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化学濃度試薬分析

モル濃度換算計算機|mol/L・g/L・%・ppm・mEq/L 5単位相互変換

モル濃度を5つの濃度単位(mol/L・g/L・%・ppm・mEq/L)で相互変換する無料電卓。塩化ナトリウム・塩酸・硫酸・水酸化ナトリウム・グルコース等の主要試薬50種の分子量・価数プリセット付き。JIS K 0050(化学分析方法通則)・日本薬局方に準拠した希釈計算、医療(輸液・血液検査)・環境(水質基準)・工業分析での使い分けまで、公的資料に基づき解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

モル濃度換算ツール

濃度単位の定義と換算式

基本の5単位

モル濃度 C = 溶質のモル数(mol) ÷ 溶液の体積(L) [単位: mol/L, M]

質量濃度 = モル濃度 × 分子量 [g/L]

w/v%濃度 = 質量濃度(g/L) ÷ 10 [%]

w/w%濃度 = 質量濃度(g/L) ÷ (密度×1000)(g/mL) × 100 [%]

ppm = 質量濃度(g/L) × 1000 (希薄溶液・密度1g/mL近似) [mg/L]

当量濃度 mEq/L = モル濃度 × 価数 × 1000

基本概念の整理

モル濃度(molarity)は溶液1Lあたりの溶質のモル数を表し、化学反応の量論計算に最適です。質量モル濃度(molality)との混同に注意(molalityは溶媒1kg基準、単位はmol/kg)。温度による体積変化を考慮する必要のある精密計算では、質量モル濃度の方が有利です。

典型例:NaCl 1mol/L(生理食塩水基準)

1 mol/L × 58.44 g/mol = 58.44 g/L(密度1.000 g/mL近似)

= 5.844%(w/v%)= 58,440 ppm ≒ 1000 mEq/L

生理食塩水の実際の組成は0.9%(w/v%) NaCl溶液で、約0.154 mol/L(154 mEq/L Na⁺)。血漿と等張なため輸液・洗浄液・注射用希釈剤に頻用されます。

単位ごとの使い分け

単位主な用途特徴
mol/L(M)化学反応の量論計算・分析化学反応比が直接分かる、SI準拠
g/L試薬調製・工業分析質量ベースで直感的、天秤で調製可
w/v% (g/100mL)医薬品・生理食塩水薬局方・臨床の標準表記
w/w%試薬瓶ラベル・工業薬品温度に依存しない、市販試薬の標準
ppm(百万分率)環境分析・水質基準・希薄溶液ppm=mg/L(水希薄溶液)、ppb=μg/L
mEq/L(当量濃度)血液電解質検査・輸液電荷ベース、価数を考慮
N(規定度)滴定分析(古い表記)1N=1当量/L、現在はmEq/L推奨
mol/kg(質量モル濃度)沸点上昇・凝固点降下温度非依存、コロイド化学

主要試薬の分子量早見表

試薬名化学式分子量(g/mol)価数
H₂O18.021
塩化ナトリウムNaCl58.441
塩化カリウムKCl74.551
塩化カルシウムCaCl₂111.102
塩化マグネシウムMgCl₂95.212
塩化アンモニウムNH₄Cl53.491
塩酸(35%)HCl36.461
硫酸(98%)H₂SO₄98.082
硝酸(70%)HNO₃63.011
リン酸(85%)H₃PO₄98.003
酢酸CH₃COOH60.051
水酸化ナトリウムNaOH40.001
水酸化カリウムKOH56.111
水酸化カルシウムCa(OH)₂74.102
アンモニアNH₃17.031
炭酸ナトリウムNa₂CO₃106.002
炭酸水素ナトリウムNaHCO₃84.011
硝酸銀AgNO₃169.871
硫酸銅(II)五水和物CuSO₄・5H₂O249.682
硫酸鉄(II)七水和物FeSO₄・7H₂O278.022
硫酸アンモニウム(NH₄)₂SO₄132.142
過マンガン酸カリウムKMnO₄158.031
二クロム酸カリウムK₂Cr₂O₇294.186
チオ硫酸ナトリウムNa₂S₂O₃・5H₂O248.192
EDTA二ナトリウムC₁₀H₁₄N₂Na₂O₈372.242
グルコースC₆H₁₂O₆180.161
スクロースC₁₂H₂₂O₁₁342.301
エタノールC₂H₅OH46.071
メタノールCH₃OH32.041
フタル酸水素カリウムC₈H₅KO₄204.221

水溶液の代表的な濃度

試薬市販濃度密度(g/mL)モル濃度
塩酸(濃塩酸)35-37%1.18約12 mol/L
塩酸(希塩酸)10%1.05約2.9 mol/L
硫酸(濃硫酸)96-98%1.84約18 mol/L
硝酸(濃硝酸)60-70%1.42約15 mol/L
アンモニア水(濃)25-28%0.907約15 mol/L
酢酸(氷酢酸)99.5%以上1.049約17.4 mol/L
過酸化水素水30-35%1.11約9-10 mol/L
水酸化ナトリウム48-50%1.50約19 mol/L
生理食塩水0.9%1.0050.154 mol/L
5%ブドウ糖液5%1.0170.278 mol/L

医療分野での濃度単位

生理食塩水(0.9% NaCl)

0.9%(w/v%)= 154 mEq/L Na⁺/Cl⁻。血漿浸透圧と等張で輸液・洗浄・薬剤希釈の標準溶液。日本薬局方に規定。

血液電解質基準値

Na 135-145 mEq/L、K 3.5-5.0 mEq/L、Cl 98-108 mEq/L、Ca 2.2-2.7 mmol/L等。mEq/Lは電気的中性を評価しやすい単位。

5%ブドウ糖液

5%(w/v%)= 50 g/L = 0.278 mol/L。血漿と等張、脱水症・低血糖の補液に使用。日本薬局方の医療用医薬品。

3号輸液(維持液)

Na 35 mEq/L、K 20 mEq/L、Cl 35 mEq/L等の複数電解質。血漿の1/3張度で維持輸液の標準。

環境・水質基準の濃度単位

水道水質基準(厚労省)

飲料水として基準51項目。ヒ素0.01mg/L、鉛0.01mg/L、水銀0.0005mg/L等、微量成分はmg/L=ppm単位が標準。

大気汚染物質(環境省)

SO₂・NO₂等はppmまたはppb単位で表示。1ppm(気体)= 体積比10⁻⁶。ppmとppbは環境モニタリングの標準単位。

土壌汚染物質

カドミウム・鉛等はmg/kg(乾土)単位。ppm換算では1mg/kg=1ppm。土壌汚染対策法で溶出量・含有量基準あり。

栄養塩(河川・湖沼)

硝酸態窒素・リン等はmg/L単位で環境基本法に基づく水質環境基準を規定。富栄養化の指標。

希釈計算(C1V1=C2V2)

C₁V₁ = C₂V₂

希釈前の濃度C₁と体積V₁から、希釈後の目標濃度C₂と必要体積V₂を計算する基本式です。単位は両辺で揃えれば任意(mol/L・g/L・%どれでも可)。

計算例:1N HCl 100mLを0.1N HClから調製

C₁ × V₁ = 12(市販濃塩酸mol/L) × V₁ = 1 × 100 = 100 mmol

V₁ = 100 ÷ 12 = 8.33 mL

市販濃塩酸(約12mol/L)8.33mLを取り、水で希釈して100mLにする。実際は氷冷しながら少しずつ加える(発熱)。

複雑な例:2種混合液の調製

血液透析液(電解質バランス)、緩衝液(pH調整)、栄養培地(細胞培養)等では、複数試薬の同時計算が必要。JIS K 0050(化学分析方法通則)に手順が規定されています。

利用シーン別の使い方

大学・高校の化学実験

試薬調製、滴定分析、pH測定、平衡定数の計算等。mol/Lが基本、教科書は必ずこの単位。

医療機関・薬剤師

輸液・注射液の希釈、電解質補正、血液検査値の解釈。%(w/v)とmEq/Lが標準、日本薬局方参照。

環境分析・水道事業

水質検査、大気汚染測定、土壌分析。ppm・ppb・mg/Lが主流、環境省・厚労省の基準値と照合。

工業分析・品質管理

めっき液・エッチング液・洗浄液の管理、JIS準拠の分析。%(w/w)とmol/Lを併用、試薬瓶ラベル参照。

製薬・食品分析

有効成分濃度、添加物濃度、栄養成分。GMP基準・食品衛生法に沿った表記(mg/kg・μg/g等)。

研究開発(生化学・分子生物学)

タンパク質濃度・DNA/RNA濃度・酵素活性。mol/L・mg/mL・U/L等を目的別に使い分け。

よくある間違い・注意点

  • w/v%とw/w%の混同 ― w/v%は「100mLあたりのg」、w/w%は「100gあたりのg」。密度が1と大きく異なる濃厚溶液(濃硫酸・濃塩酸)では数値が大きくズレます。ラベル表示を必ず確認。
  • 市販試薬濃度の温度補正忘れ ― 濃塩酸(35-37%)・濃硫酸(98%)等の高濃度試薬は温度で体積・密度が変化。試薬瓶ラベルの温度(20℃または25℃)を必ず併記。
  • 結晶水を含む試薬の分子量計算 ― CuSO₄・5H₂Oの分子量は249.68(無水は159.61)。結晶水を無視するとモル数が実測の1/1.5倍にずれます。
  • 希薄溶液のppm換算で密度を無視 ― 純水近似(密度=1g/mL)ならppm=mg/Lで正しいですが、海水や高塩分溶液では密度補正が必要。
  • 強酸・強塩基の希釈時の発熱 ― 濃硫酸を水に加えるときは「酸を水に、少しずつ」が原則。逆をすると突沸で飛散し重篤事故に。労働安全衛生法の対象。
  • 当量濃度(N・mEq/L)と価数の混同 ― H₂SO₄ 1mol/L = 2N(2mEq/L=2000)。多価酸・塩基で価数を掛け忘れると2倍〜3倍の誤差。
  • SI単位系との不整合 ― モル濃度の正式SI単位はmol/m³ですが、実用ではmol/Lが標準。学術論文投稿時は投稿規定を確認。
  • %(重量パーセント)を単位なしで記載 ― %だけでは(w/v%かw/w%か)不明。JIS表記に従い「w/v%」「w/w%」「v/v%」を明記。

関連するJIS規格・薬局方

  • JIS K 0050 ― 化学分析方法通則。試薬・器具の使用、濃度表記、計算式の標準規定。日本の化学分析の基本規格。
  • JIS K 8001 ― 試薬試験方法通則。JIS特級試薬・一級試薬の純度基準と分析法。
  • JIS K 8541 ― 硝酸・硫酸・塩酸(試薬)。市販試薬の純度・分析法規格。
  • 日本薬局方(第十八改正) ― 医療用医薬品の規格書。生理食塩水・ブドウ糖液・注射用水等の濃度規定。
  • JIS Z 8402 ― 測定方法及び測定結果の精度(真度及び精度)。定量分析の共通ルール。
  • ISO/IEC 17025 ― 試験所・校正機関の能力に関する一般要求事項。品質管理の国際規格。
  • 環境基本法(水質環境基準) ― 河川・湖沼・海域の水質項目と基準値。mg/L単位が中心。
  • 水道法(水道水質基準) ― 厚労省管轄。飲料水の51項目基準、微量成分はmg/L・μg/L単位。
  • 労働安全衛生法(特定化学物質) ― 特定化学物質の管理濃度・作業環境測定基準。ppm・mg/m³が主流。

参考文献・公的資料

正確な濃度計算・試薬調製のため、以下の公的機関の一次資料を必ず参照してください。

※本ページの計算結果は概算値で、有効数字4桁までの近似を用いています。実務(医薬品調製・分析化学・工業品質管理)では、日本薬局方・JIS規格・薬機法の要求事項に従い、認証標準物質(CRM)で校正された計量器での実測を優先してください。特に酸・塩基・毒物劇物・特定化学物質の取扱いは、労働安全衛生法・毒物劇物取締法の対象で、有資格者(化学分析技能士・毒物劇物取扱責任者等)の管理下で行ってください。医療用途の濃度計算(輸液・薬剤希釈等)は、薬剤師・医師の指示に従ってください。

よくある質問(FAQ)

mol/L(モル濃度)とmol/kg(質量モル濃度)の違いは?

mol/L=溶液1Lあたりのモル数mol/kg=溶媒1kgあたりのモル数。mol/Lは温度で体積が変わるため精度が下がりますが、実験室で最も使いやすい単位。沸点上昇・凝固点降下等のコロイド化学の計算ではmol/kgが正確です。

mEq/L(当量濃度)とは?

当量濃度で、モル濃度×価数×1000で算出します。電荷ベースのため電気的中性を評価しやすく、血液電解質検査(Na 135-145 mEq/L等)の臨床標準単位です。多価イオン(Ca²⁺・Mg²⁺)の生理作用の比較に有利。

1N規定度とは?

1N = 1当量/L = 1000 mEq/L。古い滴定分析の単位で、現在はSI単位系のmEq/Lまたはmol/Lへ移行推奨。H₂SO₄ 1N = 0.5mol/L(価数2)。JIS規格でも新しい方式は「モル濃度で表記」が原則です。

ppmとppbの違いは?

ppm=百万分率(10⁻⁶)ppb=十億分率(10⁻⁹)。水質基準の微量成分(ヒ素・鉛等)はppb単位が多く、1ppm = 1000ppb。希薄水溶液では ppm=mg/L、ppb=μg/L と近似できます。

w/v%とw/w%どっちが正しい?

用途で使い分けます。w/v%(g/100mL)は医薬品・生理食塩水の標準w/w%(g/100g)は市販試薬瓶の標準。濃硫酸98%はw/w%(=モル濃度18mol/L)、生理食塩水0.9%はw/v%(=0.154mol/L)。密度により両者は数値が異なります。

1mol/L NaClは何%?

1 mol/L NaCl = 58.44 g/L = 約5.84%(w/v%)(密度1近似)。ちなみに生理食塩水は0.9%=0.154mol/Lで、飲用の海水塩分3.5%はNaCl換算で約0.6mol/L相当です。

濃硫酸(96%)は何mol/L?

濃硫酸96%(w/w%)・密度1.84g/mL = 1L中の H₂SO₄ = 1000×1.84×0.96 = 1766.4g、分子量98.08から約18mol/L。実験室でよく使う濃度基準です。

C1V1=C2V2の使い方は?

希釈計算の基本式。濃塩酸12mol/Lから1mol/L HCl 100mLを作る場合、V₁=(1×100)÷12=8.33mLを取り水で薄めて100mLに。単位は両辺で揃えれば任意です。

結晶水を含む試薬の計算方法は?

結晶水込みの分子量を使用。CuSO₄・5H₂O = 249.68 g/mol(無水159.61+水5×18.02)。1mol/L CuSO₄水溶液を1L作るには249.68gが必要で、無水として計算すると濃度が1.56倍薄くなります。

SI単位系ではモル濃度は?

正式SI単位はmol/m³(1 mol/L = 1000 mol/m³)ですが、実務ではmol/Lが標準。学術論文投稿時は投稿規定を確認。IUPAC推奨表記は「c(NaCl) = 1 mol/L」の形式です。

血液電解質検査の正常値は?

Na 135-145 mEq/L、K 3.5-5.0 mEq/L、Cl 98-108 mEq/L、Ca 2.2-2.7 mmol/L、Mg 0.7-1.0 mmol/L。日本臨床化学会・JCCLSの共用基準範囲。基準値外は電解質異常として治療対象。

pH値と濃度の関係は?

pH = -log[H⁺]。強酸1mol/L HClはpH=0、0.1mol/L HClはpH=1。弱酸(酢酸等)は電離度により異なり、酢酸0.1mol/L でもpH=2.87(電離度約1.3%)。緩衝液の計算はHenderson-Hasselbalch式を使用。