低く抑えられています。300 kg の荷を M12 の2個で45度づりにすると、1個の張力は2.08 kN で垂直づりの使用荷重2.16 kN より小さいのに、規格では不合格になります。ここを張力だけで判断すると、危険側に誤ります。

45度づりの値には条件があります。ざぐりなどでボルトの座面が相手に密着していることと、2個のリングの向きが同一平面にあることです。座面が浮いていると、斜めの力がねじの首下を直接曲げ、規格の値でも折れることがあります。リングの向きがそろっていないと、リングの面と直角の方向に引かれ、リングそのものが曲がります。リングの面に対して横から引くのは、どのメーカーも禁止しています。

JIS は45度づりより深い角度の値を定めていません。2本の間の角度が90度を超える吊り方(鉛直から45度より寝かせる吊り方)は規格の外です。このツールは90度を超える角度を「使えない」と判定します。ワイヤを長くして角度を狭めるか、天秤(つりビーム)を使って垂直に吊るのが正しい対処です。逆に90度より狭い角度には規格の値が無いので、このツールは45度づりの値で判定します。実際より厳しい側の判定になります。

4個のアイボルトで吊る場合も注意が要ります。4本のワイヤの長さや吊り点の高さがわずかに違うだけで、荷は対角の2本に偏ってかかります。このツールは4個づりを2個で受けるとして判定しています。規格の値ではなく、安全側に置いた仮定です。

アイボルトの強さは、取り付ける側のめねじにも左右されます。規格のめねじ部の長さ l は、取り付ける側が鋳鉄または鋼の場合の寸法で、M12 なら22 mm です。アルミ合金や樹脂のように柔らかい材料では、同じ長さでもねじ山がせん断で抜けることがあります。また、規格のアイボルトは一般構造用圧延鋼材(SS400)または機械構造用炭素鋼(S17C・S20C)を鍛造して焼ならしたもので、保証荷重は使用荷重の3倍です。ホームセンターで売られている規格外のアイボルトや、ステンレスの小径品は値が違うことがあるので、製品の刻印とメーカーの資料を確かめてください。

単位の換算にも注意が要ります。JIS の使用荷重は kN で書かれていますが、現場では kg や t で荷の重さを言うことがほとんどです。1 kN は約102 kg で、kN を kg に直すには1,000を掛けて9.80665で割ります。M12 の2.16 kN は約220 kg、M24 の9.32 kN は約950 kg です。1 kN を100 kg と読む略算は約2%小さく見積もる(安全側の)読み方ですが、kN と kgf、kN と t を取り違えると、10倍・1,000倍の桁違いになり、そのまま事故につながります。このツールは kg で入れて kN で比べ、kg の目安は切り捨てて表示しています。

呼び径の決め方の手順をまとめておきます。まず吊り荷の質量を確かめます。次に吊り方を決めます。1点で吊れるなら垂直づり、2点で吊るなら45度づりの条件(座面の密着とリングの向き)を満たせるかを確かめ、満たせないなら天秤を使って2個とも垂直づりにします。そのうえで、垂直づりなら1個の使用荷重、45度づりなら2個につきの使用荷重が荷の重さ以上になる呼びを選びます。最後に、取り付ける側のねじ穴が規格のめねじの長さ以上あり、材料が鋳鉄か鋼であることを確かめます。

玉掛けの作業では、作業を始める前に玉掛用具の異常の有無を点検することがクレーン等安全規則で求められています。リングが変形しているもの、き裂があるものは使ってはいけません。アイボルトを使い回すときは、ねじ山のつぶれやリングの伸びも見ます。一度でも過大な荷重をかけたアイボルトは、見た目に異常がなくても交換するのが安全です。

業界・現場での使い方

機械・設備の据付け

モーターや減速機、盤を吊り上げるときに、付属のアイボルトで足りるかを確かめます。

金型の段取り替え

金型の質量から、ねじ込むアイボルトの呼び径と吊り方を決めます。

玉掛け作業の計画

吊り点が2か所のとき、45度づりで規格に収まるかを事前に判定します。

設計時の吊り穴の決定

製品の質量から、設ける吊り用ねじ穴の呼びとめねじの深さを決めます。

安全教育

45度づりで使用荷重が半分になることを、数値で示します。

よくある間違い・注意点

  • 45度づりを1個あたりの値だと思う — JIS の45度づりの値は「2個につき」です。1個あたりは垂直づりの半分です。
  • 張力が使用荷重以下なら大丈夫と考える — 斜めに引くと首下に曲げがかかります。規格は45度づりの値を張力より低く定めています。
  • 座面が浮いたまま使う — 45度づりの値は座面が密着している前提です。浮いているとねじの首下で折れます。
  • リングの面と直角に引く — リングが曲がります。2個のリングの向きを同一平面にそろえます。
  • 間の角度が90度を超える吊り方をする — JIS に値がありません。ワイヤを長くするか天秤を使います。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

M12 のアイボルトは何kgまで吊れますか?

JIS B 1168 の垂直づりで2.16 kN(約220 kg)です。2個で45度づりにしても合計2.16 kN です。

M16 のアイボルトの使用荷重は?

垂直づり4.41 kN(約449 kg)、45度づりは2個につき4.41 kN です。

M10 のアイボルトの使用荷重は?

垂直づり1.47 kN(約149 kg)です。

45度づりとは何ですか?

ワイヤが鉛直から45度傾いた吊り方で、2本のワイヤの間の角度は90度です。

45度づりの使用荷重はなぜ低いのですか?

斜めの力がねじの首下を曲げるためです。JIS では2個使って垂直づり1個分です。

アイボルトを横向きに引いてもいいですか?

いけません。リングの面と直角に引くとリングが曲がります。

アイボルトの安全率は?

保証荷重が使用荷重の3倍と定められています(この荷重でリングの永久変形0.5%未満)。

ねじ穴の深さはどれくらい必要ですか?

鋳鉄・鋼の場合、JIS の l 寸法で M12 は22 mm、M16 は27 mm です。

4個のアイボルトで吊るときは?

荷が対角の2個に偏りやすいので、このツールは2個で受けるとして判定しています。

間の角度が120度ではいけませんか?

JIS に値がないので使いません。90度以内にするか天秤を使います。