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石油API度比重原油計量現場実務

API比重換算(原油・石油製品)

API度と比重(SG60/60°F)を双方向換算。
原油売買・製品検査・タンク在庫管理・輸出入通関で必須の指標を、体積×kg換算と製品区分判定つきで即算出。WTI、ブレント、ドバイ原油の位置づけも早見表で確認。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

API比重換算(原油・石油製品)ツール

API比重の定義式

°API = (141.5 ÷ SG60/60°F) − 131.5

SG60/60°F = 141.5 ÷ (°API + 131.5)

60°F(15.56℃)における原油の比重(水基準)を、直感的な数値スケールに変換した米国石油協会(American Petroleum Institute)の指標。水の比重1.000が10°APIに対応し、数値が大きいほど軽質=油としての価値が高いという特徴があります。ガソリン留分の多いライトクルードは高API、重質原油やタールは低APIになります。

API度と石油製品の対応早見

API度比重 SG製品区分・代表例
60〜700.70-0.74ナフサ・軽質留分
50〜600.74-0.78ガソリン (WTIブレンド近傍)
40〜500.78-0.83灯油・ジェット燃料・軽油
35〜400.83-0.85ライトスイート原油 (WTI≒39.6°API)
30〜350.85-0.88ブレント原油 (Brent≒38°API)
22〜300.88-0.92ヘビークルード・A重油
10〜220.92-1.00エクストラヘビー・C重油
<10>1.00ビチューメン・タールサンド(水に沈む)

API比重換算(原油・石油製品)の詳しい解説

API比重(American Petroleum Institute Gravity)は、米国石油協会が定めた原油・石油製品の密度指標です。1921年の制定以来、世界の原油取引で標準的に使われており、日本の石油会社・商社・製油所・タンクターミナルでもすべての伝票・分析報告書に°APIが記載されます。

API度の妙味は「数値が大きいほど価値が高い」ということです。水の比重1.000が10°APIとなり、軽質原油ほど高い数値になります。WTI(West Texas Intermediate、米国原油の指標)は約39.6°API、ブレント原油(北海)は約38°API、ドバイ原油(中東)は約31°APIといった具合に、産地の性質を数値ひとつで表現できます。ガソリン留分を多く含む軽質原油ほど市場価格が高いため、°APIは価格プレミアム/ディスカウントを決める第一のファクターです。

計量の現場では15℃(60°F)基準の温度補正が必ずセットになります。API MPMS Chapter 11.1 が定める体積補正係数(VCF)表を使い、実測温度での体積を15℃基準体積に換算し、そこにAPI度から求めた密度を掛けて重量を出します。バレル(bbl = 158.987 L)とkg、リットルの相互換算も日常業務です。1バレル≒159L、WTI原油1バレル≒135kg(39.6°APIの場合)が実用値として頭に入っています。

製油所ではAPI度が製品ミックスの設計指標にもなります。ライトオイル(40°API以上)は分留でガソリン・ジェット燃料の収率が高く、ヘビーオイル(22°API以下)は残渣油が多くなるため、脱硫装置や重質油分解装置(コーカー・水素化分解)の稼働率設計に直結します。設備投資判断、燃料油需給計画、CO2排出量計算のすべてに°APIが顔を出します。

業界・現場での使い方

原油売買・トレーディング

産地銘柄(WTI/Brent/Dubai/Oman)のAPI度スペックを見て価格プレミアム・ディスカウントを決定。石油元売り・商社・トレーダーの日次業務。

タンクターミナル・在庫管理

ローリング・ステーションへの受入・払出時にAPI度と温度から15℃補正体積・kg換算を行い、在庫伝票と会計に反映。

製油所オペレーション

原油スラート(配合)のAPI度から分留収率を予測し、ガソリン・軽油・重油の月間生産計画を立案。

通関・輸出入業務

BL(船荷証券)のAPI度・体積・重量を通関書類に転記。関税・石油諸税の課税基礎になる。

よくある間違い・注意点

  • API度と比重の増減方向を混同API度が大きい=比重が小さい(軽い)。50°APIは35°APIより軽質。比重感覚で「大きい方が重い」と誤解しないこと。
  • °Fと℃の混同 — API定義は60°F(15.56℃≒15℃)基準。日本の温度補正では15℃(59°F)基準の場合もあり、微差だがVCF計算で影響。
  • バレルの単位ミス — 1バレル(bbl) = 42米ガロン = 158.987 L。42ガロンで丸めて計算するとL換算で数%誤差。海運・タンカー計量では正確な158.987で計算。
  • 温度補正を忘れる — 実測時の油温は輸送・タンクで大きく変動。夏冬30℃差なら体積差2%以上。売買契約は15℃基準体積のため、必ずVCF補正する。

関連する規格・法規

  • Manual of Petroleum Measurement Standards Chapter 11.1 — Temperature and Pressure Volume Correction Factors. 世界の石油計量標準。
  • JIS K 2249-1「原油及び石油製品−密度の求め方及び密度・質量・容量換算表」— 日本の計量法対応標準。
  • ASTM D287「Standard Test Method for API Gravity of Crude Petroleum and Petroleum Products (Hydrometer Method)」— 比重計による測定手順。
  • 石油製品の取引は15℃基準体積が慣例。給油所の販売単位も温度補正が反映されている。

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

WTI と Brent の API 度の違いは何を意味する?

WTI≒39.6°API(軽質・低硫黄=スイート)、Brent≒38°API(やや軽質・スイート)。数値は近いが、Brentは硫黄分が若干多く、精製収率とプレミアムに影響する。ドバイ原油は31°APIでヘビー・サワー(高硫黄)に分類される。

10°APIより低い原油はどうなる?

API度 < 10 は比重 > 1.000、つまり水より重い状態。カナダのタールサンド、ベネズエラのオリノコ・ヘビーオイル、天然ビチューメンなどが該当。輸送のため軽質油で希釈(ダイリューティング)する。

°API から重量を計算する式は?

°API → SG = 141.5/(°API+131.5)。15℃水密度0.999 g/cm³ を乗じて密度(g/cm³)。
例:39.6°API → SG=0.827 → 密度≒0.826 g/cm³ → 1バレル(158.987L)=131.4kg。

石油業界で「バレル」を使う理由は?

19世紀の米国ペンシルベニア油田で42米ガロン木樽を輸送標準に使った歴史的経緯。国際取引でも米国基準が定着し、原油相場は今も「$/bbl」で表示される。日本国内取引はkL基準が主だが、国際比較・貿易統計はバレル併用。

ライトクルードとヘビークルードの精製収率の違いは?

ライト(40°API以上)はガソリン留分30-40%、灯油・軽油20-30%、重油20-30%程度。ヘビー(22°API以下)はガソリン10-20%、重油・アスファルト分40-60%。ライトの方が価値ある製品収率が高く、市場価格でプレミアムがつく。

°API と硫黄分(Sweet/Sour)は関係する?

厳密には別の指標だが、経験則としてライト原油は硫黄分0.5%未満(Sweet)、ヘビー原油は硫黄分1-3%(Sour)の傾向。両方が価格を左右し、Light Sweetが最高値、Heavy Sourが最低値になる。

日本で°APIが使われる場面は?

石油元売り(ENEOS/出光昭和シェル/コスモ)の原油調達契約、製油所の運転計画、商社の原油貿易、通関申告書。給油所レベルでは°APIは表に出ないが、内部の在庫会計では日々使われている。