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ドリル穴あけRPM切削JIS B 4301

ドリル回転数 計算ツール|材質・径別 推奨RPM・切削速度Vc・送り

ドリル径×被削材(アルミ・快削鋼・S45C・SUS304・SUS316・チタン・インコネル)×工具材質(ハイス/超硬)から推奨RPM・切削速度Vc・送り目安を即算出。ボール盤・マシニングセンタ・自動車部品加工・金型加工・航空機部品の穴あけ条件設定に。JIS B 4301ハイスドリル、超硬ソリッドドリル、TiN/TiAlNコーティング、油穴付き(オイルホール)ドリル、深穴加工のステップ送りまで網羅解説。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

ドリル回転数 計算ツール

計算式と切削三要素

基本式

回転数 N (rpm) = 1000 × Vc / (π × D)

送り速度 F (mm/min) = f × N(f: 送り mm/rev)

切削時間 t (min) = 穴深さ L / F

ドリル加工の基本式は旋盤・フライスと同じ切削速度Vcから回転数Nを求める形。切削速度Vcは工具外周1点の対工作物相対速度で、単位はm/min。ドリル径Dが大きいほど同じVcでもRPMは低くなります。φ10mmでVc=100 m/minならN≒3183 rpmとなります。

ドリル特有の考慮

ドリル加工は他の切削と異なり、ドリル中心部の切削速度がゼロになる特殊性があります。切りくずの排出困難、冷却剤到達性の悪さもあり、旋盤・フライスよりVc=70〜80%程度に控えるのが慣行。φ10mm S45Cの旋削なら120〜150 m/minでもドリルでは100 m/min前後に抑えます。

切削三要素の関係

切削加工の3大要素は切削速度Vc・送りf・切込み量ap。ドリル加工では切込み量=ドリル半径で固定されるため、Vcとfのみで調整します。Vcを上げると加工能率↑・工具寿命↓、fを上げると加工能率↑・切りくず厚み増・切削抵抗↑となり、両者のバランスが重要です。

ドリル種類と特徴

ドリルは母材材質・形状・被覆で多様な種類があります。加工能率と工具寿命の最適バランスは、被削材・機械剛性・生産量で決まります。

種類母材特徴・用途価格帯
ストレートシャンクドリルハイス(HSS)汎用、ボール盤・手持ちドリル用、φ0.5〜13mm数百円〜
テーパーシャンクドリルハイス(HSS)大径・機械用、モールステーパー装着、φ10〜80mm1,000〜数千円
コバルトハイスドリルHSS-Co(Co 5〜8%)ステンレス・耐熱鋼用、高硬度・耐熱性向上2〜5倍
超硬ソリッドドリル超硬合金(WC-Co)高硬度材・高速加工、寿命ハイス比3〜5倍ハイス比5〜10倍
ろう付超硬ドリルシャンク鋼+刃先超硬大径・コスト抑制、φ13〜50mmソリッド比0.5倍
TiN・TiAlNコーティングハイス・超硬耐摩耗性・耐熱性向上、寿命1.5〜3倍+30〜50%
油穴付き(オイルホール)超硬クーラント直接供給、深穴・難削材、寿命2〜3倍+50〜100%
ガンドリル超硬・特殊鋼φ10倍以上の深穴専用、精密穴加工数万〜数十万円
BTA(ボーリング&トレパニング)超硬φ20mm超の超深穴、鉄鋼メーカー実績数十万円〜

コーティングの種類と用途

TiN(窒化チタン、金色):汎用、耐摩耗性↑。TiCN(チタンカーバイド、灰紫):TiNより硬い、汎用鋼加工。TiAlN(チタンアルミ窒化、黒紫):耐熱性抜群、高速加工・難削材向け。DLC(ダイヤモンドライクカーボン):アルミ・非鉄向け、凝着抑制。ダイヤモンドコーティング:CFRP・炭素繊維向け、超硬耐摩耗性。用途に応じて選択します。

被削材・工具材質別 Vc早見表(m/min)

各種被削材ごとの標準的な切削速度Vc。カタログ値は工具メーカー(三菱マテリアル・京セラ・OSG・タンガロイ・住友電工)により若干変動しますが、実務目安として以下を参考にしてください。

被削材硬さHBハイスVc超硬Vc備考
アルミ合金(A5052/A6061)60〜9560〜100200〜400粘着性あり、送り速く
快削鋼(SUM22/SUM24L)15030〜40120〜180Pb・S含有で切削性良好
低炭素鋼(S10C〜S25C)110〜14025〜35100〜150汎用鋼、標準条件
中炭素鋼 S45C180〜22020〜3080〜120機械部品の主力材
合金鋼 SCM440250〜32015〜2070〜100クロモリ、要冷却
SUS304(オーステナイト系)18010〜1850〜80加工硬化しやすい
SUS316(Mo添加)2008〜1540〜70耐食性重視、難削
SUS420J2(マルテンサイト)23010〜1850〜80刃物用
SKD11(冷間ダイス鋼)220〜2605〜1030〜60金型用、超硬必須
チタン Ti-6Al-4V3406〜1025〜40低熱伝導、油穴推奨
インコネル 7183603〜815〜30超難削、専用工具必須
マグネシウム合金50〜7080〜150250〜500可燃性、水冷剤禁止
銅・真鍮80〜12050〜80150〜250粘着性、送り速く
CFRP(炭素繊維)不適60〜120ダイヤモンドコート必須

ドリル径別 推奨RPM例(S45C・超硬 Vc=100)

ドリル径RPM推奨送りf送り速度F
φ3mm10,6100.05 mm/rev530 mm/min
φ5mm6,3660.08 mm/rev509 mm/min
φ10mm3,1830.15 mm/rev478 mm/min
φ15mm2,1220.20 mm/rev424 mm/min
φ20mm1,5920.25 mm/rev398 mm/min
φ30mm1,0610.30 mm/rev318 mm/min

送りf・穴深さ・切削抵抗

送りfの目安

ドリル送りfの目安はドリル径×0.01〜0.03 mm/rev。φ10mmなら0.10〜0.30 mm/rev、φ20mmなら0.20〜0.60 mm/rev。硬い被削材ほど下限側、軟らかい被削材ほど上限側で設定します。送りが小さすぎると切りくずが薄く延ばされて工具に凝着し、逆に大きすぎると切削抵抗過大でドリル折損の原因になります。

深穴加工のステップ送り

ドリル径の5倍を超える深さは深穴と定義され、通常のドリルでは切りくず排出困難・冷却剤到達不足で問題発生。対策はステップ送り(啄み送り、ペックドリリング):ドリル径の1〜2倍毎に一度引き戻して切りくずを排出・冷却剤を供給します。マシニングのGコード例:G83 深穴サイクル。ステップ量Q は深穴の1/10〜1/5が目安。

切削抵抗と機械剛性

ドリル加工の切削抵抗はスラスト(軸方向)とトルク(回転方向)に分かれ、送りf・被削材硬さで比例的に増加。φ20mm S45C・f=0.3 mm/revで概算スラスト2,000N、トルク15N・m程度。ボール盤・ラジアルボール盤の剛性を超えると振動・折損の原因に。機械の主軸トルク・スピンドル剛性のスペック確認が必須です。

切削油と冷却方式

切削油の種類

  • 水溶性切削油(エマルション、ソリューション):水希釈タイプ、汎用・冷却重視。汎用鋼・アルミの穴あけに。
  • 不水溶性切削油(ストレートオイル):潤滑重視、ステンレス・難削材・タップ加工に。
  • MQL(Minimum Quantity Lubrication、セミドライ加工):微量油+エアで環境負荷削減、近年増加。
  • エアブロー(乾式):アルミ・マグネシウムで採用、油分排除。

冷却方式による効果差

外部給油:ノズルからドリル外周に散布、コスト低いが切削点到達性は不十分。内部給油(油穴付きドリル):シャンクからドリル先端に高圧クーラント直接供給、寿命2〜3倍・生産性1.5〜2倍改善事例多数。深穴・SUS・チタン加工では標準装備化。ミスト冷却:MQL方式、環境配慮とコストの両立。

SUS304の油穴付き加工事例

SUS304 φ10mm・深さ40mm穴あけで、通常ドリルなら寿命50穴・時間30秒/穴だったのが、油穴付き超硬ドリルで寿命200穴・時間12秒/穴に改善(実例)。深穴・難削材ほど油穴付きの効果が顕著です。

ドリル摩耗と交換タイミング

ドリルは使用に伴い刃先が摩耗し、切削抵抗増加・穴精度悪化・折損リスク上昇の悪循環に入ります。適切な交換タイミングを見極めることが工具コスト・生産性の両立の要です。

摩耗のパターン

  • 逃げ面摩耗(Flank wear):ドリル刃先の逃げ面が徐々に摩耗。摩耗幅VBが0.2〜0.4mmで交換目安。
  • チッピング(Chipping):刃先の欠け。難削材・断続切削で発生、即時交換必要。
  • コーナー摩耗:外周コーナー部の集中摩耗。穴径公差外れの原因、外周精度重視加工で早期交換。
  • 凝着(Built-up Edge):切りくずが刃先に溶着。アルミ・低炭素鋼で発生、切削油変更・Vc調整で対応。
  • クレーター摩耗:すくい面に凹み。高温・高速加工で発生、コーティング・冷却で抑制。

再研磨の判断

大径ドリル(φ10mm超)は再研磨で3〜5回再使用可能、コスト20〜30%で新品同等性能に戻ります。小径・コーティングドリルは再研磨コストが割高で新品交換が定石。専門研磨業者への外注が一般的。

工具寿命の見える化

NC・マシニングでは工具寿命管理機能を活用し、加工穴数・時間を自動カウント。事前設定した閾値(例:500穴)で警告→自動交換or手動対応。IoT対応工具管理システム(三菱MC-Link・DMG森精機WERKBLIQ等)でリアルタイム摩耗監視も普及中。

業界・場面別の使い方

ボール盤・マシニングセンタ運用

日常の穴あけ加工条件設定に。φ10mm S45C・超硬なら3183 rpm・送り0.15 mm/revが標準。ボール盤は主軸剛性が低いため、Vc控えめ・送り控えめで運転。マシニングは主軸剛性高くカタログ推奨値通り運用可。

自動車部品加工

エンジンブロック(アルミ)・シリンダーヘッド(アルミ)・クランクシャフト(合金鋼)等の量産穴あけ。1穴あたりのサイクルタイム短縮が生産性に直結、超硬・TiAlNコーティング・高圧クーラントが標準採用。

金型加工

金型(SKD11・NAK80)の冷却水穴・ノックピン穴・エジェクタ穴加工。位置精度±0.02mm・穴径公差±0.05mm等の高精度が求められ、事前のセンタドリル・下穴・仕上げリーマの多段工程。

航空機部品加工

Ti-6Al-4V・インコネル718・CFRP等の難削材を高精度で穴あけ。1穴の失敗が数十万円の材料損失になるため、超硬コーティング・油穴付き・低速高送りが定石。GEアビエーション・IHI等が実装。

建築金物・ステンレス加工

SUS304・SUS316の手すり・鉄骨・キッチン設備の穴あけ。加工硬化を避けるため一気に貫通し、Vc控えめ・送り高めが原則。油穴付き超硬ドリルで生産性大幅改善。

DIY・木工・手持ちドリル

電動ドリルドライバー・インパクトドライバーでの穴あけ。木工は500〜1500 rpm、金属は1000〜2000 rpm、コンクリートは振動ドリル500 rpm前後。DIY用は径×被削材の目安で十分。

よくある間違い・注意点

  • タップ下穴で高Vc設定 — タップ下穴は追加工削しろ残す精度が必要。切削速度控えめ・送り控えめで真直度確保。φ8.5(M10タップ下穴)で通常より20%程度Vc下げる。
  • 深穴で送り一定 — ドリル径の5倍を超える深穴では、途中で必ず引き戻して切りくずを排出。放置すると切りくずが穴内で詰まり、ドリル折損・穴曲がりの原因に。マシニングならG83深穴サイクルを使用。
  • 冷却剤なしでSUS加工 — SUS304をドライで加工すると工具寿命1/5に。切削油または油穴付きドリル必須。冷却不足は加工硬化を招き、次の1穴で刃先チッピング(欠け)発生。
  • ハイスと超硬の使い分け失敗 — 超硬は高硬度・高速だが衝撃に弱く、機械剛性低いボール盤・ラジアルボール盤ではチッピング頻発。剛性の低い機械にはハイスが安全。
  • アルミの高Vc超硬でむしれ発生 — アルミは融点低く、Vc>300 m/minではドリル刃に凝着し逆に穴仕上げ悪化。適切なVcとエアブロー・水溶性油で凝着抑制。
  • チタン・インコネルで低送り — 難削材で送り小さくすると加工硬化面を再加工することになり、逆に工具寿命短縮。送りを規定の下限側にせず、標準値を守る。
  • ドリル先端角の混同 — 標準118°、ステンレス用135°、アルミ用90°など先端角で用途が違う。汎用ドリルで難削材加工は寿命短縮の主因。

関連する規格・法令

  • JIS B 4301 ストレートシャンクドリル ― ハイス・超硬ストレートシャンクドリルの寸法・形状・許容差の日本工業規格。
  • JIS B 4302 テーパーシャンクドリル ― モールステーパーシャンクドリルの規格。大径ドリルの標準。
  • JIS B 4304 センタドリル ― センタ穴加工用ドリルの規格。
  • JIS B 4001 ドリル用語 ― ドリル各部の名称・用語の統一規格。
  • JIS B 0005 転がり軸受 ― 工作機械主軸の関連規格。
  • ISO 2306 Twist drills ― ドリル形状の国際規格。
  • 労働安全衛生規則 ― 動力ドリル使用時の安全対策(防護めがね・作業手袋制限・回転部の危険防止)。

参考文献・公的資料

より詳細な切削条件は、工具メーカーのカタログ・公的機関の資料を参照してください。

※本ページの切削条件は工具メーカーの標準カタログ値に基づく参考条件で、実際の加工では機械剛性・被削材ロット・工具磨耗状態・冷却条件により調整が必要です。量産・重要部品加工では必ずテストピース加工で条件検証を行い、工具メーカー技術サポート・機械オペレータの経験判断を優先してください。労働安全衛生規則に基づく安全作業(保護具着用・危険部囲い)は必須です。

よくある質問(FAQ)

φ10mmドリルでS45Cの推奨RPMは?

超硬ドリルなら3183 rpm(Vc=100 m/min)、ハイスドリルなら796 rpm(Vc=25 m/min)が標準条件。マシニングセンタの剛性を活かせるなら超硬でVc=120まで上げて3820 rpmまで可能です。ボール盤等で剛性低い場合はVc=80程度に下げます。

深穴の目安はどこから?

ドリル径の5倍を超える深さから深穴と定義。φ10mmなら50mm超が深穴です。ステップ送り(G83)で1〜2倍毎に引き戻して切りくず排出・冷却剤供給。φ10倍以上の超深穴はガンドリル・BTAドリル等の専用工具が必要。

油穴付きドリルの効果は?

切削点への直接クーラント供給により、工具寿命2〜3倍、生産性1.5〜2倍改善が実例多数。特にSUS304・チタン・インコネルの深穴加工で顕著な効果。初期投資は+50〜100%ですが、量産では確実に回収可能な投資です。

ドリル送りの目安は?

ドリル径×0.01〜0.03 mm/rev。φ10mmなら0.10〜0.30 mm/rev、φ20mmなら0.20〜0.60 mm/rev。硬い被削材ほど下限、軟らかい被削材ほど上限。送りが小さすぎると凝着、大きすぎると折損の原因になるため、標準範囲を守る。

ハイスと超硬はどちらが良い?

剛性の高いマシニング・NC旋盤・専用機なら超硬(寿命3〜5倍、加工能率2〜3倍)。剛性低いボール盤・ラジアルボール盤・手持ちドリルはハイス(衝撃に強い)。少量多品種はハイス、量産は超硬が定石です。

SUS304をドライで加工できる?

おすすめしません。冷却剤なしのSUS304加工は工具寿命1/5、加工硬化による次穴のチッピング発生率が高い。切削油または油穴付きドリル必須。MQL(セミドライ)も可能ですが、通常のドリル加工ではエマルション水溶性油の使用が定石です。

タップ下穴の径はどう決める?

並目タップならタップ径-ピッチが目安。M10(P=1.5)ならφ8.5、M6(P=1.0)ならφ5、M8(P=1.25)ならφ6.75。細目タップは別表参照。タップ下穴は精度重視で、Vc控えめ・送り控えめで真直度確保します。詳細はタップ下穴計算ツールで。

ドリル先端角は用途で違う?

標準は118°、ステンレス・耐熱鋼用は135°(食い付き改善)、アルミ用は90°(バリ抑制)。木工用は60°、コンクリート用は135°など専用先端角があります。汎用ドリルで難削材加工は寿命短縮するため、被削材に合った先端角を選ぶ。

コーティングは寿命どのくらい伸びる?

TiN(金色)で1.5〜2倍、TiAlN(黒紫)で2〜3倍、DLC(黒)でアルミ加工で3倍以上。難削材・高速加工ほどコーティング効果が大きく、初期投資+30〜50%は量産で確実に回収可能。加工能率向上分もセットで検討します。

チタン合金の加工が難しい理由は?

チタンは低熱伝導率(鋼の1/7)・化学的反応性高い・弾性回復大の3つが難削の要因。熱が工具に集中し工具寿命が短く、刃先で化学反応起き凝着発生、加工後の弾性戻りで寸法精度悪化。低速・大送り・油穴付き超硬・TiAlNコーティングが定石。

ドリル折損の主な原因は?

①送り過大による切削抵抗超過、②切りくず詰まり(深穴で引き戻し不足)、③冷却剤不足による工具過熱、④主軸振れ・剛性不足による無理な力、⑤ドリル摩耗を放置した続行、が主要原因。定期的な工具交換・条件確認が予防策。

DIYの電動ドリルはどう使う?

電動ドリルドライバーで木工は500〜1500 rpm、金属は1000〜2000 rpm、コンクリートは振動ドリル500 rpm前後。切りくず排出のため途中で引き戻す、金属はマシン油を数滴垂らす、コンクリートは水冷不可の代わりに休憩を入れる、が実務的な工夫です。