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ワイヤロープ安全荷重素線切れ定期点検

ワイヤロープ 安全荷重と使用限度

ロープ径・構成・安全係数から切断荷重と安全荷重を求め、素線切れと径の減少を使用限度と比べます。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

ワイヤロープ 安全荷重と使用限度ツール

切断荷重は構成ごとの係数×ロープ径の二乗で概算します。6×24 A種の係数0.53、径16mmなら0.53×16×16=135.7kN。安全係数6で割った安全荷重は135.7÷6÷9.81=2.31tです。素線の限度は総素線数の10%なので、6×24の144本に対して14本。公称径16mmに対する実測15.4mmの減少率は(16−15.4)÷16=3.75%で、限度の7%までまだ余裕があります。

ロープ構成別の目安(切断荷重の係数と総素線数)

構成係数(kN/mm²)総素線数特徴
6×19 A種0.55114本硬く、巻上げ向き
6×24 A種0.53144本柔らかく玉掛けに多用
6×37 A種0.52222本より柔軟で小径ドラム向き
IWRC 6×240.60144本心綱が鋼で強度が高い

使用限度の判定項目

項目限度の目安測り方
素線切れ1よりピッチ内で総素線数の10%最も傷んだ1ピッチを数えます
径の減少公称径の7%直交する2方向をノギスで測ります
キンクあれば使用不可ねじれの戻りを目視で確認します
著しい形崩れ・腐食あれば使用不可素線の浮きと赤さびを確認します

※参考計算です。実機の性能表・整備要領書・法令の告示が優先されるため、作業前に必ず該当する仕様書で確認してください。

ワイヤロープ 安全荷重と使用限度の詳しい解説

ワイヤロープの強度が径の二乗にほぼ比例するのは、荷重を負担するのが素線の断面積の合計だからです。径が1割太くなれば断面積は約2割増え、切断荷重も同じ割合で伸びます。同じ径でも構成によって値が変わるのは、素線が細かいほど隙間が増えて金属の占める割合が下がるためで、6×37は6×19より柔らかい代わりに切断荷重がわずかに下がります。心綱が繊維ではなく鋼のIWRCは断面が詰まる分だけ強く、同じ径で1割前後の差が出ます。

判断が分かれるのは、どこを測って劣化とみなすかです。素線切れは1よりピッチという決まった区間で数えますが、傷みは一様ではなくロープ全長のうち特定の場所に集中します。最も傷んだ1ピッチで判定するのが原則で、平均で見ると危険側の判断になります。径の減少も同様で、シーブに掛かる範囲だけが平たくつぶれることがあり、直交する2方向を測って小さいほうを採用します。

見落とされやすいのは、外から見えない内部の劣化です。素線同士がこすれる内部摩耗は表面に現れにくく、径の減少だけが手掛かりになります。心綱が繊維の場合は油分が抜けて痩せ、外層のストランドが内側に落ち込むことで径が縮みます。腐食も同じで、赤さびが浮いている段階では内部がかなり進んでいることがあります。海沿いや薬液を扱う環境では、走行距離が短くても年数で交換する運用が現実的です。

用途によって求められる安全係数も違い、玉掛け用には6以上、巻上げ用には5以上、支線には4以上が一つの基準になっています。同じロープでも用途が変われば使える荷重が変わるため、吊り具を流用するときは表示を付け替える必要があります。使用限度に近いロープを廃棄する判断は担当者によって揺れやすいので、点検の記録を残し、限度に対する余裕を数値で共有しておくと運用が安定します。

点検の記録は、日付、測定箇所、素線切れの本数、実測径、判定をひとつの様式にまとめておくと、次回との比較がしやすくなります。同じロープでも荷を受ける位置は毎回ほぼ同じになるため、傷みは特定の区間に集中します。前回どこを測ったかが分かれば、進行の速さから交換の時期を予測できます。玉掛け用具に識別番号を打刻して個体ごとに履歴を残す運用も広まっており、限度に近い個体を早めに抜き取れるようになります。

業界・現場での使い方

玉掛け用具の定期点検

素線切れと径の減少を記録し、限度までの余裕を数値で残して交換時期を判断します。

吊り具の表示更新

径と構成から安全荷重を算出し、使用荷重の表示札を作成します。

巻上げ機の保守

用途ごとの最低安全係数と照らし、巻取りドラムのロープ交換周期を決めます。

購入仕様の検討

必要な安全荷重から逆算して径と構成を選び、見積り仕様書に反映します。

よくある間違い・注意点

  • 平均的な箇所で素線切れを数える — 判定は最も傷んだ1よりピッチで行います。平均で見ると限度超過を見落とします。
  • 径を1方向だけ測る — つぶれは方向によって差が出ます。直交する2方向を測り小さいほうで判定します。
  • 構成の違いを無視して同じ切断荷重を使う — 6×19とIWRCでは同じ径でも1割前後の差があります。表示で構成を確認してください。
  • 用途を変えたのに安全係数を見直さない — 玉掛け用と支線用では求められる係数が違います。流用時は表示の付け替えが必要です。
  • 見た目がきれいなロープを無条件で使う — 内部摩耗や心綱の痩せは外観に出ません。径の減少と使用年数を併せて確認します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

16mmの6×24ロープの安全荷重はどのくらいですか?

切断荷重の目安は135.7kN、安全係数6なら2.31tです。実際の値は製造者の試験成績表で確認してください。

素線切れの限度は何本ですか?

1よりピッチ内で総素線数の10%が目安です。6×24なら144本に対して14本になります。

径の減少はどこまで許容されますか?

公称径の7%が目安です。16mmなら14.88mmを下回った時点で交換の対象になります。

よりピッチとは何ですか?

ストランドがロープを1周する軸方向の長さです。おおよそロープ径の6倍から8倍が目安になります。

キンクしたロープは修正して使えますか?

素線の配列が崩れて元に戻らないため、修正しても強度は回復しません。使用は避けてください。

IWRCのほうが強いのはなぜですか?

心綱が繊維ではなく鋼のロープでできており、断面に占める鋼の割合が増えるためです。

屋外保管のロープは何年で交換しますか?

年数だけの基準はありませんが、腐食が進む環境では走行が少なくても定期的な更新が現実的です。

安全荷重の表示はどう作りますか?

用途に応じた最低安全係数で切断荷重を割り、トン単位に換算して表示します。用途を明記してください。