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玉掛けワイヤロープ吊り角度張力係数

玉掛けワイヤの張力計算

吊り荷の質量・掛け方・吊り角度から、1本あたりの張力と必要な切断荷重、適合するワイヤ径を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

玉掛けワイヤの張力計算ツール

張力係数は1÷cos(吊り角度÷2)で求めます。吊り角度60度なら1÷cos30度=1.15倍。1本あたりの張力は吊り荷の重量×張力係数÷有効本数なので、2t(19.61kN)×1.15÷3本=7.55kNです。安全係数6を掛けた必要な切断荷重は45.29kNとなり、6×24 A種なら10mm以上が目安になります。切断荷重100kNのワイヤを4本(3本有効)で使うと、この角度で吊れる質量は4.42tです。

吊り角度と張力係数

吊り角度(挟角)張力係数2本吊り1本あたりの荷重比
0度(垂直)1.00倍50%
30度1.04倍52%
60度1.15倍58%
90度1.41倍71%
120度2.00倍100%

掛け方とモード係数の考え方

掛け方有効本数注意点
1本吊り1本荷の回転を止める措置が要ります
2本吊り2本重心が中央にあることが前提です
4本吊り3本として扱う荷が傾くと1本が遊ぶため3本で計算します
あだ巻き・目通し0.8倍程度に低減ワイヤの曲げにより強度が落ちます

※参考計算です。実機の性能表・整備要領書・法令の告示が優先されるため、作業前に必ず該当する仕様書で確認してください。

玉掛けワイヤの張力計算の詳しい解説

吊り角度で張力が増えるのは、斜めに張ったワイヤの張力を鉛直成分と水平成分に分解したとき、鉛直成分だけが荷を支えるためです。角度が開くほど水平成分が大きくなり、同じ荷でも張力は急に伸びます。挟角60度なら1.15倍で済みますが、120度では2.00倍となり、2本吊りの1本が荷の全質量を受けるのと同じ状態になります。角度を60度以内に収めるという現場の合言葉には、この非線形な増え方が背景にあります。

判断が分かれるのは4本吊りの扱いです。四点で吊っても荷や玉掛け用具にわずかな寸法差があれば張力は均等に分かれず、対角の2本に偏ることがあります。このため実務では3本が有効という前提で計算する運用が広く採られています。剛性の低い荷や、長さを個別に調整できる吊り具を使う場合には4本を有効とみなす考え方もありますが、余裕を削る判断になるため根拠を残しておく必要があります。

見落とされやすいのは、角度以外に強度を下げる要素があることです。目通しやあだ巻きではワイヤが荷の角で曲げられ、曲げ半径が小さいほど実効強度が落ちます。荷の角に当てる当て物を省くと局部的な折れが生じ、次回以降の使用でも素線切れの起点になります。荷の重心が中央になければ、短いほうの脚に張力が集中します。玉掛け用具そのものの質量も、クレーン側では吊り荷に含めて数えます。

安全係数は用途で異なり、玉掛け用のワイヤロープには6以上が求められています。切断荷重はロープ構成と種別で変わるため、同じ径でも6×24と6×37、心の種類によって値が違います。実際の選定では製造者の試験値を使い、この計算は概略の当たりを付ける段階までにとどめてください。使用中のロープは径減りや素線切れで強度が落ちるため、新品の値をそのまま当てはめないことも大切です。

日常の点検では、使う前にワイヤ全長を手で送りながら素線の飛び出しと形崩れを確認し、シャックルのピンに曲がりがないかを見ます。吊り角度は現場で目測しがちですが、脚の長さと吊り点の間隔が分かれば計算で求められます。吊り点の間隔を脚の長さで割った値から角度を出す習慣をつけると、見た目より開いていたという事態を防げます。荷の形状が複雑で重心が読めない場合は、少し浮かせて傾きを確かめる試し吊りを必ず挟んでください。

業界・現場での使い方

玉掛け作業計画の作成

荷の質量と吊り点の位置から角度を決め、必要なワイヤ径と本数を確定します。

吊り具の在庫管理

手持ちのワイヤの切断荷重から、吊れる荷の上限を一覧にして掲示します。

新規入場者教育

角度を開くと張力が何倍になるかを数値で示し、無理な掛け方を防ぎます。

重量物の搬入検討

天井高が足りず角度を開かざるを得ない場合に、ワイヤを太くするか本数を増やすかを比較します。

よくある間違い・注意点

  • 荷の質量を本数で割っただけで判断する — 吊り角度による増加を見ていないため、120度では実際の張力が2倍になります。
  • 4本吊りを4本有効として計算する — 寸法差で対角の2本に張力が偏るため、3本有効で見るのが実務の前提です。
  • 目通しや角当ての影響を無視する — 曲げによって実効強度が落ちます。当て物なしで角に掛けると素線切れの起点になります。
  • 新品の切断荷重をそのまま使う — 使用中のロープは径減りと素線切れで強度が落ちています。点検値で見直しが必要です。
  • 荷の重心を中央と決めつける — 重心が偏ると短い脚に張力が集中します。試し吊りで傾きを確認してください。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

2tの荷を4本吊り・挟角60度で吊ると1本何kNですか?

3本有効として7.55kNです。安全係数6を見た必要な切断荷重は45.29kNになります。

吊り角度は何度までに抑えるべきですか?

60度以内が現場の目安です。90度で1.41倍、120度で2.00倍と急に増えるため、開きすぎには注意が必要です。

4本吊りを3本有効とするのはなぜですか?

吊り具や荷のわずかな寸法差で張力が対角に偏るためです。均等に分かれない前提で余裕を確保します。

安全係数はいくつを使いますか?

玉掛け用のワイヤロープには6以上が求められています。用途や社内基準でさらに上乗せする場合もあります。

ワイヤ径から切断荷重はどう概算しますか?

6×24 A種で径の二乗におよそ0.53を掛けた値がkN単位の目安です。正確な値は製造者の試験成績表で確認します。

目通し吊りは何割程度で見ますか?

曲げによる低減として0.8倍前後で見る運用が一般的です。当て物の有無でも変わります。

吊り角度を狭めるにはどうしますか?

吊り具を長くするか吊り天秤を使います。既定条件で30度狭めると1本あたり6.77kNまで下がります。

シャックルの選定も同じ張力で見ますか?

同じ張力が作用します。シャックルは使用荷重で表示されるため、張力をトン換算して比べてください。